『あらかじめ しつらえられた 救済の為に』
「全然わかってない。私は貴女が好きなの!」
「わかってるよ。そんなに泣かなくても」
「わかってない。これはやましい気持ちなんだから」
「しってるよ」
「しってる? 知ってたの?」
「まさか、それがわからない私と思ってた?」
「……思ってない。でも」
「やましいも何も、好きなら当たり前の話じゃない。それでもずっと、つきあってきたでしょ。それが私の答え。じゃあ行くよ」
「どこに」
「今晩泊まるところに決まってるでしょ」
その時、全身の水が沸騰した――。
(2016.5脱稿、【尼崎文学だらけ】用書き下ろし
タイトルは【午前三時の音楽】高梨來様より。
http://necotoco.com/nyanc/amabun/ss/view.html)
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Narihara Akira
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