セーラー服ザンちゃん
1 心は子供なザン
「ザン、君はどうして、いい子に出来ないんだい?もしかして、お尻を叩かれたいの?」
ドルダー・キートン。13歳。ザンの彼。ちょっとだけ悪い子。
「違うのー。だって、見つからないと思ったんだもん。ドルダーが来るなんて計算と違うの。お尻叩かれるのやだあ。もう、お酒なんて見ないから、ぶたないでー。」
ザン・アスターニ。13歳。飴が好きで、おんぶも抱っこも好き。幼いけど、一応、天才。
「君は、その頭でどんな計算をしたんだい?それに、お酒を見たんじゃなくて、飲もうとしただろ。見たくらいでぶったりしないよ、俺は。ザン、お尻叩きが嫌なら、ほっぺたをこっちに向けるんだ。」
「びんたなんて、ぜっったいに嫌あああっ!!!」
ザンは、絶叫する。ドルダーは、顔をしかめた。お店にいるほかの男の子達も、耳を塞いだ。男の子達は、ドルダーの仲間で、高校生もいるのに、何故かドルダーがリーダー。
「お尻を叩かれるのが、嫌なら、ビンタだっていつも言ってるよ。」
「びんたは、やだっ。」
「じゃあ、俺の膝に寝るんだ。」
「お尻をぶつのもなしがいいのー。暴力反対だよぉ。」
ザンは、足をばたばたさせた。「ぶたなくても、わたしは分かるのー。」
「分かってないだろ?分かってたら、俺の飲みかけのグラスに手をかけたりしないはずだ。君のママは、俺と付き合う条件の一つに、君まで、不良にするなと言った。俺が、中学生のくせに酒や煙草をやろうが、バイクを乗りまわそうが、喧嘩しようが勝手だけれど、君を不良にしたら、ただじゃおかないって言われた。だから、俺は、君を大切にしてる。君は、ほんの一滴だって、酒を飲んじゃいけない。」
「でもぉ。ままに言わなきゃわかんないもん。」
ザンのおうちは、母子家庭。怖いままと二人暮し。
「君は、頭はいいけど、知識が不足してるよ。酒を飲んだら、顔が赤くなるし、匂いだってする。君のママほど鋭くなくても、分かる変化だ。君は、俺と別れたいかい?」
「やーあ。わたしは、ドルダーとずっと一緒にいるの。」
「じゃあ、お酒を飲んじゃ駄目だって分かるだろ。…どうすればいい?ザン。」
「…お尻、…ううん、もう飲まないようにする。」
「うん、そうだね。でもそれだけじゃ駄目だ。君は言いかけたね、お尻って。俺は、飽きるほど言ったよ、もう分かるね。さあ、君はどうすればいいんだい?」
「ドルダーのお膝に寝て、ドルダーの言う通りにして、お尻をぶつ邪魔しない。お仕置きをちゃんと受けるの。」
これ以上、お仕置きを伸ばせそうになくて、ザンは諦める。
「じゃあ、そうしてごらん。ちゃんとするんだよ。」
「うん。」
ザンは、ドルダーの膝に寝た。ドルダーは、自分でザンの可愛いパンツを下ろすのが好き。彼は、ザンのお腹に手を回して、しっかりとザンの体を支えた。ザンが、びくっとする。
「じゃあ、お尻を出すよ。お尻を上げて。」
ザンは、言われた通りにする。ドルダーの膝から、ザンのお尻が浮いて、パンツが下ろしやすくなる。ドルダーは、ザンの可愛いパンツを下ろし、彼女の腰を軽く叩く。ザンは膝を曲げて、ドルダーの膝に体を任せる。ドルダーが、ザンのスカートを捲くると、お仕置きの準備が終わってしまう。
「あーん、ドルダー。やっぱりやだあ。」
「ここまでしといて何言ってるんだい?…今日は、ちっとも素直じゃないから、うんと厳しいお仕置きにするよ。」
「ままみたいに、鞭で100回ぶつ?」
