キリオンの返礼後編
〜a farewell gift from Cirion




−−ああ。あなたはなんと輝かしく、まぶしい方なのか、ボロミア殿・・・!

 エオメルは、言葉を発することも出来ずに、再びあいまみえる願いが叶ったゴンドールの総大将の姿をひたすら見つめていた。
魂を宙に飛ばしてぼうっとなったかれの横で、セオドレドとボロミアが挨拶を交わしあう。
ふわふわぐるぐるな状態のまま、やがてエオメルはボロミアに肩を抱かれ、白い塔に連れられていった。
噴水の後ろに植えられた枯れ木の側を通る時に、何か説明されたような気がしたがかれにはよくわからず、口の中で「はあ、ええ」と呟くのが精一杯である。

 モルドールに奪われたミナス・イシルと対を成す、中つ国の守護の都ミナス・ティリスの清華、エクセリオンの白い塔−−ボロミアに導かれたエオメルが、その内部に初めて足を踏み入れる。
大理石の床を踏んで大広間に入った時、それまで呆けていたエオメルはハッと覚醒して真正面を見つめた。
その奥の玉座には、歴史と伝統を誇る国のしたたかな最高権力者が、白い杖を手に座していたのだ。



「父上、我らが友邦がはるばる訪ねて来て下さいましたぞ」
ボロミアがほがらかに告げると、ローハンの王子が中央に進み出て優雅にマントの裾を持ち、片膝をついて挨拶をした。
「御機嫌よう、デネソール閣下。久しぶりにお目にかかります、エオル王家のセオドレドが参上つかまつりました。父、セオデンからの親書を持参いたしました故、どうぞ拝謁賜りますよう−−そしてローハンとゴンドールの変わらぬ友愛の証を、御照覧頂きたく存じます」
流暢に述べるセオドレドの声音は、だがひどく緊張していた。
随行の騎士がローハンの紋章で封蝋された書状を捧げて前に出ると、デネソールは軽く手を振って「ボロミア、受け取っておけ」と指示した。
「セオデンの息子か・・・いくらか年をとって小僧ではなくなったか?」
セオドレドを見つめる執政の瞳が煌々と冷たく燃えている。
「小僧、というには少々年を経ていると思いますが。まだまだ若輩者です」
王子が笑顔で答えると、デネソールは「あたりまえだ」と言い、眼を細めた。
「ボロミア、そのおまえの隣にいるのは誰だ。見たことのない顔だな」

 鋭い視線を浴びせられたエオメルが、身体を強張らせる。
「この方はセオドレド殿下の従弟殿であられます、父上。さあエオメル殿」
ボロミアに促され、エオメルはぎくしゃくと一歩前に出た。そして膝を落として拝礼した。
「お、お目にかかれて光栄です、閣下。ご紹介に預かりました通り、わたしは国王陛下の甥、王子殿下の従弟にあたる者で、マークの軍団長を拝命しております、東谷のエオムンドの息子エオメルと申す者です」
「エオムンド?知らんな」
無常にそう言い、執政は「もっと近くに来い」とかれに杖を突きつけて命じた。
思いがけない言葉に、緊張のあまり足をもつれさせてエオメルは玉座に歩み寄っていった。
セオドレドがはらはらして従弟を見つめる。

 若いロヒアリムが足元に跪くと、デネソールはかれの顎に指をかけて仰向かせた。
鋼色の瞳がエオメルの内面を突き通す視線で、一瞥する。
「どこかで見たことがあるような、と思ったが。おまえはわしが少年の頃に見た、ロスサールナッハ公のモルウェン姫に似ておるな」
「・・・モルウェンという方は、わたしとセオドレド殿下の祖母です、大候閣下」
震える声でエオメルが言うと、デネソールは頷いた。そしてかれの金髪を手ですくった。
「かの姫は、暗青色に光る黒い髪をしておった。センゲルに乞われてロヒアリムの妻になったのだ。しかしローハンの血が入ってあの美しい髪はすっかり色が抜けてしまったようだ。だが、顔立ちにモルウェン姫の面影が残っている」

