続・俺の館で何をしている
 JADE 

Boromir’s temptation is irresistible !




 その日、ゴンドール軍は西の国境近くでオークの掃討戦をおこなっていた。
指揮官は白の総大将、ボロミアである。
悪鬼どもをあらかた殲滅し終わり、その屍を積み上げて燃やそうとしていたとき、騒ぎは起きた。

 黒いフードに身を包んだ大柄な騎士が、見事な駿馬に乗ってゴンドーリアンのあいだに駆け込んできたのである。
「何者だッ」
騒然とする兵士たちを蹴散らして走り抜けた馬は、まっすぐ総大将のもとに向かった。
戦いに疲れて休息していたボロミアが、驚いて立ち上がる。
その執政家の跡継ぎの脇をすり抜けざま、馬上の黒騎士はボロミアの身体を横抱きに抱えて鞍の上にかつぎ上げた。

「うわっ」
もがきながら叫ぶボロミアの口元に、布があてられた。すると薬が仕込んであるのか、総大将はすぐにぐったりとなった。
「ボ、ボロミアさまがっ!」
ゴンドールの兵士たちは動転して騒ぎだし、黒騎士に矢を射掛け槍を投げたが、相手はそれを巧みにかわして兵士たちの輪の外に逃れ出た。
「総大将が連れ去られたーッ!」
ゴンドーリアンたちも馬を駆って相手に追いすがろうとしたが、ボロミアを乗せた駿馬は風のように走り去り、すぐに見えなくなってしまった。



 ボロミアは薄暗い部屋の中で目を覚ました。
かれはかなり豪華なつくりの寝台の上に横たえられている。
ロウソクの炎が目に眩しい−−と思いながらあたりを見回すと、ローハンの王子が椅子に腰掛けてこちらを見ていた。

「セオドレド・・・?」
ボロミアが呼びかけると、相手はうなずいた。
「なぜきみがいるんだ・・・ここは何処だ?」
「ヘルム峡谷のわたしの砦だ」とセオドレドが答える。
「・・・確か、わたしは国境で戦っていたはずだが。そうだ、いきなり黒い騎士が現れて・・・」
「あれはわたしだ」
セオドレドがそう言うと、ボロミアは「きみが?」と驚いて身体を起こそうとした。

 だが、両腕がロープでいましめられ寝台にくくり付けられているため、起き上がれない。
「なんだこれは、どういうつもりだセオドレド」
ボロミアが不安な声を出す。

−−どういうつもりかと言えば、ファラミアへの仕返しなのである。
二ヶ月ほど前、勝手にローハンに押しかけてきた執政家の兄弟は、自分の不在をいいことに従弟のエオメルをベッドの中に引きずり込んで、やりたい放題にもてあそんだのだった。
そのことに非常に腹を立てたセオドレドは、何とかして主犯のファラミアに罰を与えたいと思った。
だが、そのファラミアに何をしたら仕返しになるのかが、思いつかない。
さらに弟君には得体の知れぬ怖さがあるので、あまり会いたくないのである。

 そこで、もっとも効果があるのは、ファラミアがこの世で一番愛している兄のボロミアをどうにかしてやることではないか、とセオドレドは考え実行に移したのだった。
まあ、ボロミアとは長年の友人であるし、いいことも悪いこともしてきた仲なので酷い目に合わせるつもりはなかった。
だが、いきなり訳のわからぬ相手に兄をさらわれたと知って、不安に心乱れるファラミアの姿を想像すると、いい気味だ・・・と思わず笑みが浮かぶセオドレドである。

−−もう、ボロミアが拉致されたとミナス・ティリスにも伝わった頃だろうな。さぞかしファラミアも慌てふためいていることだろう、と王子はほくそえんだ。
「誰も来ないぞ。二人きりだ」
ボロミアを見下ろしながらセオドレドが言う。
「セ・・・セオドレド・・・」
ボロミアの声が震えている。
おまえの兄はもはやわたしの思いのままだ、ざまあみろファラミア。とか思いつつ、王子は相手の胸の辺りを指でつー、となぞった。

