数字 |
一月一日
:
(1がつ1にち):
年の始めの 例とて
終なき世の めでたさを
松竹立てて 門ごとに
祝う今日こそ 楽しけれ
初日のひかり さし出でて
四方に輝く 今朝の空
君がみかげに たぐえつつ
仰ぎ見るこそ 尊とこけれ
一寸法師
:
(1すんぼうし):
指に足りない一寸法師
小さいからだに大きな望
お椀の船に箸の櫂
京へはるばる登りゆく
京は三条の大臣殿に
抱えられたる一寸法師
法師法師とお気に入り
姫のお伴で清水へ
さても帰りの清水坂に
鬼が一匹あらわれ出でて
食ってかかればその口へ
法師たちまち躍り込む
針の太刀をば逆手に持って
チクリチクリと腹中突けば
鬼は法師をはき出して
一生懸命 逃げてゆく
鬼が忘れた打出の小槌
打てば不思議や一寸法師
一打ち毎に背が伸びて
今は立派な大男
一献歌
:
(1っこんか):
男の酒の うれしさは
たちまちかよう 意気と熱
人生山河 険しくも
君 盃を挙げ給え
いざ 我が友よ まず一献
秋月影を踏むもよし
春散る花に酔うもよし
あはれを知るは 英雄ぞ
君 盃を挙げ給え
いざ 我が友よ まず一献
美人の酌に 酔えばとて
今宵は今宵 何か言う
男は明日に 生きるもの
君 盃を挙げ給え
いざ 我が友よ まず一献
※ 歌題:「男の酒」。「作詞、作曲者 不知」として掲載しておりましたが、「Masaki@」さまより、当サイトのBBSにおいて、
ご教示頂き、併せて、歌題も、「一献歌」であることも教えて頂きましたので、そのように「訂正」しました。
Maski@ 様。ありがとうございました。
→男の酒
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二人は若い
:
(2りはわかい):
あなたと呼べば あなたと答える
山のこだまの 嬉しさよ
あなた なんだい
空は青空 二人は若い
ちょいとと呼べば ちょいとと答える
山のこだまの いとしさよ
ちょいと なによ
風はそよ風 二人は若い
あのネと呼べば あのネと答える
山のこだまの やさしさよ
あのネ なにさ
あとは言えない 二人は若い
あ |
あゝ玉杯に花うけて
:
(ああぎょくはいにはなうけて):
嗚呼玉杯に花うけて 緑酒に月の影やどし
治安の夢に耽りたる 栄華の巷低く見て
向ヶ丘にそそり立つ 五寮の健児意気高し
芙容の雪の精をとり 芳野の花の華を奪い
清き心の益良男が 剣と筆とをとり持ちて
一たび起たば何事か 人生の偉業成らざらん
濁れる海に漂える 我国民を救わんと
逆巻く波をかきわけて 自治の大船勇ましく
尚武の風を帆にはらみ 船出せしより十二年
花咲き花はうつろいて 露おき露のひるがごと
星霜移り人は去り、梶とる舟師は変わるとも
我のる船はとこしえに 理想の自治に進むなり
行途を拒むものあらば 斬りて捨つるに何かある
破邪の剣を抜き持ちて 舳に立ちて我よべば
魑魅魍魎も影ひそめ 金波銀波の海静か
(旧制第一高等学校寮歌)
あゝそれなのに
:
(ああそれなのに):
空にゃ今日も アドバルン
さぞかし会社で 今ごろは
おいそがしいと 思うたに
あゝそれなのに それなのに
ねえ、おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう
どこで何して いるかしら
何か悲しい 日暮れどき
思うはあなたの ことばかり
あゝそれなのに それなのに
ねえ、おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう
ひとり出ている お月さま
窓で見ている このわたし
とぎれとぎれの 針仕事
あゝそれなのに それなのに
ねえ、おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう
夜更けに聞こえる 足の音
耳をすませば 胸が鳴る
帰って来たかと 立ち上がる
あゝそれなのに それなのに
ねえ、おこるのは おこるのは
あたりまえでしょう
愛燦々
:
(あいさんさん):
雨 潸々と この身に落ちて
わずかばかりの運の悪さを 恨んだりして
人は哀しい 哀しいものですね
それでも過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね
風 散々と この身に荒れて
思いどおりにならない夢を 失くしたりして
人はかよわい かよわいものですね
それでも未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね
愛 燦々と この身に降って
心密かな嬉し涙を 流したりして
人はかわいい かわいいものですね
ああ 過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね
ああ 未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね
愛する人に歌わせないで
:
(あいするひとにうたわせないで):
もう泣かないで坊や あんたは強い子でしょう
もう泣かないで坊や ママはそばにいるの
あなたのパパはつよかった とてもやさしかった
だけど今は遠い遠い ところにいるの
ほら見てごらん坊や きれいなお星さまを
あれはパパなの坊や いつもあなたを見てるの
ママはいいの一人でも あなたが傍にいれば
だってあんたはパパの パパの子供だから
あなたのパパは坊や 私たちのことを
あなたのパパは坊や とても心配してたの
戦いに行くその日まで きっと無事で帰ると
かたい約束をして 出掛けていったのに
あなたのパパは坊や あんなに云ったけれど
あなたのパパは坊や ここに帰らないの
あなたが大きくなったら 愛する人に二度と
歌わせないで頂戴 ママの子守唄を
ママの子守唄を
ママの子守唄を
青い山脈
:
(あおいさんみゃく):
若くあかるい 歌声に
雪崩は消える 花も咲く
青い山脈 雪割り桜
空のはて
きょうもわれらの 夢を呼ぶ
古い上衣よ さようなら
さみしい夢よ さようなら
青い山脈 バラ色雲へ
あこがれの
旅の乙女に 鳥も啼く
父も夢みた 母も見た
旅路のはての その涯の
青い山脈 みどりの谷へ
旅をゆく
若いわれらに 鐘が鳴る
青い背広で
:
(あおいせびろで):
青い背広で 心も軽く
街へあの娘と 行こうじゃないか
紅い椿で ひとみも濡れる
若い僕らの 生命の春よ
お茶を飲んでも ニュースを見ても
純なあの娘は 仏蘭西人形
夢を見るよな 泣きたいような
長いまつげの 可愛い乙女
今夜言おうか 打明けようか
いっそこのまま 諦めましょか
甘い夜風が とろりと吹いて
月も青春 泣きたい心
駅で別れて ひとりになって
あとはぼくらの自由な天地
涙ぐみつつ朗にうたう
愛と恋とのひとよの愛か
青い眼の人形
:
(あおいめのにんぎょう):
青い眼をした
お人形は
アメリカ生まれの
セルロイド
日本の港へ
ついたとき
一杯涙を
浮かべてた
「わたしは言葉が
わからない
迷子になったら
なんとしょう」
やさしい日本の
嬢ちゃんよ
仲よく遊んで
やっとくれ
仲よく遊んで
やっとくれ
あおげば尊し
:
(あおげばとうとし):
あおげば とうとし わが師の恩
教えの庭にも はや 幾年
思えば いと疾し この年月
今こそ 別れめ いざさらば
互いに むつみし 日頃の恩
別るる後にも やよ 忘るな
身を立て 名を上げ やよ 励めよ
今こそ 別れめ いざさらば
朝夕 馴にし まなびの窓
蛍のともし火 積む白雪
忘るる 間ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば
青葉茂れる桜井の
:
(あおばしげれるさくらいの):
青葉茂れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ
木の下蔭に駒とめて 世の行く末をつくづくと
忍ぶ鎧の袖の上(え)に 散るは涙かはた露か
正成涙を打ち払い 我子正行呼び寄せて
父は兵庫に赴かん 彼方の浦にて討死せん
汝(いまし)はここまで来つれども とくとく帰れ故郷へ
父上いかに宣(のたも)うも 見捨てまつりて我一人
いかで帰らん帰られん この正行は年こそは
未だ若けれもろともに 御供仕えん死出の旅
汝をここより帰さんは われ私の為ならず
おのれ討死なさんには 世は尊氏のままならん
早く生い立ち大君に 仕え奉れよ国のため
このひとふりは去(い)に年 君の賜いしものなるぞ
この世の別れの形見にと 汝にこれを贈りてん
行けよ正行故郷へ 老いたる母の待ちまさん
共に見送り見かえりて 別れを惜しむ折からに
またも降り来る五月雨の 空に聞こゆる時鳥
誰か哀れと聞かざらん あわれ血に泣くその声を
※ 別題として、「桜井の訣別」;「大楠公」の題もある。
青葉の笛
:
(あおばのふえ):
一の谷の 軍破れ
討たれし平家の 公達あわれ
暁寒き 須磨の嵐に
聞えしはこれか 青葉の笛
更くる夜半に 門を敲き
わ師に託せし 言の葉あわれ
今わの際まで 持ちし箙に
残れるは「花や 今宵」の歌
赤い靴
:
(あかいくつ):
赤い靴 はいてた
女の子
異人さんにつれられて
行っちゃった
横浜の 埠頭から
船に乗って
異人さんに つれられて
行っちゃった
今では 青い目に
なっちゃって
異人さんの お国に
いるんだろう
赤い靴 見るたび
考える
異人さんに 逢うたび
考える
赤いサラファン
:
(あかいさらふぁん):
緋色のサラファン ぬうてみても
楽しいあの日は 帰りゃせぬ
たとえ若い娘じゃとて なんでその日が長かろう
たとえ若い娘じゃとて なんでその日が長かろう
燃えるようなその頬も 今にごらん 色あせる
その時きっと 思いあたる
笑ったりしないで 母さんのいっとく言葉を よくお聞き
とはいえ サラファンぬうていると
お前と一緒に 若がえる
赤い風船
:
(あかいふうせん):
赤い風船 手にもって
走ったり ころんだり 笑ったり
いつもひとりで たわむれている
可愛い坊やは 空が好き
赤い風船 手をはなれ
青空にふわふわと 飛んでった
坊やびっくり 追いかけようと
大きな通りに 飛び出した
赤い風船 空の上
泣きながら 街の中 追いかけて
坊や車に ひかれて死んだ
可愛い坊やは 死んだ
赤い風船 手にもって
何かしら 楽しそうに歌ってた
あどけない歌 かわいい声も
今ではどこにも 聞こえない
赤い風船 ゆらゆらと
青空を さまよって 探してる
どこへ行ったの 可愛い坊や
可愛い坊やは もういない
可愛い坊やは もういない
赤い帽子白い帽子
:
(あかいぼうししろいぼうし):
赤い帽子 白い帽子 仲よしさん
いつも通るよ 女の子
ランドセルしょって お手々をふって
いつも通るよ 仲よしさん
赤い帽子 白い帽子 仲よしさん
いつも駆けてく 草の道
おべんとさげて お手々をくんで
いつも駆けてく 仲よしさん
赤い帽子 白い帽子 仲よしさん
いつも楽しい 笑い声
おひより小道 かげぼうしふんで
いつも楽しい 仲よしさん
赤い帽子 白い帽子 仲よしさん
いつも可愛い 歌い声
黒い靴はいて 赤い靴はいて
いつも可愛い 仲よしさん
赤いランプの終列車
:
(あかいランプのしゅうれっしゃ):
白い夜霧の 灯りに濡れて
別れ切ない プラットホーム
ベルが鳴る ベルが鳴る
さらばと告げて 手を振る君は
赤いランプの 終列車
涙かくして 微笑み合うて
窓に残した 心の温み
あの人は あの人は
何日また逢える 旅路の人か
赤いランプの 終列車
遠い汽笛に うすれる影に
一人佇む プラットホーム
さようなら さようなら
瞼の奥に 哀しく消える
赤いランプの 終列車
赤ちゃんのお耳
:
(あかちゃんおおみみ):
赤ちゃんのお耳は 小さなお耳
ふっくら かわいい かたつむり
右と 左に いっぴきづつよ
おっと ふたぁつ かわいいお耳
赤ちゃんのお耳は きれいなお耳
ほんのり ももいろ さくら貝
ねてて もらって にこにこえくぼ
どんなおゆめを みているでしょう
赤ちゃんのお耳は かわいいお耳
あめざになったら ききましょう
ゆめで 見たこと おはなししてね
ほんと かわいいい ちいさなお耳
赤蜻蛉
:
(あかとんぼ):
夕焼 小焼の
赤とんぼ
負われて見たのは
いつの日か
山の畑の
桑の実を
小籠に摘んだは
まぼろしか
十五で姐やは
嫁に行き
お里のたよりも
絶えはてた
夕焼 小焼の
赤とんぼ
とまっているよ
竿のの先
憧れのハワイ航路
:
(あこがれのハワイこうろ):
晴れた空 そよぐ風
港出船の ドラの音愉し
別れテープを 笑顔で切れば
希望果てない 遙かな潮路
あゝあこがれの ハワイ航路
波の背を バラ色に
染めて真赤な 夕陽が沈む
一人デッキで ウクレレ弾けば
歌もなつかし あのアロハオエ
あゝあこがれの ハワイ航路
常夏の 黄金月
夜のキャビンの 小窓を照らす
夢も通うよ あのホノルルの
椰子の並木路 ホワイトホテル
あゝあこがれの ハワイ航路
あこがれの郵便馬車
:
(あこがれのゆうびんばしゃ):
南の丘を はるばると
郵便馬車が やって来る
うれしい便りを 乗せて
ひずめのひびきも かるく
耳をすませて ごらんなさい
ほらほらほらほら やってくる
郵便馬車は 夢の馬車
レモンの花の 咲く道を
郵便馬車は 日に一度
うれしい便りは 誰に
きみはぼくあなたの 胸に
ひろい牧場の おひるどき
ほらほらほらほら やってくる
郵便馬車は 愛の馬車
峠をこえて はるばると
郵便馬車の みえる頃
うれしい便りは まだか
若者みんなが 待つよ
耳をすまして ごらんなさい
そらそらそらそら やってくる
郵便馬車は 今日もくる
あざみの歌
:
(あざみのうた):
山には山の 愁いあり
海には海の 悲しみや
ましてこころの 花ぞのに
咲きしあざみの 花ならば
高嶺の百合の それよりも
秘めたる夢を ひとすじに
くれない燃ゆる その姿
あざみに深き わが想い
いとしき花よ 汝はあざみ
こころの花よ 汝はあざみ
さだめの径は 涯(は)てなくも
香れよせめて わが胸に
あした
:
(あした):
お母さま
泣かずにねんね いたしましょう
赤いお船で 父さまの
かえるあひたを たのしみに
お母さま
泣かずにねんね いたしましょう
あしたの朝は 浜に出て
かえるお船を 待ちましょう
お母さま
泣かずにねんね いたしましょう
赤いお船の おみやげは
あの父さまの わらい顔
敦盛と忠度
:
(あつもりとただのり):
※ 歌詞・曲共に、「青葉の笛」 と全く同じ。 最終行に「リンクを張っているので、
そちらから参照されたい。
『尋常小学校唱歌』 としては、こちらの歌題で、掲載されているが、
一般に馴染みの深い、それはおそらく、平敦盛の最期が、
『平家物語』が、琵琶法師に依って、語り聞かされて、
凡く、民衆の心に、その、最期の日の前夜に、聞いたであろう、
源平両陣営の武将たちとの、一体感を有するものして、
<青葉の笛>の名が、心打つものとして刻まれたためと推察する。
尚、「青葉の笛」という名の名笛は、熊谷真実 の手からその後、
どう経緯を辿ったか未調査だが、広辞苑(第六版)に依れば、
神戸市須磨寺に納められている、小枝(さえだ)の笛が、それとのこと。
また、第二節、平忠度にかかる段、 「花や今宵」の歌は、
やはり、一の谷で、討たれたとき、その、箙(えびら)に結びつけられていた文に、
「 行き暮れて 木のしたかげを 宿とせば
花や今宵の あるじならまし 忠度 」
と、書かれていたことによる。
→青葉の笛
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あなた
:
(あなた):
もしも私が家を建てたなら
小さな家を建てたでしょう
大きな窓と小さなドアーと
部屋には古い煖炉があるのよ
真赤なバラと白いパンジー
小犬の横にはあなたあなた
あなたがいて欲しい
それが私の夢だったのよ
いとしいあなたは今どこに
ブルーのじゅうたん敷きつめて
楽しく笑って暮らすのよ
家の外では坊やが遊び
坊やの横にはあなたあなた
あなたがいてほしい
それが二人の望みだったのよ
いとしいあなたは今どこに
そして私はレースを編むのよ
私の横には私の横には
あなた あなた あなたが居てほしい
そして私はレースを編むのよ
私の横には私の横には
あなた あなた あなたが居てほしい
あの子はたあれ
:
(あのこはたあれ):
あの子はたあれ たれでしょね
なんなんなつめの 花の下
お人形だんと 遊んでる
かわいい美代ちゃんじゃ ないでしょか
あの子はたあれ たれでしょね
こんこん小やぶの 細道を
竹馬ごっこで 遊んでる
隣の健ちゃんじゃ ないでしょか
あの子はたあれ たれでしょね
とんとん峠の 坂道を
ひとりでてくてく 歩いてる
お寺の小僧さんじゃ ないでしょか
あの子はたあれ たれでしょね
お窓にうつった 影法師
おそとはいつか 日がくれて
お空にお月さんの 笑い顔
あの町この町
:
(あのまちこのまち):
あの町 この町
日が暮れる 日が暮れる
今きた この道
かえりゃんせ かえりゃんせ
お家が だんだん
遠くなる 遠くなる
今きた この道
かえりゃんせ かえりゃんせ
お空に ゆうべの
星が出る 星が出る
今きた この道
かえりゃんせ かえりゃんせ
雨
:
(あめ):
雨がふります 雨がふる
遊びにゆきたし 傘はなし
紅緒の木履(かっこ)も 緒が切れた
雨がふります 雨がふる
いやでもお家で 遊びましょう
千代紙折りましょう たたみましょう
雨がふります 雨がふる
けんけん小雉子が 今啼いた
小雉子も寒かろ 寂しかろ
雨がふります 雨がふる
お人形寝かせど まだ止まぬ
お線香花火も まな焚いた
雨がふります 雨がふる
昼もふるふる 夜もふる
雨がふります 雨がふる
アメフリ
:
(あめふり):
アメアメ フレフレ カアサン ガ
ジャノメ デ オムカイ ウレシイナ
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
カケマショ かばん ヲ カアサンノ
アトカラ ユコユコ カネ ガ ナル
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
アラアラ アノコ ハ ズブヌレダ
ナナギ ノ ネカタ デ ナイテイル
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
カアサン ボクノヲ カシマショカ
キミキミ コノカサ サシタマエ
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
ボクナラ イインダ カアサンノ
オオキナ ジャノメニ ハイッテク
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン
雨降りお月
:
(あめふりおつき):
雨降りお月さん
雲の蔭
お嫁にゆくときゃ
誰とゆく
ひとりで傘(からかさ)
さしてゆく
傘ないときゃ
誰とゆく
シャラ シャラ シャン シャン
鈴つけた
お馬にゆられて
濡れてゆく
いそがにゃお馬よ
夜が明けよう
手綱の下から
ちょいと見たりゃ
お袖でお顔を
隠してる
お袖は濡れても
干しゃ乾く
雨降りお月さん
雲の蔭
お馬にゆられて
濡れてゆく
アラビアの唄
:
(アラビアのうた):
砂漠に陽が落ちて
夜となるころ
恋人よなつかしい
歌を歌おうよ
あのさびしい調べに
今日も涙流そう
恋人よアラビアの
歌を歌おうよ
砂漠に陽が落ちて
夜となるころ
恋人よなつかしい
歌を歌おうよ
あのさびしい調べに
今も涙流れそう
恋人よアラビヤの
歌を歌おうよ
アリラン
:
(アリラン):
アリラン アリラン アラリよ
アリラン峠を 越えゆく
夜空の 星のごと
暮らしにゃうれい 数おおい
アリラン アリラン アラリよ
アリラン峠を 越えゆく
たそがれ どきまで
別れを惜しみつ 過ごそうよ
アリラン アリラン アラリよ
アリラン峠を 越えゆく
今されば いつの日に
その日を 知らずや君
あわて床屋
:
(あわてとこや):
春は 早うから 川辺の葦に
蟹が 店出し 床屋で ござる
チョッキン チョッキン チョッキンナ
小蟹 ぶつぶつ 石鹸(シャボン)を とこし
おやじ 自慢で 鋏を 鳴らす
チョッキン チョッキン チョッキンナ
そこへ 兎が お客で ござる
どうぞ いそいで 髪刈って おくれ
チョッキン チョッキン チョッキンナ
兎ァ 気がせく 蟹ァ あわてるし
早く早くと 客ァ つめこむし
チョッキン チョッキン チョッキンナ
じゃまなお耳は ぴょこぴょこするし
そこであわてて チョンと切り落とす
チョッキン チョッキン チョッキンナ
兎ァ おこるし 蟹ァ 恥ョ かくし
しかた なくなく 穴へと 逃げる
チョッキン チョッキン チョッキンナ
しかた なくなく 穴へと 逃げる
チョッキン チョッキン チョッキンナ
異国の丘
:
(いこくのおか):
今日も暮れゆく異国の丘に
友よつらかろ切なかろ
我慢だ 待ってろ 嵐がすぎりゃ
帰る日も来る 春が来る
今日も暮れゆく異国の丘に
夢も寒かろ冷たかろ
泣いて笑うて 歌って耐えりゃ
