特別企画(1)
  正義も悪もおだてりゃ時を越える〜「ヤッターマン」と「タイムボカン」シリーズ〜  
 



「ヤッターマン」番宣ポスター
(「 タイムボカン全集」5ページ)
 

 

 
 このHP「映画史探訪」はとあるサイトで「クラシック映画」専門のHPと紹介されていた。確かに、このHPを始めた目的は自分なりの映画史の追体験であり、映画を年代順に観直していくことを目指している。だから、結果的にクラシック映画を取り上げることが多くなるのは当たり前だ。しかし、映画史というのは、いま現在も進行し続けているものであって、最新の映画を意識していくことも大切である。そこで、これからは出来るだけ最新映画を紹介する機会も設けていきたいと考えている。
 僕は、2009年1月に青年海外協力隊の2年間の任期を終えて、ネパールから帰国した(「たこのあゆみ」参照)。ネパール滞在中にもできるだけ映画の情報は入手しようとはしていたが、やはり手に入る情報には限りがある。帰ってくるとすっかり浦島太郎になっていた。
 映画業界の動きで、帰国後に最も驚いたことは「ヤッターマン」が実写で映画化されるということであった。


 そもそも「ヤッターマン」はタツノコプロ製作によるテレビ・アニメで、1977年から1979年にかけて放送されている。その前作にあたる「タイムボカン」(1975〜76年)のシリーズ第2作として製作されたもので、その後もシリーズは1983年の「イタダキマン」まで全7作、計8年に渡って放送されてきた。
 このシリーズが放送されていたのは、僕が1歳から9歳までの期間で、幼かった僕はこのシリーズを熱心に見続けてきた。その「ヤッターマン」が映画化されるというのだから、もちろん僕にとって嬉しいことこのうえない。しかしその一方で、映画化が本当に可能なのだろうかと、戸惑う気持ちも大きかった。
        

  ◆記念すべき「タイムボカン」  
 



「タイムボカン」より
メカブトン(中央)、テントウキ(上)、ヤゴマリン(下)
(「タイムボカン全集」15ページ)

 
 
 シリーズ第1作「タイムボカン」の放送が開始されたのは1975年10月4日のことであった。シリーズの総監督を務めた笹川ひろし(1936〜)によると、「タイムボカン」は放送まで3年間お蔵入りにされていたそうである
(*1)。当初のタイトルは「タンマー大混戦」で、15分ほどのパイロット・フィルムが製作されたものの、スポンサーが見つからなかった。その後、玩具メーカーのタカトクトイスがスポンサーに付き、ようやく日の目を見ることとなる。
 放送に際してタイトルも「タイムボカン」と改められた。これは時間という意味の「タイム」に、爆発音の「ボカン」をつけたもので、「ボカン」にはカブトムシ型メカのメカブトンに、テントウキ、ヤゴマリンという2つのメカを内蔵する「母艦」の意味もかけられているそうである。ちなみに、「タンマー大混戦」のパイロット・フィルムの映像は「タイムボカン」本編に大半が流用されているとのこと。髪が青いはずのヒロインの淳子(声・岡本茉莉)が例えばオープニング・タイトルなどで時々金髪になるのは、パイロット・フィルムを使用している部分だからだと思われる。
  
 「タイムボカン」のストーリーは、時間旅行に出かけたまま行方不明となった木江田博士(声・槐柳二)を探して、博士の助手の丹平(声・太田淑子)と、孫の淳子が、博士の残したタイムマシン「タイムボカン」で様々な時代を旅して回る。一方 、博士のいる時代にあるとされる未知の宝石“ダイナモンド”を狙う、マージョ(小原乃梨子)率いる悪党3人組(以下「三悪」とする)の“ガイコッツ”一味
(*2)がタイム・マシーン“タイム・ガイコッツ”に乗り込み、タイムボカンの行く手に現れ邪魔をする。
    
 
 



「タイムボカン」より
左からチョロ坊、丹平、淳子、ペラ助
(「タイムボカン全集」12ページ)
 

 
 
 すでにその後のシリーズで見られる基本的なパターンがここには登場している。総監督の笹川ひろし以下、キャラクターデザインの天野嘉孝(のちの天野喜孝/1952〜)、音楽&主題歌の山本正之(1951〜)といった主要なスタッフもすでに顔をそろえている。また 第3作「ゼンダマン」以降で文芸担当(「ヤットデタマン」以降はシリーズ構成)を務める小山高男(現・小山高生/1948〜)も第6話では脚本を担当している。
 声優陣のほうも三悪のマージョ:小原乃梨子(1935〜)、グロッキー:八奈見乗児(1931〜2021)、ワルサー:立壁和也(現・たてかべ和也/1934〜2015)の三人に加え、ナレーターの富山敬(1938〜95)が登場。「ヤッターマン」のドクロベエや、「オタスケマン」の東南長官役などでしばしばシリーズに出演している滝口順平(1931〜2011)も、博士の居所を知っているオウムのペラ助役で登場している。
 
 この「タイムボカン」を改めて観直してみた。意外にも初期のほうはかなりまじめな内容なのである。だが、回を追うごとにギャグやお色気が加速的に加わり、しだいにシリーズが完成していったことがわかる。例えば、マージョが子分二人を罵倒して言う「スカポンタン」という名セリフ(?)は第5話で初登場。「今週のハイライト」と いう台詞も第5話から登場するが、第16話から3体の楽団ロボットが登場しファンファーレを演奏している。最初の楽団ロボットは人間の姿をしているが、やがてガイコツ型のロボットとなって定着する。ガイコッツがタイムボカンを追いつめながらも、最後の最後でドジを踏んでやられるというパターンも早くから登場するが、最初のうちはいろいろなパターンでガイコッツがやられていた。そのうち、とどめのボタンを押すとなぜかガイコッツが爆発するというパターンで定着していく。そのため、マージョたちは誰もボタンを押したがらない。しかたがないから、ババヌキやうどんの早食いなどのゲームでボタンを押す役を決めようとする…。
      
 
 



「タイムボカン」より
ガイコッツ一味
左からワルサー、マージョ、グロッキー
(「タイムボカン全集」17ページ)

 
    
 また、「タイムボカン」は極めて初歩的だが、初めてコンピューター・グラフィックが本格的に用いられた作品でもある。それはスキャニメイトというアナログ・コンピュータによるシステムで、すでに「タイムボカン」と同じタツノコプロ製作による「宇宙の騎士テッカマン」(1975年NETテレビ)のオープニング・シーンで用いられていた。本格的な使用は「タイムボカン」が最初。タイムボカンがタイムトラベルをするシーンで、タイムボカンが丸められ、波打つように変化する描写として、効果的に用いられている。その後、「ポールのミラクル大作戦」(1976〜77年フジテレビ)でも用いられるようになったが、こうした点からも「タイムボカン」が画期的な作品であったことがわかる。
 
*1 「僕たちの好きなタイムボカンシリーズ」18ページ
*2 オリジナルビデオ「タイムボカン王道復古」(1993年)や各種書籍では三悪を「マージョ一味」と称している。「ガイコッツ」というのは彼らの乗り込むマシン「タイム・ガイコッツ」のことを指しているとも考えられる。しかし、エンディング・テーマ「それいけガイコッツ」や挿入歌「チュクチュクチャン」の2番では明らかに彼らを指して「ガイコッツ」としているし、丹平・淳子のマスコット・ロボットのチョロ坊(声・ 桂玲子)が彼らのことを「ガイコッツ」と呼ぶシーン(第3話)もあるため、ここでは彼らを「ガイコッツ」と呼ぶことにしたい。


