なぜ、総合カウンセラーか?

 

現在の日本では、カウンセラーと言うと心理カウンセラーに限定されたり、リハビリと言うと身体の物理的リハビリテーションだけを意味したりで、かなり限定的な印象を与える言葉として使われています。

 本来の英語の counselor は広い意味があり、綴りも色々あるように職業としても心理のみならず、社会的にいろいろな相談を受ける職業一般に使われています。 さらに又、rehabilitationも人間の機能・体力だけでなく、ボケ・心理から、物一般、社会構造の修復の意味にまで広く使われています。

 しかし、ここでは日本的な限定された、人間の健全さを回復するための相談、というような意味に使っています。だから英語で言うなら、holistic counselor とでも言うのでしょうか。

 さて、私がなぜ、総合カウンセラーという聞きなれない言葉を使うようになったか、ということを説明しないと、慣れない人にとっては不審でしょう。

 

 急激な変化の戦乱怒涛の時代には、特殊な専門家を一々求めていたのでは間に合わず、何でも瞬時に自力で考え凌いでいく総合力の優れた人間が勝ち残ります。 ところが、社会が平和になると、職業や学問が細分化され、個々の人間の総合力よりもより専門化された特定分野の能力が要求されます。

 狭い分野の特技に優れた人間は、自分でも優秀だ、と思い、その分野の能力を活かす方向に成長します。しかし、残念ながら特定の才能はともかく、社会的存在として総合的な健全な能力は無視できません。

 如何に特定分野の研究・開発に優れていても、社会的により良い結果を出すには多くの関係者たちとのキメ細かい協調・情報交換が必要ですし、如何に健康に優れていたとしても、衣食住に問題があったり、ストレス対策が不十分だと、長い間には取り返しのつかない状態になってしまいます。

 私は1980年頃に普通の人間関係が苦手な人が増えたことに気がつき、その後老若とも体力不足となり、ストレス抵抗力・精神力も衰え、アレルギー・癌の再発も増えてきたことから、どうしたらよいかを30年近く考えてきました。

 もちろん、そんなことを一人で考えていたわけではなく、諸先生・先輩・知人・友人などにも聞きましたが、不幸にして誰も関心を持って居ませんでした。それぞれの分野での仕事が忙しい、のが主な理由でした。しかし、私が観察をしてきたところ、家族の少数化、地域社会の疎遠化などで、人々の総合的な知恵が活用されず、田舎でも孤立した人が増え、鬱・引きこもりなどが増えるだけでなく、孤立した人間が職場で孤立するだけならともかく犯罪にまで走る例が、とうとう増えてきたのです。

 そこで、私としては、人を総合的に観て、相談に対して答えを出す「(よろず)相談師」を名乗り、意匠登録をしようとしましたが、見事、特許庁から却下の回答をもらいましたが、自称(占有は出来ない)しておりました。

 その後、更に、2002年から新宿救護センターhttp://www.jsma.jp/ で“何でも相談”のボランティアを始め、世の中に心理カウンセラーなる職業が有ることを知り、人間全体を取り巻く総合的な問題解決の潜在的大きさを実感し、痛感しながら対応してきました。

 しかし、ある問題を抱えている人の話を詳しく聞くと、本人が認識している問題以外に他にも問題があり、本人が全然自覚していない部分の方が、主なる原因がある場合も散見されます。

 例えば、左膝の痛みを訴えてきた70代の老人に、気の施術をしながら色んな話を聞いていましたら、子供の頃、事故で右膝を痛め、それをかばう癖が知らず知らずのうちに身に付いて長年の間左膝に無理をしていたことが分かりました。この場合、右膝の後遺症はほとんど残っていないので、左右に同じ負担が掛かるような歩き方の指導をしました。

 30代の女性が、どこの職場へ行っても肩凝り、背痛、腰痛などで仕事が長続きしないし、病院へ行っても原因が分からない、「精神的なものでしょうか?」と訴えてきました。私は整形外科医でも、心理の専門家でもありませんが、やはり詳しく色々を話を聞いておりましたら、彼女の妹が生まれたころから、心的な障害が徐々に始まったことが分かりました。

 以上の二例に共通することは、依頼者自身が自分が長年抱えてきた問題の原因を自分で見つけ納得したことです。 自分で原因を発見できれば、そして、それが正しければ、後はそれほど難しくはありませんし、「あ、そうなんだ!」と自分で納得すれば、自分で治すことも可能です。 これは、退行瞑想法(私は実施してませんが、)による治療と似たような処方です。私が依頼者の意見を聞きながら、問題の発生した原因(現象、時点など)へ誘導し、依頼者が、「なんだ、そうだったのか、」と納得すると、何もしなくても治ってしまう場合が多いのです。*1

 これについての厳密に科学的な根拠を説明するのは困難ですが、私なりの解釈を別のところで述べます。

 そのような経験を積み重ねているうちに、人間全体を診る総合カウンセリングの重要性を知り、段々実施するようになってきました。 もちろん、人間を多面的に見ることは一人の人間では難しいのですが、幸いに多方面の多くの諸先生、先輩に恵まれ、御指導、御助言を受けながら実施できる目処が付いてきたのが現状です。

  そこで、「総合カウンセラー」の登場となりました。

参考文献
*1 前世療法 ブライアン・L・ワイス著 PHP研究所
   この本には常識では考えられないようなことが書いてあるが、
   その後の成果を含めて、同出版社から数冊の著書が発行されている。

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