望む日が来る 朝が来る
今日も昨日も異国の丘に
おもい雪空 陽が薄い
倒れちゃならない 祖国の土に
たどりつくまで その日まで
いちねんせにになったら
:
(いちねんせいになったら):
いちねんせいになったら
いちねんせいになったら
ともだちひゃくにん できるかな
ひゃくにんで たべたいな
ふじさんのうえで おにぎりを
ぱっくん ぱっくん ぱっくんと
いちねんせいになったら
いちねんせいになったら
ともだちひゃくにん できるかな
ひゃくにんで かけたいな
にっぽんじゅうを ひとまわり
どっしん どっしん どっしんと
いちねんせいになったら
いちねんせいになったら
ともだちひゃくにん できるかな
ひゃくにんで わらいたい
せかいじゅうを ふるわせて
わっはは わっはは わっはっは
五木の子守唄
:
(いつきのこもりうた):
おどま盆ぎり盆ぎり
盆からさきゃおらんど
盆が早よくりゃ早よ戻る
おどま勧進勧進
あんひとたちゃよか衆(し)
よか衆よか帶よか着物(きもん)
おどんが打死(うつちん)だちゅて
誰(だい)が泣(にあ)てくりゅきゃ
裏ん松山蝉が鳴く
蝉じゃごじゃせぬ
妹でごじゃる
妹泣くなよ気にかかる
おどんが打死ちゅうたば
道端いけろ
通る人ごち花あぎゅう
花はなんの花
つんつん椿
水は天から貰い水
いつまでも いつまでも
:
(いつまでも いつまでも):
そよ風が僕にくれた
可愛いこの恋を
いつまでも いつまでも
離したくない いつまでも
花のような君の口もと
やさしくホホ笑んで
僕を見つめてくれた
忘れられない いつまでも
夏の日の虹のように
澄んだ君の瞳
いつまでも いつまでも
想いつづける いつまでも
湖に君と遊んだ
二人だけの想い出
君も好きだと云った
忘れられない あの言葉
木枯が 僕の可愛い
あのこを連れていった
いつまでも いつまでも
後姿を いつまでも
冷たい君のほほに
やさしく口づけした
あふれる僕の涙
つきることなく いつまでも
犬
:
(いぬ):
外へ出る時とんで来て
追っても追っても付いて来る
ポチはほんとにかわいいな
内へ帰ると尾を振って
袂に縋って嬉しがる
ポチはほんとにかわいいな
いぬのおまわりさん
:
(いぬのおまわりさん):
まいごの まいごの こねこちゃん
あなたの おうちは どこですか
おうちを きいても わからない
なまえを きいても わからない
にゃん にゃん にやん にゃーん
にゃん にゃn Nにゃn にゃーん
ないてばかりいる こねこちゃん
いぬのおまわりさん こまってしまって
わん わん わん わーん
わん わん わん わーん
まいごの まいごの こねこちゃん
このこの おうちは どこですか
からすに きいても わからない
すずめに きいても わからない
にゃん にゃん にやん にゃーん
にゃん にゃn Nにゃn にゃーん
ないてばかりいる こねこちゃん
いぬのおまわりさん こまってしまって
わん わん わん わーん
わん わん わん わーん
イムジン河
:
(イミジンがわ):
イムジン河水きよく とうとうと流る
みずどり自由に むらがり飛びかうよ
我が祖国南の地 おもいははるか
イムジン河水きよく とうとうと流る
北の大地から 南の空へ
飛び行く鳥よ 自由の使者よ
誰が祖国を二つに分けてしまったの
誰が祖国を分けてしまったの
イムジン河空遠く 虹よかかっておくれ
河よ思いを伝えておくれ
ふるさとをいつまでも忘れはしない
イムジン河水きよく とうとうと流る
上を向いて歩こう
:
(うえをむいてあるこう):
上を向いて 歩こう
なみだが こぼれないように
思い出す 春の日
ひとりぼっちの 夜
上を向いて 歩こう
にじんだ星を かぞえて
思い出す 夏の日
ひとりぽっちの 夜
幸せは 雲の上に
幸せは 空の上に
上を向いて 歩こう
なみだが こぼれないように
泣きながら 歩く
ひとりぽっちの 夜
思い出す 秋の日
ひとりぽっちの 夜
悲しみは 星のかげに
悲しみは 月のかげに
上を向いて 歩こう
なみだが こぼれないように
泣きながら 歩く
ひとりぽっちの 夜
ひとりぽっちの 夜
うぐいす
:
(うぐいす):
うめの小枝で うぐいすは
春が来たよと うたいます
ほうほう ほけきょ
ほう ほけきょ
雪のお山を きのう出て
里へ来たよと うたいます
ほうほう ほけきょ
ほう ほけきょ
うさぎ
:
(うさぎ):
うさぎ うさぎ
なに見てはねる
十五夜お月さま
見てはねる
うさぎとかめ
:
(うさぎとかめ):
もしもし かめよ かめさんよ
せかいのうちに おまえほど
あゆみの のろい ものはない
どうして そんなに のろいのか
なんと おっしゃる うさぎさん
そんなら おまえと かけくらべ
むこうの 小山の ふもとまで
どちらが さきに かけつくか
どんなに かめが いそいでも
どうせ ばんまで かかるだろう
ここらで ちょっと ひとねむり
グーグーグーグー グーグーグー
これはねすぎた しくじった
ピヨンピヨンピヨンピョン
ピョンピョンピョン
あんまりおそい うさぎさん
さっきのじまんは どうしたの
牛若丸
:
(うしわかまる):
京の五条の橋の上
大のおとこの弁慶は
長い長刀ふりあげて
牛若めがけて切りかかる
牛若丸は飛びのいて
持った扇を投げつけて
来い来い来いと欄干の
上へあがって手を叩く
前やうしろや右左
ここと思えば又あちら
燕のような早業に
鬼の弁慶あやまった
美しき天然
:
(うつくしきてんねん):
空にさえずる鳥の声
峰より落つる滝の音
大波小波(革堂)鞳(とうとう)と
響き絶えせぬ海の音
聞けよ人々面白き
此の天然の音楽を
調べ自在に弾きたもう
神の御手の尊しや
春は桜のあや衣
秋は紅葉の唐錦
夏は涼しき月の絹
冬は真白き雪の綿
見よや人々美しき
この天然の織物を
手際見事に織りたもう
神のたくみの尊しや
うす墨ひける四方の山
くれない匂う横がすみ
海辺はるかにうち続く
青松 白砂の美しさ
見よや人々たぐいなき
この天然のうつしえを
筆も及ばずかきたもう
神の力の尊しや
朝に起こる雲の殿
夕べにかかる虹の橋
晴れたる空を見渡せば
青天井に似たるかな
仰げ人々珍らしき
此の天然の建築を
かく広大にたてたもう
神の御業の尊しや
海
:
(うみ):
白帆の影は浮ぶ
干網浜に高くして
鴎は低く波に飛ぶ
見よ昼の海
見よ昼の海
島山闇に著(しる)きあたり
漁火 光淡し
寄る波岸に緩くして
浦風軽(かろ)く沙(いさご)吹く
見よ夜の海
見よ夜の海
ウミ
:
(うみ):
ウミハ ヒロイナ
大キイナ
ツキガ ノボルシ
日ガ シズム
ウミハ 大ナミ
アオイ ナミ
ユレテ ゴコマデ
ツヅクヤラ
ウミニ オフネヲ
ウカバシテ
イッテ ミタイナ
ヨソノ クニ
浦島太郎
:
(うらしまたろう):
昔昔 浦島は
助けた亀に連れられて
龍宮城へ来てみれば
絵にもかけない美しさ
乙姫様の御馳走に
鯛や比目魚の舞踊
ただ珍しくおもしろく
月日のたつのも夢の中
遊にあきて気がついて
お暇乞もそこそこに
帰る途中の楽しみは
土産に貰った玉手箱
帰って見れば こは如何に
元居た家も村も無く
路に行きあう人々は
顔も知らない者ばかり
心細さに蓋とれば
あけて悔しき玉手箱
中からぱつと白煙
たちまち太郎はお爺さん
うれしいひな祭り
:
(うれしいひなまつり):
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り
お内裏様と おひな様
二人ならんで すまし顔
お嫁にいらした 姉様に
よく似た官女の 白い顏
金のびょうぶに うつる灯を
かすかにゆする 春の風
すこし白酒 めされたか
あかいお顔の 右大臣
着物をきかえて 帶しめて
今日はわたしも はれ姿
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り
栄冠は君に輝く
:
(えいかんはきみにかがやく):
雲は湧き 光あふれて
天高く 純白の球今日ぞ飛ぶ
若人よいざ まなじりは歓呼に応え
いさぎよし ほほえむ希望
ああ 栄冠は君に輝く
風をうち 大地を蹴りて
悔ゆるなき 白熱の力ぞ技ぞ
若人よいざ 一球に一打に懸けて
青春の 讃歌を綴れ
ああ 栄冠は君に輝く
空をきる 球のいのちに
通うもの 美しく匂える健康
若人よいざ 緑濃きしゅろの葉かざす
感激を まぶたに描け
ああ 栄冠は君に輝く
越後獅子の唄
:
(えちごじしのうた):
笛にうかれて 逆立ちすれば
山が見えます ふるさとの
わたしゃ孤児 街道ぐらし
ながれながれの 越後獅子
今日も今日とて 親方さんに
芸がまずいと 叱られて
撥でぶたれて 空見上げれば
泣いているよな 昼の月
うつや太鼓の 音さえ悲し
雁が啼く啼く 城下町
暮れて恋しい 宿屋の灯
遠く眺めて ひと踊り
ところ変われど 変わらぬものは
人の情けと 袖時雨
ぬれて涙で おさらばさらば
花に消えゆく 旅の獅子
愛媛大学学歌
:
(えひめだいがくがっか):
伊予の高嶺の 尾根にそひ
立てる群山に 花咲きつぎ
雲とざすとも 雲分けて
求めむ高き 遠きもの其を
瀬戸の内海の 磯つなぎ
ならぶ砂浜に 鳥飛びかひ
波あらぶとも 波越えて
極めむ深き 博きこと其を
二名愛媛の 名をしたひ
つどふ友たちよ 空晴れたり
いざあらた代の 図(ふみ)負ひて
明るき道を ただに進まむ
愛媛大学御幸寮寮歌
:
(えひめだいがくみゆきりょうりょうか):
南の国橄攬の
花咲く里や我が五寮
今寛ぎの団欒して
若き命を高誦せよ
城山の緑降りそそぎ
此処熟田津の野に萌ゆる
結ぶや固き友垣に
人去りむこふ幾星霜
漁火淡き夏の宵
瀬戸の汀を彷徨つ
懐郷の歌口ずさみ
互いに友と語りなむ
えんぴつが一本
:
(えんぴつが一ぽん):
えんぴつが一本 えんぴつが一本
ぼくのポケットに えんぴつが一本
えんぴつが一本 ぼくの心に
青い空を書くときも
真っ赤な夕焼け 書くときも
黒いあたまの
とんがった えんぴつが一本だけ
えんぴつが一本 えんぴつが一本
きみのポケットに えんぴつが一本
えんぴつが一本 きみの心に
赤と黒の戦争も
たゞ灰色のむなしさも
黒いあたまの
まるまった えんぴつが一本だけ
えんぴつが一本 えんぴつが一本
ぼくのポケットに えんぴつが一本
えんぴつが一本 ぼくの心に
小川の水の行く末も
風と 木の葉の さゝやきも
黒いあたまの
ちびた えんぴつが一本だけ
えんぴつが一本 えんぴつが一本
きみのポケットに えんぴつが一本
えんぴつが一本 きみの心に
夏の海辺の約束も
も一度会えない 淋しさも
黒いあたまの
悲しい えんぴつが一本だけ
おうち忘れて
:
(おうちわすれて):
おうち忘れた 子ひばりは
広い畑の 麦の中
かあさんたずねて ないたけど
風に穂麦が 鳴るばかり
おうち忘れた まよいごの
ひばりはひとり 麦の中
お山のきつねは なかぬけど
暮れてさみしい 月あかり
オウマ
:
(おうま):
オウマノ オヤコハ
ナカヨシ コヨシ
イツデモ イッショニ
ポックリ ポックリ
アルク
オウマノ カァサン
ヤサシイ カァサン
コウマヲ 見ナガラ
ポックリ ポックリ
アルク
おおえやま
:
(おおえやま):
むかしたんばの おおえやま
おにどもおおく こもりいて
みやこにでては 人をくい
かねやたからを ぬすみゆく
げんじのたいしょう らいこうは
ときのみかどの みことのり
おうけもうして おにたいじ
いきおいよくも でかけたり
けらいは なだかき 四天王
山ぶしすがたに みをやつし
けわしき山や ふかき谷
みちなきみちを きりひらき
おおえの山に きてみれば
しゅてんどうじが かしらにて
あおおに あかおに あつまって
まえよ うたえの 大さわぎ
かねてよういの どくのさけ
すすめておにを よいつぶし
おいのなかより とりいだす
よろいかぶとに みをかため
おどろきまどう おにどもを
ひとり のこさず ころころし
しゅてんどうじの くびをとり
めでたくみやこに かえりけり
大きな古時計
:
(おおきなふるどけい):
大きなのっぽの 古時計
おじいさんの 時計
百年いつも うごいていた
ごじまんの 時計さ
おじいさんの 生まれた朝に
買ってきた 時計さ
今はもう 動かないその時計
百年 やすまずに
チク タク チク タク
おじいさんと いっしょに
チク タク チク タク
今はもう 動かないその時計
なんでも知ってる 古時計
おじいさんの 時計
きれいな花嫁 やって来た
その日も 動いていた
嬉しいことも 悲しいことも
みんな知ってる 時計さ
今はもう 動かないその時計
百年 やすまずに
チク タク チク タク
おじいさんと いっしょに
チク タク チク タク
今はもう 動かないその時計
真夜中に ベルがなった
おじいさんの 時計
お別れのときが きたのを
みんなに おしえたのさ
天国へのぼる おじいさん
時計とも おわかれ
今はもう 動かないその時計
百年 やすまずに
チク タク チク タク
おじいさんと いっしょに
チク タク チク タク
今はもう 動かないその時計
おかあさん
:
(おかあさん):
おかあさん
なあに
おかあさんて いいにおい
せんたくしていた においでしょ
しゃぽんのあわの においでしょ
あかあさん
なあに
おかあさんて いいにおい
おりょうりしていた においでしょ
たまごやきの においでしょ
丘を越えて
:
(おかをこえて):
丘を越えて 行こうよ
真澄の空は朗らかに
晴れてたのしいこころ
鳴るは胸の血潮よ
讃えよ わが青春を
いざゆけ 遙か希望の丘を越えて
丘を越えて 行こうよ
小春の空は麗らかに
澄みて嬉しいこころ
湧くは胸の泉よ
讃えよ わが青春を
いざ聞け 遙か希望の鐘は鳴るよ
贈る言葉
:
(おくることば):
暮れなずむ町の 光と影の中
去りゆくあなたへ 贈る言葉
悲しみこらえて 微笑むよりも
涙涸れるまで 泣くほうがいい
人は悲しみが 多いほど
人には優しく できるのだから
さよならだけでは さびしすぎるから
愛するあなたへ 贈る言葉
夕暮れの風に 途切れたけれど
終わりまで聞いて 贈る言葉
信じられぬと 嘆くよりも
人を信じて 傷つくほうがいい
求めないで 優しさなんか
臆病者の 言いわけだから
はじめて愛した あなたのために
飾りもつけずに 贈る言葉
これから始まる 暮らしの中で
だれかがあなたを 愛する愛するでしょう
だけど 私ほど あなたのことを
深く愛した やつはいない
遠ざかる影が人混みに消えた
もうとどかない 贈る言葉
もうとどかない 贈る言葉
おさななじみ
:
(おさななじみ):
おさななじみの 想い出は
青いレモンの 味がする
閉じる瞼の そのうらに
おさない姿の 君とぼく
お手々つないで 幼稚園
つみき ぶらんこ 紙芝居
胸にさがった ハンカチの
君の名前が 読めたっけ
小学校の 運動会
君は一等 ぼくはびり
泣きたい気持ちで ゴール・イン
そのまま家まで かけたっけ
にきびの中に 顔がある
毎朝鏡とにらめっこ
セーラー服が よくにあう
君が他人に 見えたっけ
出すあてなしのラブレター
書いて何度も読みかえし
あなたのイニシアル何となく
書いてやぶいて捨てたっけ
学校出てから久しぶり
ばったり逢った二人とも
アベック同士のすれちがい
眠れなかった夜だっけ
あくる日あなたに電話して
食事をしたいと言った時
急に感じたむなさわぎ
心の霧が晴れたっけ
その日のうちのプロポーズ
その夜のうちの口づけは
幼ななじみのしあわせに
かおるレモンの味だっけ
あれから二年目僕たちは
若い陽気なパパとママ
それから四年目幼な子は
お手々つないで幼稚園
おさななじみの 想い出は
青いレモンの 味がする
愛の印の幼な子は
遠い昔の君と僕
お猿のかごや
:
(おさるのかごや):
エッサ エッサ エッサホイ サッサ
お猿のかごやだ ホイサッサ
日暮れの山道 細い道
小田原提灯ぶらさげて
ソレ
ヤットコ ドッコイ ホイサッサ
ホーイ ホイホイ ホイサッサ
エッサ エッサ エッサホイ サッサ
木の葉のわらじで ホイサッサ
お客はおしゃれの こん狐
つんとすまして 乗っている
ソレ
ヤットコ ドッコイ ホイサッサ
ホーイ ホイホイ ホイサッサ
エッサ エッサ エッサホイ サッサ
元気なかごやだ ホイサッサ
すべっちゃいけない 丸木橋
そらそら小石だ つまづくな
ソレ
ヤットコ ドッコイ ホイサッサ
ホーイ ホイホイ ホイサッサ
エッサ エッサ エッサホイ サッサ
のぼって くだって ホイサッサ
ちらちらあかりは 見えるけど
向こうのお山は まだ遠い
ソレ
ヤットコ ドッコイ ホイサッサ
ホーイ ホイホイ ホイサッサ
お正月
:
(おしょうがつ):
もういくつねると お正月
お正月には 凧あげて
こまをまわして 遊びましょう
はやく来い来い お正月
もういくつねると お正月
お正月には まりついて
おいばねついて 遊びましょう
はやく来い来い お正月
男の酒
:
(おとこのさけ):
※ 当サイトの、コンテンツ=「ご記帳台」(BBS)において、Masaki@ 様より、
歌題は、「一献歌」であること及び、作詞者、作曲者 もご教示頂きましたので、
「一献歌」の欄に掲載を移しました。 そちらをご覧下さい。
Masaki@ 様への、感謝と共に・・・・・。
→一献歌
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朧月夜
:
(おぼろづきよ):
菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて 匂い淡し
里わの火影も 森の色も
田中の小路を たどる人も
蛙の鳴くねも かねの音も
さながら霞める 朧月夜
おもいでのアルバム
:
(おもいでのあるばむ):
いつのことだか
思い出してごらん
あんなこと こんなこと
あったでしょう
うれしかったこと おもしろかったこと
いつになっても 忘れない
春のこと(春のころ)です
思い出してごらん
あんなこと こんなこと
あったでしょう
ぽかぽかお庭で 仲良く遊んだ
きれいな花も 咲いていた
夏のこと(夏のころ)です
思い出してごらん
あんなこと こんなこと
あったでしょう
麦わらぼうしで みんなはだかん坊
お舟もみたよ 砂山も
秋のこと(秋のころ)です
思い出してごらん
あんなこと こんなこと
あったでしょう
どんぐり山の ハイキング ラララ
赤い葉っぱも とんでいた
冬のこと(冬のころ)です
思い出してごらん
あんなこと こんなこと
あったでしょう
もみの木かざって メリークリスマス
サンタのおじいさん(おじさん) 笑ってた
冬のこと(冬のころ)です
思い出してごらん
あんなこと こんなこと
あったでしょう
寒い冬の日 あったかいへやで
楽しい話 聞きました
一年じゅうを
思い出してごらん
あんなこと こんなこと
あったでしょう
桃のお花も きれいに咲いて
もうすぐ みんなは一年生
おもちゃのチャチャチャ
:
(おもちゃのチャチャチャ):
おもちゃの チャチャチャ
おもちゃの チャチャチャ
チャチャチャ
おもちゃの チャチャチャ
そらにキラキラ おほしさま
みんなスヤスヤ ねむるころ
おもちゃは はこを とびだして
おどる おもちゃの チャチャチャ
なまりの へいたい トテチテタ
ラッパならして こんばんは
フランス人形 すてきでしょう
花の ドレスで チャチャチャ
きょうはおもちゃの おまつりだ
みんなたのしく うたいましょう
こひつじメメ こねこはニャー
こぶたブースカ チャチャチャ
そらに さよなら おほしさま
まどに おひさま こんにちは
おもちゃは かえる おもちゃばこ
そして ねむるよ チャチャチャ
おもちゃの チャチャチャ
おもちゃの チャチャチャ
チャチャチャ
おもちゃの チャチャチャ
お山のお猿
:
(おやまのおさる):
お山のお猿は 鞠がすき
とんとん鞠つきゃ 踊りだす
ほんにお猿は どうけもの
赤い衣(べべ)着て 傘さして
おしゃれ猿さん 鞠つけば
お山の月が 笑うだろ
お山の杉の子
:
(おやまのすぎのこ):
昔々の その昔 椎の木林の すぐそばに
小さなお山が あったとさ あったとさ
丸々坊主の 禿山は いつでもみんなの 笑いもの
「これこれ杉の子 起きなさい」
お日さま にこにこ 声かけた 声かけた
一 二 三 四 五 六 七(ひいふうみいよういいむうなあ) 八日 九日 十日たち
にょっきり芽が出る 山の上 山の上
小さな杉の子顔出して 「はいはいお陽さま 今日は」
これを眺めた椎の木は
あっははのあっははと 大笑い 大笑い
「こんなチビ助 何になる」 びっくり仰天 杉の子は
思わずお首を ひっこめた ひっこめた
ひっこめながらも 考えた 「何の負けるか今に見ろ」
大きくなって 国のため
お役に立ってみせまする みせまする
ラジオ体操一二三 子供は元気にのびてゆく
昔々の禿山は 禿山は
今では立派な杉山だ 誉れの家の子のように
強く 大きく 逞しく
椎の木見下ろす大杉だ 大杉だ
大きな杉は何になる 兵隊さんを運ぶ船
傷痍の勇士の寝るお家 寝るお家
本箱 お机 下駄 足駄 おいしいお弁当たべる箸
鉛筆 筆入れ そのほかに
たのしやまだまだ役に立つ 役の立つ