 
◆「タイムボカン」シリーズの誕生 
 



「ヤッターマン」より
左よりガンちゃん(ヤッターマン1号)、アイちゃん(ヤッターマン2号)、オモッチャマ
メカはヤッターワン
(「タイムボカン全集」18ページ)
 

 
   
 「タイムボカン」の好評を受けて1977年から放送が始まった第2弾「ヤッターマン」は、「タイムボカン・シリーズ」と銘打った最初の作品である。主要スタッフ・キャストはほぼ「タイムボカン」から引き継がれたが、この作品からメカニック・デザインとして後に「機動戦士ガンダム」(1979〜80年日本サンライズ)などを手がける大河原邦男(1947〜)と、音楽の神保正明(神保雅彰)が参加している。善玉側としてスーパーヒーローである“ヤッターマン”1号(声・太田淑子)と2号(岡本茉莉)が登場。悪玉の3人はドロンジョ(声・小原乃梨子)、ボヤッキー(声・八奈見乗児)、トンズラー(声・立壁和也)のドロンボー3人組に変わったが、容姿と声はまったく同じ。この3人はこの後も微妙に姿を変えながらも、シリーズ全作に渡って受け継がれていく。また、悪玉側の黒幕としてドクロベエ(声・ 滝口順平)が登場している。毎回のように三悪の女ボス・ドロンジョの洋服がボロボロになるなどのお色気シーンが登場するのも楽しみだった。シリーズのパターンはこの作品で確立されたとも言えるが、好評のため1979年まで2年間に渡って全108話
が放送された。これはもちろんシリーズ最長記録である。詳細は後でまた述べることにしたい。
      
 



「ゼンダマン」より
さくらちゃん(ゼンダマン2号/左)と鉄ちゃん(同1号)
メカはゼンダライオン
(「タイムボカン全集」11ページ)
 

 
    
 第3弾「ゼンダマン」(1979〜1980年)は、永遠の命を与える“命のもと”をめぐるゼンダマンとアクダマンの争奪戦を描く。シリーズのパターンもすっかり定着した感じであるが、ヒーロー・ゼンダマンの声優が 三ツ矢雄二(1954〜)と滝沢久美子(1952〜)に変わっている。以後、ヒーロー役は作品ごとに代わるようになる。ミュージカルの要素がふんだんで、毎回視聴者が参加して歌を歌うというのも面白かった。この作品では音楽&主題歌の山本正之が初めて声優に挑戦し、ゼンダマンのメカ・ゼンダライオンを演じている。なんでもすでに録音してあった挿入歌「ゼンダライオンの歌」と、ゼンダライオンのしゃべっている声が違っていてはいけないというのが理由での山本起用だったそうである。余談だが、この「ゼンダマン」は僕が確実にリアルタイムで見ているシリーズで、当時家にゼンダライオンの超合金があった。
       
 
 



「オタスケマン」より
ナナ(オタスケマン2号)とヒカル(同1号)
(「タイムボカン全集」33ページ)
 

 
 
 第4弾「タイムパトロール隊オタスケマン」は、トンマノマント(声・池田勝)の命令で歴史を改竄しようとするオジャママンと、それを阻止しようとするオタスケマン(声・水島裕・島津冴子)の戦いがテーマになっており、ストーリーに変化が加えられている。善玉と悪玉が同じタイムパトロール隊に所属する同僚だという意外性のある設定。マンネリを避けるためか、三悪に加えて第4の悪役ゲキガスキーが登場し、山本正之が声を当てている。
 メカが動物をモチーフとしているのは、これまでの作品と同じだが、ストーリーはだいぶシリアスになってきている。
      
 
 



「ヤットデタマン」より
大巨神
(「タイムボカン全集」41ページ)
 

 
 
 第5弾「ヤットデタマン」は、ナンダーラ王国の王位継承をめぐってカレン姫(声・土井美加)とコマロ王子(声・丸山裕子)のそれぞれの一味が、王位継承の印である鳥ジュジャクを求めるという話。善玉のヒーロー・ヤットデタマン(声・曽我部和行〈現・曽我部和恭〉)が、これまでの男女2人から、男一人となり、人間型の巨大ロボット・大巨神(声・田辺宏章)が登場する。ロボットでありながら意思を持ち、「罪をにくんで人を憎まず」と慈悲を請うものにはそれ以上攻撃を加えない。だが、三悪側が余計なことを言ってしまったために、大巨神は「大激怒」ととどめを刺す。特に「偏平足」と言われると激怒するあたりがなんとも人間くさいロボットであった。
 悪玉が三悪の他、コマロ王子、ドンファンファン伯爵(声・山本正之)と総勢5人になった。そればかりか、三悪の男性二人の容貌がこの作品のみ大きく変えられている。
   
 
 



「逆転イッパツマン」より
左からムンムン、イッパツマン、放夢ラン
(「タイムボカン全集」44ページ)
 

 
 
 第6弾「逆転イッパツマン」は、シリアス路線の最高潮。時間を超えて品物をリースする業界第1位のタイムリース社に対し、業界第2位のシャレコウベリース社が、クリーン悪トリオを使って妨害を試みる。三悪が、会社組織の人間として、会長コン・コルドー(声・肝付兼太)の命令で行動するという展開で、時に捨て駒にされるなど、サラリーマンのペーソス感を与えた点が新しかった。
 ヒーロー・イッパツマン役に、これまでナレーターを務めてきた富山敬が扮し、隠玉四郎(声・小滝進〈現・大滝進矢〉)なる冷酷な悪役も登場。第30話では、シリーズ史上初めて悪玉が勝ち、イッパツマンが敗れるという展開が見られた。
    
 
  ◆「イタダキマン」とシリーズの終焉  
 



「イタダキマン」より
左から三蔵法子、イタダキマン、ヤンヤン、ダサイネン、トンメンタン
メカはデンデンメカ
(「タイムボカン全集」50ページ)
 

 
 
 第7弾「イタダキマン」(1983年)では、「オタスケマン」以降続いていたシリアス路線から一転コミカル路線に戻すという原点回帰を試みている。全部集めると地球がひっくり返ることが起きるというオシャカパズルをめぐって、名門オシャカ学園の優等生たてまえトリオと、浪人生・二束三文トリオが争奪戦を繰り広げる。実はヒーロー・イタダキマンである孫田空作(声・田中真弓)が、悪玉 ・二束三文トリオと共に行動するいうのが新しい展開。主題歌の背景にも登場するなど、シリーズ始まって以来初めて、三悪側が主人公の扱いを受けている。さらに、お釈迦様の霊が宿ったオチャカ校長(声・及川ヒロオ)というかなりユニークなキャラクターが登場し、たてまえトリオに指令を出す。
 しかしながら、視聴率争いではかなり苦戦を強いられた。ビデオリサーチ社による視聴率調査では、「タイムボカン」から「逆転イッパツマン」までの6作品の最高視聴率が、いずれも20%台を記録しているのに対し、「イタダキマン」はわずか9.7%。いかに人気がなかったかがわかる。結局、シリーズ最短のわずか19話で終了
(*4)。シリーズはしばらく休息というはめになる。
  
