運動は、うつ病の治療に役立つ

最新疫学研究情報No.23

イタリアのカリアリ大学のAlessandra Pilu博士の研究チームによって、「定期的な運動は、抗うつ剤では改善しないうつ病患者の治療に役立つ」との報告がなされました。

研究チームは、大学の精神医学部に登録されている、40~60歳のうつ病の女性(*2ヵ月以上抗うつ剤による治療を受けても改善しなかった患者)30人を対象に、「薬物治療+運動」のグループ(10人)と「薬物治療のみ」のグループ(20人)に分けて調査を行いました(無作為割付試験)。運動(※)は、専門家による管理の下、フィットネスマシン(20種類)を利用して週に2回1時間ずつ行われました。

8ヵ月間の比較調査の結果、運動をプラスしたグループは、うつの症状が著しく改善したことが明らかになりました。一方、薬物治療のみのグループは、うつの症状が少ししか改善しませんでした。

ただし研究者は、「この運動の効果が、運動それ自体によるものであるのか、あるいは他の人達と一緒に運動したことによる心因的な効果であるのかを、別の研究で確認する必要がある」と述べています。

1回の運動(1時間)は3つのステップで構成されています。ステップ1はウォーミングアップ(5分間)、ステップ2はカーディオフィットネスマシン(心肺機能を向上させるための機械)を用いた運動(50分間)、ステップ3はストレッチ(5分間)です。トレーニング中はインストラクターを交え、グループ内でコミュニケーションを図っています。

出典

  • 『Clinical Practice and Epidemiology in Mental Health Vol.3 2007年 online版』
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