さあさ負けるな杉の木に 勇士の遺児なら なお強い
体を鍛え 頑張って 頑張って
今に立派な兵隊さん 忠義孝行ひとすじに
お日さま 出る国 神の国
この日本を護りましょう 護りましょう
(戦後、三節以降を、GHQにより発売中止命令をサトウハチロー により改作により発表)
「こんなチビ助 何になる」 びっくり仰天 杉の子は
思わずお首を ひっこめた ひっこめた
ひっこめながらも 考えた 「何の負けるか今に見ろ」
大きくなって 皆のため
お役に立ってみせまする みせまする
ラジオ体操ほがらかに 子供は元気にのびていく
昔々の禿山は 禿げ山は
今では立派な杉山だ 誰でも感心するような
強く 大きく 逞しく
椎の木見下ろす 大杉だ 大杉だ
大きな杉は何になる お舟の帆柱 梯子段
とんとん大工さん たてる家 たてる家
本箱 お机 下駄 足駄 おいしいお弁当たべる箸
鉛筆 筆入れ そのほかに
たのしやまだまだ役に立つ 役に立つ
さあさ負けるな杉の木に すくすくのびろよ みなのびろ
スポーツわすれず 頑張って 頑張って
すべてに立派な人となり 正しい生活ひとすじに
明るい 楽しい このお国
わが日本をつくりましょう つくりましょう
婦系図の歌
:
(おんなけいずのうた):
(女) 湯島通れば 思い出す
お蔦主税の 心意気
知るや白梅 玉垣に
のこる二人の 影法師
(男) 忘れられよか 筒井筒
岸の柳の 縁結び
かたい契りを 義理ゆえに
水に流すも 江戸育ち
(男女) 青い瓦斯燈 境内を
出れば本郷 切り通し
あかぬ別れの 中空に
鏡は墨絵の 上野山
か |
母さん訪ねて
:
(かあさんたづねて):
まいごのまいごの こすずめは
おせどのやぶで
かあさんたずねて よんだけど
さらさらつめたい
かぜばかり かぜばかり
まいごのまいごの こすずめは
お寺の屋根で
かあさんどこよよと きたけど
ぼくぼくもくぎょの
音ばかり 音ばかり
まいごのまいごの こすずめは
お山のかげで
かあさんさがして 泣いたけど
きらきら夕日の
かげばかり かげばかり
かあさんの歌
:
(かあさんのうた):
かあさんは夜なべをして
手ぶくろ編んでくれた
”木枯し吹いちゃ 冷たかろうて
せっせと編んだだよ”
ふるさとの便りは届く
いろりに匂いがした
かあさんは麻糸つむぐ
一日つむぐ
”おとうは土間で 藁うち仕事
お前もがんばれよ”
ふるさとの冬はさみしい
せめてラジオ聞かせたい
かあさんのあかぎれ痛い
生味噌をすりこむ
”根雪もとけりゃ もうすぐ春だで
畑が待ってるよ”
小川のせせらぎが聞こえる
懐かしさがしみとおる
帰ってきたヨッパライ
:
(かえってきたよっぱらい):
おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ
天国に行っただ
長い階段を 雲の階段を
おらは登っただ ふらふらと
おらはよたよたと 登り続けただ
やっと天国の門についただ
天国よいとこ一度はおいで
酒はうまいし
ねちゃんはきれいだ
ワーワーワッワー
おらが死んだのは
酔っぱらい運転で
おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ
天国にいっただ
だけど天国にゃ こわい神様が
酒をとり上げていつもどなるんだ
(台詞)
「なあおまえ 天国ちゅうとこは
そんなに甘いもんやおまへんや
もっとまじめにやれ」
天国よいとこ一度はおいで
酒はうまいし
ねちゃんはきれいだ
ワーワーワッワー
毎日酒をおらは飲みつづけ
神様のことをおらは忘れただ
(台詞)
「なあおまえ、
まだそんなことばかりやってんのでっか
ほなら出てゆけ」
そんなわけで おらは追い出され
雲の階段を 降りて行っただ
長い階段をおらは降りただ
ちょっとふみはずして
おらの目がさめた 畑のど真ん中
おらは生きかえっただ
おらは生きかえっただ
かえり船
:
(かえりぶね):
波の背の背に 揺られて揺れて
月の潮路の かえり船
霞む祖国よ 小島の沖じゃ
夢もわびしく よみがえる
捨てた未練が 未練となって
今も昔も せつなさよ
瞼合わせりゃ 瞼にしみる
霧の波止場の 銅鑼の音
熱い涙も 故国に着けば
うれし涙と 変るだろ
鴎ゆくなら 男のこころ
せめてあの娘に つたえてよ
蛙の笛
:
(かえるのふえ):
月夜のたんぼで コロロ コロロ
コロロ コロコロ なる笛は
あれはね あれはね
あれは蛙の 銀の笛
ささ 銀の笛
あの笛聞いてりゃ コロロ コロロ
コロロ コロコロ 眠くなる
あれはね あれはね
あれは蛙の 子守歌
ささ 子守歌
蛙が笛吹きや コロロ コロロ
コロロ コロロ 夜がふける
ごらんよ ごらんよ
ごらんお月さんも 夢見てる
ささ 夢みてる
案山子
:
(かかし):
山田の中の一本足の案山子
天気のよいのに蓑笠着けて
朝から晩までただ立ち通し
歩けないのか山田の案山子
山田の中の一本足の案山子
弓矢で威して力んでおれど
山では烏が かあかあと笑う
耳がないのか山田の案山子
学生時代
:
(がくせいじだい):
蔦のからまるチャペルで 祈りを捧げた日
夢多かりしあの頃の 想い出をたどれば
懐かしい友の顔が 一人一人うかぶ
重いカバンを抱えて かよったあの道
秋の日の図書館の ノートとインクのにおい
枯れ葉の散る窓辺 学生時代
讃美歌を歌いながら 清い死を夢みた
何んの よそいおいもせずに
口数も少なく 胸の中に秘めていた
恋への憧れは いつもはかなくやぶれて
一人書いた日記 本棚に目をやれば
あの頃 読んだ小説
過ぎし日よ 私の学生時代
ロウソクの灯に輝く 十字架をみつめて
白い指をくみながら うつむいていた友
その美しい横顔 姉のように慕い
いつまでもかわらずにと
願ったしあわせ
テニスコート キャンプファイアー
なつかしい日々は帰らず
すばらしいあの頃 学生時代
すばらしいあの頃 学生時代
影を慕いて
:
(かげをしたいて):
まぼろしの 影を慕いて雨に日に
月にやるせぬ 我が想い
つつめば燃ゆる 胸の火に
身は焦がれつつ しのび泣く
わびしさよ せめて痛みの慰めに
ギターをとりて 爪弾けば
どこまで時雨 ゆく秋ぞ
振音(トレモロ)さびし 身は悲し
君ゆえに 永き人生(ひとよ)を霜枯れて
永遠に春見ぬ 我がさだめ
永ろうべきか 空蝉の
儚き影よ 我が恋よ
かごめ かごめ
:
(かごめ かごめ):
かごめ かごめ
かごの中の鳥は
いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀がすべった
うしろの正面だァれ
カスバの女
:
(カスバのおんな):
涙じゃないのよ 浮気な雨に
ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ
こゝは地の果て アルジェリヤ
どうせカスバの 夜に咲く
酒場の女の うす情け
唄ってあげましょ わたしでよけりゃ
セーヌのたそがれ 瞼の都
花はマロニエ シャンゼリゼ
赤い風車の 踊り子の
今更かえらぬ 身の上を
あなたもわしも 買われた命
恋してみたとて 一夜の花火
明日はチェニスか モロッコか
泣いて手をふる うしろ影
外人部隊の 白い服
霞か雲か
:
(かすみかくもか):
かすみかくもか はたゆきか
とばかりにおう その花ざかり
ももとりさえも うたうなり
かすみははなを へだつれど
へだてぬ友と きてみるばかり
うれしきことは 世にもなし
かすみてそれと 見えねども
なく鶯に さそわれつつも
いつしか来ぬる はなのかげ
風
:
(かぜ):
人は誰も ただ一人旅に出て
人はだれも ふるさとを振りかえる
ちょっぴりさびしくて 振りかえっても
そこにはただ風が 吹いているだけ
人は誰も 人生につまづいて
人は誰も 夢破れ 振りかえる
プラタナスの 落葉舞う冬の道で
プラタナスの 散る音に振りかえる
帰っておいでよと 振りかえっても
そこにはただ風が 吹いているだけ
人は誰も 恋をした切なさに
人は誰も 耐え切れず振りかえる
何かをもとめて 振りかえっても
そこにはただ 風が吹いているだけ
振りかえらず ただ一人 一歩ずつ
振りかえらず 泣かないで歩くんだ
肩たたき
:
(かたたき):
母さん お肩をたたきましょう
タントン タントン タントントン
母さん 白髪がありますね
タントン タントン タントントン
お縁側には日がいっぱい
タントン タントン タントントン
真っ赤な罌粟(けし)が笑ってる
タントン タントン タントントン
母さん そんなにいい気持ち
タントン タントン タントントン
かたつむり
:
(かたつむり):
でんでん虫々 かつむり
お前のあたまは どこにある
角だせ槍だせ あたまだせ
でんでん虫々 かつむり
おまえのめだまは どこにある
角だせ槍だせ めだまだせ
カチューシャ
:
(カチューシャ):
りんごの花ほころび 川面にかすみたち
君なき里にも 春は しのびよりぬ
君なき里にも 春は しのびよりぬ
岸辺に立ちてうたう カチューシャの歌
春風やさしく吹き 夢が湧くみ空よ
春風やさしく吹き 夢が湧くみ空よ
カチューシャの歌声 はるかに丘を越え
今なお君をたずねて やさしその歌声
今なお君をたずねて やさしその歌声
今なお君をたずねて やさしその歌声
カチューシャの唄
:
(カチューシャのうた):
カチューシャ かわいや 別れの辛さ
せめて淡雪溶けぬ間に
~に願いを ララ かけましょか
カチューシャ かわいや 別れの辛さ
今宵ひと夜にふる雪の
明日は野山の ララ 路かくせ
カチューシャ かわいや 別れの辛さ
せめてまた遭う それまでは
おなじ姿で ララ いてたもれ
カチューシャ かわいや 別れの辛さ
広い野原を とぼとぼと
独り出て行く ララ 明日の旅
悲しい酒
:
(かなしいさけ):
ひとり酒場で 飲む酒は
別れ涙の 味がする
飲んで棄てたい 面影が
飲めばグラスに また浮かぶ
(語り)
ああ 別れたあとの心残りよ
未練なのね
あの人の面影
淋しさを忘れるために
飲んでいるのに
酒は今夜も私を悲しくさせる
酒よどうして どうして
あの人を
あきらめたらいいの
あきらめたらいいの
酒よこころが あるならば
胸の悩みを 消してくれ
酔えば悲しく なる酒を
飲んで泣くのも 恋のため
一人ぼっちが 好きだよと
言った心の 裏で泣く
好きで添えない 人の世を
泣いて怨んで 夜が更ける
悲しき口笛
:
(かなしきくちぶえ):
丘のホテルの 赤い灯も
胸のあかりも 消えるころ
みなと小雨が 降るように
ふしも悲しい 口笛が
恋の街角 露地の細道
ながれ行く
いつかまた逢う 指切りで
笑いながらに 別れたが
白い小指の いとしさが
わすれられないさびしさを
歌に歌って 祈るこころの
いじらしさ
夜のグラスの 酒よりも
もゆる紅色 色さえた
恋の花ゆえ 口づけて
君に捧げた 薔薇の花
ドラの響きに ゆれて悲しや
夢と散る
悲しくてやりきれない
:
(かなしくてやりきれない):
胸にしみる 空のかがやき
今日も遠くながめ 涙をながす
悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
このやるせないモヤモヤを
だれかに 告げようか
白い雲は 流れ流れて
今日も夢はもつれ わびしくゆれる
悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
この限りないむなしさの
救いは ないだろうか
深い森の みどりにだかれ
今日も風の唄に しみじみ嘆く
悲しくて 悲しくて
とてもやりきれない
このもえたぎる苦しさは
あしたも つづくのか
かなりや
:
(かなりや):
唄を忘れた金糸雀は 後の山に棄てましょか
いえ いえ それはなりませぬ
唄を忘れた金糸雀は 背戸の小薮に埋けましょか
いえ いえ それはなりませぬ
唄を忘れた金糸雀は 柳の鞭でぶちましょか
いえ いえ それはかわいそう
唄を忘れた金糸雀は
象牙の船に 銀の櫂
月夜の海に浮べれば
忘れた唄をおもいだす
鎌倉
:
(かまくら):
七里ヶ浜のいそ伝い
稲村崎 名将の
剣投ぜし古戦場
極楽寺坂越え行かば
長谷観音の堂近く
露坐の大仏おわします
由比の浜辺を右に見て
雪の下道過行けば
八幡宮の御社
上るや石のきざはしの
左に高き大いちょう
問わばや 遠き世々の跡
若宮堂の舞の袖
しずのおだまきくりかえし
かえしし人をしのびつつ
鎌倉宮にもうでては
尽きせぬ親王(みこ)のみうらみに
悲憤の涙わきぬべし
歴史は長し七百年
興亡すべて夢に似て
英雄墓はこけむしぬ
建長・円覚古寺の
山門高き松風に
昔の音やこもるらん
かもめの水兵さん
:
(かもめのすいへいさん):
かもめの水兵さん
なたんだ水兵さん
白い帽子 白いシャツ 白い服
波に チャップ チャップ うかんでる
かもめの水兵さん
かけあし水兵さん
白い帽子 白いシャツ 白い服
波を チャップ チャップ 越えてゆく
かもめの水兵さん
ずぶぬれ水兵さん
白い帽子 白いシャツ 白い服
波で チャップ チャップ おせんたく
かもめの水兵さん
なかよし水兵さん
白い帽子 白いシャツ 白い服
波に チャップ チャップ 揺れている
からすの赤ちゃん
:
(からうのあかちゃん):
からすの赤ちゃん なぜなくの
こけこっこの おばさんに
あかいお帽子 ほしいよ
あかいお靴も ほしいよ と
かあかあ なくのね
めえめえ山羊さん なぜなくの
お里の 母さんに
おねむに なったのよ
おまいおぱい ちょうだいね と
めえめえ なくのね
迷子の鳩さん なぜなくの
みみずく おじさんに
夜路は こわいよ
ほおずきちょうちん かしとくれ と
ほろほろ なくのね
狐の赤ちゃん なぜなくの
三日月 おばさんに
木の葉でかんざし 買っとくれ
小石で花ぐし 買っとくれ と
こんこん なくのね
からたちの花
:
(からたちのはな):
からたちの花が咲いたよ
白い 白い 花が咲いたよ
からたちのとげはいたいよ
青い 青い 針のとげだよ
からたちは畑の垣根よ
いつも いつも とおる道だよ
からたちも秋はみのるよ
まろい まろい 金のたまだよ
からたちのそばで泣いたよ
みんな みんな やさしかったよ
からたちの花が 咲いたよ
白い 白い 花が咲いたよ
かわいいかくれんぼ
:
(かわいいかくれんぼ):
ひよこがね
お庭でぴょこぴょこ かくれんぼ
どんなにじょうずに かくれても
黄色いあんよが 見えてるよ
だんだんだァれが めっかった
すずめがね
お屋根でちゅんちゅん かくれんぼ
どんなにじょうずに かくれても
茶色の帽子が 見えてるよ
だんだんだァれが めっかった
こいぬがね
野原でよちよち かくれんぼ
どんなにじょうずに かくれても
かわいいしっぽが 見えてるよ
だんだんだァれが めっかった
川の流れのように
:
(かわのながれのように):
知らず知らず 歩いて来た
細く長い この道
振り返れば 遙か遠く
故郷が見える
でこぼこ道や
曲がりくねった道
地図さえない
それもまた 人生
ああ 川の流れのように
ゆるやかに
いくつも 時代は過ぎて
ああ 川の流れのように
とどめなく
空が黄昏に 染まるだけ
生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて
夢探しながら
雨に降られて
ぬかるんだ道でも
いつかは また
晴れる日が来るから
ああ 川の流れのように
移りゆく
季節 雪どけを待ちながら
ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
いつまでも
青いせせらぎを 聞きながら
神田川
:
(かんだがわ):
あなたはもう忘れたかしら
赤い手拭い マフラーにして
二人で行った 横丁の風呂屋
一緒に出ようねって 言ったのに
いつもわたしが待たされた
洗い髪がしんまで冷えて
小さな石鹸 カタカタ鳴った
あなたはわたしの体を抱いて
冷たいねって 言ったのよ
若かったあの頃
何もこわくなかった
ただあなたのやさしさが こわっかった
あなたはもう忘れたかしら
24色のクレパス買って
あなたが描いた わたしの似顔絵
うまく描いてねって 言ったのに
いつもちっとも 似てないの
窓の下には神田川
三畳一間の小さな下宿
あなたはわたしの指先みつめ
悲しいかいって 聞いたのよ
若かったあの頃
何もこわくなかった
ただあなたのやさしさが こわかった
勘太郎月夜唄
:
(かんたろうづきようた):
影か柳か 勘太郎さんか
伊那は七谷 糸ひく煙り
棄てて別れた 故郷の月に
しのぶ今宵の ほととぎす
形はやくざに やつれていても
月よ見てくれ 心の錦
生れ変わって 天竜の水に
うつす男の 晴れ姿
菊は栄える 葵は枯れる
桑を摘む頃 逢おうじゃないか
霧に消えゆく 一本刀
泣いて見送る 紅つつじ
岸壁の母
:
(がんぺきのはは):
母は来ました 今日も来た
この岸壁に 今日も来た
とどかぬ願いと 知りながら
もしやもしやに もしやもしやに
ひかされて
呼んで下さい おがみます
あゝ おッ母さん よく来たと
海山千里と 云うけれど
なんで遠かろ なんで遠かろ
母と子に
彼岸十年 この祈り
神様だけが 知っている
流れる雲より 風よりも
つらいさだめの つらいさだめの
杖ひとつ
祗園小唄
:
(ぎおんこうた):
月はおぼろに 東山
霞む夜ごとの かがり火に
夢もいざよう 紅ざくら
しのぶ思いを 振り袖に
祗園恋しや だらりの帯よ
夏は川原の 夕涼み
白い襟あし ぼんぼりに
かくす涙の口紅も
燃えて身を焼く 大文字
祗園恋しや だらりの帯よ
鴨の川原に 水やせて
むせぶ瀬音に 鐘の声
枯れた柳に 秋風が
泣くよ今宵も 夜もすがら
祗園恋しや だらりの帯よ
雪はしとしと まる窓に
つもる逢ふせの さしむかひ
灯影つめたく 小夜ふけて
もやひ枕に 川千鳥
祗園恋しや だらりの帯よ
紀元節
:
(きげんせつ):
雲にそびゆる 高千穂の
高根おろしに 草も木も
なびきふしけん 大御世を
仰ぐ今日こそ 楽しけれ
海原なせる 植安の
池の面より なおひろき
恵の波に 浴みし世を
仰ぐ今日こそ 楽しけれ
天津日嗣の 高みくら
千代万世に 動ぎなき
もとい定めし そのかみを
仰ぐ今日こそ 楽しけれ
空に輝く 日の本の
万の国に たぐいなき
国のみはしら たてし世を
仰ぐ今日こそ 楽しけれ
汽車
:
(きしゃ):
今は山中 今は浜
今は鉄橋 渡るぞと
思う間もなく トンネルの
闇を通って 広野原
遠くに見える 村の屋根
近くに見える 町の軒
森や林や 田や畑
後へ後へと 飛んで行く
廻り灯籠の 画の様に
変わる景色の おもしろさ
見とれてそれと 知らぬ間に
早くも過ぎる 幾十里
汽車ぽっぽ
:
(きしゃぽっぽ):
お山の中行く 汽車ぽっぽ
ぽっぽ ぽっぽ 黒い煙(けむ)を出し
しゅしゅしゅしゅ 白いゆげふいて
機関車と機関車が 前引き 後押し
何だ坂 こんな坂
何だ坂 こんな坂
とんねる鉄橋 ぽっぽ ぽっぽ
とんねる鉄橋 しゅしゅしゅしゅ
とんねる鉄橋 とんねる鉄橋
とんねる とんねる
とん とん とんと のぼり行く
汽車ポッポ
:
(きしゃポッポ):
汽車 汽車 ポッポ ポッポ
シュッポ シュッポ シュッポッポ
僕等をのせて
シュッポ シュッポ シュッポッポ
スピード スピード 窓の外
畑も とぶ とぶ 家もとぶ
走れ 走れ 走れ
鉄橋だ 鉄橋だ たのしいな
汽車 汽車 ポッポ ポッポ
シュッポ シュッポ シュッポッポ
汽笛をならし
シュッポ シュッポ シュッポッポ
ゆかいだ ゆかいだ いいながめ
野原だ 林だ ほら 山だ
走れ 走れ 走れ
トンネルだ トンネルだ うれしいな
汽車 汽車 ポッポ ポッポ
シュッポ シュッポ シュッポッポ
煙をはいて
シュッポ シュッポ シュッポッポ
行こうよ 行こうよ どこまでも
あかるい 希望が まっている
走れ 走れ 走れ
がんばって がんばって 走れよ
北上夜曲
:
(きたかみやきょく):
においやさしい 白百合の
濡れているよな あのひとみ
想い出すのは 想い出すのは
北上河原の 月の夜
宵のあかりを ともすころ
こころほのかな 初恋を
想い出すのは 想い出すのは
北上河原の せせらぎよ
雪のちらちら 降る宵に
君は楽しい 天国へ
想い出すのは 想い出すのは
北上河原の 雪の夜
希望
:
(きぼう):
希望という名の あなたをたずねて
遠い国へと また汽車に乗る
あなたは昔の 私の思い出
ふるさとの夢 はじめての恋
けれど私が 大人になった日
だまってどこかへ 立ち去ったあなた
いつかあなたに また会うまでは
私旅は 終わりのない旅
希望という名の あなたをたずねて
今日もあてなく また汽車に乗る
あれから私は ただ一人きり
あしたはどんな 町につくやら
あなたの噂も 時おり聞くけど
見知らぬ誰かに すれちがうだけ
いつもあなたの 名を呼びながら
私の旅は 返事のない旅
希望という名の あなたをたずねて
涙ぐみつつ また汽車に乗る
なぜ今私は 生きているのか
その時歌が ひくく聞こえる
なつかしい歌が あなたのあの歌
希望という名の マーチが響く
そうさあなたに また会うため
私の旅は 今また始まる
君恋し
:
(きみこいし):