「そ・そこまではしないけど…。君のママは、鞭で100回もぶつのかい?お尻が血だらけになりそうだなあ。」
ドルダーは、ぞっとする。ザンのまま、ミレーが怖いのは知っている。付き合いはじめの頃、ザンの余りの我が侭に腹を立てて、頬を引っぱたいてしまった。それがミレーにばれて、ドルダーはミレーに散々頬を叩かれた。
もう二度とザンの頬をぶったりしないと誓わされて、やっと許してもらった。
「お尻だけじゃない。鞭で100叩きの時は、裸で、色んなとこぶたれるの。」
「今更ながら恐ろしいよ、君のママは。…。…あ、ああ。お仕置きを忘れる所だったよ。君のお尻を出したままじゃ、風邪を引くね。」
「お尻も風邪を引く?」
「引くよ。…いつもは、10回とか15回だけど、今日は25回だから。」
「やあーん。25回もぶたれたら、死んじゃうよお。」
「大袈裟な。さ、いくよ。今日は、お仕置きだけで時間を使うつもりはないからね。君といるといつもお仕置きだけで、終わってしまうから。」
ドルダーは、ザンが喚き出すのを無視して、ザンの白くて小さなお尻に、赤い平手の後をつけ始めた。ぱしんっ、ぱしんっ。ザンが、膝の上でもがく。
ミレーから、ぶつんならお尻にしてと怒鳴られたので、ドルダーは、ザンのお尻を叩く事にした。最初は、力加減もいくつ叩くのかも分からず、力一杯、酷く叩いてしまった。その後、ザンが怖がって側に寄って来なくなってしまったので、やり方を色々変えて、今の数に落ち着いた。
「あーん、あーん、ごめんなさあああい。痛いよお。もうお酒なんか知らないよおっ。」
「それだけじゃないだろ。素直に俺の膝に来ないから増えたんだ。」
ザンが急に静かになったので、ドルダーは、思わず手を止めた。「どうしたんだい?」
「ドルダーがこわい。はなしかたが、こわいよ。わたしのこと、だいきらいになった…。」
「な・なってないよ。つい、いつもの話し方になっちまっただけだよ。」
「ほんとう…?わたしのこと、すき?まだ、わたしかのじょ?」
「ああ、本当だよ。君のことは好きだし、勿論、俺の彼女だ。だから、漢字を使って話してくれないかい?」
「うん…。漢字使う。」
「分かってくれて嬉しいよ。さ、後、18回だよ。」
「はい。」
ぱちんっ、ぱちんっ。こころもち、音が小さくなる。痛みも弱くなったような気がする。でも、すぐ、いつもの痛さに戻った。ぱしんっ、ぱしんっ、ぱしんっ、ぱしんっ。
「いたあああいよーーー。ごめんなさあい。」
「最後の5回は、いつも通り、少し痛くするよ。最後は、うんと痛く。」
「あーん。」
ぱしいっ、ぱしいっ、ぱしいっ、ぱしいっ、ばちーんっ。「いたあっ。」
「ザン、立つんだ。…。よし、スカートの後ろだけを上げて、君の赤くなった悪いお尻が良く見えるように。」
「あーん、いやああ。ドルダーの意地悪ー。そんなのいやあ。」
「いい子に出来ないなら、またお仕置きだよ?今度は、10回。君のママにばれるんじゃないかい?」
「ままは、いつもお尻見るの。赤くなってなくても、ドルダーにぶたれた日は、お仕置きなの。だから、毎日お仕置きだもん。」
「人聞きの悪いことを言わない。俺は、毎日は叩いてないよ。3日にいっぺん位かな。君のママの恐ろしさは、充分に分かったから、お尻を出して。」
「うー。」
「唸らない。」
ザンは諦めて、スカートを持ち上げた。「ザンっ。後ろだけだぞっ。」
