『ちぎれ雲』


病院を出ると、まだ外は明るく、青空にちぎれ雲が浮かんでいた。
風は柔らかく私の輪郭を洗った。

「……忘れてた。私、生きてた」

日常に慣れたり、諦めたりして、
いつの間にか心が死んでいた。

私はよくなる。
必ず良くなる。

風だけが
子どもの頃と同じように吹いている。




名刺用の短縮バージョン。



(2017.10脱稿、静岡文学マルシェ@シズオカ・ストリート・フェスティバル【ポストカードギャザリング】用書き下ろし。タイトルは、比恋乃 @hikonorgel 様のお題から。写真はjoshua fuller(CC0))


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Narihara Akira
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