宵闇せまれば 悩みは涯なし
みだれる心に うつるは誰が影
君恋し 唇あせねど
涙はあふれて 今宵も更け行く
唄声すぎゆき 足音ひびけど
いずこにたずねん こころの面影
君恋し おもいはみだれて
苦しき幾夜を 誰がため忍ばん
去りゆくあの影 消えゆくあの影
誰がためささえん つかれし心よ
君恋し ともしびうすれて
えんじの紅帯 ゆるむもさびしや
君につて行こう
:
(きみについていこう):
君について行こう
どこまでも ついて行こう
すばらしいことを 教えてくれた
生きるよろこびを 教えてくれた
君について行こう
君について行こう
いつまでも ついて行こう
苦しい時も 悲しい時も
木枯しに 顔をまっすぐ向けた
君について行こう
君について行こう
何よりも 愛をもって
はかない この世 人の命に
こよない光を 添えるものは
人の愛のまこと
君について行こう
この国を愛しながら
ここは ふるさと 君と私の
そして友達の そだてたところ
すべてをさゝげよう
君の名は
:
(きみのなは):
君の名はと たずねし人あり
その人の 名も知らず
今日砂山に ただひとりきて
浜昼顔に きいてみる
夜霧の街 思い出の橋よ
過ぎた日の あの夜が
ただ何となく 胸にしみじみ
東京恋しや 忘られぬ
海の涯に 満月が出たよ
浜木綿の 花の香に
海女は真珠の 涙ほろほろ
夜の汽笛が かなしいか
今日の日はさようなら
:
(きょうのひはさようなら):
いつまでも 絶えることなく
友達でいよう
明日の日を夢見て
希望の道を
空を飛ぶ 鳥のように
自由に生きる
今日の日はさようなら
またあう日まで
信じあう よろこびを
大切にしよう
今日の日はさようなら
またあう日まで
またあう日まで
金魚の昼寝
:
(きんぎょのひるね):
赤いべべ着た
可愛い金魚
お眼眼をさませば
御馳走するぞ
赤い金魚は
あぶくを一つ
昼寝うとうと
夢からさめた
きんたろう
:
(きんたろう):
まさかりかついで きんたろう
くまにまたがり おうまのけいこ
ハイ シイ ドウ ドウ
ハイ ドウ ドウ
ハイ シイ ドウ ドウ
ハイ ドウ ドウ
あしがらやまの やまおくで
けだものあつめて すもうのけいこ
ハッケヨイヨイ
ノコッタ
ハッケヨイヨイ
ノコッタ
靴が鳴る
:
(くつがなる):
お手つないで 野道を行けば
みんなかわい 小鳥になって
唄をうたえば 靴が鳴る
晴れたみ空に 靴が鳴る
花をつんでは お頭にさせば
みんなかわい うさぎになって
はねて踊れば 靴が鳴る
晴れたみ空に 靴が鳴る
紅萌ゆる岡の花
:
(くれないもゆるおかのはな):
紅萌ゆる岡の花
早緑匂う岸の色
都の花に嘯けば
月こそかかれ吉田山
緑の夏の芝露に
残れる星を仰ぐ時
希望は高く溢れつつ
我等が胸に湧返る
千載秋の水清く
銀漢空にさゆる時
通える夢は崑崙の
高嶺の此方ゴビの原
ラインの城やアルペンの
谷間の氷雨なだれ雪
夕べは辿る北溟の
日の影暗き冬の波
あゝ故郷よ野よ花よ
ここにも萌ゆる六百の
光も胸も春の戸に
嘯き見ずや古都の月
それ京洛の岸に散る
三年の秋の初紅葉
それ京洛の春に咲く
三年の春の花嵐
左手の文にうなずきつ
夕べの風に吟ずれば
砕けて飛べる白雲の
空には高し如意が嶽
神楽ヶ岡の初時雨
老樹の梢伝うとき
檠燈かかげ口誦む
先哲至理の教にも
あゝ又遠き二千年
血潮の史や西の子の
栄枯のあとを思うにも
胸こそ躍れ若き身に
希望は照れて東海の
み富士の裾の山桜
歴史を誇る二千載
神武の児等が立てる今
見よ洛陽の花霞
桜の下の男の子等が
今逍遥に月白く
静かに照れり吉田山
(旧制第三高等学校 逍遥歌)
ゲイシャ・ワルツ
:
(ゲイシャ・ワルツ):
あなたのリードで 島田もゆれる
チーク・ダンスの なやましさ
みだれる裾も はずかしうれし
芸者ワルツは 思い出ワルツ
空には三日月 お座敷帰り
恋に重たい 舞い扇
逢わなきゃよかった 今夜のあなた
これが苦労の はじめでしょうか
あなたのお顔を 見たうれしさに
呑んだら酔ったわ 踊ってわ
今夜はせめて 介抱してね
どうせ一緒にゃくらせぬ身体
気強くあきらめ 帰した夜は
更けて涙の 通り雨
遠く泣いてる 新内流し
恋の辛さが 身にしみるのよ
元寇
:
(げんこう):
四百余州をこぞる 十万余騎の敵
国難ここに見る 弘安四年夏の頃
なんぞ恐れんわれに 鎌倉男児あり
正義武断の名 一喝して世に示す
多々良浜辺の蝦夷 そはなに蒙古勢
傲慢無礼者 供に天を戴かず
いでや進みて忠義に 鍛えし我が腕
ここぞ国のため 日本刀を試しみん
こころ筑紫の海に 波おし分けてゆく
ますら武夫の身 仇を討ちかえらずば
死して護国の鬼と 誓いし箱崎の
~ぞ知ろし召す 大和魂いさぎよし
天は怒りて海は 逆巻く大波に
国に仇をなす 十万余の蒙古勢は
底の藻屑と消えて 残るはただ三人
いつしか雲はれて 玄界灘月きよし
原爆を許すまじ
:
(げんばくをゆすまじ):
ふるさとの街焼かれ
身寄りの骨埋めし焼け土に
今は白い花咲く
あゝ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
われらの街に
ふるさとの海荒れて
黒き雨喜びの日はなく
今は船に人もなし
あゝ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
われらの海に
ふるさとの空重く
黒き雲今日も大地おおい
今は空に陽もささず
あゝ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
われらの空に
同胞の絶え間なき
労働に築きあぐ富と幸
今はすべてついえ去らん
あゝ許すまじ原爆を
三度許すまじ原爆を
世界の上に
コイノボリ
:
(こいのぼり):
ヤネ ヨリ タカイ コイノボリ
オオキイ マゴイ ハ オトウサン
チイサイ ヒゴイ ハ コドモダチ(こどもたち)
オモシロソウ ニ オヨイデル
鯉のぼり
:
(こいのぼり):
甍の波と雲の波
重なる波の中空を
橘かおる朝風に
高く泳ぐや 鯉のぼり
開ける広き其の口に
船をも呑まん様に見えて
ゆたかに振う尾鰭には
物に動ぜぬ姿あり
百瀬の滝を登りなば
忽ち竜になりぬべき
わが身に似よや男子と
空に躍るや 鯉のぼり
荒城の月
:
(こうじょうのつき):
春高楼の花の宴
めぐる盃かげさして
千代の松が枝わけいでし
むかしの光いまいずこ
秋陣営の霜の色
鳴きゆく雁の数みせて
植うるつるぎに照りそいし
むkさしの光いまいずこ
いま荒城のよわの月
替らぬ光たがためぞ
垣に残るはただ葛
松に歌うはたさ嵐
天上影は替らねど
栄枯は移る世の姿
写さんとてか今もなお
嗚呼荒城のよわの月
小馬
:
(こうま):
はいしい はいしい
歩めよ 小馬
山でも 坂でも
ずんずん 歩め
お前が 進めば
わたしも 進む
歩めよ 歩めよ
足音たかく
ぱかぱか ぱかぱか
走れよ 小馬
けれども急いで
つまづくまいぞ
お前が転べば
わたしも転ぶ
走れよ 走れよ
転ばぬように
黄金虫
:
(こがねむし):
黄金虫は 金持ちだ
金蔵建てた 蔵建てた
飴屋で水飴 買って来た
黄金虫は 金持ちだ
金蔵建てた 蔵建てた
子供に水飴 なめさせた
小ぎつね
:
(こぎつね):
小ぎつね こんこん
山の中 山の中
草に実つぶして おけしょうしたり
もみじのかんざし つげのくし
小ぎつね こんこん
冬の山 冬の山
枯れ葉の着物じゃ ぬうにもぬえず
きれいなもようの 花もなし
小ぎつね こんこん
あなの中 あなの中
大きなしっぽは じゃまにはなるし
こくびをかしげて 考える
故郷の空
:
(こきょうのそら):
夕空はれて 秋風吹き
月かげ落ちて 鈴虫なく
おもえば遠し 故郷の空
ああ わが父母 いかにおわす
すみゆく水に 秋萩たれ
玉なす露は すすきにみつ
おもえば似たり 故郷の野辺
ああ わが兄弟 たれと遊ぶ
故郷の廃家
:
(こきょうのはいか):
幾年ふるさと 来てみれば
咲く花鳴く鳥 そよぐ風
門辺の小川の ささやきも
なれにし昔に 変わらねど
あれたる我家に
住む人絶えてなく
昔を語るか そよぐ風
昔をうつすか 澄める水
朝夕かたみに 手をとりて
遊びし友人 いまいずこ
さびしや故郷
さびしき我家(わがいえ)や
故郷を離るる歌
:
(こきょうをはなるるうた):
園の小百合 撫子 垣根の千草
今日は汝をながむる最終(おわり)の日なり
思えば涙 膝をひたす
さらば故郷 さらば故郷
さらば故郷 故郷さらば
つくし摘みし岡辺よ 社の杜よ
小鮒釣りし小川よ 柳の土手よ
別るる我を 憐(あわれ)と見よ
さらば故郷 さらば故郷
さらば故郷 故郷さらば
ここに立ちてさらばと別を告げん
山の蔭の故郷 靜かに眠れ
夕日は落ちて たそがれたり
さらば故郷 さらば故郷
さらば故郷 故郷さらば
ここに幸あり
:
(ここにさちあり):
嵐も吹けば 雨も降る
女の道よ なぜ険し
君を頼りに 私は生きる
ここに幸あり 青い空
誰にも言えぬ 爪のあと
心にうけた 恋の鳥
泣いてのがれて さ迷い行けば
夜の巷の 風かなし
命のかぎり 呼びかける
谺の果てに 待つは誰
君によりそい 明るく仰ぐ
ここに幸あり 白い雲
国境の町
:
(こっきょうのまち):
橇の鈴さえ 寂しく響く
雪の曠野よ 町の灯よ
一つ山越しゃ 他国の星が
凍りつくよな 国境
故郷はなれて はるばる千里
なんで想いが とどこうぞ
遠きあの空 つくづく眺め
男泣きする 宵もある
行方知らない さすらい暮し
空も灰色 また吹雪
想いばかりが ただただ燃えて
君と逢うのは いつの日ぞ
この広い野原いっぱい
:
(このひろいのはらいぱい):
この広い野原いっぱい 咲く花を
ひとつ残らず あなたにあげる
あかいリボンの 花たばににして
この広い夜空いっぱい 咲く星を
ひとつ残らず あなたにあげる
虹にかがやく ガラスにつめて
この広い海いっぱい 咲く船を
ひとつ残らず あなたにあげる
青い帆に イニシアルつけて
この広い世界中の 何もかも
ひとつ残らず あなたにあげる
だから私に 手紙を書いて
手紙を書いて
この道
:
(このみち):
この道はいつか来た道
ああ そうだよ
あかしやの花が咲いてる
あの丘はいつか見た丘
ああ そうだよ
ほら 白い時計台だよ
この道はいつか来た道
ああ そうだよ
お母さまと馬車で行ったよ
あの雲はいつか見た雲
ああ そうだよ
山査子の枝も垂れてる
ゴンドラの歌
:
(ゴンドラのうた):
いのち短し恋せよ乙女
朱き唇あせぬ間に
熱き血潮の冷えぬ間に
明日の月日はないものを
いのち短し恋せよ乙女
いざ手をとりて かの舟に
いざ燃ゆる頬を 君が頬に
ここには誰も 来ぬものを
いのち短し恋せよ乙女
黒髪のいろあせぬ間に
心のほのお消えぬ間に
今日は再び来ぬものを
さ |
サーカスの唄
:
(サーカスのうた):
旅のつばくろ 淋しかないか
おれもさみしい サーカスぐらし
とんぼがえりで 今年もくれて
知らぬ他国の 花を見た
あの娘住む町 恋しい町を
遠くはなれて テントで暮らしゃ
月も冴えます 心も冴える
馬の寝息で ねむられぬ
朝は朝霧 夕は夜霧
泣いちゃいけない クラリオネット
ながれながれる 浮藻の花は
明日も咲きましょう あの町で
さくら
:
(さくら):
さくら さくら
弥生の空は 見渡すかぎり
霞か雲か 匂いぞ出ずる
いざや うざや 見にゆかん
(昭和16年『うたのほん(下)』での改訂)
さくら さくら
野山も里も 見渡すかぎり
霞か雲か 朝日に匂う
さくら さくら 花ざかり
桜井の永訣
:
(さくらいのえいけつ):
『青葉茂れる桜井の』 の別題
同項目、参照
さくら貝の歌
:
(さくらがいのうた):
うるわしき 桜貝ひとつ
去りゆける 君に捧げん
この貝は 去年の浜辺に
われひとり 拾いし貝よ
ほのぼのと うす紅染むるは
わが燃ゆる さみし血潮よ
はろばろと かようかおりは
君恋うる 胸のさざなみ
ああなれど わが思いは儚なく
うつし世の渚に 果てぬ
酒と泪と男と女
:
(さけとなみだとおとことおんな):
忘れてしまいたい事や
どうしようもな寂しさに
包まれた時に男は
酒を飲むのでしょう
飲んで 飲んで 飲まれて 飲んで
飲んで 飲み疲れて眠るまで 飲んで
やがて男は 靜かに眠るのでしょう
忘れてしまいたい事や
どうしようもない悲しさに
包まれた時女は
泪みせるのでしょう
泣いて 泣いて 一人 泣いて
泣いて 泣き疲れて眠るまで 泣いて
やがて女は 靜かに眠るのでしょう
又ひとつ 女の方が偉く思えてきた
又ひとつ 男のずるさが見えてきた
おれは男 泣きとおすなんて出来ないよ
今夜も酒を煽って 眠ってしまうのさ
おれは男 泪は見せられないもの
飲んで 飲んで 飲まれて 飲んで
飲んで 飲み疲れて眠るまで 飲んで
やがて男は 靜かに眠るのでしょう
酒は涙か溜息か
:
(さけはなみだかためいきか):
酒は涙か
ためいきか
こころの憂さの
捨てどころ
遠いえにしの
かのひとに
夜ごとの夢の
せつなさよ
酒は涙か
ためいきか
悲しい恋の
捨てどころ
忘れたはずの
かのひとに
のこるこころを
なんとしょう
サッちゃん
:
(さっちゃん):
サッちゃんはね
サチコって いうんだ
ほんとはね
だけど ちっちゃいから
じぶんのこと
サッちゃんて よぶんだよ
おかしいな サッちゃん
サッちゃんはね
バナナが だいすき
ほんとだよ
だけど ちっちゃいから
バナナを はんぶんしか
たべられないの
かうぃそうね サッちゃん
サッちゃんがね
とおくへ いっちゃうって
ほんとかな
だけど ちっちゃいから
ぼくのこと
わすれてしまうだろ
さびしいな サッちゃん
里の秋
:
(さとのあき):
しずかな しずかな 里の秋
お背戸に 木の実の 落ちる夜は
ああ かあさんと
ただふたり
栗の実 煮てます
いろりばた
あかるい あかるい 星の空
鳴き鳴き 夜鴨の 渡る夜は
ああ とうさんの
あの笑顔
栗の実 食べては
おもいだす
さよなら さよなら 椰子の島
お船に 揺られて 帰られる
ああ とうさんよ
ご無事でと
今夜も かあさんと
いのります
寒い朝
:
(さむいあさ):
北風吹き抜く寒い朝も
心ひとつで暖かくなる
清らかに咲いた可憐な花を
みどりの髪にかざして今日も
ああ
北風の中に きこうよ春を
北風の中に きこうよ春を
北風吹き抜く寒い朝も
若い小鳥は飛び立つ空に
幸福(しあわせ)求めて摘みゆくバラの
さす棘いまは忘れて強く
ああ
北風の中に 待とうよ春を
北風の中に 待とうよ春を
北風吹き抜く寒い朝も
野越え山越え 来る来る春は
いじけていないで手に手をとって
望みに胸を元気に張って
ああ
北風の中に 呼ぼうよ春を
北風の中に 呼ぼうよ春を
侍ニッポン
:
(さむらいニッポン):
人を斬るのが 侍ならば
恋の未練が なぜ斬れぬ
伸びた月代 さびしく撫でて
新納鶴千代 にが笑い
昨日勤王 明日は佐幕
その日 その日の 出来心
どうせおいらは 裏切者よ
野暮な大小 落とし差し
流れ流れて 大利根越えて
水戸は二の丸 三の丸
おれも生きたや 人間らしく
梅の花咲く 春じゃもの
命とろうか 女をとろか
死ぬも生きるも 五分と五分
泣いて笑って 鯉口切れば
江戸の桜田 雪が降る
山谷ブルース
:
(さんやブルース):
今日の仕事はつらかった
あとは焼酎をあおるだけ
どうせどうせ山谷のドヤずまい
ほかにやる事ありゃしねえ
一人酒場で飲む酒に
かえらぬ昔がなつかしい
泣いて 泣いてみたってなんになる
今じゃ山谷がふるさとよ
工事終わればそれっきり
お払い箱のおれ達さ
いいさ いいさ山谷の立ちん坊
世間うらんで何になる
人は山谷を悪く言う
だけどおれ達いなくなりゃ
ビルも ビルも道路も出来ゃしねえ
誰も分っちゃくれねぇか
だけどおれ達ゃ泣かないぜ
はたらくおれ達の世の中が
きっと きっとくるさそのうちに
その日にゃ泣こうぜうれし泣き
叱られて
:
(しかられて):
叱られて
叱られて
あの子は町まで お使いに
この子は坊やを ねんねしな
夕べさみしい 村はずれ
コンときつねが なきゃせぬか
叱られて
叱られて
口には出さねど 眼になみだ
二人のお里は あの山を
越えてあなたの 花のむら
ほんに花見は いつのこと
四季の歌
:
(しきのうた):
春を愛する人は 心清き人
すみれの花のような ぼくの友だち
夏を愛する人は 心強き人
岩をくだく波のような ぼくの父親
秋を愛する人は 心深き人
愛を語るハイネのような ぼくの恋人
冬を愛する人は 心広き人
根雪をとかす大地のような ぼくの母親
ララララ・・・・・・・・・
シクラメンのかほり
:
(しくらめんおかおり):
真綿色したシクラメンほど清しいものはない
出逢いの時の君のようです
ためらいがちにかけた言葉に
驚いたようにふりむく君に
季節が頬をそめて過ぎてゆきました
うす紅のシクラメンほど
まぶしいものはない
恋する時の君のようです
木もれ陽あびた君を抱けば
淋しささえもおきざりにして
愛がいつのまにか歩き始めました
疲れを知らない子供のように
時が二人を追い越してゆく
呼び戻すことができるなら
僕は何を惜しむだろう
うす紫のシクラメンほど淋しいものはない
後ろ姿の君のようです
暮れ惑う街の別れ道には
シクラメンのかほりむなしくゆれて
季節が知らん顔して過ぎてゆきました
疲れを知らない子供のように
時が二人を追い越してゆく
呼び戻すことができるなら
僕は何を惜しむだろう
七里ヶ浜の哀歌
:
(しちりがはまのあいか):
真白き富士の根 緑の江の島
仰ぎ見るも 今は涙
帰らぬ十二の 雄々しきみたまに
捧げまつる 胸と心
ボートは沈みぬ 千尋の海原
風も波も 小さき腕に
力もつきはて 呼ぶ名は父母
恨みは深し 七里ヶ浜辺
み雪は咽(むせ)びぬ 風さえ騒ぎて
月も星も 影をひそめ
みたまよ何処に 迷いておわすか
帰れ早く 母の胸に
みそらにかがやく 朝日のみ光り
暗(やみ)にしずむ 親の心
黄金も宝も 何しに集めん
神よ早く 我も召せよ
雲間に昇りし 昨日の月影
今は見えぬ 人の姿
悲しさ余りて 寝られぬ枕に
響く波の おとも高し
帰らぬ波路に 友よぶ千鳥に
我もこいし 失せし人よ
尽きせぬ恨に 泣くねは共々
今日もあすも 斯くとわに
長崎県立島原高等学校校歌
:
(しまばらこうとうがっこうこうか):
ばらいろの峰にかゝれる雲晴れて
古城の森のまなびやは今南国の夢かをる
若き命のあさぼらけ誇りてこゝにみとせをば
いそしみはげむつどひこそ
島原高校あゝ我等が母校
はるけくもゆふべにはやる汐満ちて
まことの学をたづぬれば仰ぐ理想も空高く
ときめく胸に一つ星交はる友と語らひて
かざす文化のほむらこそ
島原高校あゝ我等が母校
つきせぬは清き泉とちぎりおき
巣立つ光の野に立てば燃ゆる希望のあこがれを
いななくこまの緑風いざともどもに古里の
名をばたたへん力こそ
島原高校あゝ我等が母校
長崎県立島原高等学校第一応援歌
:
(しまばらこうとうがっこうだい1おうえんか):
秋岳台に草萌えて
織るや万朶の花衣
紫染むる雲間より
天津光のさしそえば
一本桂の生茂り
やがて落ちなん月桂冠
見よ暁の明星の
下界の眠り深き時
永劫不滅の光もて
告る啓示君知るや
立てよ島高月桂冠
彼方の岸に咲かせなむ
古城の桜の欄干に
剛毅の士気を鼓舞しつつ
千尋の淵にたたえたる
せきすいなせる戦力に
占める歴史の光輝ある
団旗のもとに敵はなし
団旗のもとに敵は無し
長崎県立島原高等学校第二応援歌
:
(しまばらこうとうがっこうだい2おうえんか):
若草萌ゆる古城の野辺に
我降り立ちてうそぶけば
落日低く雲淡く
一陣吹きぬ秋の風
見よ島高の健児らが
肉は躍りぬ血は湧きぬ
仰げば高き明星の
啓示の色にひらめきぬ
風雲急なるこの時に
争う敵は多くとも
正義と固き鉄腕に
破れ魔神の荒るが如
桜馬場の夕嵐
応援団の声高く
団旗の下にふるい立つ
勇めやふるえや健男児
長崎県立島原高等学校第五応援歌
:
(しまばらこうとうがっこうだい5おうえんか):
有明海の波の穂に
たなびく雲や濃紫
笹縁金に輝けば
紅淡き空の色
秀麗の地に健児有り
我等島高一千の
輝く星の選手有り
歴史を遠く飾る哉
風雲急なるこの時に
尊き希望に胸と胸
たぎる血潮に火と燃えて
同じ調べに躍る哉
今明星の光得て
などて恐るることやある
唯我が魂の清くして
天下の覇者とならん哉
※ 「生徒手帳」に、掲載されている「応援歌」は、「第一応援歌」;「第二応援歌」の二首で、他は記載がない。標記・第五応援歌は入学後間もなく行われた、体育祭 で、班(1〜3年の同一クラスNoが「班」を形成し、班対抗形式で行われていた)の先輩から口伝、教わったもので、当然、あってあろう、「第三応援歌」;「第四応援歌」については、歌い継がれてなかったようだ。
島原の子守唄
:
(しまばらのこもりうた):
おどみゃ島原の
おどみゃ島原の
梨の木育ちよ
何のなしやら 何のなしやら
色気なしばよ しょうかいな
はよ寝ろ 泣かんで おろろんばい
鬼の池ん久助どんの 連れんこらるばい
帰りにゃ寄っちょくれんか
帰りにゃ寄っちょくれんか
あばら家じゃけんど
唐芋飯や 粟ん飯 唐芋飯や 粟ん飯
黄金飯ばよ しょうかいな
おろろんおろろん おろろんばい