ドルダーは慌てて、スカートの前を引っ張る。ザンは、ドルダーにお尻を向けて立っていた。
「君の大事な所をこいつ等に見せたいのか!?」
「あ。」
ザンの顔が赤くなる。「やだ。見るのは、ままだけ。」
「だったら、気をつけてくれよ。…あっ、い・いやっ、…気をつけてくれないと困るよ、ザン。」
「うん。ドルダー、なんで慌てるの?」
「何でって、君が怖がる言い方をしちまったからさ。」
「ちまう。」
「…。…しちゃったからさ。…ザン、そんな事より、君のお尻赤いよ。あの鏡を見てごらん。」
「恥ずかしいから見るの、やーあ。」
「見ないと何だろうね。」
「お尻ぺんぺん…。見る。…悪い子のお尻になってるぅ。もう、いい?恥ずかしいよお。」
「君の顔、お尻より赤くなったなあ。いいよ。パンツを穿いて、膝に座って。」
ザンは、言われた通りにすると、ドルダーにぎゅっと抱きついた。お尻を叩く怖い彼。だけど、ザンは、彼が好きだ。ままとおんなじに。
「わたしのこと、好き?」
「凄く好きだよ。君が大好きだから、他の男とは、口をきくのを絶対に許さないよ。」
「ぱぱも駄目?ドルダーの友達も駄目?先生も駄目?」
「他の男って言うのは、君を彼女にしようと思っている奴で、君と必要以上に仲良くしようとする男だよ。タルートリーとか、ジャディナーとか、リントとかね。ネスクリがいなくなってくれて良かったよ。」
「ルトーちゃんは、アトルちゃんと恋人になったもん。ジャディナーは天使だから、彼氏にはなれないよ。リントは悪魔だから、ジャディナーとおんなじ。ネスクリは、ルトーちゃんと同じで、ぱぱが勝手に連れてきたし、わたしのお話をきいてくれないから、嫌い。だから、どっか行っちゃった。」
「君のパパって見たことないよ。」
「ぱぱは、ままと喧嘩して、一緒にいないの。ぱぱは、お兄ちゃんと一緒にいるの。」
「お兄ちゃんなんて、初耳だよ。」
「お兄ちゃんは、お化けなの。だから、ぱぱは、お兄ちゃんが嫌いで、ままと喧嘩したの。まま、お兄ちゃんが好きだから、一緒におうちを出れば良かったのに。」
「…。…お兄ちゃんは、幽霊かい?」
「違う。顔が半分、お化けなの。」
「火傷でもしてるのかな。」
「ドルダーも天才。」
「…有難う。君のうちは、複雑なんだね。」
「そ?」
「とってもね。」
ザンがもう帰る時間だと言って、店を出ていく。ドルダーは送らない。ザンは、一人で帰るのが好きらしい。
「あー、疲れた。喋る言葉一つにも気を使うのは、面倒だ。」
ドルダーは、伸びながら言った。「しかし、あんな可愛いのは、他にいないしなあ…。」
「天才って、精神年齢もかかわるんじゃなかったっけ。」
リトゥナが言った。「もしかして、あの態度は、全部嘘だったりして。」
「それはねえな。だけど、勉強してる時とか、人と話をしていない時の顔は、いかにもって顔だぜ。」
「ザンのママって恐ろしいの?」
「俺が一度、ザンの頬を引っぱたいた時、鼻血が出るまで、ビンタをくらった。」
「うちのお父さんの方が、優しいや…。」
「ままあ、ただいまー。」
「あら、おかえりなさい。」
ミレーは、娘の頬にキスをすると言った。「手洗いとうがいをしてらっしゃい。」
「はい、まま。」
「ままじゃないでしょ。お母さんって呼びなさいといつも言っているわ。今日のお仕置きは、鞭にしましょうね。」
「あ…。ごめんなさい。鞭いや…。」
「手洗いとうがいが済んだら、鞭を持っていらっしゃい。どれでもいいわよ。」
