『時をかける』

「そんなに良かった?」
恋人の問いかけに、キースは満足げなため息をついた。
「君とセックスするために、僕は生まれてきたのかもな」
「お誉めいただき光栄ですが」
ウォンは苦笑しながら、
「それなら“君に会うために”と言われた方が嬉しいです」
「それは違うな」
キースはウォンの口唇に指をあてた。
「君が、僕に会うために、
この時代で待っていてくれたんだろう?」
恋人の掌をとって口づけると、ウォンはうなずいた。
「ええ。……そのために、時をかけてきました」


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Written by Narihara Akira (2004.12)
http://www5f.biglobe.ne.jp/~Narisama/