 ボロミアの翡翠色の瞳が揺れながら相手を見上げる。
「ああ・・・セオドレドきみというやつは・・・このあいだは、わたしを無視して追い返したりして、なんてやつなんだと思ったが・・・いきなりわたしをさらいに来て、ベッドに連れ込むなんて、なんと素晴らしいサプライズプレゼントを下さるのか!楽しすぎますぞ!やはりきみは親友だ!」
ボロミアの声の震えは恐怖ではなく感動によるものだったらしい。
「ありがとうセオドレド!さあ、やることはひとつだ、わたしをきみの弾道ミサイルで好きなだけ犯しむさぼるがいい!異物挿入もありですぞ!レッツスタート性の饗宴!」
「ぐわーっ」
思わずうめきながら頭を抱えて天を仰ぐセオドレドだった。

 ローハンの王子は、執政家の長子の上にのしかかるとその衣服を引き剥がしにかかった。
白い胸をあらわにされ、下衣をずり下げられながらボロミアは「あッ・・・あぁ・・・脱がされてるぅ・・・」と、期待に身もだえしつつ裸に剥かれた。
めくるめく行為への予感に、ボロミアのペニスは既に勃ちあがってビクビク震えている。
「セオドレド、さあ早く・・・」
無駄のない筋肉に覆われた肢体を、ボロミアは妖しくくねらせた。
そんな相手を冷たい目で見やると、王子はまた椅子に座ってしまった。

「ん?どうしたセオドレド、はじめないのか?」
ボロミアが不思議そうに問う。
王子はふん、と鼻で笑うと「このまま放置だ」と言った。
「な、何?」
「なんでわたしがおまえを喜ばせなきゃならないんだ。だから放置」
「放置ってなんだ?意味がわからんぞ?セオドレド、早くわたしを陵辱したまえ」
「イヤだ」
それを聞いたボロミアが怒りの声を上げる。

「イヤってどういうことだ!さっさとわたしを抱け!」
「やーだよぉーん」
憎たらしい口調で言うセオドレドを、ボロミアは緑の瞳を細めて見つめた。
「わたしを縛って裸にして眺めるだけなんて・・・きみはなんという変態なんだ・・・」
そう驚嘆の声を出す執政家の長子に、ローハンの王子は「おまえに言われたくないわッ」とわめくのだった。

 放置プレイ開始後、3日が経過した日のことである。
「あぁーん、セオドレドー、ちょっとでいいからわたしに触ってくれー」
王子の寝室では、相変わらずベッドに縛り付けられた全裸のボロミアがくねくねと身悶えている。
正直その姿にはかなりそそられて、股間がむずむずしてくるセオドレドであった。
だが、相手を喜ばせるのが嫌なのでかれは自分の欲望を抑えていた。

「ところで、ファラミアはさらわれた兄が心配で、夜も眠れずにいるだろうな」
セオドレドがそう言うと、ボロミアは少し考えて、「うーむ。まあそうかもしれないが、弟はさびしんぼうだからなあ。わたしがいなくて寂しくて、そうだエオメル殿に会いに行こうかナ☆とか思いつくんじゃないか」などと言い出した。
「なにーッ!?」
それを聞いたセオドレドは急に不安になった。

 かれはボロミアとヘルム峡谷にこもっているため、ここ数日のエドラスの動静についてはわからない。
ファラミアが「兄を知りませんか」と口実をもうけて黄金館を訪れる、というのはいかにもありそうなことだった。
自分が目をはなした隙に、またエオメルがファラミアに何かされたらどうしよう、と王子は動揺した。つい激しく絡み合う従弟と弟君の姿を妄想してしまって、青ざめる。
もはやいてもたってもいられない。
「よし、エオメルをここに呼ぼう」
ローハンの世継ぎはすぐさま決断した。
エオメルをボロミアに会わせるのも嫌なのだが、ファラミアよりはましだろうとかれは思った。



 何も知らず、エドラスで宮殿の警護をしていたエオメルは「殿下がお呼びです」との伝令を受け取ると、単騎でヘルム峡谷に出向いた。

 二ヶ月前、セオドレドの誕生日のお祝いだぁ〜とやって来た執政家の美貌の兄弟に、ついぞ経験したことのない行為を教えられて、少し大人になってしまったエオメルである。
過剰な快楽に我を忘れ錯乱したかれに、帰館した従兄は激怒した。
そして「頭を冷やせー!」と雪白川に叩き込まれて、ごぼごぼぼと溺れかけ、ようやく正気に戻ったのだった。