 僕はこの「イタダキマン」放送当時小学校4年生だった。「オタスケマン」から「逆転イッパツマン」にかけて展開した大人の鑑賞にも耐えうるようなシリアス路線が、突如子供向けのコミカル路線になったことにものすごく違和感を感じたことを覚えている。また、ロボット同士の戦いがメインであったこれまでの作品に比べ、ここでは巨大化したイタダキマンが妖怪と戦う白兵戦といった趣きになっている。イタダキマンが瓢箪から出すカブトゼミ、ペリギン、ワンガルーの筋斗雲メカの印象も薄くなっているし、三悪も妖怪のサポート役に過ぎないといった新パターンへの戸惑いもあって、僕自身も放送当時は「イタダキマン」がそんなに好きではなかった。
   
 
 



「イタダキマン」より
左からオチャカ校長、カンノ先生、猪尾ハツ男、オモンキ、三蔵法子、サーゴ・浄
(「タイムボカン全集」51ページ)
 

 

 「イタダキマン」が短命に終わった理由は、いろいろ取りざたされているが、こうした路線の変更が戸惑いを与えたのも理由の一つだろう。
 また、これまでシリーズを支えてきたシリーズ構成の小山高生と主題歌の山本正之が「マンネリ」を理由に事実上降板させられたことも、このシリーズの不人気に関係しているのではないか。例えば、当時第1話を観た僕は、番組が始まって主題歌が流れ出したとたん、いきなり面喰ってしまった。これまでの山本の手による主題歌は、ヒーロー物の王道で、聞いていて胸がわくわくしてくるような感じの曲であった。それが「イタダキマン」の主題歌「イタダキマンボ」は、「♪君のハートをいただき…」と内容とはまったく関係のないラブソング。今聞きなおすと、それなりにいい曲ではあるのだが、子供心に違和感を感じたのである。結局、山本が「イタダキマン」で手がけたのはエンディング・テーマの「どびびぃーん・セレナーデ」のみ。歌っているのは歌手のきたむらけん(北村謙/1951〜) である。噂によると、山本は主題歌を外された腹いせに、自分によく似た声のきたむらを起用したのだという
(*5)。きたむらはフォークソング全盛期に「はしだのりひことエンドレス」や「ばっくすばにぃ」で活躍し、バンジョーの名手としても知られる。1981年から1993年まで音楽活動を停止していたそうだが、わざわざそんなきたむらを引っぱり出しての起用であった。確かにきたむらと山本の声はそっくりで、山本は「山本さん、今回の歌はサラッと歌ってますね」というファンレターがきて驚いたと語る(* 6)。当時山本自身が歌っていると勘違いした人も多かったようだが、僕もその一人で、最近になるまでずっと山本が歌っていると信じていた。
 マンネリそのものをギャグにまでしてしまうこのシリーズで、マンネリを理由に降板というのは何とも不可解であるが、あるいは何か軋轢があったのではないかと思わせる。小山高生は、二人を解任したプロデューサーの岡正のことを、「二人とも、いまだにそのプロデューサーを認めないし、許してもいない
(* 7)」と語っている。そうして、「イタダキマン」が打ち切りになった際には「二人で『ざまあみろ!』と思った」そうである。さらに「何の愛着もない作品。のっぽ(注・小山が所属するシナリオ集団「ぶらざあのっぽ」)の中ではこの作品はT・B(注・タイムボカン)シリーズではない」とまで語っている。小山は仏教系宗教団体の崇教真光の信者であるのだが、お釈迦様の霊がオチャカ校長に宿るという設定を嫌ったこと も、そうした意見の出た理由の一つであろう。もっとも小山は、第7話のみを手がけて脚本家からも降板しているが、もしシリーズ構成のままであったら降板するわけにもいかなかっただろうから、結果的によかったとも述べている( *8)
  
 一方の山本のほうも相当に怨みがあるようだ。1996年発表のテレビゲーム「ボカンと一発ドロンボー」の主題歌や、ラジオドラマ「平成タイムボカン」(1996〜97年NACK5→RFラジオ日本)の主題歌には、シリーズ作品のタイトルが散りばめられているのだが、共に「イタダキマン」だけが登場せず、意図的に外したのではないかと思われる。
 例えば「ボカンと一発ドロンボー」の歌詞は次の通り(( )内はコーラス・パート)、
   ♪(ヤッター)まんず(ゼンダ)まんなかとおさない
     (オタスケ、ヤットデタ、イッパツ)まんねり、まんねん、せんねん…
 一方の「平成タイムボカン」のほうも
   ♪(ヤッター)正義を知ってるよ(ゼンダ)忘れていないよ
     (オタスケ)悪をこらしめ(ヤットデタ、イッパツ)抱きしめること…
 そればかりか、山本が1995年に発表したシングル「アニメがなんだ」では、彼の怨みはもっと顕著で、聞いていて恐ろしさすら感じさせる。「アニメがなんだ」は山本がこれまでに発表したアニメのテーマソングの主題歌がちりばめられたアンソロジー的な作品で、「おじゃまんが山田くん」(1980年フジテレビ)や「黄金戦士ゴールドライタン」(1981〜82年東京12チャンネル)といった「タイムボカン」シリーズ以外の作品の主題歌も挿入されていて懐かしい。「タイムボカン」シリーズは「タイムボカン」から「逆転イッパツマン」まではすべてが登場するものの、「イタダキマン」の主題歌だけが登場しない。もっとも、「イタダキマン」主題歌は上記の通り山本作品で無いのだから、挿入のしようがないとも言える。しかし、オリジナル部分の歌詞の中には、
   ♪僕を使えばもう少し続いたものを…
   ♪テレビ局がなんだ 打ち切り切り捨て勝手にしておいて…
など、「イタダキマン」での降板劇を思い起こさせるフレーズが続々と登場する。 しかも、
   ♪プロデューサーがなんだ 賄賂と女とゴマスリで仕事をもらうなら
     まあね負けたねお菓子は偉い いつか誰かに刺されないよう気をつけな
     僕は怒ったぞ…
という歌詞まで出てくる。この中の「お菓子」という部分が、「岡(正)氏」のことを指しているのは明白である。しかも実際の歌い方も「♪おか……し」と、「岡正 (おかただし)」をぼかしたような歌い方なのだ。
 
 しかしながら、「イタダキマン」が短命に終わった一番の理由は、やはり放送時間帯の変更であろう。「逆転イッパツマン」までの土曜18時半という放送時間が、「イタダキマン」から19時半に変わっているのだ。当時、この時間帯は「クイズダービー」 (1976〜92年TBS)や「あばれはっちゃく」(1979〜85年テレビ朝日)といった強力な裏番組が存在しており、フジテレビのこの時間帯の番組はいずれも短命に終わっている。
 「イタダキマン」は短命に終わったため、集めていた「世界がひっくり返ることが起きる」オシャカパズルが、最終話ではいつの間にか膨張して残り一つになっているという、かなり強引な展開となった。おまけに、空作の母親を探すという展開もうやむやになってしまっている。
 いろいろな不運が重なって短命に終わってしまったわけだが、笹川ひろしも「作品自体は結構面白く仕上がっていた
(*9)」と語っているように、やや不当な評価を受けているように感じる。なかなか再放送の機会もないのだが、今一度再評価すべきである。ちなみに「イタダキマン復権同盟」(*10)というサイトがあり、僕もメンバーになっている。