おろろんおろろん おろろんばい
山ん家はかん火事げなばい
山ん家はかん火事げなばい
サンパン船はよろん人
姉しゃんなにぎん飯で 姉しゃんなにぎん飯で
船ん底ばよ しょうかいな
泣くもんなガネかむ おろろんばい
アメガタこうて ひっぱらしゅう
姉しゃんなどけいたろうかい
姉しゃんなどけいたろうかい
青煙突のバッタンフル
唐はどこんねき 唐はどこんねき
海のはてばよ しょうかいな
はよ寝ろ 泣かんで おろろんばい
おろろんおろろん おろろんばい
あん人たちゃ二つも
あん人たちゃ二つも
金の指輪はめとらす
金はどこん金 金はどこん金
唐金げなばい しょうかいな
嫁ごんべんな だがくれた
つばつけたら あったかろ
沖の不知火
沖の不知火
燃えては消える
バテレン祭りの バテレン祭りの
笛や太鼓も鳴りやんだ
おろろんおろろん おろろんばい
おろろんおろろん おろろんばい
しゃぼん玉
:
(しゃぼんだま):
しゃぼん玉 とんだ
屋根までとんだ
屋根までとんで
こわれて消えた
しゃぼん玉 消えた
とばずに消えた
うまれてすぐに
こわれて消えた
風 風 吹くな
しゃぼん玉 とばそ
洒落男(ゲイ・キャバレロ)
:
(しゃれおとこ):
俺は村中で一番
モボだと云われた男
己惚れのぼせて得意顔
東京は銀座へと来た
そもそもその時のスタイル
青シャツに真赤なネクタイ
山高シャッポにロイド眼鏡
ダブダブなセーラーのズボン
吾輩の見染めた彼女
黒い瞳でポップヘアー
背が低くて肉体美
おまけに足までが太い
馴れ染めの初めはカフェー
この家はわたしの店よ
カクテルにウィスキー
どちらにしましょう
遠慮するなんて水臭いわ
云われるままに二、三杯
笑顔につられてもう一杯
女はほんのり桜色
エッヘッヘしめたぞもう一杯
君は知ってるか僕の
おやじは地主で村長
村長は金持ちで伜の僕は
独身でいまだ一人
アラマアそれは素敵
名誉とお金があるならば
たとえ男がまずくとも
わたしはあなたが好きよ
オーオいとしのものよ
俺の体はふるえる
お前とならばどこまでも
死んでも離れはせぬ
夢かうつつかその時
飛び込んだ女の亭主
物も言わずに拳固の嵐
なぐられたわが輩は気絶
財布も時計もとられ
だいじな女はいない
こわいところは東京の銀座
泣くに泣かれぬモボ
上海帰りのリル
:
(しゃんはいがえりのリル):
船を見つめていた
ハマのキャバレーにいた
風の噂はリル
上海帰りのリル リル
あまい切ない 思い出だけを
胸にたぐって 探して歩く
リル リル どこにいるのかリル
だれかリルを 知らないか
黒いドレスをみた
泣いていたのを見た
戻れこの手にリル
上海帰りのリル リル
夢の四馬路の 霧降る中で
なにもいわずに 別れたひとみ
リル リル 一人さまようリル
だれかリルを 知らないか
海を渡ってきた
ひとりぼっちできた
のぞみすてるなリル
上海帰りのリル リル
くらい運命は 二人で分けて
共に暮そう 昔のままで
リル リル 今日も逢えないリル
だれかリルを 知らないか
城ヶ島の雨
:
(じょうがしまのあめ):
雨はふるふる
城ヶ島の磯に
利休鼠の
雨がふる
雨は真珠か
夜明けの霧か
それともわたしの
忍び泣き
舟はゆくゆく
通り矢のはなを
濡れて帆あげた
ぬしの舟
ええ 舟は櫓でやる
櫓は唄でやる
唄は船頭さんの心意気
雨はふるふる
日はうす曇る
舟はゆくゆく
帆がかすむ
証城寺の狸囃子
:
(しょうじょうじのたぬきばやし):
証 証 証城寺
証城寺の庭は
ツ ツ 月夜だ
みんな出て 来い来い来い
おいらの友達ァ
ぽんぽこ ぽんの ぽん
負けるな 負けるな
和尚さんに 負けるな
来い 来い 来い
来い 来い 来い
みんな出て 来い来い来い
証 証 証城寺
証城寺の萩は
ツ ツ 月夜に 花盛り
おいらは浮かれて
ぽんぽこ ぽんの ぽん
昭和ブルース
:
(しょうわぶるーす):
うまれた時が 悪いのか
それとも俺が 悪いのか
何もしないで 生きてゆくなら
それは やさしい ことだけど
この世に生んだ お母さん
あなたの愛に つつまれて
何もしらずに 生きてゆくなら
それは たやすい ことだけど
なんにもせずに 死んで行く
おれには それが つらいのさ
とめてくれるな 可愛い人よ
涙ながれて 来るけれど
見えない鎖が 重いから
行かなきゃならぬ おれなのさ
だれも探しに 行かないものを
おれは求めて ひとり行く
知床旅情
:
(しれとこりょじょう):
知床の岬に はまなすの咲くころ
思い出しておくれ 俺たちのことを
飲んで騒いで 丘にのぼれは
はるか国後に 白夜は明ける
旅の情か 酔うほどにさまよい
浜に出てみれば 月は照る波の上
今宵こそ君を 抱きしめんと
岩かげに寄れば ピリカが笑う
別れの日は来た 知床の村にも
君は出てゆく 峠を越えて
忘れちゃいやだよ 気まぐれ鴉さん
私を泣かすな 白いかもめを
白いかもめを
白い花の咲く頃
:
(しろいはなのさくころ):
白い花が 咲いてた
ふるさとの 遠い夢の日
さよならと 云ったら
黙って うつむいてたお下げ髪
悲しかった あの時の
あの 白い花だよ
白い雲が 浮いてた
ふるさとの 高いあの峰
さよならと 云ったら
こだまが さよならと叫んでた
淋しかった あの時の
あの 白い雲だよ
白い月が ないてた
ふるさとの 丘の木立に
さよならと 云ったら
涙のひとみで じっとみつめてた
悲しかった あの時の
あの 白い月だよ
白いブランコ
:
(しろいぶらんこ):
君は おぼえているか君しら
あの白いブランコ
風に吹かれて
二人でゆれた
あの白いブランコ
日暮れはいつも淋しいと
小さな肩をふるわせた
君にくちづけした時に
優しくゆれた
白い白いブランコ
僕の心に今もゆれる
あの白いブランコ
幼い恋を見つめてくれた
あの白いブランコ
まだこわれずにあるのなら
君のおもかげ抱きしめて
ひとりでゆれて
みようかしら
遠いあの日の
白い白い白いブランコ
人生劇場
:
(じんせいげきじょう):
やると思えば どこまでやるさ
それが男の 魂じゃないか
義理がすたれば この世はやみだ
なまじとめるな 夜の雨
あんな女に 未練はないが
なぜか涙が流れてならぬ
男ごころは 男でなけりゃ
わかるものかと あきらめた
時よ時節は 変わろとままよ
吉良の仁吉は 男じゃないか
おれも生きたや 仁吉のように
義理と人情の この世界
人生の並木道
:
(じんせいのなみきみち):
泣くな妹よ妹よ泣くな
泣けばおさない二人して
故郷をすてたかいがない
遠いさびしい日暮れの路で
泣いて叱った兄さんの
涙の声を忘れたか
雪も降れ降れ夜路のはても
やがてかがやくあけぼのに
わが世の春はきっと来る
生きてゆこうよ希望に燃えて
愛の口笛高らかに
この人生の並木路
新雪
:
(しんせつ):
紫けむる 新雪の
峰ふり仰ぐ このこころ
ふもとの丘の 小草をしけば
草の青さが 身に染みる
けがれを知らぬ 新雪の
素肌へ匂う 朝の陽よ
若い人生に 幸あれかしと
祈る瞼に 湧くなみだ
大地を踏んで がっちりと
未来へ続く 尾根づたい
新雪光る あの峰こえて
ゆこうよ元気で 若人よ
死んだ男の残したものは
:
(しんだおとこののこしたものは):
死んだ男の 残したものは
一人の妻と 一人の子供
他には何も 残さなかった
墓石ひとつ 残さなかった
死んだ女の 残したものは
しおれた花と 一人の子供
他には何も 残さなかった
着物一枚 残さなかった
死んだ子供の 残したものは
ねじれたあしと かわいた涙
他には何も 残さなかった
思い出ひとつ 残さなかった
死んだ兵士の 残したものは
こわれた銃と いがんだ地球
他には何も 残せなかった
平和ひとつ 残せなかった
死んだ彼らの 残したものは
生きてる私 生きてるあなた
他には誰も 残っていない
他には誰も 残っていない
スキー
:
(スキー):
山は白銀 朝日を浴びて
すべるスキーの風切る速さ
飛ぶは粉雪か まいたつ霧か
お お お この身もかけるよ かける
真一文字に 身をおどらせて
さっと飛び越す飛鳥の翼
ぐんとせまるは ふもとか 谷か
お お お たのしや 手練れの飛躍
風をつんざき 左へ 右へ
飛べば おどれば 流れる斜面
空はみどりよ 大地は白よ
お お お あの岡 われらを招く
スキーの歌
:
(スキーのうた):
輝く日の影 はゆる野山
輝く日の影 はゆる野山
麓をめがけてスタートきれば
粉雪は舞い立ち 風は叫ぶ
風は叫ぶ
飛ぶ飛ぶ大空 走る大地
飛ぶ飛ぶ大空 走る大地
一白影なき大地の中を
ストックかざして我は翔る
我は翔る
山越え 丘越え 下る斜面
山越え 丘越え 下る斜面
忽ちさえぎる谷をばめがけ
躍ればさながら飛鳥の心地
飛鳥の心地
好きだった
:
(すきうだった):
好きだった 好きだった
嘘じゃなかった 好きだった
こんな一言 あの時に
言えばよかった
胸にすがって 泣きじゃくる
肩のふるえを ぬくもりを
忘れられずに いるのなら
好きだった 好きだった
俺は死ぬ程 好きだった
云っちゃならない「さよなら」を
云ったあの日よ
笑うつもりが 笑えずに
顔をそむけた 悲しみを
今も捨てずに いるくせに
好きだった 好きだった
口にゃ出さぬが 好きだった
夢にまで見た せつなさを
知っていたやら
馬鹿な男の 強がりを
せめて恨まず いておくれ
逢える明日は ないけれど
鈴懸の径
:
(すずかげのみち):
友と語らん
鈴懸の径
通いなれたる
学舎の街
やさしの小鈴
葉かげに鳴れば
夢はかえるよ
鈴懸の径
雀の学校
:
(すずめのがっこう):
ちいちいぱっぱ
ちいぱっぱ
雀の学校の 先生は
むちを振り振り
ちいぱっぱ
生徒の雀は 輪になって
お口をそろえて
ちいぱっぱ
まだまだいけない
ちいぱっぱ
も一度一緒に
ちいぱっぱ
ちいちいぱっぱ
ちいぱっぱ
ステンカ・ラージン
:
(すてんか・らーじん):
久遠にとどく ヴォルガの流れ
目にこそ映えゆく ステンカ・ラージンのの船
目にこそ映えゆく ステンカ・ラージンのの船
ペルシャの姫なり 燃えたる唇と
うつつに華やぐ うたげか流る
うつつに華やぐ うたげか流る
ドン・コサックの群に 今湧くそしり
おごれる姫なり 餓うるはわれら
おごれる姫なり 餓うるはわれら
その昔(かみ)かえらず ヴォルガの流れ
醒めしやステンカ・ラージン 眉根ぞかなし
醒めしやステンカ・ラージン 眉根ぞかなし
久遠にとどく ヴォルガの流れ
目にこそ映えゆく ステンカ・ラージンのの船
目にこそ映えゆく ステンカ・ラージンのの船
砂山
:
(すなやま):
海は荒海
向うは佐渡よ
すずめ啼け啼け もう日はくれた
みんな呼べ呼べ お星さま出たぞ
暮れりゃ 砂山
汐鳴りばかり
すずめちりぢり また風荒れる
みんなちりぢり もう誰も見えぬ
かえろかえろ
茱萸原(ぐみわら)わけて
すずめさよなら さよなら あした
海よさよなら さよなら あした
背比べ
:
(せいくらべ):
柱のきずは おととしの
五月五日の 背くらべ
粽たべたべ 兄さんが
計ってくれた 背のたけ
きのうくらべりゃ 何のこと
やっと羽織の 紐のたけ
柱に凭れりゃ すぐ見える
遠いお山も 背くらべ
雲の上まで 顔だして
てんでに背伸び していても
雪の帽子を ぬいでさえ
一はやっぱり 富士の山
青年は荒野をめざす
:
(せいねんはこうやをめざす):
ひとりで行くんだ 幸せに背を向けて
さらば恋人よ なつかしい歌よ友よ
いま 青春の河を越え
青年は 青年は荒野をめざす
もうすぐ夜明けだ 出発の時がきた
さらばふるさと 想い出の山よ河よ
いま 朝焼けの丘を越え
青年は 青年は荒野をめざす
みんなで行くんだ 苦しみを分けあって
さらば春の日よ ちっぽけな夢よ明日よ
いま 夕焼けの谷を越え
青年は 青年は荒野をめざす
ひとりで行くんだ 幸せに背を向けて
さらば恋人よ なつかしい歌よ友よ
いま 青春の河を越え
青年は 青年は荒野をめざす
惜別の歌
:
(せきべつのうた):
遠き別れに耐えかねて
この高楼にのぼるかな
悲しむなかれ我が友よ
旅の衣をととのえよ
別れといえば昔より
この人の世の常なるを
流るる水を眺むれば
夢はずかしき涙かな
君がさやけき目の色も
君紅の唇も
君がみどりの黒髪も
またいつか見んこの別れ
(原詩:島崎藤村:『若菜集」−「高楼」)
瀬戸の花嫁
:
(せとのはなよめ):
瀬戸は日暮れて 夕波小波
あなたの島へ お嫁にゆくの
若いと誰もが 心配するけれど
愛があるから 大丈夫なの
だんだん畑と さよならするのよ
幼い弟 行くなと泣いた
男だったら 泣いたりせずに
父さん母さん だいじにしてね
岬まわるの 小さな船が
生まれた島が 遠くになるわ
入江の向こうで 見送る人たちに
別れ告げたら 涙が出たわ
島から島へと 渡ってゆくのよ
あなたとこれから 生きてくわたし
瀬戸は夕焼け 明日も暮れる
二人の門出 祝っているわ
戦争を知らない子供達
:
(せんそうをしらないこどもたち):
戦争が終わって 僕等は生まれた
戦争を知らずに 僕等は育った
大人になって 歩きはじめる
平和の歌を 口ずさみながら
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ
若すぎるからと 許されないなら
髪が長いと 許されないなら
今の私に 残っているのは
涙をこらえて 歌うことだけさ
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ
青空が好きで 花びらが好きで
いつでも笑顔の すてきな人なら
誰でも一緒に 歩いてゆこうよ
きれいな夕陽の 輝くこみちを
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ
戦争を知らない 子供たちさ
船頭小唄
:
(せんどうこうた):
おれは河原の 枯れすすき
同じお前も 枯れすすき
どうせ二人は この世では
花の咲かない 枯れすすき
死ぬも生きるも ねえお前
水の流れに 何変わろ
おれもお前も 利根川の
舟の船頭で 暮らそうよ
枯れた真菰を 照らしてる
潮来出島の お月さん
わたしゃこれから 利根川の
舟の船頭で 暮らすのよ
何故に冷たい 吹く風が
枯れたすすきの 二人ゆえ
熱い涙の 出た時は
汲んでおくれよ お月さん
船頭さん
:
(せんどうさん):
村の渡しの 船頭さんは
今年六十の お爺さん
年はとっても お船をこぐ時は
元気いっぱい櫓がしなる
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ
雨の降る日も 岸から岸へ
ぬれて船こぐ お爺さん
今朝もかわいい 仔馬を二匹
向う牧場へ 乗せてった
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ
川はきらきら さざなみ小波
渡す にこにこお爺さん
みんなにこにこ ゆれゆれ渡る
どうも御苦労さんと いって渡る
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ
ぞうさん
:
(ぞうさん):
ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ
ぞうさん
ぞうさん
だれが すきなの
あのね
かあさんが すきなのよ
早春賦
:
(そうしゅんふ):
春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず
氷解け去り 葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日もきのうも 雪の空
今日もきのうも 雪の空
春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か
宗谷岬
:
(そうやみさき):
流氷とけて 春風吹いて
ハマナス咲いて カモメもないて
はるか沖ゆく 外国船の
煙もうれし 宗谷の岬
流氷とけて 春風吹いて
ハマナス揺れる 宗谷の岬
吹雪が晴れて 凍(しば)れがゆるみ
渚の貝も 眠りがさめた
人の心の 扉を開き
海鳴り響く 宗谷の岬
流氷とけて 春風吹いて
ハマナス揺れる 宗谷の岬
幸せ求め 最果ての地に
それぞれ人は 明日を祈る
波もピリカの 子守のように
思い出残る 宗谷の岬
流氷とけて 春風吹いて
ハマナス揺れる 宗谷の岬
た |
大こくさま
:
(だいこくさま):
おおきな ふくろを かたに かけ
だいこくさまが きかかると
ここに いなばの しろうさぎ
かわを むかれて あかはだか
だいこくさまは あわれがり
「きれいな みずに みを あらい
がまの ほわたに くるまれ」と
よくよく おしえて やりました
だいこくさまの いうとおり
きれいな みずに みを あらい
がまの ほわたに くるまれば
うさぎは もとの しろうさぎ
だいこくさまは だれだろう
おおくにぬしの みこととて
くにを ひらきて よのひとを
たすけなされた かみさまよ
大正小学校校歌
:
(たいしょうしょうがっこうこうか):
千古に秘むる不知火の
有明海(ありあけうみ)前にして
背に負う霊峰雲仙は
その名普し大世界
延喜の史に名を留むる
伝統古き故郷は
輝く幾多の歴地あり
希望の学舎ここに建つ
嗚呼大正のその文字は
大き正義を語るなり
泉水湾の碧水を
心の鑑と我等せん
正直勤勉質実の
美風を代々に承け継ぎて
平和日本を築くため
我等は今日も学ばなん
流れも清き大川や
古呂の勝地の大松(たいしょう)に
我等の理想掲げつつ
文化の国を打ち立てん
※ ”古呂松”として親しまれていた、道祖崎(さやさき)部落の、中野原(ちゅうやばる)にあった、松の大木は、松食い虫の被害に遭い、私が小学校卒業の頃は、その根を残すのみとなり、今では、痕跡さえもない。そのためかどうか、いつの間にか、児童には、一切の説明もなく、歌詞の変更が行われ、当該節は、
♪岡の城趾のたたずみに♪
と、変えられて、卒業式では、そのように歌わされた。「大川」は校区の東端の部落、「道祖崎」は西端の部落という意味合いがあったはずだが、それは無視されている。しかし、土地の人たちには、今でも、例え、松の大木は無くなっても、当地を、『古呂松』と呼び、親しまれている。
大楠公
:
(だいなんこう):
『青葉茂れる桜井の』 の別題
同項目、参照
たき火
:
(たきび):
かきねの かきねの
まがりかど
たき火だ たき火だ
おちばたき
「あたろうか」
「あたろうよ」
きたかぜ ぴいぷう
ふいている
さざんか さざんか
さいたみち
たき火だ たき火だ
おちばたき
「あたろうか」
「あたろうよ」
しもやけ おててが
もう かゆい
こがらし こがらし
さむいみち
たき火だ たき火だ
おちばたき
「あたろうか」
「あたろうよ」
そうだんしながら
あるいてく
竹田の子守唄
:
(たけだのこもりうた):
守もいやがる 盆から先にゃ
雪もちらつくし 子も泣くし
盆が北とて なにうれしかろ
かたびらはなし おびもはなし
この子よう泣く 守をばいじる
守も一日 やせるやら
はよも行きたや この在所こえて
向こうに見えるは 親のうち
向こうに見えるは 親のうち
※ 「竹田」と聞いて、長い間、<大分県豊後竹田市> を連想していた。
ところが、このサイトに取り上げるに当たって、再調査し、
とんでもない間違いであったことに気付いた。 ただただ赤面恐懼。
大阪府・京都府の、被差別部落に、言い伝えられていた民謡が底流だった。
従って、歌詞そのものには、いろんな伝承がある。
ここでは、日本中にその広まりを担った、フォーク。ロック歌手たちが
数多演奏してきたももを取り上げた。
たなばたさま
:
(たなばたさま):
ささの葉さらさら
のきばにゆれる
お星さまきらきら
きんぎん砂子
五色のたんざく
わたしがかいた
お星さまきらきら
空からみてる
旅の夜風
:
(たびのよかぜ):
花も嵐も 踏み越えて
行くが男の 生きる道
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ
付きの比叡を 独り行く
優しかの君 ただ独り
発たせまつりし 旅の空
可愛い子供は 女の命
なぜに淋しい 子守唄
加茂の河原に 秋長けて
肌に夜風が 染みわたる
男柳が なに泣くものか
風に揺れるは 影ばかり
愛の山河 雲幾重
心ごころは 隔てても
待てば来る来る 愛染かつら
やがて芽をふく 春がくる
誰か故郷を想わざる
:
(だれかこきょうをおもわざる):
花摘む野辺に 日は落ちて
みんなで肩を くみながら
唄をうたった 帰りみち
幼馴染の あの友この友
ああ 誰か故郷を 想わざる
ひとりの姉が 嫁ぐ夜に
小川の岸で さみしさに
泣いた涙の なつかしさ
幼馴染の あの山この川
ああ 誰か故郷を 想わざる
都に雨の 降る夜は
涙に胸も しめりがち
とおく呼ぶのは 誰の声
幼馴染の あの夢この夢
ああ 誰か故郷を 想わざる
ちいさい秋みつけた
:
(ちいさいあきみつけた):
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ
すましたお耳に かすかにしみた