 が、我を取り戻してからも下半身が疼いて眠れぬ夜があり、気がつくとセオドレドの股間の辺りをじぃっと見つめていたりする。
それに気づいた従兄に「何を見てるんだぁっ!」と怒鳴られて、殴られたりもした。
−−でも話によると、殿下だってあのお二人と楽しんできたらしいのに・・・と内心不満に思わなくもなかったが、とにかくセオドレドが怒り狂っているので、ただひたすらおとなしくしていたのである。

 ヘルム峡谷に到着した第三軍団長は「殿下、わたしです」と言いながら王子の寝室に足を踏み入れた。
すると、すっぱだかのボロミアがあられもないおっぴろげ姿で、ベッドに縛られているではないか。

「はぅあー!?」
それを見たエオメルの脳内で何かがドッカン、と爆発し衝撃が下半身を直撃した。
「ボッ、ボロミア殿ッ」
エオメルは叫びながら、寝台に駆け寄った。白の総大将の魅惑的な身体以外何一つ目に入らない。
「おお、エオメル殿。またお会いできて嬉しいですぞ」
眩しいくらいの笑顔を浮かべながら、ボロミアは肢体をくねらせた。
「ボロミア殿、そのお姿はいったい・・・!」
喘ぐように言いながら、相手を見下ろす。

 かれは執政家の長子に挿入した際の、ジュ〜シィかつスイ〜ティな感触を思い出して股間を熱くした。
たまらず、その白い身体にむしゃぶりつこうとした瞬間、背後から「エオメル、ボロミアから離れろ」という冷たい声がした。
驚いて振り向くと、従兄が座ってかれを睨んでいる。
「殿下、いたんですか」
「いるに決まってるだろ!」
セオドレドは怒鳴り、「早く離れてこっちに来い!」と命令した。

「い、いやしかし・・・」
エオメルは今すぐボロミアにのしかかって、その身体を思うさま撫で回したい気持ちで一杯だった。
だが必死の思いで、なまめかしい姿から視線をはずす。
すっかり下半身がエキサイトしているかれは、ぎくしゃくと妙な足取りでセオドレドのもとにやって来た。

「殿下、これはどういうことですか」
と尋ねると、従兄は「3日前からボロミアを監禁している」と答えた。
「監禁!?・・・す、すごいことしてますね殿下ったら」
それを聞いてさらに股間がズッキンドッキンしてしまうエオメルである。
「それで、殿下はボロミア殿を縛って、そのう、お二人で・・・!」
興奮した口調で言うエオメルに、ボロミアが大声で話しかけた。
「それが全然違うんですぞ、エオメル殿!セオドレドはわたしに指一本触れず、ほったらかしにしておるのです!」

「ほ、ほったらかしに・・・?ボロミア殿を?・・・変わってますねえ殿下は」
「まったくです、こんな変態中つ国のどこにもいませんぞ!」
エオメルとボロミアの二人に呆れた口調で感嘆されて、セオドレドは「うるさーい」とわめいた。
「ボロミアを行方不明にして、ファラミアを心配させるのが監禁の目的なんだからな。わたしが満足するまでボロミアをここに閉じ込めておく。いいかエオメル、おまえは絶対にボロミアの身体に触れるんじゃないぞ」

 従兄の厳しい言いつけに、「えぇ〜そんな・・・」とエオメルが不満の声を上げた。
(だが待てよ)
セオドレドだって手洗いに行ったり、睡眠をとったりするだろう。そのときを狙ってボロミア殿と・・・とかれは考えた。
が、王子はエオメルの心を読んだように、手錠をとりだすと自分と従弟の手首をつないでしまったのである。
「−−こんなものまで用意して、殿下ってば・・・」とエオメルは失望し、しかたなくセオドレドの横に座った。
そして物欲しげにボロミアの裸体を眺めるのだった。

 夜になった。
「それにしてもエオメル殿、あなたのテポドンは大した物でしたなあ。わたしは何度も夢に見てしまいましたぞ。艶々とたくましく、それは素晴らしかった。是非ともまた拝見したいものですな」
「よ、喜んでボロミア殿」
ボロミアとエオメルがそんな会話を交わしていると、セオドレドは「つまらんことばかり言い合うな!」と不機嫌な顔になり、やがて立ち上がった。