 間近に見つめられて気圧されつつ、エオメルは大きな眼を見開いて執政の視線を受け止めた。
「ならおまえはゴンドールと血続きな訳だ。そのことを理解しておるか?」
「は、はい」
「ゴンドールへの背信は、そのまま己への裏切りとなる。わかるか」
「はい。背信など、わたしは決してそのような」
助けを出すように、エオメルの背後から明るい声がかかる。
「父上!エオメル殿は馬術に優れた、明朗なお人柄の方ですぞ!」
デネソールは、かれの肩越しにボロミアに頷いて見せた。
「わしの自慢の長子は、おまえが気に入っているようだ。ボロミアの主君はこのデネソールだ。おまえは執政とその跡継ぎの信頼に値する人間か?」

 そう問いかけられ、見つめられてエオメルはただただ恐れ入っていた。
今までにエオメルが知っている国家元首といえば伯父のローハン王だが、セオデンは隔たりのない親しみやすい人物だ。
武勇ではなく、人格の力だけで誰かに圧倒されたのは初めての経験である。
「・・・わたし如き者にどのくらいの価値があるのかはわかりませんが、出来うる限りの力で執政家の方々にお仕えしたいと思います」
若いロヒアリムを透視するように見据えつつ、執政が更に問う。
「おまえの名は何といったか?」
「エ、エオメルです、閣下」
「エオメル−−エオル。韻を踏んだ、良い名だな。エオルが忠誠を誓ったのは、誰だ?」
「キリオン殿です、閣下」
「そうだ。ローハンがエオルの誓いを立てたのは、王ではなく執政にだ。ゴンドール大候の危急に際しその呼び出しにすぐに応じる、とエオル王はハリフィリアンで誓ったのだ」
「その通りです、閣下」

 デネソールは執政の杖をエオメルの眼前に差しつけると、低い声で尋ねた。
「ロスロリアンに行ったことがあるか?」
「は?はい、あ、いえ・・・中に入ったことはございません」
戸惑いながらエオメルが答える。
「森に入ったことがないと言うのか?何故だ」
「はい、かの地は昔から危険な場所だと聞いております」
「森の中には誰がいる?」
「恐ろしい魔女が」
真面目な顔でかれがそう言うと、デネソールは初めて顔をほころばせた。
「おまえは可愛い馬番じゃな」
執政は笑いながらエオメルの頭を撫でた。かれはびっくりした。
「ずっとそのままでおれよ。余計な知恵などつけずにな」

 もうよい、さがれと告げられてエオメルは従兄たちのそばに戻った。
セオドレドとボロミアがほっとした表情でかれに微笑む。
接見が済んで退出する間際に、デネソールがローハンの王子に向かって言った。
「その若者は、おまえとは大分中身が違うようだ、セオドレド。あまり賢しげに振舞うのは得なことではないぞ」
「そのお言葉を、肝に銘じます大候閣下」
セオドレドが胸に手を当ててそう言うと執政は眼を細めてかれを見、「おまえはあまりセオデンに似とらんな」と呟いて広間を出て行った。

「父はエオメル殿が気に入ったようですなあ」
ボロミアが嬉しそうに言った。
「そ、そうですか?」
「わたしよりは好かれたようだね」
肩をすくめて従兄が呟く。
エオメルは今更ながら、体中に汗が吹き出てくるのを感じた。
中つ国一の大国の盟主に謁見して言葉も交わしたというのに、会話の内容がほとんど思い出せない。
ただ覚えているのは、底知れない力を宿した昏い瞳に見つめられたことだけだった。

「セオドレド殿下、エオメル殿」
いつの間にか、かれらの後ろに立っていた弟君が静かに声をかけた。
その声の響きに、デネソールと似たものを感じてエオメルは一瞬ドキンとした。
「やあファラミア、先日はご足労をかけた」
セオドレドがニッコリ笑って手を差し出す。
「ようこそ王子殿下。長旅でお疲れでしょう、客間にお連れいたします」
王子の手を握りながら、弟君は微笑み、その従弟に視線を移して会釈した。
エオメルも礼儀正しくお辞儀を返す。
ファラミアの澄んだ瞳は、また別の緊張をかれにもたらした。
執政家の弟君に促されてローハン使節は宿舎に向かうことにし、エオメルは胸を波打たせながら白い塔を後にしたのだった。