 なお、シリーズ第8弾としては「タイムボカンエクスプレス」が企画されていた
(*11)。また、「タイムボカンウォーズ サッパリマン」(*12)という企画もあったそうだが、いずれも幻に終わっている。
   
*4 正確には20話製作されたが、そのうちの第19話は、野球中継のため放送されなかった。
*5 山本正之本人はこの件を否定している。「少年の夢は生きている―山本正之プロフィール」(http://www.tamon.co.jp/masayuki/profile.html
*6 「タイムボカン名曲辞典」(CD[タイムボカン名曲全集」解説書)36ページ
*7 「のっぽとタイムボカン」(http://web.archive.org/web/20030620063531/http://www.brother-noppo.com/noppo_bokan.html
    以下の引用も同じ。
*8 小山高男「霊もピチピチ生きている」198〜199ページ
*9 笹川ひろし「ブタもおだてりゃ木にのぼる」276ページ
*10 「イタダキマン復権同盟」(http://www.3aku.com/ita-doumei/index.htm

*11 「タイムボカン全集」89ページ
*12 「タツノコミュニティ」(http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=53007

         
◆偉大なるマンネリ 
 



「ゼンダマン」よりアクダマン
左よりドンジューロー、ムージョ、トボッケー
(「タイムボカン全集」27ページ)
 

 
 
 
「タイムボカン」シリーズの特徴としては“偉大なるマンネリ”というのがある。後期にはそのマンネリそのものをギャグとしている感すらあった。作品によって微妙に異なるものの、シリーズの基本的なストーリーはほぼ同じ。主人公たちはタイムトラベルをしながら、ある物を探している。「タイムボカン」では宝石ダイナモンド、「ヤッターマン」ではドクロストーン(リメイク版ではドクロリング)、「ゼンダマン」では命のもと、「イタダキマン」ではオシャカパズルといった具合。それを三悪が横取りしようとして妨害する。そして、それぞれがメカに乗り込んでの対決となる。三悪は主人公を追いつめるものの、自らのミスで自滅し、結局正義が勝つ。三悪はさらに追い討ちをかけるようにお仕置きをくらう。
 勧善懲悪というのもこの作品の特徴であるが、シリーズを通して常に悪役側が女1人・男2人の三人組というのも変わらない。三悪は妖艶な女ボス(声・小原乃梨子)を中心として、細身の天才科学者(声・八奈見乗児)と 巨漢の怪力(声・たてかべ和也)で構成される。この三悪、容姿もそっくりだが、声がシリーズを通してすべて同じである。
 そもそも「タイムボカン」放送開始当初、製作者側は主人公側に人気が集まるものと考えていたが、いざ蓋を開けてみると悪役である三悪に人気が集中。そこで、シリーズ化の際にも三悪だけは引き継がれることになった。まさに「ヤッターマン」後期のエンディング・テーマ「ドロンボーのシラーケッ」で歌われているとおり、「♪悪役主役よ、モテモテよ」だったわけである。
 「タイムボカン」最終話のエンディングでは「タイムボカン」の三悪“ガイコッツ”が、名前を変えて「ヤッターマン」のドロンボー一味となることになっている。実際、「ヤッターマン」の中でドロンボーはしばしば過去を懐かしんだりする。しかし、その後その設定は変えられ、別人ということになったようで、オリジナルビデオ「タイムボカン王道復古 第1話」(1993年)では共演を果たしている。もっとも、その後のシリーズでも三悪が過去を懐かしむというのはしばしば登場することで、どの作品だったか第1話において、女ボスが、他の2人に向かって、「またこいつらと一緒なのか」と言ったような記憶がある。ちなみに1996年から1997年まで放送されたラジオドラマ「平成タイムボカン」では、すべての三悪は同一人物という設定になっているが、ここでは敢えて触れないことにしよう。
 しかしながら、マンネリを打破しようという試みはいろいろ見られ、「ゼンダマン」でペットの猫ニャラボルタ(声・池田勝)が加わったのを皮切りに、以降は誰かしら第4の悪役が加わるようになる。さらに、シリーズ第5弾「ヤットデタマン」では、男二人の容姿がかなり変えられ、いろいろ物議を醸した。そのためだろうか、第6弾「逆転イッパツマン」では再び顔が元に戻っている。その他、「ヤッターマン」ではドクロベエ (声・滝口順平)、「オタスケマン」ではトンマノマント(声・池田勝)、「逆転イッパツマン」ではコン ・コルドー会長(声・胆付兼太)といったように、三悪を操る黒幕が登場する場合もある。
 ちなみに女ボス役の小原乃梨子と怪力男役のたてかべ和也は「ドラえもん」ではそれぞれのび太とジャイアンを演じている。つまり、「ドラえもん」での力関係が「タイムボカン」シリーズでは逆転していることになる。ちなみに、「逆転イッパツマン」にはスネ夫役の胆付兼太(1935〜)も 3悪のボス役で出演している。
 なお1993年発売のオリジナル・ビデオ「タイムボカン王道復古」第1話では三悪が主人公となっていた。
   
 
 



「ヤットデタマン」より唯一顔の違う三悪
左よりジュリー・コケマツ、アラン・スカドン、ミレンジョ姫
スカドンの上がコマロ王子
(「タイムボカン全集」50ページ)
 

 
    
 「タイムボカン」シリーズはアドリブと楽屋落ちも話題だった。アドリブは主に、三悪を演じたベテラン声優たちによって演じられたそうである。例えば、女ボスが子分を罵倒して言う「スカポンタン」 というのも声優の小原乃梨子のアドリブによるも。本来のシナリオでは「バカ、ドジ、マヌケ!」となっていたそうだが、それを言いにくいと感じた小原が、「スカタン」と「アンポンタン」を併せて作ったのだそうだ
(*13)。ちなみにこの言葉は「タイムボカン」の第5話に初登場。次の「ヤッターマン」でも黒幕ドクロベエが「アカポンタン」 と言ったり、ドロンボーがドクロベエに対して「ドクポンタン」という形で使っている。「ゼンダマン」では、「スカプラチンキ」という形に発展している。
 同じく天才科学者がボタンを押す時に言う「ポチッとな」もやはりアドリブから生まれている。そもそもは「タイムボカン」のグロッキーの言った「プチュッとな」が始まりだが、「ヤッターマン」のボヤッキーが言った「ポチッとな」が有名となる。実写映画版「ヤッターマン」でもボヤッキー(生瀬勝久)が「ポチッとな」と言う前に、「みなさんご一緒に」と言いながら客席のほうを見るシーンがある。ちなみにこの「ポチッとな」、その後のシリーズでは様々なバリエーションを生んだ。例えば「タイムパトロール隊オタスケマン」のセコビッチの「セコッとな」、「逆転イッパツマン」のコスイネンの「コスッとな」、「イタダキマン」のダサイネンの「ダサッとな」など。科学者役の八奈見乗児のアドリブには定評があったそうで、スタッフ側もそれを積極的に取り入れていったそうである。
 
*13 「BSアニメ夜話06/タイムボカンシリーズ ヤッターマン」94ページ  
   
  
 
 



オシイ星人
(「ぶたもおだてりゃ木にのぼる」309ページ)
 

 
 