よんでる口ぶえ もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
おへやは北向き くもりのガラス
うつろな目の色 とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
むかしの むかしの 風見の鳥の
ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ
はぜの葉赤くて 入日色
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
小さなスナック
:
(ちいさなスナック):
僕が初めて 君を見たのは
白い扉の 小さなスナック
ひとりぼっちの うしろ姿の
君のうなじが やけに細くて
いじらしかったよ
僕がその次 君を見たのも
バラにうもれた いつものスナック
ギターつまびく 君の指さき
ちょっぴりふるえて つぶやくようで
かわいかったよ
僕が初めて 君と話した
赤いレンガの 小さなスナック
見つめる僕に ただうつむいて
何もこたえず はずかしそうで
抱きしめたかったよ
今日もひとりで 待っているんだ
君に会えない 寂しいスナック
キャンドルライトに 面影ゆれる
どこへ行ったの かわいい君よ
忘れられない
どこへ行ったの かわいい君よ
忘れられない
小さな日記
:
(ちいさなにっき):
小さな日記に つづられた
小さな過去の ことでした
忘れたはずの 恋でした
私と彼との 過去でした
ちょっぴりすねて 横むいて
黙ったままで いつまでも
やがては笑って 仲なおり
そんなかわいい 恋でした
山に初雪 降るころに
帰らぬ人と なった彼
二度と笑わぬ 彼の顔
二度と聞こえぬ 彼の声
小さな日記に つづられた
小さな過去の ことでした
二度と帰らぬ 恋でした
忘れたはずの 恋でした
茶摘
:
(ちゃつみ):
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
「あれに見えるは茶摘じゃないか
あかねだすきに菅の笠」
日和つづきの今日此頃を
心のどかに摘みつつ歌う
「摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶になたぬ」
チューリップ
:
(チューリップ):
サイタ サイタ
チューリップ ノ
ハナ ガ
ナランダ
ナランダ
アカ シロ キイロ
ドノ ハナ ミテ モ
キレイ ダ ナ
チューリップのアップリケ
:
(ちゅうりっぷのあっぷりけ):
うちがなんぼはよ おきても
お父ちゃんはもう
クツとんとんたたいてはる
あんまりうちのこと
かもてくれはらへん
うちのお母ちゃん
どこにいってしもたのん
うちの服をはよう持ってきてか
前は学校へそっと逢いにきてくれたのに
もうおじいちゃんが死んださかいに
誰もお母ちゃんおこらはらへんで
はよう持ってきてか
スカートがほしいさかいに
チューリップのアップリケ
ついたスカート持って来て
お父ちゃんも時々こうてくれはるけど
うちやっぱり お母ちゃんにこうてほし
うちやっぱり お母ちゃんにこうてほし
うちのお父ちゃん
暗いうちからおそうまで
毎日クツをトントンたたいてはる
あんなに一生懸命いてはるのに
なんでうち家いつもお金がないんやろ
みんな貧乏がみんな貧乏が悪いんや
そやでお母ちゃん家を出ていかはった
おじいちゃんにお金のことで
いつも大きな声でおこられてはったもん
みんな貧乏のせいや
お母ちゃんちっとも悪うない
チューリップのアップリケ
ついたスカート持って来て
お父ちゃんも時々こうてくれはるけど
うちやっぱり お母ちゃんにこうてほし
うちやっぱり お母ちゃんにこうてほし
中国地方の子守歌
:
(ちゅごくちほうのこもりうた):
ねんねこ しゃっしゃりませ
寝た子の かわいさ
起きて 泣く子の
ねんころろ つらにくさ
ねんころろん ねんころろん
ねんねこ しゃっしゃりませ
きょうは 二十五日さ
あすは この子の
ねんころろ 宮詣り
ねんころろん ねんころろん
宮へ 詣った時
なんと言うて 拝むさ
一生 この子の
ねんころろ まめなように
ねんころろん ねんころろん
蝶々
:
(ちょうちょう):
ちょうちょう ちょうちょう
菜の葉にとまれ
菜の葉に飽いたら
桜にとまれ
桜の花の 花から花へ
とまれよあそべ
あそべよとまれ
おきよ おきよ
ねぐらのすずめ
朝日のひかりの
さしこぬさきに
ねぐらをいでて
こずえにとまり
あそべよすずめ
うたえよすずめ
※ 一節:野村 秋足
二節:稲垣 千頴
追憶
:
(ついおく):
星影やさしく またたくみ空
仰ぎてさまよい 木陰を行けば
葉裏のそよぎは 思い出さそいて
澄みゆく心に しのばるる昔
ああ なつかしその日
さざ波かそけく ささやく岸辺
涼風うれしく さまよい行けば
砕ける月影 思い出さそいて
澄みゆく心に しのばるる昔
ああ なつかしその日
月
:
(つき):
出た出た 月が
まるいまるい
まんまるい
盆のような 月が
隠れた 雲に
黒い黒い
真っ黒い
墨のような 雲に
また出た 月が
まるいまるい
まんまるい
盆のような 月が
月の沙漠
:
(つきのさばく):
月の沙漠を はるばると
旅の駱駝がゆきました
金と銀との鞍置いて
二つならんでゆきました
金の鞍には銀の甕
銀の鞍には金の甕
二つの甕は それぞれに
紐で結んでありました
さきの鞍には王子様
あとの鞍にはお姫様
乗った二人は おそろいの
白い上着を着てました
曠い沙漠をひとすじに
二人はどこへゆくのでしょう
朧にけぶる月の夜を
対の駱駝はとぼとぼと
沙丘を越えてゆきました
黙って 越えてゆきました
出船
:
(でふね):
今宵出船か お名残惜しや
暗い波間に 雪が散る
船は見えねど 別れの小唄に
沖じゃ千鳥も 鳴くぞいな
今鳴る汽笛は 出船の合図
無事で着いたら 便りをくりゃれ
暗いさみしい 火影の下(もと)で
涙ながらに 読もうもの
てるてる坊主
:
(てるてるぼうず):
てるてる坊主 てる坊主
あした天気に しておくれ
いつかの夢の 空のよに
晴れたら 金の鈴あげよ
てるてる坊主 てる坊主
あした天気に しておくれ
私の願いを 聞いたなら
あまいお酒を たんと飲ましょ
てるてる坊主 てる坊主
あした天気に しておくれ
それでも曇って 泣いてたら
そなたの首を チョンと切るぞ
電車ごっこ
:
(でんしゃごっこ):
運転手は君だ
車掌は僕だ
あとの四人が 電車のお客
お乗りはお早く
動きます ちんちん
運転手は上手
電車は早い
つぎは上野の 公園前だ
お降りはお早く
動きます ちんちん
一節改訂
お乗りはお早く 願います
二節改訂
つぎは僕らの 学校前だ
東京音頭
:
(とうきょうおんど):
ハア 躍り踊るなら チョイト
東京音頭 ヨイヨイ
花の都の 花の都の 真中で サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 東京よいとこ 日の本照らす
君が御稜威は 君が御稜威は 天照らす サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 花は上野よ 柳は銀座
月は墨田の 月は墨田の屋形船 サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア おらが丸の内 東京の波止場 サテ
雁と燕の 雁と燕の 上り下り
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 君と臣との千歳の契り
結ぶ都の 結ぶ都の 二重橋 サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 西に富士ヶ嶺 東に筑波
音頭とる子は 音頭とる子は 真中に サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 昔ゃ武蔵野 芒の都
今はネオンの 今はネオンの 灯の都 サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 花になるなら 九段の桜
大和心の 大和心の いろに咲く サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 幼馴染の 観音様は
屋根の月さえ 屋根の月さえ 懐かしや サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ハア 寄せて返して 返して寄せる
東京繁盛の 東京繁盛の 人の波 サテ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
ヤートナ ソレ ヨイヨイヨイ
東京行進曲
:
(とうきょうこうしんきょく):
昔恋しい 銀座の柳
仇な年増を 誰が知ろ
ジャズで踊って リキュルで更けて
明けりゃダンサーの 涙雨
恋の丸ビル あの窓あたり
泣いて踏み書く 人もある
ラッシュアワーに 拾った薔薇を
せめてあおの娘の 思い出に
ひろい東京 恋ゆえ狭い
粋な淺草 忍び逢い
あなた地下鉄 わたしはバスよ
恋のストップ ままならぬ
シネマ見ましょか お茶のみましょう
いっそ小田急で 逃げましょうか
かわる新宿 あの武蔵野の
月もデパートの 屋根に出る
東京ラプソディー
:
(とうきょうラプソディー):
花咲き花散る宵も
銀座の柳の下で
待つは君ひとり君ひとり
逢えば行くティールーム
楽し都 恋の都
夢のパラダイスよ 花の東京
現に夢見る君よ
神田は想い出の街
いまもこの胸にこの胸に
ニコライのかねも鳴る
楽し都 恋の都
夢のパラダイスよ 花の東京
明けても暮れても歌う
ジャズの浅草行けば
恋の踊り子の踊り子の
ほくろさえ忘られぬ
楽し都 恋の都
夢のパラダイスよ 花の東京
夜更けにひととき寄せて
なまめく新宿駅の
あの子はダンサーかダンサーか
気にかかるあの指輪
楽し都 恋の都
夢のパラダイスよ 花の東京
灯台守
:
(とうだいもり):
こおれる月かげ 空にさえて
ま冬のあら波 よする小島
思えよ灯台 守る人の
とうときやさしき 愛の心
はげしき雨風 北の海に
山なすあら波 たけりくるう
その夜も灯台 守る人の
とおときまことよ 海を照らす
遠い世界に
:
(とおいせかいに):
遠い世界に 旅に出ようか
それとも 赤い風船に乗って
雲の上を あるいてみようか
太陽の光で にじを作った
お空の風を もらって帰って
暗い霧を 吹きとばしたい
ボクらの住んでる この街にも
明るい太陽 顔を見せても
心の中は いつも悲しい
力を合わせて 生きる事さえ
今では みんな忘れてしまった
だけどボク達 若者がいる
雲にかくれた 小さな星は
これが日本だ 私の国だ
若い力を 体に感じて
みんなで歩こう 長い道だが
一つの道を 力のかぎり
明日の世界を さがしに行こう
遠くへ行きたい
:
(とおくへいきたい):
知らない街を歩いてみたい
どこか遠くへ行きたい
知らない海をながめていたい
どこか遠くへ行きたい
遠い街 遠い海
夢はるか一人旅
愛する人とめぐり逢いたい
どこか遠くへ行きたい
愛し合い 信じ合い
いつの日か 幸せを
愛する人とめぐり逢いたい
どこか遠くへ行きたい
通りゃんせ
:
(とおりゃんせ):
通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの細道じゃ
天神さまの細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
ご用の無いもの通しゃせぬ
この子の七つのお祝いに
おふだをおさめにまいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ通りゃんせ
どこかで春が
:
(どこかではるが):
どこかで「春」が
生れてる
どこかで水が
ながれ出す
どこかで雲雀が
啼いている
どこかで芽の出る
音がする
山の三月
東風吹いて
どこかで「春」が
うまれてる
ともしび
:
(ともしび):
夜霧のかなたへ 別れを告げ
雄々しきますらお 出でて行く
窓辺にまたたく 灯火に
つきせぬ乙女の 愛のかげ
戦いに結ぶ 誓いの友
されど忘れ得ぬ 心のまち
思い出の姿 いまも胸に
いとしの乙女よ 祖国の灯よ
やさしき乙女の 清き思い
海山はるかに へだつとも
二つの心に 赤くもゆる
こがねの灯火 とわに消えず
変わらぬ誓いを 胸にひめて
祖国の灯のため 戦わん
若きますらおの 赤くもゆる
こがねの灯火 とわに消えず
トロイカ
:
(トロイカ):
雪の白樺並木
夕日が映える
走れトロイカほがらかに
鈴の音高く
走れトロイカほがらかに
鈴の音高く
響け若人の歌
高鳴れバイヤン
走れトロイカかろやかに
粉雪蹴ってく
走れトロイカかろやかに
粉雪蹴ってく
黒い瞳が待つよ
あの森越せば
走れトロイカ今宵は
楽しいうたげ
走れトロイカ今宵は
楽しいうたげ
ドロプスの歌
:
(どろっぷすのうた):
むかし泣きむし神さまが
あさやけ見て泣いて
夕やけ見て泣いて
まっかな涙がポロンポロン
きいろい涙がポロンポロン
それが世界中にちらばって
いまではドロップス
こどもがなめますペロンペロン
おとながなめますペロンペロン
むかし泣きむし神さまが
かなしくても泣いて
うれしくても泣いて
すっぱい涙がポロンポロン
あまい涙がポロンポロン
それが世界中にちらばって
いまではドロップス
こどもが食べますチュルンチュルン
おとなが食べますチュルンチュルン
とんがり帽子
:
(とんがりぼうし):
みどりの丘の 赤い屋根
とんがり帽子の 時計台
鐘が鳴ります キンコンカン
めえめえ小山羊も ないてます
風がそよそよ 丘の家
黄色いお窓は おいらの家よ
みどりの丘の 麦畑
おいらがひとりで いるときに
鐘が鳴ります キンコンカン
鳴る鳴る鐘は 父母の
元気でいろよと 言う声よ
口笛吹いて おいらは元気
とんがり帽子の 時計台
夜になったら 星が出る
鐘が鳴ります キンコンカン
おいらは帰る 屋根の下
父さん母さん いないけど
丘のあの窓 おいらの家よ
おやすみなさい 空の星
おやすみなさい 仲間たち
鐘が鳴ります キンコンカン
きのうにまさる きょうよりも
あしたは もっと倖せに
みんな仲よく おやすみなさい
どんぐりころころ
:
(どんぐりころころ):
どんぐりころころ ドンブリコ
お池にはまって さあ大変
どじょうがが出て来て 今日は
坊ちゃん一緒に 遊びましょう
どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた
な |
ないしょ話
:
(ないしょばなし):
ないしょ ないしょ
ないしょの話は あのねのね
にこにこ にっこり ね 母ちゃん
お耳へ こっそり あのねのね
坊やの おねがい きいてよね
ないしょ ないしょ
ないしょの おねがい あのねのね
あしたの日曜 ね 母ちゃん
ほんとに いいでしょ あのねのね
坊やの おねがい きいてよね
ないしょ ないしょ
ないしょの話は あのねのね
お耳へ こっそり ね 母ちゃん
知っているのは あのねのね
坊やと母ちゃん 二人だけ
長崎の鐘
:
(ながさきのかね):
こよなく晴れた 青空を
悲しと思う せつなさよ
うねりの波の 人の世に
はかなく生きる 野の花よ
なぐさめ はげまし 長崎の
ああ 長崎の 鐘が鳴る
召されて妻は 天国へ
別れてひとり 旅立ちぬ
かたみに残る ロザリオの
鎖に白き わが涙
なぐさめ はげまし 長崎の
ああ 長崎の 鐘が鳴る
つぶやく雨の ミサの声
たたえる風の 神の声
かがやく胸の 十字架に
ほほえむ海の 雲の色
なぐさめ はげまし 長崎の
ああ 長崎の 鐘が鳴る
こころの罪を うちあけて
更けゆく夜の 月澄みぬ
貧しき家の 柱にも
気高く白き マリア様
なぐさめ はげまし 長崎の
ああ 長崎の 鐘が鳴る
長崎物語
:
(ながさきものがたり):
赤い花なら 曼珠沙華
阿蘭陀屋敷に 雨が降る
濡れて泣いてる じゃがたらお春
未練な出船の ああ鐘が鳴る
ララ鐘が鳴る
坂の長崎 石畳
南京煙火に 日が暮れて
そぞろ恋しい 出島の沖に
母の精霊が ああ流れ行く
ララ流れ行く
平戸離れて 幾百里
つづる文さえ つくものを
なぜに帰らぬ じゃがたらお春
サンタクルスの ああ鐘が鳴る
ララ鐘が鳴る
仲よし小道
:
(なかよしこみち):
仲よし小道は どこの道
いつも学校へ みよちゃんと
ランドセル背負って 元気よく
お歌をうたって 通う道
仲よし小道は うれしいな
いつもとなりの みよちゃんが
にこにこあそびに かけてくる
なんなんなの花 匂う道
仲よし小道の 小川には
とんとん板橋 かけてある
仲よく並んで 腰かけて
お話するのよ たのしいな
仲よし小道の 日ぐれには
母さんお家で お呼びです
さよならさよなら また明日
お手々をふりふり さようなら
夏の思い出
:
(なつのおもいで):
夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 遠い空
霧のなかに うかびくる
やさしい影 野の小径
水芭蕉の花が 咲いている
夢みて咲いている 水の辺り
石楠花色に たそがれる
はるかな尾瀬 遠い空
夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 野の旅よ
花のなかに そよそよと
ゆれゆれる 浮き島よ
水芭蕉の花が 匂っている
夢みて匂っている 水の辺り
まなこつぶれば 懐かしい
はるかな尾瀬 遠い空
夏は来ぬ
:
(なつはきぬ):
卯の花の匂う垣根に 時鳥
早も来鳴きて 忍音もらす 夏は来ぬ
さみだれの注ぐ山田に 賤の女(早乙女)が
裳裾ぬらして 玉苗植うる 夏は来ぬ
橘の薫る軒場の 窓近く
蛍飛びかい おこたり諫むる 夏は来ぬ
楝(おうち)ちる川べの宿の 門遠く
水鶏声して 夕月すずしき 夏は来ぬ
五月闇 蛍飛びかい 水鶏なき
卯の花咲きて 早苗植えわたす 夏は来ぬ
七つの子
:
(ななつのこ):
烏 なぜ啼くの
烏は山に
可愛七つの
子があるからよ
可愛 可愛と
烏は啼くの
可愛可愛と
啼くんだよ
山の古巣へ
いって見て御覧
丸い眼をした
いい子だよ
平城山
:
(ならやま):
人恋うは
悲しきものと
平城山に
もとおり来つつ
堪えがたかりき
いにしえも
夫(つま)に恋いつつ
越えしとう
平城山の道に
涙おとしぬ
二宮金次郎
:
(にのみやきんじろう):
柴刈り 縄ない 草鞋をつくり
親の手を助け弟を世話し
兄弟仲よく孝行つくす
手本は二宮金次郎
骨身を惜しまず仕事にはげみ
夜なべを済まして手習い読書
せわしい中にも撓(たゆ)まず学ぶ
手本は二宮金次郎
家業大事に費(ついえ)をはぶき
少しの物をも粗末にせずに
遂には身を立て 人をもすくう
手本は二宮金次郎
庭の千草
:
(にわのちぐさ):
庭の千草も 虫の音も
枯れて淋しく なりにけり
ああ 白菊
ああ 白菊
ひとり遅れて 咲きにけり
露にたわむや 菊の花
霜におごるや 菊の花
ああ あわれあわれ
ああ 白菊
人の操も かくてこそ
人形
:
(にんぎょう):
わたしの人形は よい人形
目はぱっちりと いろじろで
小さい口もと 愛らしい
わたしの人形は よい人形
わたしの人形は よい人形
歌を歌えば ねんねして
ひとりでおいても 泣きません
わたしの人形は よい人形
野菊
:
(のぎく):
遠い山から吹いてくる
こ寒い風にゆれながら
けだかく きよく匂う花
きれいな野菊 うすむらさきよ
秋の日ざしをあびてとぶ
とんぼをかろく休ませて
しずかに咲いた野辺の花
やさしい野菊 うすむらさきよ
しもがおりてもまけないで
野原や山に群れて咲き
秋のなごりを惜しむ花
あかるい野菊 うすむらさきよ
野風増
:
(のふぞ):
お前が二十歳になったら
酒場で二人で飲みたいものだ
ぶっかき氷に焼酎入れて
つまみはスルメかエイのひれ
お前が二十歳になったら
想い出話で飲みたいものだ
したたか飲んでダミ声上げて
お前の二十歳を祝うのさ
いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい
いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て…!!
お前が二十歳になったら
女の話で飲みたいものだ
惚れて振られた昔のことを
思い出してはにが笑い
お前が二十歳になったら
男の遊びで飲みたいものだ
はしごはしごで明日を忘れ
お前の二十歳を祝うのさ
いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい
いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て…!!
お前が二十歳になったら
旅に出るのもいいじゃないか
旅立つ朝は冷や酒干して
お前の門出を祝うのさ
いいか男は 生意気ぐらいが丁度いい
いいか男は 大きな夢を持て
野風増 野風増 男は夢を持て…!!
野風増 野風増 男は夢を持て…!!