 到着した時分は陽が高かったのに、今はもう沈みかけている。
献上用に連れてきた馬を厩舎に落ち着かせたり、荷物の整理をしたりしているうちに時がたち、やがてかれらは塔の横のメレスロンドと呼ばれる豪華な宴会場に案内された。
ゴンドールの贅を尽くした夕餐に、ロヒアリムたちは喜び、大いに飲み食いして旅の疲れを癒したのだった。
大国らしく他にも親善使節が滞在しているとのことで、執政家の兄弟はそちらの接待にゆかねばならずお相手できませんが、とすまながっていたが、騎士たちはかえって寛いで食事することが出来た。
エオメルは天井を見上げてその装飾に感嘆したり、食卓の下を覗いて意匠の細かさを確かめたりと、あちこち覗いて「子供みたいだ」とセオドレドに笑われた。
口当たりの良い酒が次々に持ち込まれ、ロヒアリムは皆たくさん飲んで心地よく酔った。
自身も酔っ払った王子がようやくお開きを命じて、メレスロンドを出た時には、空に月が昇っていた。

 深夜、賓客用のベッドに身体を沈めたローハンの世継ぎは、月明かりにぼんやり浮かぶ天井の模様を眺めていた。
疲れているはずなのに目が冴えて、まだ眠りが訪れない。
このところずっとエオメルといだき合って寝ていたので、何だか肌寂しい気がした。
柔らかい寝具の感触が、母親に抱かれるのはこんな感じだろうかという感慨をセオドレドに思いおこさせた。
ローハン王妃エルフヒルドは産褥で命を落とした為、王子は母の顔を知らないのである。
セオドレドにとって優しい母であり、姉であり、人生の最初に出会った異性であるのは年若い叔母のセオドウィンだった。
今に至るまで、王子は叔母より美しいと思う女性に会った事がない。
セオドウィンが東谷のエオムンドに嫁いだのはかれが十二の年だったが、祝宴のあいだ叔母の花嫁姿を眩しく見つめていたセオドレドは、夜一人になると涙を止めることが出来ず、ベッドにうつ伏せて嗚咽を洩らした。

 そしてセオドウィンがエドラスから去ってまもなく、王子はローハンの世継ぎに相応しい職責を求められるようになり、感傷に浸る暇もなくなった。
外交の経験を積むべくセオデンの名代として初めてゴンドールを訪れたのが、その頃だ。
その時に案内されたのが、今と同じこの客室で、かれは豪奢な寝台にどきどきしながら身を横たえたものだった。
ミナス・ティリスでセオドレドはボロミアとその弟に出会い、初めて似通った重責を背負う同じ年頃の少年たちと親しくなることができた。
デネソールに溺愛され国中の親愛を集めている兄のほうは、いささかこそばゆい感情をセオドレドに感じさせたが、五歳下のファラミアが年齢に似合わず聡明で、かれの良い話し相手になってくれた。

 懐かしい回想が眠りの波を呼び寄せた。
ようやくうとうとしはじめた時、セオドレドは人の気配を感じて目を覚ました。
「殿下」
そう囁いて、従弟がかれの傍らに潜り込んで来る。
「どうしたエオメル・・・」
「ベッドが柔らかくて落ち着かないんです。ずっと固い寝床で寝ていましたから−−起こしてしまってすみません」
「仕方ない奴だな」と苦笑してセオドレドは腕を広げた。
エオメルがその懐に寄り添う。
そして、「殿下、わたしをミナス・ティリスに連れてきてくださって、ありがとうございます。エクセリオンの塔は本当に美しいですねえ」と嬉しそうに言った。