 楽屋落ちのほうでは、例えば脇役のキャラクターにスタッフを彷彿させるキャラクターがこっそり紛れ込んでいたりする。特に有名なのは、「ヤットデタマン」以降に登場する、ささやきレポーター(声・富山敬)と小山カメラマン。ささやきレポーターのモデルは総監督の笹川ひろし、小山カメラマンは文芸担当・シリーズ構成の小山高男(現・小山高生)である。小山カメラマンは、なぜか常に顔が隠れていて、たまにカメラが上を見上げても、顔は雲の上にあったりする。これは、小山が実際に194センチという大男で、自称「アジア最大の脚本家 」
(*14)ということにかけたギャグ。ちなみに小山が1988年に立ち上げた脚本家集団の名前が「ぶらざあのっぽ」である。なお「タイムボカン王道復古」第1話にも小山カメラマンは登場しているが、小山自身が「小山です」と一言だけ語り、声優デビューも果たしている。
 その他、悪玉が善玉を追い込みながらも敗れたあとに現れ、「オシイオシイオシイオシイナ〜、モウチョット〜」と言うオシイ星人(「ゼンダマン」以降登場)のモデルは、「ヤッターマン」から「逆転イッパツマン」までで演出・絵コンテを務めていた押井守(1951〜)である。

*14 小山高生「元気玉」3ページ
   もちろん、身長のことである。
  
 
 



オダテブタ
(「タイムボカン全集」86ページ)
 

 
 
 オシイ星人が出たついでにコクピット・メカについても触れておく。コクピット・メカとは、悪玉のメカのコクピットの中に仕掛けられた小型のメカで、その場の状況に応じて現れ、決め台詞を一言述べるというもの。これもまたシリーズお決まりのパターンだった。
 特に有名なのが、主に悪玉天才科学者がほめられて得意になると現れ、椰子の木を登って、「ブタもおだてりゃ木に登る」と言う“おだてブタ”(絵上)。筒井広志(1935〜99)作曲・歌による挿入歌「おだてブタ」(「ヤッターマン」)も作られ、実写映画版「ヤッターマン」にもコクピット・メカを代表して唯一登場したこのキャラクター、初登場は「ヤッターマン」第60話と意外と遅い。しかしながら、“おほめブタ”や“なげきブタ”、「能あるブタは鼻隠す…」と言う“能あるブタ”、オスメス2匹で登場し「ブタも恋すりゃ春になる」と言ってキスする“夫婦ブタ”など、実に様々なバリエーションが登場した。
 ところで、「ブタもおだてりゃ木に登る」という決め台詞、一般的には笹川ひろしが生み出したと思われているが、彼によると、彼の出身である福島の会津若松で子供の頃聞いた言葉だそうなのである
(*15)。ただ、「タイムボカン」「ヤッターマン」で演出を担当した布川ゆうじ(1947〜)は、初めはガイコツであったものを、「キャラクターの味がない」ということで、布川がブタに変えたのだと も語っている(*16)
 そもそもコクピットメカの最初のものは、「タイムボカン」に登場する、マージョが「今週のハイライト」というと現れるガイコツの楽団である。様々なキャラクターが登場するのは「ヤッターマン」以降になる。
 悪玉が善玉にとどめを刺そうと言う時に現れるメカとしては、「ドージョ(どうぞ)」と言うドジョウ型の“ドージョ”(「オタスケマン」)。鉢巻に前掛けで算盤をはじきながら「え〜願いましては…、こりゃいけまっせ」と言う“イケマスイタチ”(「イッパツマン」)。「やってみろやってみろやってみろ、ムダだと思うけどやってみろ」と言うオハヤシ星人(「オタスケマン」)など。
 また、悪玉が敗れた後に現れるメカには、前述のオシイ星人の他、「オロカ、ブ」と言うカブの形をした“オロカブ”(「ヤットデタマン」)などがいる。シリーズを観ていた人には、そのキャラクターが目に浮かんでくるであろうが、そうでない人は文字で読んでも面白くもなんともあるまい。

*15 「僕たちの好きなタイムボカン」20ページ
*16 「タイムボカン全集2/悪の華道」88ページ
      
 
 



オハヤシ星人
(「タイムボカン全集」87ページ)
 

 
  ◆音楽の魅力  
 



音楽&主題歌・山本正之
(「 タイムボカン全集」76ページ)
 

 
    
 「タイムボカン」シリーズでは「イタダキマン」を例外として、山本正之が音楽と主題歌を担当している。「タイムボカン」シリーズと言えば、彼の主題歌を思い浮かべる人も多く、彼の起用が作品の成功につながったことは間違いない。
 山本は愛知県出身。1974年に中日ドラゴンズの応援歌「燃えよドラゴンズ!」で作詞・作曲デビュー。同じ年の「ドラゴンズよありがとう」で歌手としてもデビューを果たす。そうして、「タイムボカン」の主題歌に起用されたことで一躍知られることになった。ちなみに山本によると、「タイムボカン」では某大御所作曲家との競作となっていたそうである
(*17)

 その「タイムボカン」で山本は主題歌「タイムボカン」、エンディング・テーマ「それいけガイコッツ」(歌・ロイヤルナイツ)のほか挿入歌もいくつか手がけている。続く「ヤッターマン」の主題歌「ヤッターマンの歌」は、シングル・レコードの売り上げが50万枚を超え、歌手山本としての最大のヒット作となったそうだ。以降、「イタダキマン」を経て平成に至るまで、山本の歌は 「タイムボカン」シリーズと欠かせないものとなっていく。
 山本の楽曲はメロディはシンプルだが、聞いていてどこか懐かしく感じてくる。歌詞のほうは、例えば「タイムボカン」には「♪ビュンビュンチュワチュワ」、「ヤッターマンの歌」には「♪ウーワンワンワン ウージンジンジン」、「ゼンダマンの歌」には「♪タイムトンネルジュオンジュオンジュオン」とあるように擬音語を多用したところに特徴がある。また、ゴロ合わせとも言うべき言葉遊びも得意としており、後のオリジナル・ビデオ「タイムボカン王道復古」の主題歌「三悪ドアが開く」 では、「♪悪役ドアが開く、悪役魚焼く…」という歌いだしで始まる。また、独特の節回しによる山本の歌唱も、後に「山本節」と称されるようになった。
 「タイムボカン」でコーラスを担当したのはサカモト児童合唱団。「ヤッターマン」でも少年少女合唱団みずうみがコーラスを担当している。このような“素人”の起用も山本節の特徴で、シリーズ第5作の「ヤットデタマン」からは“ピンク・ピッギーズ”が主にコーラスを務めている。ちなみにこのピンク・ピッギーズ、小原乃梨子やたてかべ和也が所属していた「プロダクション・バオバブ」が主催する「劇団がらくた工房」の研修生を中心として結成。メンバーは頻繁に入れ替わっているが、後に真柴摩利(1959〜)や五十嵐麗(1963〜)などが声優として活躍している。「タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」(2000年)でヒロイン・リップを演じた川上とも子 (1970〜2011)もメンバーだった。

*17 CD「タイムボカン名曲全集」
 
 
  ◆タツノコプロ  
 



シリーズ総監督・笹川ひろし
(「タイムボカン全集」73ページ)
 

 
 
