『眼 鏡』

寒い戸外からやっと逃れて、暖かなスープ皿の上に
顔を伏せたウォンを、キースはじっと見つめた。
「どうなさいました?」
視線に気付いて顔をあげた彼にキースは、
「君の眼鏡は曇りどめがしてあるんだな」
「ええ。伊達ですから外してもいいんですが」
「色気のない話だ」
ガッカリした声を出すので、ウォンは笑った。
「いいじゃないですか。する時には外すんですから」
キースは苦笑した。
「わかってないな。不意打ちがしたいんだ」


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Written by Narihara Akira (2004.11)
http://www5f.biglobe.ne.jp/~Narisama/