「もう寝るぞエオメル」
「え?はい」
そう言いながら、王子は手錠でつながった従弟を隣の部屋に引っ張っていった。
「我々はこっちの部屋で寝るんだ。わたしが眠った隙に、おまえとボロミアがなにか出来ないようにな」
「殿下・・・」
エオメルが心底がっかりした声を出す。
セオドレドはそれを無視して寝台に横になり、エオメルも仕方なく従兄にならった。

 燭台の揺れる灯りを見ていると、エオメルの脳裏には先程まで眺めていたボロミアの姿態が次々に思い出されるのだった。
セオドレドがそばにいるにも関わらず、思わず下半身に手を伸ばしてしまう。
せわしない息遣いを洩らす従弟に気づいた王子は、「・・・エオメル、何をしている」と低い声で尋ねた。
「な、なんでもありません」
そう言いながらなにやらごそごそ動かし続ける従弟を、セオドレドは眉をしかめて見ていたが、やがてふん、とそっぽを向いて寝てしまった。

 一方、エオメルは自慰に耽りつつ、眠るセオドレドの白い喉をじっと見つめていた。
ボロミア殿と出来ないのなら、いっそのこと殿下と・・・まあそういうのもアリだよな・・・と不埒なことを考える軍団長である。
ファラミアの悪影響なのか(?)いつの間にか純朴なエオメルの心の中には、大変どす黒いものが芽生えているのであった。
セオドレドは自分が危険な状態にいることも気づかず、すやすやと眠っている。
−−ま、あとでどんな目に合わされるかわからないのでやめておこう、とかれは首を振って断念し、指の動きを早めて「うっ・・・」と呻きながら頂点に達した。

 翌日の午後、王子の部屋では相変わらずボロミアが「あぁーん、誰かどうにかしてぇー」と悶え、それを見るエオメルがハァハァと荒い息を吐いていた。
監禁4日目である。セオドレドはさすがに退屈してきた。

 王子は棚の引き出しから羽ペンを取り出すと、それを手に寝台に向かった。むろん従弟も一緒について来る。
羽の部分を、肌に滑らせるように撫でると「あ、あんっ」とボロミアは身体をくねらせた。
「おおセオドレド、ようやくその気になったのか」
「勘違いするな、たたの退屈しのぎだ」
そう言いながら、乳首のまわりをさわさわと円を描くように羽で撫でる。
「やッ、そんなんじゃなく、指できつくつまんでくれッ」
「いやだね」
「んぅッ・・・そ、そんな中途半端なことはやめてッ」
ボロミアは激しく喘ぎながら、身体をのたうたせ、勃起した性器の先端から液をしたたらせた。

「わたしはおまえを楽しませるために、連れてきたわけじゃない」
セオドレドは次に、勃ち上がった性器を羽で刺激しはじめた。
根元からサオをさするように上下させる。触れるか触れないかの微妙な感触にボロミアはじらされ、「あぁッ、そんなんじゃ駄目ッ」と泣き声を上げた。
「うるさいな」
冷たい声で嘲りながらも、その姿は、かなりセオドレドの情欲をそそるものであった。
そしてエオメルの方はと言えば、とっくに下着に手を突っ込んで手淫をはじめている。
その従弟の、欲望に目を血走らせた姿を見て、(わたしのエオメルは、健全すぎる純粋なやつだという認識しかなかったが・・・)と王子は嘆かわしく思った。

「それというのも、みんなおまえと弟のせいだ、くっそう」
呟きながら、セオドレドはボロミアの膝を折り曲げた。薄く色づいた秘所があらわになった。
「あッ、あぁ・・・」とエオメルが喘ぎ声を上げ、さらに激しく自らを慰める。
セオドレドはボロミアの後腔にひとさし指をあてがうと、ゆっくり挿入した。
「あぅ、セオドレド・・・ッ」
一瞬歓喜に呻くボロミアだったが、王子は入れた指を動かさない。
「セ、セオドレドっ?早くきみの指で掻きこすってくれ!」
「しーらない」