 「タイムボカン」シリーズを製作したタツノコプロ(竜の子プロダクション)についても見ていきたい。タツノコプロは1962年に漫画家の吉田竜夫(1932〜77)が二人の弟・吉田健二(1935〜)・九里一平(本名・吉田豊治/1940〜)と共に設立した会社である。竜夫が社長、健二が専務、一平が常務であった。最初は、漫画のプロダクションとして発足しているが、笹川ひろしの勧めでアニメーションの製作を手がけることになる。笹川はもともとは手塚治虫(1928〜89)門下の漫画家であったが、手塚の虫プロによるテレビアニメ「鉄腕アトム」(1963〜66年フジテレビ)の製作に参加したことがきっかけで、アニメ製作に興味を持つことになる。
 最初の作品は「宇宙エース」(1965〜66年フジテレビ)。これはモノクロ作品で、笹川は監督を務めている。続く、「マッハGoGoGo」(1967〜68年フジテレビ)が最初のカラー作品。以後、「ハクション大魔王」(1969〜70年フジテレビ)、「いなかっぺ大将」(1970〜72年フジテレビ)、「みなしごハッチ」(1970〜71、1974年フジテレビ)、「風船少女テンプルちゃん」(1977〜78年フジテレビ)など、1970年代から1980年代初めにかけてタツノコプロは次々とヒット作を発表したのである。
 特に「科学忍者隊ガッチャマン」(1972〜74、1978〜80年フジテレビ)、「新造人間キャシャーン」(1973〜74年フジテレビ)、「破裏拳ポリマー」(1974〜75年 NETテレビ)などのSFヒーローアクション物にすぐれた作品が多く、僕もかなり影響を受けてきている。ちなみに「タイムボカン」シリーズ以外では、僕は「科学忍者隊ガッチャマン」が大好きだった。
 タツノコプロの作品は、川崎のぼる(1941〜)の原作による「いなかっぺ大将」や「てんとう虫の歌」(1974〜67年フジテレビ)などを除き、原作によらないオリジナル・キャラクターを生み出し、新たなスタンダードを築き上げている。そうしたタツノコプロの勢いも1980年代半ばからは徐々に失速。ちょうど「イタダキマン」が放送打ち切りになった時期からだろうか…。1985年の「炎のアルペンローゼ」 (フジテレビ)以降、タツノコプロ製作のアニメは、短命に終わることが多くなる。
 タツノコプロ初代社長の吉田竜夫は1977年に肝臓がんのため46歳の若さで亡くなった。カリスマ的人望のあった竜夫の死がきっかけとなって、この頃多くの創立メンバーが独立したという。その後は、弟の健二が2代目社長に就任。1987年からはもう一人の弟・九里一平が3代目社長に。2005年の九里退任後は、吉田一族はタツノコプロの経営から離れている。タツノコプロから巣立った人物には、イラストレーターの天野喜孝、メカニックデザイナーの大河原邦夫、アニメ監督の押井守らがいる。漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(1976年〜連載中)の作者・秋本治(1952〜)も2年間タツノコプロに在籍していた。笹川ひろしは1979年にタツノコプロから独立するが、「タイムボカン」シリーズの製作にはその後も関わっている (その後1994年に顧問としてタツノコプロに復帰)。
      
 
  ◆「タイムボカン」シリーズの影響と復活   
 



ラジオドラマ「平成タイムボカン CDシネマ4」より
カエッテキタマン
 

 
 
 「バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲」(1997年アメリカ)を観て、「タイムボカン」シリーズを思い出したという意見を、ネットで見たことがある。なるほど、ユマ ・サーマン(1970〜)演じるポイズン・アイビーが妖艶な女ボス。その子分のベイン(ジープ・スウェンソン)が怪力系。アーノルド・シュワルツェネッガー(1947〜)演じるミスター・フリーズが天才系というわけか。確かに言われてみればそうも思える。もっとも、それは偶然の一致で、「タイムボカン」シリーズの影響があったわけではないだろう 。
 しかしながら、そういう意見が出るほど「タイムボカン」シリーズが後の時代に与えた影響は大きかった。
 
 例えば、「タイムボカン」シリーズと同時期に放送されていたタツノコプロ製作の「とんでも戦士ムテキング」(1980〜81年フジテレビ)。ローラースケートを履いたスーパーヒーローが活躍するこのSFギャグアニメ。動物をモチーフとしたメカが登場したり、どこか憎めない悪役キャラのクロダコブラザースが活躍するなど、確かに「タイムボカン」シリーズを思わせる。僕自身もそうだったのだが、当時この作品を「タイムボカン」シリーズと認識していた子供も多かったのではないだろうか。
 それから、「イタダキマン」の後番組「未来警察ウラシマン」(1983年フジテレビ)はタイムトラベル物である点が、さらにその後番組「OKWARI−BOY スターザンS」 (1984年フジテレビ)もSFヒーローが活躍する展開が「タイムボカン」シリーズを彷彿させるものであった。同じタツノコプロ作品でスタッフも共通することから、少なからぬ影響があるのだろう。
 その他、「ふしぎの海のナディア」(1990〜91年NHK)にはグランディス一味という、女リーダーと瘦せとデブの男2人という3人組の悪人が登場する。このアニメを制作したガイナックスの元社長の岡田斗司夫(1958〜)によれば、「パクリにきまってるじゃないですか(笑)」
(*18)とのことである。

*18 「BSアニメ夜話06/タイムボカンシリーズ ヤッターマン」46ページ

 
 
 
 そんな中でも確信犯とも言えるのがオリジナル・アニメ・ビデオ「戦国武将列伝/爆風童子ヒッサツマン」(1990年バンダイ)。監督・笹川ひろし、キャラクターデザイン・天野喜孝、主題歌・山本正之、ナレーション・富山敬という「タイムボカン」シリーズのスタッフの一部が参加。ストーリーも演出も「タイムボカン」をかなり意識している。
 21世紀から戦国時代へタイムスリップしてしまった平賀玄米(声・草尾毅)とロボットのナゴヤ兵衛(声・千葉繁)。巨大な力を持つ御国鳥を捕えるために歴史を変えることも厭わない女悪玉3人組の野望を阻止するために、玄米はヒッサツマンに変身する。
 「やっておしまい」「ポチっとな」「説明しよう」といったシリーズでおなじみの台詞が飛び出し、小型ロボット“ゾロメカ”も登場する。さらにササヤキレポーターを思わせる“ササヤマ・レポーター”なる人物も出て きて、富山が声をあてている。悪玉3人組は、女だけではあるが、リーダー格のビージョに扮するのは小原乃梨子。ハロウィンのジャック・ランタン(カボチャちょうちん)の形をした3悪のマシン“タイム・カボッチャー”が爆発すると、ドクロ型ならぬカボチャ型のキノコ雲が立ち上る。
 おそらく知らずに見れば、誰もが「タイムボカン」シリーズの一篇と勘違いしてしまうに違いない。製作はタツノコプロではなくアートミックであるが、タツノコプロ作品と混同されることも多いらしく、実際僕が借りたレンタルビデオ店でもタツノコ・アニメのコーナーに置いてあった。
       
 



「タイムボカン王道復古」より
ドロンジョ(後ろ)
( 手前左から)ボヤッキー、トンズラー


 そんな中、「イタダキマン」を最後に製作されていない「タイムボカン」シリーズの復活を願う声があちらこちらからあがってくる。
 その最初のものがCD「タイムボカン名曲大全」(1991年)。「タイムボカン」から「イタダキマン」までの主題歌・挿入歌を網羅したものだが、そのオープニングとエンディングには、「ヤッターマン」の三悪ドロンボーの3人が町中で偶然再会するというミニドラマが収録されている。