「はい…。」
ミレーは、ザンが鞭を持ってくると、それをテーブルへ置かせて、娘を膝へうつぶせに寝かせた。
「今日は、ザンが悪い子だったから、お尻を見るのを忘れたわ。ドルターに、いくつぶたれたの?」
「25回。お…。理由いらない?」
「いるわよ。言いかけて、止めたりしないの。」
ぱしんっ。ミレーは、スカートの上から、娘のお尻を叩く。
「はい。痛い。お酒をね、…。」
「(お酒ですって!まあっ、なんて悪い子なの!)」
ミレーは、思わず母国語で言いながら、ザンのお尻を平手でびしびし叩き出した。怒りのあまりスカートを捲くってパンツを下ろすのを忘れている。
「痛いよおっ。ままー、ごめんなさーい。痛いー。お酒飲んでないのおっ。飲もうとしたら、ドルダーに見つかったのおっ。」
ミレーは、叩くのを止めた。ザンは、ほっとする。
「お仕置きが終わったわけじゃないわよ。…飲んだんじゃなくて、本当に良かったわ。でも、飲もうとしたなんて!やっぱりドルダーと付き合わせるんじゃなかったわ。嫌だけど、木村に新しい男の子を頼まなきゃ駄目ね。」
「やあああっ。わたしは、ドルダーが好きなのおっ。ぱぱには何も言わないでえっ。もう、絶対お酒を飲もうとなんてしないから!」
「すぐ絶叫するの止めなさい。聞く人の身にもなってよ。それに、喉を痛めるわ。」
ぱんっ、ぱんっ。ミレーは、ザンのお尻を叩きながら言う。「約束が守れるなら、木村には何も言わないわ。」
「痛いよー。守るー。守るよー。ごめんなさーい。もうお酒知らないー。」
ミレーは、また叩く手を止めた。
「分かったわ。じゃあ、お仕置きを始めましょう。…今までのは、数に入れるつもりないのよ。何て顔してるの。いつも言ってるでしょ?お仕置きは、裸のお尻じゃないと意味がないって。さ、パンツを下ろしましょうね。」
ミレーは、もがくザンのスカートを捲くり、パンツに手をかける。「大人しく出来ないなら、いつまでも、数に入らないお尻叩きよ。」
「やっ。」
「じゃあ、大人しくして頂戴。…いい子ね。まず手で100叩きよ。そんな大きな声を出さないの。文句があるんだったら、増やしてもいいのよ?」
「嫌あ。静かにするぅっ。増やさないで。」
「そうそう、それでいいのよ。いい子。」
ミレーは、ザンの体を抱えなおす。そして、既に赤くなっているお尻に平手を振り下ろし始める。
「いたあい。ま・お母さーん、ごめんなさーい。痛いよお。」
「そうねー。痛いわよねー。悪い子のお尻は痛いものよ、ザン。また、ままって言いかけたから、鞭のお仕置きは増やしましょうね。」
「…。」
「何も言えないのね。大丈夫よ。お母さんだって、鬼じゃないんだから、鞭は15回で許してあげるわ。ね、優しいでしょ?ままって言いかけなきゃ、10回だったけど。」
「はい。くすん。」
「今、いくつだったかしら?」
「わかんない。」
「あら、数えていなかったの?じゃあ、手のお仕置きは10回追加ね。」
「あ…。23回くらい。」
「ぶーっ。21回よ。嘘ついたから、…。」
「数えてなかったのぉっ。ごめんなさーい。」
「そう?ま、いいわ。それなら増やさないわ。そのかわり、少し強くしましょうね。」
ミレーは、言葉通りに少し強く叩き出した。「人の話は最後まで、聞くものよ。そうじゃなきゃ変わらなかったのに。」
「あーん、痛いよー、ごめんなさーい。」
「ザンったら。お仕置きは始まったばかりよ。」
ミレーは、優しく微笑んだ。