欧米型の食生活でアジア女性の乳ガン発症リスク高まる

最新疫学研究情報No.22

「欧米型の食事を摂っているアジア女性は、乳ガン発症リスクが高い」という研究が、フォックス・チェイス・ガンセンター、ハーバード公衆衛生大学院、バンダービルト大学、上海ガン研究所の4つの研究機関によって報告されました。

研究者は、1996~1998年の間に乳ガンと診断された25~64歳の中国人女性1459人と、比較対象として上海都市部に住む一般人女性1556人に対して聞き取り調査・分析を行いました。具体的な調査項目は、食事内容・ライフスタイル・閉経に関することなどです。

調査の過程で、これらの女性達の食事内容は大きく2つのパターンに分けられることが分かりました。1つは「野菜-大豆」(※)を中心とした食事パターン、もう1つは「肉-スイーツ」(※)を中心とする欧米型の食事パターンです。

この2つのパターンを中心に分析した結果、「肉-スイーツ」型の女性は、「野菜-大豆」型の女性より乳ガン発症リスクが60%も多いことが分かりました。特に、「肉-スイーツ」型で閉経後の女性は、乳ガン発症リスクが2倍となり、過体重(BMI≧25)の場合はさらにリスクが高くなることが分かりました。

これまで乳ガンの発病が少なかったアジア女性も、食事の西洋化に伴い乳ガン発症が増えていることがこの研究で明らかにされました。「肉-スイーツ」型の食事から伝統的な「野菜-大豆」型の食事に変え、体重をコントロールすることで、乳ガンを予防できるのではないかと研究者は述べています。

「野菜-大豆」型の食事とは、豆腐・カリフラワー・豆・モヤシ・緑の葉野菜・淡水魚などを中心とした食事です。

「肉-スイーツ」型の食事とは、エビ・とり肉・牛肉・豚肉・白パン・牛乳・キャンディ・デザートなどを中心とした食事です。

出典

  • 『Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention 2007年7月号』
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