 1993年と1994年にはオリジナル・ビデオ「タイムボカン王道復古」が製作される。第1話「チキチキウゴウゴホゲホゲマシーン猛レース」(1993年)は、第2話で復活するシリーズ作品を決めるために、歴代3悪がそれぞれのマシーンでレースに挑むという内容。小原乃梨子、八奈見乗児、たてかべ和也の3人が三悪それぞれをひとり7役で演じている。さらに山本正之がゲキガスキー(オタスケマン)、ドンファンファン伯爵(ヤットデタマン)、2−3(逆転イッパツマン)の3役を、富山敬がささやきレポーター (ヤットデタマン)、トミー・ヤマ(ゼンダマン)、逆転王(逆転イッパツマン)、おだてブタの4役(第2話ではその他ヤッターワンFZも)を演じていると言うのもお楽しみ。たった5人で計28役というのがすさまじい。ヒーロー側からの登場キャラは2−3だけだが、レースを観戦する観客の中には「タイムボカン」の丹平&淳子、ゼンダマンの2人の姿も見える。その他、「オタスケマン」のオジャママンのセコビッチ(声・八奈見)の応援で、ミュージシャンの甲本ひろと(1963〜)と漫画家・奥谷かひろが登場。コクピッ ト・メカのオハヤシ星人の声を充てている。
 歴代三悪の中でドロンボーのボヤッキー(声・八奈見)だけは、結婚した初恋の人「会津若松のおハナちゃん」(声・滝沢久美子)との幸せな生活を壊したくないことからレースには参加せず、ドロンボーはドロンジョ(声・小原)とトンズラー(声・たてかべ)の二人だけでの参加を余儀なくされる。
 レースが始まると同時に、飛び出した「イタダキマン」の二束三文トリオが真っ先にリタイアして、ナレーター(富山敬)に「シリーズを象徴していますね」と言われるお約束がある。その後のレースも三悪がお互いに妨害しあう。「ヤットデタマン」のミレンジョ一味がヒーロー側のロボット・大巨神に助っ人を頼めば、「逆転イッパツマン」のクリーン悪トリオも逆転王を呼び寄せる。そうして戦い始めた大巨神と逆転王の間に友情が芽生える。
 「タイムボカン」のガイコッツ一味の罠にはまって絶体絶命となったドロンボーだったが、急を知ってかけつけたボヤッキーによって危機を脱出し、逆にガイコッツを撃破。しかし、ドロンボーのメカも大破してしまう。だが、ドロンボーは3輪自転車に乗り込み、勝利を確信してお色気ポーズを披露しているアクダマン(「ゼンダマン」)を土壇場で抜き去ると、逆転優勝を遂げる。

 そうして製作されることになった第2話「タツノッコン王国で同窓会だコロン」では、「ヤッターマン」が復活することになった。ドロンボーはドクロベエならぬトグロベエ(声・滝口順平)の司令でタツノッコン王国にあるトグロストーンを奪いに出かける。タツノッコン王国とは、歴代タツノコキャラが住む国であった。白黒作品「宇宙エース」のヒーローは、白黒のままで登場するし、「マッハGoGoGo」の三船剛、「魔法の少女テンプルちゃん」のテンプルちゃん、「おらあグズラだど」のグズラ、「けろっこデメタン」なども顔を見せている。ドロンボーの乗り込むメカ・ロリコンダーに対して、ガッチャマン、キャシャーン、テッカマン、破裏拳ポリマーが戦いを挑む。僕は「ガッチャマン」のファンでもあるので、ヤッターマンとガッチャマンの共演は嬉しいのだが、この作品に関しては複雑な気分である。と言うのも、ここでのガッチャマンはまったくの無力で、ドロンボーに一蹴される。さらに、全く見せ場の無いコンドルのジョー、燕の甚平、みみずくの竜の3人は台詞が無いことを理由に途中で帰ってしまうという体たらく。しかも最初のほうで、ガッチャマンの5人と南部博士がボヤッキーの働く国分寺の蕎麦屋で食い逃げをするというエピソードまで 登場し、正直無かったことにしたい気分である。
 なお、ガッチャマンはリメイク版「ヤッターマン」(2008年)の限定版エピソードで再びドロンボーと対決。今度は見事勝利を収めている。
       
 



ラジオドラマ「平成タイムボカン CDシネマ5」より
カエッテキタマン(左)とオカエリマン
 

 
 
 1996年4月から1997年3月まで、「タイムボカン」シリーズはラジオで復活する。NACK5(10月以降はRFラジオ日本)で放送されたラジオドラマ「平成タイムボカン」である。これは後に「平成タイムボカン CDシネマ 1〜7」としてCD化されている。
 第1弾が「復活!世直しドロンボー」で、久しぶりに再会したドロンボーの3人(ドロンジョ、トンズラー、ボヤッキー)が、正義にめざめ世直しのために奔走するというストーリー。世直しの対象になるのが、コギャルや住専という、タイムリーな時事ネタを取り上げているというのが「タイムボカン」シリーズらしいともいえる。
 第2弾が「カエッテキタマン」。突如、再び悪にめざめたドロンボーに対して、新ヒーロー「カエッテキタマン」と「オカエリマン」が正義の戦いを挑むという展開。男性が1号、女性が2号だった今までのシリーズと逆で女性のほうがリーダー格になっており、折笠愛(1963〜)、林原めぐみ(1967〜)、櫻井智(1971〜)、宮村優子(1972〜)の人気声優4人が交代で扮している。一方のオカエリマンには岡野浩介(1969〜)が一貫して扮していた。
 面白いことに、この作品の中で、三悪はすべてが同一人物という設定になっているようなのである
(*19)。ドロンジョが、「8年間一緒に戦ってきた」と語ったり、「逆転イッパツマン」のクリーン悪トリオが通っていたはずの飲み屋“うえだや”を懐かしんだりする。容姿の違いが気にならないラジオドラマならではと言える。ちなみに、第1話では、ドロンジョ役の小原乃梨子とトンズラー役のたてかべ和也が、それぞれ「ドラえもん」で扮したのび太とジャイアンに一瞬なるというギャグも登場していた。

 しかしながら、オリジナルビデオやラジオドラマではコアなファンは納得しない。テレビシリーズ復活の声はその後もあがり続け、ついに、2000年にテレビシリーズとしては17年ぶりの新作「タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」が登場する。

*19 ただし、第26話にはドロンボー一味が、「ヤットデタマン」のミレンジョ姫一味のミレンジョ、ジェリー・コケマツ、アラン・スカドンの3人と出会う場面が出てくる。
    
   
 
  ◆「タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」  
 



「怪盗きらめきマン」より
手前左からきらめきマン2号(パフ)、1号(リップ)
後ろ左からルージュ、オンドレー、ヒエール
(「怪盗きらきマン/きらめき劇中大音盤」より)
 

 
 