「愛しのボロミアにも会えたしね」
セオドレドが揶揄すると、エオメルは激しく頷いた。
「はい!ボロミア殿はもうあまりに素晴らしすぎて、お顔を見るのも勿体ないくらいです」
その崇拝もあらわな口調に、なにおう。とやや不機嫌になるセオドレドである。
「セオドレド、あなたのお陰でわたしはまたあの方に会うことが叶いました。感謝しています−−大好きです、わたしの王子」
そう熱く囁くと、エオメルはセオドレドの夜着の胸元に頭を突っ込んで、従兄の肌に額を擦りつけた。
ローハンの王子はため息を洩らしつつ笑い、エオメルの髪を撫でるのだった。

 従兄の匂いに安心したのか、まもなくエオメルは眠り込んでしまったが、セオドレドは相手の巻き毛を指でもて遊びながら思い返していた。
かれがゴンドール初訪問を無事にすませて黄金館に戻ると、セオドウィンが里帰りしていた。その腕に小さなエオメルを抱いて。
セオドレドは、赤ん坊をおっかなびっくり受け取った。
従弟が同じ色の瞳をぱっちり見開いてかれを見る。そしてもみじの様な手で王子の金髪を握り、笑い声を上げたのだった・・・。
その夜、かれは叔母に頼んでエオメルと同じベッドで寝ることにした。
従弟はぐずることもなく、王子に抱かれて健やかに眠った。赤ん坊からは甘酸っぱいミルクとセオドウィンの匂いがしていた−−そのエオメルが、今もかれの胸に顔をくっつけて寝息を洩らしている。
セオドレドは従弟の頭をそっと抱きかかえて、囁いた。
「愛しているよ。わたしの小さなエオメル」
優しい幸福感につつまれて、ようやく眠りが舞い降りてくる。



 夢の底から浮上しながら、エオメルは腹に温かい重みを感じてそれに触れた。
セオドレドの腕だろうと思ったが、それは柔らかくて、つやつやした感触の毛がいっぱい生えていた。
驚いて身体を起こしたかれの身体から、ベッドにこぼれ落ちたそれが「にゃあ!」と怒った声を上げる。
「あ・・・」
ぼんやりした頭で見回すと室内は明るく、とうに日が高い。セオドレドの姿はどこにもなかった。
慌てて服を着て、部屋を出たが勝手がわからない。
廊下をうろうろしながら通りがかりの侍女に尋ねると、王子はボロミアと共に厩の様子を見に行っていると教えられた。

 とりあえず回廊を進んでいくと、ファラミアが姿を現した。
「エオメル殿。お目覚めですか」
「あ、これはファラミア殿−−すみません、わたしは寝過ごしてしまったようです。殿下のお側に行きたいのですが」
「お疲れだったのでしょう。セオドレドさまなら厩舎にいらっしゃいますが、その前に食事を摂られては」
そう言われてエオメルは空腹なことに気づいた。
ファラミアに導かれながら、何故とは言えず緊張するエオメルである。
どこかの応接室の、見晴らしのいいバルコニーにテーブルが設けられ、遅い朝食が供された。
ファラミアが一緒に食卓についたが、前回会った時から、かれは優しい面立ちの弟君に苦手意識を持ってしまっている。

 だが豪華な料理を並べられると、エオメルは食事に没頭した。
熱いシチューを夢中ですするそばから、片側を焼いてバターを塗ったパンの小山が運ばれてきた。かれはジャムをたくさん塗ってみんな食べてしまった。
厚く切ったハムを火で炙り、スパイスの効いたソースをかけたものも喜んで食べた。
汁が指に垂れたので、舌で舐めとる。
行儀の悪い仕草だったが、ファラミアは微笑ましくその様子を見ていた。
すでに食事をすませている弟君は、軽く果物をつまむくらいである。

 ロヒアリムが幸せそうにもぐもぐし続ける横で、ファラミアは眼前に広がる平野を指差した。
「この平地がペレンノール、囲われた地です。平坦なので敵が現れたら直ぐにその姿がわかります。遠くに囲いが廻らされているのが見えますか−−ミナス・ティリスとペレンノールを守る環状長壁、ランマス・エホールの壁です」
エオメルは皿から顔を上げて、遠く日に光る長い壁の連なりを見た。
「すごいですね。ミナス・テイリスそのものも城壁で守られているのに、その外側にまだ見事な壁があるとは」