 王子がそのままじっとしたままなので、ボロミアは髪を振り乱して悶えた。
「んッ、もぉぉッ、酷いーっ!意地悪ぅッ!それじゃ、何もしてくれないほうがましだぁーッ」
「やかましいわ」
と言いながら、指を突っ込んだまま何もせず、生殺しにボロミアをいたぶる。
達することも出来ず、びくびくと太腿を痙攣させてのたうつボロミアの様子を凝視しながら、「そ、そんな姿を見せられたら、わたしはとてもたまりませんッ」とエオメルは喘いだ。
「あぁッ、もう駄目ッ、はあぁーッ」
身体を震わせてかれは放出し、指を濡らすのだった。

 うんざりして顔を背ける従兄の横で、エオメルは「す、すみません・・・」と言いながら手近な布で拭いて始末した。
ボロミアは相変わらずあんあんしながら、くねくねしている。
するとエオメルは「あのう殿下、この手錠をはずして頂けませんか」と王子に頼んだ。
「駄目だ」
そっけなくセオドレドが言う。

 だがかれはもう一度頼んだ。
「わたしは腹が減りました。厨房に行って、お二人の分も何か食物をもらってきます。戻ったらまた手錠をかけていいですから」
確かに少し空腹だな、とセオドレドは思った。
夕食の時間になれば近習が食事を運んでくるのだが、それまではまだ時間がある。
「・・・そうだな、いいだろう」
と王子はうなずき、サイドテーブルの引き出しから手錠の鍵を取り出した。

 エオメルが運んできた軽食を三人は食べた。
セオドレドは「ナインハーフごっこ〜」とか言いながらハチミツをボロミアの胸にたらして、それを舌で舐めとったりして、食事のあいだも相手を悶えさせていた。

−−ほどなくして、ソファに腰掛けたまま、セオドレドが寝息を立てはじめた。
エオメルが従兄を揺さぶってみても、王子は目を覚まさない。
「ボロミア殿、殿下は眠ってしまいました。当分起きる心配はありません」
「何、どうしたんだ?」
ボロミアの問いかけに、エオメルは笑顔で答えた。
「殿下の飲み物にだけ、眠り薬を入れました」
「なんと!エオメル殿、でかしたぞ」

 手錠を外したエオメルは、ボロミアに抱きついて白い肌を撫で回した。
「ああボロミア殿・・・あなたに触れたかった・・・」
「エオメル殿、さあわたしをあなたの思いのままに!」
「勿論ですッ」
エオメルはそう叫ぶと、慌しく衣服を脱ぎ捨てて全裸になった。
そして「そうだ、申し訳ありません、すぐにいましめを解きますから」とロープに手をかけた。
が、ボロミアは「いや、縛られたままでいいですぞ」と断った。
「はっ。そうですか」とエオメルは言い、相手の身体にのしかかるのだった。

「少し乱暴にされるほうが、お好きですね?」
エオメルがボロミアの秘所に荒々しく指を二本突っ込んで掻きまわすと、ボロミアは「ひぃッ」と悦びの声を上げた。
指で刺激しながら、ボロミアのペニスを口に咥えて舐めしゃぶる。
「あッ・・・あぁッ、エオメル殿ォ・・・ッ!」
強く吸って、歯でしごくと、「あんッ、エオメル殿、痛いッ」と執政家の長子がのけぞった。

「痛いくらいがより快感でしょう」
エオメルが咥えたままそう言うと、ボロミアは緑の瞳を細めてかれを感嘆の視線で見つめた。
「エオメル殿・・・少し会わないうちに、テクニックが向上しましたなぁ」
「はい。次にお会いしたら、こうしようああしようと色々思い描いてましたので。こうして実践できて嬉しいです」
「なんと勉強熱心な・・・素晴らしいですぞ」

「では、いいですかボロミア殿」
固く太くそそり勃った物を、相手の後腔にあてがいながらエオメルが言う。
ボロミアは自ら足を大きく広げ、膝を曲げて受け入れる体勢になっていた。
「ああ、エオメル殿ッ、今すぐあなたの最新型テポドンをわたしの中にっ!」
ボロミアが絶叫しながら促すと、軍団長は自らの性器を執政家の長子の熱く潤った肉壁の奥にずぶ!と突き入れた。