 「タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」(2000年テレビ東京)は、久しぶりの新作ということで、総監督・笹川ひろし、シリーズ構成・小山高生、メカニック・デザイン・大河原邦夫、音楽&主題歌・山本正之、音楽・神保正明という過去のシリーズを支えたスタッフが再集結。ただし、キャラクター・デザインの天野喜孝は、当時ニューヨークに滞在して作品製作に忙しく参加することができなかった。代わりに双子のアニメーター・上北ふたご(上北実那・上北希沙/1960〜)が参加している。また、「タイムボカン」で美術監督とメカニック・デザインを担当した中村光毅(1944〜)が美術監督として久しぶりに復帰している。
 未来から現代へやってきた青年パフ(声・岡野浩介)が、その先祖にあたるリップ(声・川上とも子)と共に怪盗きらめきマンに変身し、お宝ゴールドアイを探して盗みを続ける。それを阻止しようとして立ち向かうのが、ジュテーム署の窓際刑事、通称“花の刑事トリオ”のルージュ(声・小原乃梨子)、ヒエール(声・八奈見乗児)、オンドレー(声・たてかべ和也)。
 滝口順平が、花の刑事トリオのスポンサーである遮光器土偶の姿をしたドグリン役で登場。山本正之も、未来の有名な泥棒ドック・リンゴ役で登場している。なお滝口は、亡くなった富山敬に代わってナレーションも担当している。
 女性がきらめきマン1号、男性が2号という設定や、世直しドロンボーの決め台詞がそのまま花の刑事トリオの決め台詞として使われるなど、ラジオドラマ「平成タイムボカン」の影響が強いようだ。
 しかしながら、ヒーローと三悪の立場が今までと逆で、三悪が正義、ヒーローが悪になっているのには驚かされる。そのため、勧善懲悪というシリーズの特色がなくなってしまった。一方、作品の雰囲気は「ヤッターマン」を意識した初期のコミカル路線で、きらめきマン側のおでかけキャット/とったるニャン(後期には、おでかけフクロウ/とったるブクロウ も登場)、花の刑事トリオ側のワンダーブルといったメカは動物をモチーフとしたデザインである。川北ふたごのデザインによるキャラクターも微妙に過去の作品と変わっていて、特に女ボス・ルージュが、これまでの妖艶なキャラから、どちらかというとあどけなくキュートな容姿に変わっている。そして何よりも変わったのは、放送コードの問題だろうか、女ボスが裸になるなどのお色気シーンがまったく登場しなくなっていることなのである。
 過去のキャラクターが時折顔を出すというお楽しみもあった。「ヤッターマン」のドロンボー一味が、ジュテーム署近くの喫茶店「ドロンボー」のマスターとしてたびたび登場。その店の客にはささやきレポーターと小山カメランの姿も。また、第14話では「タイムボカン」のガイコッツ一味が海の家で氷イチゴを売っていた。同じエピソードでは、竜宮城が出てくる内容だったからか、「未来警察ウラシマン」の面々も背景に登場していた。

 しかしながら、視聴率争いでは苦戦を強いられた。平均視聴率は3.6%
(*20)と、過去最低だった「イタダキマン」をもはるか下回る結果。惨敗した理由としては、テレビ東京系の放送ということで、宣伝不足であったこと もあるだろうし、水曜18時からの放送で、初期シリーズからのファンにとって観るのが難しい時間帯であったことがあげられるだろう。何しろ、僕自身「怪盗きらめきマン」が始まったことに気づかなかったぐらいである 。
  
*20 「TVアニメ資料館/テレビアニメ放送資料:タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」(http://home-aki.cool.ne.jp/anime-list/timebokan08.htm)    
   
 



左からオンドレー、ヒエール、ルージュ
メカはワンダーブル
(「怪盗きらめきマン/きらめき劇中大音盤」より)

  ◆シリーズ代表作「ヤッターマン」  
 


 「タイムボカン」シリーズの中で最も人気があるのは、間違いなく第2弾「ヤッターマン」である。最高視聴率は26.5%
(*21)でシリーズ中最も高い。好評のため放送期間が1年半延長され、計108話が放送された。オリジナルビデオ「タイムボカン王道復古」第1話(1993年)で優勝したのも「ヤッターマン」のドロンボー一味で、第2話(1994年)では「ヤッターマン」が復活している。テレビゲーム「ボカンと一発ドロンボー」(1996年)「ボカンですよ」(1998年)でも、プレイヤーが操作するのは「ヤッターマン」のドロンボー一味であった。おそらく再放送される機会が最も多いのも、この「ヤッターマン」だろう。
 こうした中、2008年になって「ヤッターマン」がリメイクされたのである(2008年〜09年 日本テレビ)。ヤッターマン側の声優は交代したが、三悪はオリジナルの3人がそのまま担当。2008年の時点で小原73歳、たてかべ74歳、八奈見77歳と、いずれも70歳を越えながら、健在ぶりを示した。77歳の滝口順平もドクロベエ役で登場している。ナレーターを担当するのは山寺宏一(1961〜)である。このところ、「宇宙の騎士テッカマンブレード」(1992〜93年テレビ東京)や「マッハGoGoGo」(1997年テレビ東京)、「キャシャーンSins」(2008〜09年)などタツノコプロ製作のアニメのリメイクが相次いでいるが、「タイムボカン」シリーズではこの「ヤッターマン」が初めてのリメイクとなる。そうして2009年の実写映画化へとつながるのである。
 それでは、「ヤッターマン」について見ていこうかと思うのだが、「タイムボカン」シリーズを振り返るのにいささかページをとりすぎた。そんなわけで、「ヤッターマン」については次項であらためて見ていくことにしたい。
 
*21 「タイムボカン全集」90ページ
   ちなみに他の作品の最高視聴率は、「タイムボカン」26.3%、「オタスケマン」25.6%、「ゼンダマン」25.2%、「ヤットデタマン」20.9%、「逆転イッパツマン」20.8%、「イタダキマン」 9.7%
 

 
 
 子供の頃いちばん好きだったアニメがこの「タイムボカン」シリーズだった。あれから20年以上経って、こうして語る日が来るなんて思いもよらなかった。
 当初、映画「ヤッターマン」の公開に併せ、「ヤッターマン」をメインに、他のシリーズはあくまで「ヤッターマン」との関わりで述べるだけにするつもりだった。しかし、あまりに懐かしくて、あれもこれもと書いていたら、分量がだいぶ増えてしまった。それでも、「ゼンダマン」以下のシリーズ後期作品についてはまだまだ物足りない。それこそ、シリーズ1作品につき1項目立てたいぐらいである。それは「タイムボカン王道復古」「タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」「平成タイムボカン」についても同じことで、いずれまた機会を改めて述べることにしたいと思う。
  
 
 


(2009年8月3日)

 
 

 
(参考資料)
小山高男「霊もピチピチ生きている/実証真光の業」1986年1月 リヨン社
「タイムボカン全集」1997年9月 ソフトバンク
「タイムボカン全集2悪の華道」1998年6月 ソフトバンク
御園まこと監修「図説テレビアニメ全書」1999年7月 原書房
笹川ひろし「ぶたもおだてりゃ木にのぼる」2000年9月 ワニブックス
小山高生「元気玉」2002年6月 リヨン社
「僕たちの好きなタイムボカンシリーズ」2003年5月 宝島社
坂井由人監修「J−アニメーション究極大鑑」2005年2月 ぴあ
「タイムボカンシリーズ超キャラ&超メカコレクション」2006年5月 竹書房
「BSアニメ夜話06/タイムボカンシリーズ ヤッターマン」2007年12月 キネマ旬報社
「20世紀タイムボカン読本」

「OFFICE KEN 謙さんのホームページ(http://www.officeken.net/

「三悪ドットコム」(http://www.3aku.com/index.htm

 

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