 感嘆の声を上げるかれに、給仕が搾った果汁を大きなグラスに注いだ。
それをみんな飲み干してエオメルは吐息をついた。
「この都に比べたら、黄金館は小さな丘の家のようにしか見えません・・・まわりは荒野で、特に防壁になるようなものもないですから」
「でもローハンは国中に機動力に優れた騎士たちが点在して、有事の際に駆けつける慣わしになっているでしょう。それは可動式の立派な防壁ではないですか」
ファラミアが穏やかな口調で言うと、エオメルは感心して頷いた。
「そうかもしれません」
その青く澄んだ瞳の奥で、弟君は相手に聞こえない呟きを洩らしていた。
−−堅牢な壁で二重に守るのは、その内部が脆く崩れやすいからです。

「ファラミア殿は、お父上に似ておられますね」
エオメルがそう言うと、湖のような双眸が少しだけ揺らいだ。
「・・・そうですか?」
「はい。デネソールさまもファラミア殿も気品があって気高くて・・・わたしは物知らずなので、どうお話したら良いのかわかりません」
照れた笑いを向けるロヒアリムに、ファラミアは「買い被りです。それを言うならセオドレドさまの方が、ずっと品格のある貴公子だと思いますが」と静かに言った。
「そうお思いになりますか」
敬愛する従兄を褒められてエオメルが嬉しそうに言う。
「ええ」
そう答えながら「率直な方だ」とそっと呟いたファラミアは、急にエオメルの瞳をまっすぐに見つめた。

「ローハンの北の向こうにロリエンの森がありますね。入ったことはありますか」
「え?いいえ。近づくことは出来ますが、マークの者は森には行きません」
エオメルは質問の意図がわからず、戸惑って答えた。
「何故行かないのですか」
「森には魔女がいます」
それを聞いたファラミアは「成る程」と告げて謎めいた笑みを見せた。

 昨日もそんな会話をしたような・・・?とエオメルが不思議がっていると、足音が近づいてきてボロミアとセオドレドがやって来た。
「エオメル殿こちらにいらしたか!」
「あっ、ボロミア殿、お早うございます。殿下、随行しなくて申し訳ありません」
かれが立ち上がるとセオドレドは「よく眠っていたからね」と言って肩に手を置いた。
「昨日はあまり話が出来なかったが、今日はわたしが都を案内しますぞ」
執政の長子の言葉に、エオメルは赤くなって「こ、光栄です」と答えた。
「もう食事はよろしいか?おなかいっぱい食べましたかな?」
「はい。充分すぎるくらい頂きました」
「では出かけるとしようか」
「はい、あ、殿下は」
ボロミアに手を取られて真っ赤になったかれが振り返ると、従兄は首を振って「わたしは書庫を見たいから」と言った。

「で、では行ってまいります」
すでにうわずり気味のエオメルをボロミアが早く早く、と言って引っ張っていく。
ロヒアリムの背にはぶんぶん振りまわす尻尾が見えるようだ。
廊下に出たところでボロミアに、「今日はまた一段と可愛らしいですな?」と囁かれたエオメルがヒー!と掠れた声を上げるのが微かに聞こえた。

 その様子を見送りながら、残されたセオドレドとファラミアは互いの視線を絡ませ合った。



書いているときはわからなかったですが、今回は本編に書かれていない空白を(勝手に)埋めてみた、なお話かもしれません。だから苦戦してしまったのかにゃー。恋愛以外の捏造は難しいです。
殿下の叔母様への想いは恋というよりもっと根源的なもの、な感じです。ママのかわりだから。
ときどきセオデンがふざけて仔ドレドに乳首含ませてたりして。ゲホゲ(吐血)
管理人が好きでよく使う、セオボロがかつて恋人同士(でも入れ込んでたのは殿下だけなトホホ設定)は今回はなしです〜ややこしくなるからです〜。



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