「あッ、あぁッ、あぁぁッ、エオメル殿ぉッ!すごいーッ、気持ちいいッ!」
「はぁッ、あぁッ、ボロミア殿、ボロミア殿ぉッ!」
二人の男のわめき喘ぐ嬌声と、ベッドがぎしぎし揺れる音に、セオドレドは目を覚ました。
「うぅ・・・?」
頭が鈍く痛んでいる。こめかみを押さえながら王子が目を開くと、寝台の上ではボロミアと従弟が激しい上下運動の真っ最中であった。

「ぐわーっ」
慌てて起き上がろうとしたが、セオドレドの両手首には手錠がはめられていた。
そしてソファの脚につながれているため、立つことが出来ない。
「なんだこれはぁっ!エオメル、何をしてるんだ、離れろッ」
床に座り込んだまま、セオドレドが怒声をあげた。
エオメルはボロミアに覆いかぶさり、根元まで納めたものを激しく動かしながら従兄を見た。
「嫌です殿下、すっごい気持ちいーい、超やばーい」
「やめろ!わたしの命令だ今すぐやめろ!」
敬愛する主君の息子の言葉を無視して、エオメルは「ボロミア殿のケツ○ンコ、サイコー」と言い放った。

 激しい目眩がセオドレドを襲う。
もうだめだ。わたしの従弟は何者かに身体をのっとられた。ここにいるのは偽者だ。
セオドレドは地の底から響くような暗澹たる声で、「わたしの命令に逆らうというのだな。エオメル、おまえは死刑だ」と宣告した。
すると従弟はガンガン腰を打ちつけつつ、「あはは、死刑になる前に、ボロミア殿によがり殺されちゃいそうでーす☆」などと言い、ボロミアが「うまいっ、セオドレド座布団もって来い!」と明るい声を上げるのだった。

 ローハンの王子は「ハー・・・」とため息をつくと全身が脱力するにまかせ、冷たい床にへたり込んだ。

 気がつくと、従弟とボロミアの嬌声が止んでいる。
放心していたセオドレドが我に返って視線を上げると、目の前に全裸の二人が立っていた。
「うわっ、なんだおまえら」
思わずびっくりして声を出すと、エオメルが従兄の金髪を撫でてきた。

「殿下、一緒にやりましょう」
「な、何っ?」
「きみだけ仲間はずれにするのも可哀相だと思ってな」
そう言いながら、ボロミアが王子の上着をはだけはじめる。
「よせッ、わたしにふれるな馬鹿どもが!」
セオドレドは足で二人を蹴っ飛ばそうとした。
「ほらエオメル殿、セオドレドは最初はいつもこうやって嫌がるふりをするのですぞ。そのくせ、いざはじめてからは人一倍夢中になるのです。まったく素直じゃないやつだ」
「ええ、確かに殿下にはそういうところがおありです」
「いやだーっ」
王子の性格を論評しつつ、二人はセオドレドの服を脱がせてしまった。

 むき出しにされた従兄の下半身をエオメルはまじまじと見つめた。
子供のころはよく水浴びに連れて行ってもらったものだが、ここしばらく従兄の裸を目にする機会がなかった。
エオメルがセオドレドの性器を、生唾を飲み込みながら凝視していると、ボロミアが「エオメル殿の物も見事ではありますが、セオドレドのイチモツはこう使い込まれた強者というか、同じテポドンでも核弾頭つきといいますか・・・」とうっとりと呟きながら、指で握りこんだ。
「アッ、やめろ・・・!」
セオドレドが敏感に反応して身体をくねらせる。

 その様子に、若いエオメルは興奮して「で、殿下っ」と言いながら従兄に抱きついて頭を抱えた。
指で無理に口を開かせ、唇を押し当てて舌をねじ込む。
「う、んぅッ」
呻くセオドレドの口内を舌で犯しながら、かれは王子の身体を撫でさすって愛撫した。
ボロミアはセオドレドの前に跪いて股間に顔を埋め、ペニスを咥えてぴちゃぴちゃと音を立てている。
「んん、くぅぅ・・・」
セオドレドの身体がびくびくとうねり、エオメルはようやく唇を離すと、従兄の耳を強く噛んだ。
「あぁッ!」
強い刺激にセオドレドが高い声を上げる。