は |
箱根八里
:
(はこね八り):
箱根の山は 天下の険 函谷関も物ならず
万丈の山 千仞の谷 前に聳え後に支う
雲は山をめぐり
霧は谷をとざす
昼猶闇き杉の並木 羊腸の小径は苔滑か
一夫関に当たるや万夫も開くなし
天下に旅する剛毅のの武士
大刀腰に足駄がけ 八里の岩根踏み鳴らす
斯くこそありしか往時の武士
箱根の山は 天下の阻 蜀の桟道数ならず
万丈の山 千仞の谷 前に聳え後に支う
雲は山をめぐり
霧は谷をとざす
昼猶闇き杉の並木 羊腸の小径は苔滑か
一夫関に当たるや万夫も開くなし
山野に狩りする剛毅の壮士
猟銃肩に草鞋がけ 八里の岩根踏み破る
斯くこそありしか近時の壮士
羽衣
:
(はごろも):
白い はまべの
松原に
波が よせたり
かえしたり
あまの 羽衣
ひらひらと
天にょの まいの
美しさ
いつか かすみに
つつまれて
空に ほんのり
富士の 山
鳩
:
(はと):
ぽっ ぽっ ぽ
鳩ぽっぽ
豆がほしいか
そらやるぞ
みんなで仲よく
食べに来い
ぽっ ぽっ ぽ
鳩ぽっぽ
豆はうまいか
食べたなら
一度にそろって
飛んで行け
花
:
(はな):
春のうららの隅田川
のぼりくだりの船人が
櫂のしずくも花と散る
ながめを何にたとうべき
見ずやあけぼの露浴びて
われにもの言う桜木を
見ずや夕ぐれ手をのべて
われさしまねく青柳を
錦おりなす長堤に
くぐればのぼるおぼろ月
げに一刻も千金の
ながめを何にたとうべき
花かげ
:
(はなかげ):
十五夜お月さま ひとりぼち
桜吹雪の 花かげに
花嫁すがたの お姉さま
俥にゆられて 行きました
十五夜お月さま 見てたでしょう
桜吹雪の 花かげに
花嫁すがたの 姉さまと
お別れ惜しんで 泣きました
十五夜お月さま ひとりぼち
桜吹雪の 花かげに
遠いお里の お姉さま
私はひとりに なりました
はなさかじじい
:
(はなさかじじい):
うらのはたけで ぽちはなく
しょうじきじいさん ほったれば
大ばん こばんが ザクザク ザクザク
いじわるじいさん ぽちかりて
うらのはたけを ほったれば
かわらやかいがら ガラガラ ガラガラ
しょうじきじいさん うすほって
それで もちを ついたれば
またぞろ こばんが ザクザク ザクザク
いじわるじいさん うすかりて
それで もちを ついたれば
またぞろ かいがら ガラガラ ガラガラ
しょうじきじいさん はいまけば
はながさいたかれえでだに
ほうびは たくさん おくらに いっぱい
いじわるじいさん はいまけば
とのさまの めに それがいり
とうとう ろうやに つながれました
花嫁
:
(はなよめ):
花嫁は 夜汽車にのって
とついでゆくの
あの人の 写真を胸に
海辺の街へ
命かけて燃えた 恋が結ばれる
帰れない 何があっても
心に誓うの
小さな カバンにつめた
花嫁衣装は
ふるさとの 丘に咲いてた
野菊の花束
命かけて燃えた 愛が結ばれる
何もかも 捨てた花嫁
夜汽車にのって………
花嫁人形
:
(はなよめにんぎょう):
金襴緞子の 帶しめながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
文金島田に 髪結いながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ
あねさんごっこの 花嫁人形は
赤い鹿の子の 振袖着てる
泣けば鹿の子の たもとが切れる
涙で鹿の子の 赤い紅にじむ
泣くに泣かれぬ 花嫁人形は
赤い鹿の子の 千代紙衣装
埴生の宿
:
(はにゅうのやど):
埴生の宿も わが宿
玉のよそいも うらやまじ
のどかなりや 春の空
花はあるじ 鳥は友
おお わが宿よ
たのしとも たのもしや
ふみよむ窓も わが窓
瑠璃の床も うらやまじ
清らかなりや 秋の夜半
月はあるじ むしは友
おお わが窓よ
たのしとも たのもしや
波浮の港
:
(はぶのみなと):
磯の鵜の鳥ゃ 日暮れにゃかえる
波浮の港にゃ 夕やけ小やけ
明日の日和は
ヤレホンニサ なぎるやら
舟もせかれりゃ 出船の支度
島の娘たちゃ 御神火ぐらし
なじょな心で
ヤレホンニサ いるのやら
島で暮らすにゃ とぼしゅうてならぬ
伊豆の伊東とは 郵便だより
下田港とは
ヤレホンニサ 風だより
風は汐風 御神火おろし
島の娘たちゃ 出船のときにゃ
船のとも綱
ヤレホンニサ 泣いて解く
磯の鵜の鳥ゃ 沖から磯へ
泣いて送らりゃ 出船もにぶる
あすの日和は
ヤレホンニサ なぎるやら
浜千鳥
:
(はまちどり):
青い月夜の 浜辺には
親を探して 鳴く鳥が
波の国から 生まれでる
濡れたつばさの 銀の色
夜鳴く鳥の 悲しさは
親を尋ねて 海こえて
月夜の国へ 消えてゆく
銀のつばさの 浜千鳥
浜辺の歌
:
(はまべのうた):
あした浜辺を さまよえば
昔のことぞ 忍ばるる
風の音よ 雲のさまよ
よする波も 貝の色も
ゆうべ浜辺を もとおれば
昔の人ぞ 忍ばるる
寄する波よ かえす波よ
月の色も 星の影も
バラが咲いた
:
(バラがさいた):
バラが咲いた バラが咲いた
真っ赤なバラが
さびしかった僕の庭に バラが咲いた
たったひとつ咲いたバラ 小さなバラで
さびしかった僕の庭が 明るくなった
バラよバラよ 小さなバラ
いつまでも そこに咲いてておくれ
バラが咲いた バラが咲いた
真赤なバラで
さみしかった僕の庭が 明るくなった
バラが散った バラが散った
いつの間にか
僕の庭は前のように さびしくなった
僕の庭のバラは散って しまったけれど
さびしかった僕の心に バラが咲いた
バラよバラよ 心のバラ
いつまでも ここで咲いてておくれ
バラが咲いた バラが咲いた
僕の心に
いつまでも散らない 真赤なバラが
いつまでも散らない 真赤なバラが
春が来た
:
(はるがきた):
春が来た 春が来た どこに来た
山に来た 里に来た
野にも来た
花が咲く 花が咲く どこに咲く
山に咲く 里に咲く
野にも咲く
鳥が鳴く 鳥が鳴く どこで鳴く
山で鳴く 里で鳴く
野でも鳴く
春のうた
:
(はるのうた):
桜の花の咲く頃は
うらら うららと 日はうらら
ガラスの窓さえ みなうらら
学校の庭さえ みなうらら
河原でひばりの鳴く頃は
うらら うららと 日はうらら
乳牛舎(ちちや)の牛さえ みなうらら
鶏舎(とりや)の鶏さえ みなうらら
畑に菜種の咲く頃は
うらら うららと 日はうらら
渚の砂さえ みなうらら
どなたの顔さえ みなうらら
春の小川
:
(はるのおがわ):
春の小川は さらさらいくよ
岸のすみれや れんげの花に
すがたやさしく 色うつくしく
咲いているねと ささやきながら
春の小川は さらさらいくよ
えびやめだかや 小ぶなの群れに
きょうも一日 ひなたでおよぎ
遊べ遊べと ささやきながら
※ 上記歌詞は、昭和17年3月、「初等科音楽(一)」に収録に際し、
岡野辰之の、文語体の歌詞を林柳波が、口語体に修正したもの。
岡野の「原詞」は、下のとおり。
春の小川は さらさら流る
岸のすみれや れんげの花に
においめでたく 色うつくしく
咲けよ咲けよと ささやくごとく
春の小川は さらさら流る
えびやめだかや 小ぶなの群れに
けふも一日 ひなたに出でて
遊べ遊べと ささやくごとく
春の小川は さらさら流る
歌の上手よ いとしき子ども
声をそろえて 小川の歌を
うたえうたえと ささやくごとく
春よ来い
:
(はるよこい):
春よ来い 早く来い
あるきはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている
春よ来い 早く来い
おうちのまえの 桃の木の
蕾もみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている
春爛漫の花の色
:
(はるらんまんのはなのいろ):
春爛漫の花の色
紫匂う雲間より
紅深き朝日影
のどけき光さし添えば
鳥はさえずり蝶は舞い
散りくる花も光あり
秋玲瓏の夕紅葉
山の端近くかぎろえる
血汐の色の夕日影
岡の紅葉にうつろえば
錦栄えある心地して
入相(いりあい)の鐘暮れてゆく
それ濁流に魚住まず
秀麗の地に健児あり
勤倹尚武の旗の色
自治共同の笛の声
白雲なびく向陵に
籠るも久し十余年
嗚呼衰えぬ東洋の
二千余載の君子国
銀鞍白馬(ぎんあんはくば)華をてらい
翠袖玉釵(すいしゅうぎょくさ)美をつくし
栄華の夢をむさぼりて
文明の化(か)に人酔えり
港を遠み夜はくらく
さかまく怒濤の大洋に
木の葉のごとく漂える
梶の緒絶えたる小舟すら
はるかに見ゆる明星の
光に行手を定むなり
自治の光は常闇の
国を照らせる北斗星
大和島根の人々の
心の梶を定むなり
もしそれ自治のあらずんば
この国民をいかにせん
(旧制第一高等学校寮歌)
ひえつき節
:
(ひえつきぶし):
庭のさんしゅうの木
鳴る鈴かけて ヨーオーホイ
鈴のなるときゃ出ておじゃれヨー
鈴の鳴るときゃ
何と言うて出ましょヨーオーーホイ
駒に水くりょと言うて出ましょヨー
なんぼ搗いても
この稗ァ搗けぬ ヨーオーホイ
どこの御蔵の下積かヨー
稗は搗いても
来るこた来るが ヨーーオーホイ
しばし待ちやれおそござるヨー
しばし待ちやれ
稗搗いてしもて ヨーオーホイ
お茶を飲ませて抱いて寝るヨー
人を恋うる歌
:
(ひとをこうるうた):
妻をめとらば 才たけて
見目麗しく 情けある
友を選ばば 書を読みて
六分の侠気 四分の熱
恋の命を たずねれば
名を惜しむかな 男の子ゆえ
友の情を たずねれば
義のあるところ 火をも踏む
あゝわれコルッジの奇才なく
バイロン、ハイネの熱なきも
石をいだきて 野にうたう
芭蕉のさびを よろこばず
ひな祭り
:
(ひなまつり):
赤い もうせん しきつめて
おだいり様は 上のだん
金のびょうぶに ぎんのだい
五人ばやしや 官女たち
そろってならぶ 下のだん
どれもきれいな おひな様
あられ ひしもち お白酒
ぼんぼり かざる 面白さ
今日は 三月 ひなまつり
日の丸の旗
:
(ひのまるのはた):
白地に 赤く
日の丸 染めて
ああ うつくしい
日本の 旗は
朝日に 昇る
いきおい 見せて
ああ 勇ましい
日本の 旗は
琵琶湖周航の歌
:
(びわこしゅうこうのうた):
われは湖の子さすらいの
旅にしあればしみじみと
昇る狭霧やさざなみの
志賀の都よいざさらば
松は緑に砂白き
雄松が里の乙女子は
赤い椿の森蔭に
はかなあい恋に泣くとかや
波のまにまに漂えば
赤い泊火懐しみ
行方定めぬ波枕
今日は今津か長浜か
瑠璃の花園珊瑚の宮
古い伝えの竹生島
仏の御手に抱かれて
眠れ乙女子やすらけく
矢の根は深く埋もれて
夏草しげき堀のあと
古城にひとり佇めば
比良も伊吹も夢のごと
西国十番長命寺
汚れの現世(うつしよ)遠く去りて
黄金の波にいざこがん
語れ我が友熱き心
ふじの山
:
(ふじのやま):
あたまを雲の上に出し
四方の山を見おろして
かみなりさまを下に聞く
富士は日本一の山
青ぞら高くそびえたち
からだに雪の着もの着て
かすみのすそを遠く引く
富士は日本一の山
ふたあつ
:
(ふたあつ):
ふたあつ ふたあつ なんでしょね
お目々がいち に ふたつでしょ
お耳もほらね ふたつでしょ
ふたあつ ふたあつ まだあって
お手々がいち に ふたつでしょ
あんよもほらね ふたつでしょ
まだまだいいもの なんでしょか
まあるいあれよ かささんの
おっぱいほらね ふたつでしょ
冬景色
:
(ふゆげしき):
さ霧消ゆる湊江の
舟に白し 朝の霜
ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず 岸の家
烏啼きて木に高く
人は畑に麦を踏む
実に小春日ののどけしや
かえり咲きの花も見ゆ
嵐吹きて雲は落ち
時雨降りて日は暮れぬ
若し燈火の漏れ来ずば
それと分かじ 野辺の里
冬の星座
:
(ふゆのせいざ):
木枯らしとだえて さゆる空より
地上に降りしく 奇しき光よ
ものみないこえる しじまの中に
きらめき揺れつつ 星座はめぐる
ほのぼの明かりて 流るる銀河
オリオン舞い立ち スバルはさざめく
無窮をゆびさす 北斗の針と
きらめき揺れつつ 星座はめぐる
冬の夜
:
(ふゆのよる):
燈火ちかく衣縫う母は
春の遊びの楽しさ語る
居並ぶ子どもは指を折りつつ
日数数えて喜び勇む
囲炉裏火はとろとろ
外は吹雪
囲炉裏のはたに縄なう父は
過ぎしいくさの手柄を語る
居並ぶ子どもはねむさ忘れて
耳を傾け こぶしを握る
囲炉裏火はとろとろ
外は 吹雪
故郷
:
(ふるさと):
兎追いしかの山
小鮒釣りしかの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき故郷
如何にいます父母
恙なしや友がき
雨に風につけても
思い出ずる故郷
志をはたして
いつの日にか帰らん
山は青き故郷
水は清き故郷
ペチカ
:
(ぺちか):
雪のふる夜はたのしいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
むかしむかしよ
燃えろよ ペチカ
雪のふる夜はたのしいペチカ
ペチカ燃えろよ おもては寒い
栗や栗やと
呼びます ペチカ
雪のふる夜はたのしいペチカ
ペチカ燃えろよ じき春来ます
いまに楊も
萌えましょ ペチカ
雪のふる夜はたのしいペチカ
ペチカ燃えろよ 誰だか来ます
お客さまでしょ
うれしい ペチカ
雪のふる夜はたのしいペチカ
ペチカ燃えろよ お話しましょ
火の粉ぱちぱち
はねろよ ペチカ
星の流れに
:
(ほしのながれに):
星の流れに 身をうらなって
どこをねぐらの 今日の宿
荒む心でいるのじゃないが
泣けて涙も かれ果てた
こんな女に誰がした
煙草ふかして 口笛ふいて
あてもない夜の さすらいに
人は見返る わが身は細る
町の灯影の わびしさよ
こんな女に誰がした
飢えて今頃 妹はどこに
一目逢いたい お母さん
ルージュ哀しさや 唇かめば
闇の夜風も 泣いて吹く
こんな女に誰がした
蛍
:
(ほたる):
蛍のやどは川ばた楊
楊おぼろに夕やみ寄せて
川の目高が夢見る頃は
ほ ほ ほたるが灯をともす
川風そよぐ 楊もそよぐ
そよぐ楊に蛍がゆれて
山の三日月隠れる頃は
ほ ほ ほたるが飛んで出る
川原のおもは 五月の闇夜
かなたこなたに友よび集い
むれて蛍の大まりこまり
ほ ほ ほたるが飛んで行く
蛍の光
:
(ほたるのひかり):
ほたるの光 窓の雪
書よむ月日 重ねつつ
いつしか年も すぎの戸を
明けてぞ けさは 別れゆく
とまるも行くも 限りとて
かたみに思う ちよろずの
心のはしを 一言に
さきくとばかり 歌うなり
筑紫のきわみ みちのおく
海山とおく へだつとも
その真心は へだてなく
ひとつに尽くせ 国のため
千島のおくも 沖縄も
八洲のうちの 守りなり
至らんくにに いさおしく
つとめよ わがせ つつがなく
北帰行
:
(ほっきこう):
窓は夜露にぬれて
都すでに遠のく
北へ帰る旅人ひとり
涙ながれて止まず
夢は空しく消えて
今日も闇をさすらう
遠き想いはかなき望み
恩愛われを去りぬ
今は黙して行かん
何をまた語るべき
さらば祖国いとしき人よ
明日はいずこの町か
ま |
牧場の朝
:
(まきばのあさ):
ただ一面に 立ちこめた
牧場の朝の 霧の海
ポプラ並木の うっすりと
黒い底から 勇ましく
鐘が鳴る鳴る かんかんと
もう起き出した 小舎小舎の
あたりに高い 人の声
霧に包まれ あちこちに
動く羊の 幾群の
鈴が鳴る鳴る りんりんと
今さし昇る 日の影に
夢からさめた 森の山
赤い光に 染められた
遠い野末に 牧童の
笛が鳴る鳴る ぴいぴいと
真白き富士の根
:
(ましろきふじのね):
別項 「七里ヶ浜の哀歌」 参照
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街のサンドイッチマン
:
(まちのサンドイッチマン):
ロイド眼鏡に 燕尾服
泣いたら燕が 笑うだろう
涙出た時ゃ 空を見る
サンドイッチマン サンドイッチマン
俺らは 街のお道化者
呆け笑顔で 今日もゆく
嘆きは誰でも 知っている
この世は悲哀の 海だもの
泣いちゃいけない 男だよ
サンドイッチマン サンドイッチマン
俺らは 街のお道化者
今日もプラカード 抱いてゆく
あかるい舗道に 肩を振り
笑ってゆこうよ 影法師
夢をなくすりゃ それまでよ
サンドイッチマン サンドイッチマン
俺らは街の お道化者
胸にそよ風 抱いてゆく
待ちぼうけ
:
(まちぼうけ):
待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日 せっせこ 野良かせぎ
そこへ兎が飛んで出て
ころり ころげた
木のねっこ
待ちぼうけ 待ちぼうけ
しめた これから寝て待とうか
待てば獲ものは駆けて来る
兎ぶつかれ
木のねっこ
待ちぼうけ 待ちぼうけ
昨日鍬とり 畑仕事
今日は頬づえ 日向ぼこ
うまい伐り株
木のねっこ
待ちぼうけ 待ちぼうけ
今日は今日はで待ちぼうけ
明日は明日で森のそと
兎待ち待ち
木のねっこ
待ちぼうけ 待ちぼうけ
もとは涼しい黍畑
今は荒野の箒草
寒い北風
木のねっこ
まつぼっくり
:
(まつぼっくり):
まつぼっくりが あったとさ
たかいおやまに あったとさ
ころころころころ あったとさ
おさるがひろって たべたとさ
旧制松山高等学校寮歌(三光寮を詠う)
:
(まつやまこうとうがっこうさんこうりょうをうたう):
あゝ南海の夢の春
花の酒宴に屯して
今宵血気の若人が
歓喜の極躍り舞ふ
疲れて眠るよもすがら
敷き寝の花を蹴て立てば
緑酒琥珀の盃に
宿す千里の月の影
橄攬の花手折りては
常闇破る暁を
希望に燃ゆる君と我
高き理想を語らなむ
明治の帝~去りし
日出る国を守らんと
籠りて立つる三光の
真紅の意気を知るや君
浮世の道の果遠く
疲れ倒れし若人よ
黙示ありげに星宵は
夜明けの空に瞬きぬ
古城過(よぎ)りて雁(かりがね)の
鳴音悲しき月の夜
思は遠き故郷に
憂児の夢や涙あり
波北海に鳴りとよみ
海鴎高くなき叫ぶ
祖国の嵐いざ立ちて
仰げ理想の北極星
梅の香かほる三光の
自治燈永久に醜雲を
払ひて照らす皇国の
一大巨火と輝やかん
※ 第七節:「鴎」 は正字は、第三水準で表出出来ないため、同意文字を充てた
旧制松山高等学校寮歌(逍遥歌)
:
(まつやまこうとうがっこうしょうようか):
若葉の古城上り来て
空しく更くる青春を
我が声低く誦する時
思ひは遠き故郷の
御空に光る星七つ
啓示(さとし)の色に冴ゆるかな
内海に咽ぶ落ち汐の
遠鳴き聞けばしみじみと
片帆悲しき漁舟
赤き夜泊の灯を恋ふて
夜すがら叫び狂ふてふ
淋しき海鳥(とり)を偲びつゝ
乱るゝ花影頬に受け
小胸に秘めし若き日の
憂ひを語るわが友が
指ざす彼方南(みんなみ)に
沈黙(しじま)を煙る峯々は
五代が森か石鎚か
あゝ五丈原悲愁の夜
三顧の意気に感じては
鬼神は玉と砕けたり
杯あげよ君いざや
燃ゆる誇を讃へつゝ
琥珀の酒に酔はん哉
生命(いのち)の旅の果てしらに
幾夜結ばん草枕
使命ぞ重き若人が
月三更の酒汲めば
明るき希望照る瞳(まみ)に
三歳(みとせ)の夢さゆらぐよ
鞠と殿様
:
(まりととのさま):
てんてん手鞠 てん手鞠
てんてん手鞠の 手がそれて
どこから どこまで とんでった
垣根をこえて 屋根こえて
おもての通りへ とんでった とんでった
おもての行列 なんじゃいな
紀州の殿さま お国入り
金紋 先箱 供ぞろい
お駕籠のそばには ひげやっこ
毛槍ををふりふり やっこらさの やっこらさ
てんてん手鞠は てんころり
はずんでおかごの 屋根のうえ
「もしもし 紀州のお殿さま
あなたのお国の みかん山
わたしに 見させて下さいな 下さいな」
お駕籠はゆきます 東海道
東海道は 松並木
とまり とまりで 日がくれて
一年たっても 戻りゃせぬ
三年たっても 戻りゃせぬ 戻りゃせぬ
てんてん手鞠は 殿さまに
だかれて はるばる 旅をして
紀州はよい国 日のひかり
山のみかんに なったげな
赤いみかんに なったげな なったげな
毬藻の唄
:
(まりものうた):
水面をわたる 風さみし
阿寒の山の 湖に
浮かぶ毬藻よ なに思う
毬藻よ毬藻 高フ毬藻
晴れれば浮かぶ 水の上
曇れば沈む 水の底
恋は恋しと 嘆きあう
毬藻よ毬藻 涙の毬藻
アイヌの村に 今もなお
恋しく残る ロマンスを
歌う毬藻の 影さみし
毬藻よ毬藻 高フ毬藻
満州里小唄
:
(まんちゅりこうた):
積もる吹雪に 暮れゆく街よ
渡り鳥なら 伝えておくれ
風のまにまに シベリア鴉
ここは北国 満州里
暮れりゃ夜風が そぞろに寒い
さあさあ燃やそうよ ペチカを燃やそう
燃えるペチカに 心も解けて
唄えボルガの 舟唄を
凍る大地も 春には溶けて
咲くよアゴニカ 真っ赤に咲いて
明日の望みを 語ればいつか
雪はまだ降る 夜は白む
みかんの花咲く丘
:
(みかんのはなさくおか):
みかんの花が 咲いている
思い出の道 丘の道
はるかに見える 青い海
お船が遠く かすんでる
黒い煙を はきながら
お船は どこへ行くのでしょう
波に揺られて 島のかげ
汽笛がぼうと 鳴りました
何時か来た丘 母さんと
一緒にながめた あの島よ
今日も一人で 見ていると
やさしい母さん 思われる
みだれ髪
:
(みだれがみ):
髪のみだれに 手をやれば
赤い蹴出しが 風に舞う
憎や 恋しや 塩谷の岬
投げて届かぬ 想いの糸が
胸にからんで 涙をしぼる
すてたお方の しあわせを
祈る女の 性かなし
辛や 重たや わが恋ながら
沖の瀬をゆく 底曳き網の
舟にのせたい この片情け
春は二重に 巻いた帯
三重に巻いても 余る秋
暗や 涯てなや 塩谷の岬
見ぬ心を 照らしておくれ
ひとりぽっち しないでおくれ
見てござる
:
(みてござる):
村のはずれの お地蔵さんは
いつもにこにこ 見てござる
仲よしこよしの じゃんけんぽん
はい 石けりなわとび かくれんぼ
元気にあそべと 見てござる
それ見てござる
たんぼたなかの かかしどんは
いつもいばって 見てござる
チュンチュンバタバタ すずめども
ほい おこめをあらしに きはせぬか
