有酸素運動と筋肉トレーニングの組み合わせによる2型糖尿病への効果

最新疫学研究情報No.31

肥満や過食・運動不足によって発症する2型糖尿病の改善には、運動が有効であると言われています。今回、カナダのカルガリー大学を中心とする共同研究によって「有酸素運動と筋肉トレーニングの両方の運動を組み合わせることで、2型糖尿病の血糖をより効果的にコントロールできる」との報告がなされました。

研究者は、2型糖尿病の患者251人(39~70歳)を対象に、「45分間の有酸素運動を週に3日行うグループ」「45分間の筋肉トレーニングを週に3日行うグループ」「45分間、有酸素運動+筋肉トレーニングを週に3日行うグループ」「まったく運動をしないグループ」の4グループに分けて6ヵ月間調査を行いました(無作為割付)。

試験開始前と後の被験者のヘモグロビンA1c(※1)値を比較調査した結果、有酸素運動を行ったグループと筋肉トレーニングを行ったグループは、何もしないグループに比べてヘモグロビンA1c値が0.5%下がりました。両方の運動を行ったグループは、何もしないグループに比べてヘモグロビンA1c値が0.97%も低下し、単独での運動よりも血糖をコントロールするのに2倍の効果があることが明らかになりました。

研究を指揮したRonald J. Sigal博士は、「ヘモグロビンA1c値が1%低下すると心臓発作や脳卒中などのリスクが15~20%減少し、糖尿病の合併症である眼病や腎臓病のリスクも25~40%減少する」と述べています。

※1ヘモグロビンA1c(エーワンシー)とは、血糖値の高い状態が続いているときに、血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合してできる糖化タンパク質の一種です。この数値を測定することによって血糖が上手にコントロールされているかどうかを知ることができます。ヘモグロビンA1c値は、過去1~2ヵ月の平均血糖値を表し、最近では通常の検査による血糖値よりも重要視されています。

出典

  • 『内科学アナルズ Vol.147 2007年9月18日号』
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