 ローハンの世継ぎの耳元で「セオドレド・・・こういうのもいいなとわたしは以前から思っていたんです」と年下の従弟が熱く囁く。
「やめるんだエオメル、正気に戻れ・・・」
セオドレドのかすれ声の抗議に、かれは相手の乳首を強く摘んでこすり合わせながら「そんなこと言わないで下さい。一緒に堕ちていきましょう殿下」と告げたのだった。

 ボロミアの舌技に、セオドレドのペニスは大きく張り詰めて、汁を溢れさせていた。
ファラチオを中断してボロミアが王子の足を大きく左右に開かせる。
「やっ・・・」
セオドレドは羞恥に震えながら、のたうった。
たくましく勃起したものから流れ落ちる透明な液体が、尻の谷間の中にまで流れ込んでいる。
「あっ、ああ、あんなところまで滴り落ちて殿下・・・!」
エオメルが喘ぎながら股間の奥を覗き込む。
「今日は一段と見事に屹立してますなあ」
と言いながらボロミアは、指でセオドレドの先端から先走りをすくい取るとエオメルに差し出した。

「これがセオドレドの泉の湧き水ですぞ、エオメル殿」
すぐさまエオメルがその指を舐めしゃぶる。
「あぁっ、殿下の味・・・!」と感動の声を上げる軍団長である。
「こんなに固くしながら、我々と楽しむのが嫌なわけがないですな?そうでしょう、セオドレド?」
「う、うぅ・・・」
絶句して答えられないローハンの王子の腰の上に、ボロミアは声に笑いを含ませながらまたがった。

「ん、あぁ、セオドレド、いいぞ・・・!」
ゆっくり腰を下ろしていくと、ゴンドールの総大将の尻の中心に、ローハンの王子の性器がずぶずぶとめり込んだ。
「くッ、あぅ、うぁぁぁぁぁッ・・・」
セオドレドは、ボロミアの肉壁に締め付けられて抑えきれない快楽の声を洩らしてしまう。
「う、ボロミア、いい・・・っ」

「おお、ようやく素直になったじゃないか。セオドレド・・・はじめからそう言えばいいものを。まったく大人になったらすっかり気難しくなってしまったなきみは。−−初めてミナス・ティリスにやって来た時のことを覚えているか?わたしたちはまだ12か13だったな。誰もいない塔の中で、きみはわたしの指を握って、そっとキスしてくれたじゃないか・・・きみの唇が震えていたのをはっきり覚えているぞ。あれからもう20年もの時が過ぎた」
過去を回想しながら、ボロミアが詠嘆する。
従兄の首筋を唇で吸いながらそれを聞いたエオメルは、お二人にはわたしの知らない思い出があるのだな・・・と少しだけ胸が痛くなった。
その痛みが、セオドレドに対してか、それともボロミアに対してのものなのかはよく判らない。

 だが、ボロミアの言葉に、セオドレドは激しく首を振って叫んだ。
「何をそんな昔のことを!おまえがその後、ろくでもない超淫乱に成長すると知ってたら、キスなんぞしなかったわい!まったく兄弟そろってど変態であきれるばかりだッ!」
「なにおう、中つ国一の名門の貴公子に向かって失礼な。まったくロヒアリムは礼儀知らずだな!」と執政家の長子が相手をにらむ。
「自分で貴公子とかゆうなっ」
「ふん、きみなんかこうしてやるッ」
と言いながら、ボロミアはセオドレドの上で激しく腰を旋回させ始めた。

「う、うわッ、やめろ、ひぃッ」
「なんだ、気持ち良くてたまらないくせに、もっとこうしてやる!ほらほらほらーっ」
「ヒーッ」
ぐいんぐいんぐいん、と腰をぶんまわしながら、ボロミアは「エオメル殿ッ!」と王子の従弟を呼んだ。
「は、はい」
「この生意気な王子の口をふさいでやれ!」
「えッ、口をですか」とエオメルが聞き返す。
「そうだ、あなたのぶっといのをセオドレドに突っ込んでしまえっ」
「ははッ」
と敬礼するなり、ローハンの軍団長はゴンドールの総大将の言いつけどおりに、王子の口に自らのペニスをねじ込んだ。

