九段下
昭和館
所在地:千代田区九段南1−6−1(東京メトロ・都営地下鉄 九段下徒歩2分)
HP:http://www.showakan.go.jp/
入場料: 大人300円 高校・大学生150円 小・中学生80円 65歳以上270円
開館:月曜閉館



昭和館
 


 靖国神社から坂を降りて九段下駅方面へ向かって行くその右手に昭和館がある。その名の通り、「昭和」時代を展示した博物館である。
 昭和(1926〜89)は長かった。64年続いたが、これは元号としては歴代の日本の元号では最長の記録である。それどころか、世界にも例を見ないほどの長さで、中国においても康煕(1662〜1722)の61年、乾隆(1736〜95)の60年を上回っている。
 僕は昭和49(1974)年生まれで、人生最初の15年弱昭和時代を生きていた。その長かった昭和。一言で言い表すのは困難であるが、ここ昭和館は、昭和のどんな側面を切り取っているのだろうか。
   



昭和館
 


 昭和館は7階建て。最上階の7階とその下の6階が展示室となっている。チケットを買ってエレベータで7階まであがる。
 昭和館は「戦中・戦後の国民生活上の労苦を後世に伝えるため」に建てられたものだという。入口入るとすぐに「家族別れ」というコーナーで召集令状や千人針などの展示がある。 その他、「統制下の暮らし」「戦後の備えと空襲」「廃墟からの出発」など昭和館は64年の昭和の中でも昭和10(1935)年から30(1955)年までの時代を取り上げている。
 



 


 質素ながらも平穏だった昭和の家庭が、「国民精神総動員運動」や昭和14(1939)年の「国民徴用令」などで次第に戦争の中に巻き込まれていく。そして、昭和20(1945)年の終戦を迎え廃墟の中から再出発する。
   



昭和館入口
 


 展示の中には「和男君の防空探検」というゲームがあった。昭和18年のある1日を舞台に、当時の少年になって、空襲警報までに防空の備えをし、防空壕に避難するというゲーム。なかなか難しく、準備が間に合わなかった。
 展示の最後は「体験ひろば」。当時の生活用品などを実際に触ってみることもできる。
  



7階展示室入口
 


 昭和館の5階は映像・音響室になっており、パソコンで写真や映像、音響を視聴することができる。また、4階の図書室は戦中戦後に限らず、広く昭和全体に関する資料を読むことができる。これらの部屋には入場料がかからないので、調べ物にも便利だろう。
 



2階広場
 


 2階広場はイベント会場にもなっている。この時は「写真にみる50年前の日本−よみがえる昭和の情景−」という写真展を行っていた。
     



2階広場から見た九段会館
 


 昭和館の展示を見ていると、この時代に生まれなくて良かったとほっとしてしまう自分がいる。今年(2011年)で平成も23年目。昭和は遠くなった。しかし、僕が生きてきた昭和はこんなに暗い時代だった っけ?
 昭和は64年まであったのだ、“昭和モダン”と呼ばれた初期の明るく洗練されていた時代や、高度経済成長にわいた昭和30・40年代といった昭和には明るい面もかなりあったはずである。昭和館はしかし、昭和 の暗い時代にだけスポットを当てており、果たしてそれで「昭和」と名乗っていいのか、少々疑問がなくもない。
 昭和館とほぼ同じ時代を展示していながら、靖国神社の遊就館の明るい雰囲気とは、どうしてこうも違うのだろうか。2つの博物館を見比べることで、より昭和の本質に近づけるのではないだろうか。
  

(2011年11月20日)


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