おかたをいからし 見てござる
それ見てござる
山のカラスの かんざぶろうは
いつもカアカア 見てござる
おいしいおだんご どこじゃいな
ほい お山の上から キョロキョロと
あの里この里 見てござる
それ 見てござる
夜はお空の お月さんが
いつもやさしく 見てござる
あちらのおうちの 良い子供
ほい こちらのおうちの 良い子供
おねんねしたかと 見てござる
それ 見てござる
緑の地平線
:
(みどりのちへいせん):
なぜか忘れぬ 人故に
涙かくして 踊る夜は
ぬれし瞳に すすり泣く
リラの花さえ なつかしや
わざと気強く ふりすてて
無理に注がして 飲む酒も
霧の都の 夜は更けて
夢もはかなく 散りて行く
山のけむりを 慕いつつ
いとし小鳩の 声きけば
遠き前途に ほのぼのと
緑うれしや 地平線
港
:
(みなと):
空も港も夜ははれて
月に数ます船のかげ
端艇(はしけ)の通いにぎやかに
寄せくる波も黄金なり
林なしたる檣(ほばしら)に
花と見まごう船旗章(ふなじるし)
積荷の歌のにぎわいて
港はいつも春なれや
都ぞ弥生
:
(みやこぞやよい):
都ぞ弥生の 雲むらさきに
花の香ただよう 宴遊の筵
尽きせぬ奢に 濃き紅や
その春暮れては 移ろう色の
夢こそ一時 青き繁みに
燃えなん我胸 想いを載せて
星影冴やかに 光れる北を
人の世の
清き国ぞと憧れぬ
豊かに稔れる 石狩の野に
雁はるばる 沈みてゆけば
羊群声なく 牧舎に帰り
手稲の巓 黄昏こめぬ
雄々しく聳ゆる 楡(エルム)の梢
打振る野分に 破壊(はえ)の葉音の
さやめく甍に 久遠の光
おごそかに
北極星を仰ぐかな
寒月懸かれる 針葉樹林
橇の音凍りて 物皆寒く
野もせに乱るる 清白の雪
沈黙(しじま)の暁 霏々として舞う
あゝその朔風 (風炎)々(ひょうひょう)として
荒ぶる吹雪の 逆まくを見よ
あゝその蒼空 梢聯ねて
樹氷咲く
壮麗の地をここに見よ
牧場の若草 陽炎燃えて
森には桂の 新緑萠(きざ)し
雲ゆく雲雀に 延齢草の
真白の花影 さゆらぎて立つ
今こそ溢れぬ 清和の光
小河の潯(ほとり)を さまよい行けば
美しからずや 咲く水芭蕉
春の日の
この北の国幸多し
朝雲流れて 金色(こんじき)に照り
平原果てなき 東(ひんがし)の際(きわ)
連なる山脈(やまなみ) 玲瓏として
今しも輝く 紫紺の雪に
自然の芸術(たくみ)を 懐(なつかし)みつつ
高鳴る血潮の 迸(ほとばし)りもて
貴(とうと)き野心の 訓(おしえ)培い
栄え行く
我等が寮を誇らずや
−北海道大学予科寮歌−
麦と兵隊
:
(むぎとへいたい):
徐州徐州と 人馬は進む
徐州いよいか 住みよいか
洒落た文句に ふり返りゃ
お国訛りの おけさ節
髭が微笑む 麦畑
戦友を背にして 道なき道を
行けば戦野は 夜の雨
すまぬすまぬを 背中に聞けば
馬鹿を言うなと また進む
兵の歩みの 頼もしさ
腕を叩いて 遙かな空を
仰ぐ眸に 雲が飛ぶ
遠く祖国を 離れ来て
しみじみ知った 祖国愛
戦友よ来て見よ あの雲を
行けど進めど 麦また麥の
波の深さよ 夜の寒さ
声を殺して 黙々と
影を落として 粛々と
兵は徐州へ 前線へ
むすんでひらいて
:
(むすんでひらいて):
むすんで ひらいて
てをうって むすんで
また ひらいて れをうって
そのてを うえに
むすんで ひらいて
てをうって むすんで
村の鍛冶屋
:
(むらのかじや):
しばしも休まず つち打つひびき
飛び散る火花よ 走る湯玉
ふいごの風さえ 息をもつがず
仕事に精出す 村の鍛冶屋
あるじは名高い はたらきものよ
早起き早寝の やまい知らず
長年きたえた 自慢の腕で
打ち出すすきくわ 心こもる
※ 上、掲載歌詞は、昭和17年3月発行、「初等科音楽(二)」国民学校初等科第四学年用に収録の際、
三・四番を割愛して、二番までとし、文語体を口語体に訂正されたもの。
文語体の旧歌詞は、下のとおり。
暫時もやまずに 槌うつ響
飛び散る火の玉 はしる湯玉
鞴の風さえ 息をもつがず
仕事に精出す 村の鍛冶屋
主は名高き いっこく老爺(おやじ)
早起早寝の 病知らず
鉄より堅しと 誇れる腕に
勝りて堅きは 彼がこころ
刀はうたねど 大鎌小鎌
馬鍬に作鍬 鋤よ鉈よ
平和のうち物 休まずうちて
日毎に戦う 懶惰の敵と
稼ぐにおいつく 貧乏なくて
名物鍛冶屋は 日々に繁昌
あたりに類なき 仕事の誉れ
槌うつ響に まして高し
村祭
:
(むらまつり):
村の鎮守の神様の
今日はめでたい御祭日
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
朝から聞こえる笛太鼓
年も豊年満作で
村は総出の大祭(めぐみたたえる)
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
夜まで賑う宮の森
治まる御代に神様の(めぐみの秋に)
めぐみ仰ぐや村祭
どんどんひゃらら どんひゃらら
どんどんひゃらら どんひゃらら
夜まで賑う宮の森
明治大学校歌
:
(めいじだいがくこうか):
白雲なびく駿河台
眉秀でたる 若人が
撞くや時代の 暁けの鐘
文化の潮 導きて
遂げし維新の 栄になう
「明治」その名ぞ われが誇り
「明治」その名ぞ われらが母校
権利自由の揺籃の
歴史は古く 今もなお
強き光に 輝けり
独立自治の 旗かざし
高き理想の 道を行く
我らが健児の 意気をば知るや
我らが健児の 意気をば知るや
霊峰不二を 仰ぎつつ
刻苦研鑽 他念無き
われらに燃ゆる 希望あり
いでや東亜の一角に
時代の夢を 破るべく
正義の鐘を 打ちて鳴らさん
正義の鐘を 打ちて鳴らさん
めだかの学校
:
(めだかのがっこう):
めだかの学校は 川のなか
そっとのぞいて みてごらん
そっとのぞいて みてごらん
みんなでおゆうぎ しているよ
めだかの学校の めだかたち
だれが生徒か 先生か
だれが生徒か 先生か
みんなでげんきに あそんでる
めだかの学校は うれしそう
水にながれて つーいつい
水にながれて つーいつい
みんながそろって つーいつい
もずが枯木で
:
(もずがかれきで):
もずが枯木で鳴いている
おいらは藁をたたいてる
綿ひき車はおばあさん
コットン水車も廻ってる
みんな去年と同じだよ
けれども足りねえものがある
兄んさの薪割る音がねえ
パッサリ薪割る音がねえ
兄んさは満州へ行っただよ
鉄砲が涙で光っただ
もずよ寒くも鳴くでねえ
兄さはもっと寒いだぞ
兄さはもっと寒いだぞ
モナリザの微笑
:
(もなりざのほほえみ):
雨がしとしと
日曜日
僕はひとりで
君の帰りをまっていた
壁に飾った
モナリザも
なぜか今夜は
すてきな笑顔忘れてる
どんなに
遠くはなれていても
僕はあの娘の
こころが 欲しい
涙ぽろぽろ
日曜日
僕はいつでも
あの娘の笑顔 まっている
あの娘の笑顔 まっている
紅葉
:
(もみじ):
秋の夕日に照る山紅葉
濃いも薄いも数ある中に
松をいろどる楓や蔦は
山のふもとの裾模様
渓(たに)の流れに散り浮く紅葉
波にゆられて離れて寄って
赤や黄色の色様々に
水の上にも織る錦
桃太郎
:
(ももたろう):
桃太郎さん桃太郎さん
お腰につけた黍団子
一つたしに下さいな
やりましょうやりましょう
これから鬼の征伐に
ついて行くならやりましょう
行きましょう行きましょう
あなたについて何処までも
家来になって行きましょう
そりゃ進めそりゃ進め
一度に攻めて攻めやぶり
つぶしてしまえ鬼が島
おもしろいおもしろい
のこらず鬼を攻めふせて
分捕物をえんやらや」
万々歳 万々歳
お伴の犬や猿雉子は
勇んで車をえんやらや
森の小人
:
(もりのこびと):
森の木陰で ドンジャラホイ
シャンシャン手拍子足拍子
太鼓たたいて 笛ふいて
今夜はお祭り 夢の国
小人さんがそろって にぎやかに
ア ホイホイヨ ドンジャラホイ
おつむふりふり ドンジャラホイ
かわいいお手手で 踊り出す
三角帽子に 赤い靴
お月さん にこにこ森の中
小人さんがそろって おもしろく
ア ホイホイヨ ドンジャラホイ
お手手つないで ドンジャラホイ
ピョンピョン はねはね輪になって
森の広場を まわります
今夜は明るい 月の夜
小人さんがそろって 元気よく
ア ホイホイヨ ドンジャラホイ
みんなたのしく ドンジャラホイ
チョンチョン お手手を打ち合って
夢のお国の森の中
そろいのお服で 踊ります
小人さんがそろって 楽しそうに
ア ホイホイヨ ドンジャラホイ
や |
やぎさんゆうびん
:
(やぎさんゆうびん):
白やぎさんから
お手紙ついた
黒やぎさんたら
読まずにたべた
しかたがないので
お手紙かいた
さっきの手紙の
ご用事なあに
黒やぎさんから
お手紙ついた
白やぎさんたら
読まずにたべた
しかたがないので
お手紙かいた
さっきの手紙の
ご用事なあに
やさしいおかあさま
:
(やさしいおかさま):
わたしがおねむに なったとき
やさしくねんねん こもりうた
うたってねかせて くださった
ほんとにやさしい おかあさま
夏はねびえを せぬように
冬はおかぜを ひかぬよう
おふとんなおして くださった
ほんとにやさしい おかあさま
わたしが大きく なったなら
ご恩をお返し いたします
それまでたっしゃで まっててね
ほんとにやさしい おかあさま
椰子の実
:
(やしのみ):
名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の実一つ
故郷の岸を離れて
汝はそも波に幾月
旧の樹は生いや茂れる
枝はなお影をやなせる
われもまた渚を枕
孤身の浮寝の旅ぞ
実をとりて胸にあつれば
新なり流離の憂
海の日の沈むを見れば
激(たぎ)り落つ異郷の涙
思いやる八重の汐々
いずれの日にか国に帰らん
山小舎の灯
:
(やまごやのともしび):
黄昏の灯はほのかに点りて
なつかし山小舎は麓の小径よ
想い出の窓に倚り君を偲べば
風は過ぎし日の歌をばささやくよ
暮れゆくは白馬か穂高は茜よ
樺の木のほの白き影も薄れゆく
寂しさに君呼べど吾が声むなしく
遙か谷間よりこだまはかえりくる
山小舎の灯は今宵も点りて
独りきくせせらぎも靜かに更けゆく
憧れは若き日の夢をのせて
夕べ星のごとみ空に群れ飛ぶよ
山路越えて
:
(やまじこえて):
山路こえて ひとりゆけど
主の手にすがれる 身はやすけし
松のあらし 谷のながれ
みつかいの歌も かくやありなん
峯の雪と こころきよく
くみもなきみ空と 胸は澄みぬ
みちけわしく ゆくてとし、
こころざすかたに いつか着くらん
されども主よ われいのらじ
旅路のおわりの ちかかれとは
日もくれなば 石のまくら
かりねの夢にも み国しのばん
(讃美歌 404)
山のけむり
:
(やまのけむり):
山の煙の ほのぼのと
たゆとう森よ あの道よ
幾年消えて 流れゆく
思い出の ああ 夢のひとすじ
遠くしずかに ゆれている
谷の真清水 汲み合うて
ほほえみ交し 摘んだ花
山鳩の声 聴きながら
行きずりの ああ 君とともに
下りた峠の はろけさよ
山の煙の たそがれに
別れた人の うしろ影
あとふりかえり 手を振れば
うすれゆく ああ 淡い夕日が
染めた茜の なつかしく
夕日
:
(ゆうひ):
ぎんぎんぎらぎら夕日が沈む
ぎんぎんぎらぎら日が沈む
まっかっかっか 空の雲
みんなのお顔も まっかっか
ぎんぢんぎらぎら日が沈む
ぎんぎんぎらぎら夕日が沈む
ぎんぎんぎらぎら日が沈む
烏よ お日を追っかけて
まっかに染まって舞って来い
ぎんぎんぎらぎら日が沈む
夕焼小焼
:
(ゆうやけこやけ):
夕焼小焼で 日が暮れて
山のお寺の 鐘がなる
お手々つないで 皆帰ろ
烏と一緒に 帰りましょう
子供が帰った 後からは
円い大きな お月さま
小鳥が夢を 見る頃は
空にはきらきら 金の星
雪
:
(ゆき):
雪やこんこ 霰やこんこ
降っては降っては ずんずん積る
山も野原も綿帽子かぶり
枯木残らず花が咲く
雪やこんこ 霰やこんこ
降っても降っても まだ降りやまぬ
犬は喜び庭駆けまわり
猫は小燵で丸くなる
雪の降る街を
:
(ゆきのふるまちを):
雪の降る街を 雪の降る街を
想い出だけが通りすぎてゆく
雪の降る街を
遠い国から落ちてくる
この想い出を この想い出を
いつの日かつつまん
温かき幸せのほほえみ
雪の降る街を 雪の降る街を
足音だけが追いかけてゆく
雪の降る街を
ひとり心に充ちてくる
この哀しみを この哀しみを
いつの日かほぐさん
緑なす春の日のそよ風
雪の降る街を 雪の降る街を
息吹とともにこみあげてくる
雪の降る街を
誰も分からぬわが心
このむなしさを このむなしさを
いつの日か祈らん
新しき光降る鐘の音
雪山讃歌
:
(ゆきやまさんか):
(山よ 山よ 山よ 山よ)
雪よ岩よ 我等が宿り
俺達ゃ町には 住めないからに
俺達ゃ町には 住めないからに
天幕の中でも 月見は出来る
雨が降ったら ぬれればいいさ
雨が降ったら ぬれればいいさ
シールはずして パイプのけむり
輝く尾根に 春風そよぐ
輝く尾根に 春風そよぐ
荒れて狂うは 吹雪か雪崩
俺達ゃそんなもの 恐れはせぬぞ
俺達ゃそんなもの 恐れはせぬぞ
朝日にきらめく 新雪踏んで
きょうも行こうよ あの嶺越えて
きょうも行こうよ あの嶺越えて
山よさよなら ごきげんよろしゅう
また来る時にも 笑っておくれ
また来る時にも 笑っておくれ
湯の町エレジー
:
(ゆのまちエレジー):
伊豆の山々 月あわく
灯りにむせぶ 湯のけむり
ああ 初恋の
君をたずねて 今宵また
ギターつまびく 旅の鳥
風のたよりに 聞く君は
温泉の町 人の妻
ああ 相見ても
晴れて語れぬ この思い
せめてとどけよ 流し唄
淡い湯の香も 露地裏も
君住む故に なつかしや
ああ 忘られぬ
夢を慕いて 散る泪
今宵ギターも 咽びなく
夢淡き東京
:
(ゆめあわきとうきょう):
柳青める日 つばめが銀座に飛ぶ日
誰を待つ心 可愛いガラス窓
かすむは春の青空か あの屋根は
かがやく聖路加か
はるかに 朝の虹も出た
誰を待つ心 夢淡き町 東京
橋にもたれつつ 二人は何を語る
川の流れにも 嘆きをすてたまえ
なつかし岸に聞こえ来る あの音は
昔の三味線の音か
遠くに踊る 影ひとつ
川の流れさえ 夢淡き町 東京
君は浅草か あの子は神田のそだち
風に通わすか 願うはおなじ夢
ほのかに胸うかぶ あの姿
夕日に 染めた顏
あかねの雲を みつめてた
風に通わすか 淡き夢の町 東京
悩み忘れんと 貧しき人は唄い
せまい露地裏に 夜風はすすり泣く
小雨が道にそぼ降れば あの灯り
うるみて なやましく
あわれはいつか 雨にとけ
せまい露地裏も 淡き夢の町 東京
夢のお馬車
:
(ゆめのおばしゃ):
金のおくらに 銀の鈴
夢のお馬車が シャンシャンと
青いポプラの 並木道を
むちをふりふり かけてゆく
るりやしんじゅの かざり窓
赤いたづなで シャンシャンと
かわいひめさま 王子様を
のせてぱかぱか どこへゆく
金のかんむり 銀のくつ
二人並んで シャンシャンと
めえめえやぎさん たのしそうに
遊ぶ牧場を かけてゆく
白いお馬の 二頭立て
虹のかけ橋 シャンシャンと
遠い御殿の 夢のお馬車
はるかちらちら まだ見える
揺籠のうた
:
(ゆりかごのうた):
揺籠ののうたを
カナリヤが歌うよ
ねんねこ ねんねこ
ねんねこ よ
揺籠のうえに
枇杷の実がゆれる よ
ねんねこ ねんねこ
ねんねこ よ
揺籠のゆなを
木ねずみが揺する よ
ねんねこ ねんねこ
ねんねこ よ
揺籠のゆめに
黄色い月がかかる よ
ねんねこ ねんねこ
ねんねこ よ
夜明けの歌
:
(よあけのうた):
夜明けのうたよ 私の心の
きのうの悲しみ 流しておくれ
夜明けのうたよ 私の心に
若い力を 満たしておくれ
夜明けのうたよ 私の心の
あふれる想いを わかっておくれ
夜明けのうたよ 私の心に
大きな望みを だかせておくれ
夜明けのうたよ 私の心の
小さな幸福 守っておくれ
夜明けのうたよ 私の心に
想い出させる ふるさとの空
宵待草
:
(よいまちぐさ):
待てど 暮らせど
こぬひとを
宵待草の
やるせなさ
こよいは月も
出ぬそうな
喜びも悲しみも幾歳月
:
(よろこびもかなしみもいくとしつき):
俺ら岬の 灯台守は
妻と二人で 沖行く船の
無事を祈って
灯をかざす 灯をかざす
冬が来たぞと 海鳥なけば
北は雪国 吹雪の夜の
沖に霧笛が 呼びかける
呼びかける
離れ小島に 南の風が
吹けば春来る 花の香便り
遠い故郷 思い出す
思い出す
星を数えて 波の音きいて
共に過ごした 幾歳月の
よろこび悲しみ
目に浮かぶ 目に浮かぶ
ら |
旅愁
:
(りょしゅう):
更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ
恋しやふるさと なつかし父母
夢路にたどるは 故郷の家路
更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遙けき彼方に 心迷う
恋しやふるさと なつかし父母
思いに浮かぶは 杜のこずえ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
遙けき彼方に 心迷う
リンゴの唄
:
(りんごのうた):
赤いリンゴに唇よせて
だまって見ている青い空
リンゴは何にも言わないけれど
リンゴの気持はよく分かる
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ
あの子よい子だ気立てのよい子
リンゴによく似た可愛い子
誰方が言ったかうれしい噂
軽いクシャミも飛んででる
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ
朝の挨拶夕べの別れ
いとしいリンゴにささやけば
言葉を出さずに小首を曲げて
明日もまたねと夢見顔
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ
歌いましょうかリンゴの歌を
二人で歌えばなお楽し
みんなで歌えば尚なお嬉し
リンゴの気持を伝えよか
リンゴ可愛いや可愛いやリンゴ
りんごのひとりごと
:
(りんごのひとりごと):
私は真っ赤な りんごです
お国はは寒い 北の国
りんご畑の 晴れた日に
箱につめられ 汽車ぽっぽ
町の市場に つきました
りんご りんご りんご
りんご 可愛い ひとりごと
くだもの店の おじさんに
お顔をきれいに みがかれて
皆んなならんだ お店先
青いお空を 見るたびに
りんご畑を 思い出す
りんご りんご りんご
りんご 可愛い ひとりごと
今頃どうして いるかしら
りんご畑の お爺さん
箱にりんごを つめながら
歌をうたって いるかしら
煙草ふかして いるかしら
りんご りんご りんご
りんご 可愛い ひとりごと
わ |
若き血
:
(わかきち):
若き血に 燃ゆる者
光輝みてる 我等
希望の明星 仰ぎてここに
勝利に進む我が力 常に新し
見よ精鋭の 集うところ
烈日の意気 高らかに
遮ぎる雲なきを
慶應 慶應 陸の王者慶應
(慶應義塾大学応援歌)
若者たち
:
(わかものたち):
君のゆく道は はてしなく遠い
だのになぜ 歯を食いしばり
君はゆくのか そんなにしてまで
君のあの人は 今はもういない
だのになぜ 何を探して
君はゆくのか あてもないのに
君のゆく道は 希望へとつづく
空にまた 日が昇るとき
若者はまた 歩きはじめる
空にまた 日が昇るとき
若者はまた 歩きはじめる
別れのブルース
:
(わかれのブルース):
窓を開ければ 港が見える
メリケン波止場の 灯が見える
夜風 汐風 恋風のせて
今日の出船は どこへ行く
むせぶ心よ はかない恋よ
踊るブルースの 切なさよ
腕にいかりの いれずみほって
やくざに強い マドロスの
お国言葉 違っていても
恋には弱い すすり泣き
二度と逢えない 心と心
踊るブルースの 切なさよ
忘れな草ををあなたに
:
(わすれなふさをあなたに):
別れても 別れても 心の奥に
いつまでも いつまでも 憶えておいてほしいから
幸せ祈る 言葉に換えて
忘れな草を あなたに あなたに
いつの世も いつの世も 別れる人と
会う人の 会う人の さだめは常にあるものを
ただ泣きぬれて 浜辺につんだ
忘れな草を あなたに あなたに
喜びの 喜びの 涙にくれて
抱き合う 抱き合う その日がいつか来るように
二人の愛の 思い出添えて
忘れな草を あなたに あなたに
早稲田大学校歌
:
(わせだだいがくこうか):
都の西北 早稲田の森に
そびゆる甍は われらが母校
われらが日ごろの 抱負を知るや
進取の精神 学の独立
現世を忘れぬ 久遠の理想
かがやく我らが 行手を見よや
「早稲田」「早稲田」「早稲田」「早稲田」
「早稲田」「早稲田」「早稲田」
東西古今の文化の潮 一つに渦巻く大島国の
大なる使命を 担いて立てる
我らが行手は きわまり知らず
やがても久遠の 理想の影は
あまねく天下に かがやき布かん
「早稲田」「早稲田」「早稲田」「早稲田」
「早稲田」「早稲田」「早稲田」
あれ見よ かしこの常磐の森は
心の故郷 われらが母校
あつまり散じて 人は変れど
あおぐは同じき 理想のひかり
いざ声そろえて 空もとどろに
われらが母校の 名をばたたえん
「早稲田」「早稲田」「早稲田」「早稲田」
「早稲田」「早稲田」「早稲田」
われは海の子
:
(われはうみのこ):
我は海の子白浪の
さわぐいそべの松原に
煙たなびくとまやこそ
我がなつかしき住家なれ
生れて潮に浴して
浪を子守の歌と聞き
千里寄せくる海の気を
吸いてわらべとなりにけり
高く鼻つくいその香に
不断の花のかおりあり
なぎさの松に吹く風を
いみじき楽と我は聞く
丈余のろかい操りて
行手定めぬ浪まくら
百尋千尋海の底
遊びなれたる庭広し
幾年ここにきたえたる
鉄より堅きかいなあり
吹く塩風に黒みたる
はだは赤銅(しゃくどう)さながらに
浪にただよう氷山も
来らば来れ恐れんや
海まき上ぐるたつまきも
起らば起れ驚かじ
いで大船を乗出して
我は拾わん海の富
いで軍艦に乗組みて
我は護らん海の国