「うわッ、やめッ、むぐ・・・ッ」
「ハハハ、どうだ従弟の味は、セオドレド!もっともっとお仕置きしてあげますぞぉー!」
ボロミアはセオドレドにまたがったまま、身体を上下左右に猛烈に揺さぶった。
エオメルも夢中で従兄の頭を抱えて、ぐいぐい腰を突き出している。
ボロミアの内壁に性器を激しく擦られ、口をエオメルのものでいっぱいにされた王子は、涙を流してよがり悶えながら、(・・・何でこんなことになったんだっけ?)と頭をはてなマークで充満させているのであった。



 それから数刻の後、ロヒアリムたちはぐったりして床に座り込んでいた。
ゴンドーリアンだけは、激しい情事の疲労などものともせずに、肌をつやつやピカピカに輝かせて元気だった。

 すると、遠慮がちなノックの音がして、ドアの外から近習が呼びかけた。
「あのう、ゴンドールから使いの方がいらしてますが」
「何、わたしの国から使いが?入ってきていいですぞ!」
セオドレドが答える前に、ボロミアが勝手に許可を出す。

 やって来たのは、南イシリアンの野伏たちだった。
みな、執政家の弟君の配下のものである。
かれらは全裸姿の三人から、微妙に視線を外しつつ言上した。
「セオドレド王子殿下、エオメル軍団長殿、初めてお目にかかります。われわれはファラミアさまに命じられて、ボロミアさまを迎えに参った者でございます」
「おおそうか、ご苦労だな。そろそろ帰らねばと思っていたところだ」
ボロミアが明るい口調で声をかける。

 だが、床に座ったローハンの王子は、「ちょっと待て」と暗い声で言った。
「ファラミアに命じられてと言ったな。なぜファラミアは兄がここにいると知ってるんだ・・・?」
野伏のリーダーが、セオドレドに軽く頭を下げて答える。
「国境で総大将が何者かに連れ去られたと報告を受けたファラミアさまは、何も騒ぐことはない、それはローハンの王子殿下のおふざけだから、と仰ってみなを安心させました。そして、ボロミアさまは暫く隣国に滞在することになるだろうと。しかし、お父上のデネソール候が大事な軍議があるからボロミアを呼び戻せとおっしゃいまして。ファラミアさまはわたしどもを召されると、父上がお呼びなので兄に早く帰るよう告げて来いと言われたのです」
「何、父上が。それはすぐ戻らなくては」
それを聞いた執政家の長子は、急いで身づくろいをし始めた。

「・・・ローハンでは、セオドレド殿下が兄上のお好きな拉致監禁緊縛プレイでおもてなしして下さっているだろうから、あと数日間は楽しんで頂きたかったのに・・・と、ファラミアさまは大変申し訳ないと仰っておいででした」
「−−ファラミアがそんな事を」とだけセオドレドは言った。
おい、ばれてるぞ。と実に虚しい思いが、王子の胸の中を木枯らしのように吹き抜ける・・・。



「いや、大変楽しかったセオドレド!わたしの話を聞いたら、きっとファラミアも羨ましがってローハンに来たがるだろうな。そのときはよろしく頼むぞ」
峡谷の城門の前で、ボロミアはにこにこしながらロヒアリムたちに言った。
「ファ、ファラミア殿がいらっしゃるのですか・・・」
エオメルの頬がぽっと赤くなる。
「絶対来るなと言っとけ!エオメル、喜ぶんじゃないッ」
こぶしを振り回しながらセオドレドが怒鳴る。
「もし来たら殺してやるとファラミアに言え!いいなっ」
「わっははは、セオドレドは冗談がうまいなあ」
ボロミアの笑い声に、王子は「冗談じゃなーい!」とわめいた。

 だが執政家の跡継ぎは真剣に取り合わず、じゃあな〜と手を振りながら野伏たちを引き連れて帰っていってしまった。
「ファラミアが来るだと、畜生」とセオドレドは歯軋りして呟き、顔を赤くしたままのエオメルをにらみつけながらうなり声を上げるのだった。

20050220up




・・・何処に行こうとしてるのか、もはや受攻のポジションがあいまいです。
この兄上、受じゃないような気が・・・攻撃的ディフェンス・・・?
や、次回、最凶弟君に整理整頓してもらいましょう。



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