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蛇汚染2
wormtongue’s bad influence ver.2
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「−−エオメル、顔色が悪いぞ」 自分を気遣う王子の声が、ひどく遠くに聞こえていた。 午後の厩舎の中は天窓から日差しが降り注いで、光の中に細かい埃が舞うのが見えた。 顔を上げると、従兄がかれを心配そうに見つめている。 セオドレドは、かれと視線が合うと反射的に笑みを浮かべた。 相手が無条件の信頼と情愛を自分に抱いていることを、エオメルは知っていた。 それを踏みにじり、打ち捨ててしまおうとは、自分はなんと愚かな真似をしようとしているのかと、かれは苦悩に胸をかきむしりたい思いだった。
かれが従兄の腕を乱暴につかんでその身体を引き寄せたときも、セオドレドの顔にはまだ笑みが浮かんでいた。
  
「・・・あぁっ、んう・・・っ」 暗い部屋の中でエオメルは蛇の舌に犯されていた。 大きく開かれた太腿の間で、グリマの青白い身体が突き上げる動きを繰り返している。 抱えあげられた足が宙に浮いて揺れていた。 陵辱が何度目になるのかは、もう覚えていない。 国王の健康を盾にされ、この卑劣な侍医に関係を強いられるようになってから数ヶ月が経っていた。
初めの頃は、秘部にいかがわしい薬を塗りこまれても受け入れる痛みに苦悶していたエオメルである。 だが繰り返し犯されて悦楽を教え込まれた身体は、今ではマークの騎士の誇りも慎みも失った乱れた姿態でよがっていた。 「・・・いい味になってきたじゃないか」 グリマが規則的に腰を打ち込みながら、うわずった声で言う。 「ああ・・・っ、ハッ・・・んあぁ・・・ッ」 「よく濡れて、キュウキュウ締まる−−もっと奥まで欲しいのか?」 ずぶっと根元まで押し入れると、エオメルは「あうぅッ」とのけぞってグリマのものを更に締めつけた。 飼い馴らされた獲物の身体が、陵辱者の手綱に操られてのたうちまわる。 エオメルのペニスも勃起して先端から汁を滴らせていた。
「こんなに固くして、淫らな奴だ。尻にぶち込まれながら嬲ってもらうのが好きで堪らないんだな?」 グリマは獲物の性器の割れ目を指でぐりぐりいじりながら、一段と大きく腰をゆすり上げはじめた。 「あぁっ!んあぁっ」 エオメルが長い金髪を振り乱して喘ぐ。 「そんなにいいのか?ならもっと泣け!どうした、いやらしい声をあげて泣いてみろ!」 ねじ込まれた固く熱い物が、ロヒアリムの秘部をさらに激しく抉り回した。 「はあぁッ、いいっ、感じるぅっ」 自分の喉から洩れる声が信じられない。 エオメルは絶望的な屈辱の底で、悦楽に溺れる肉体とずたずたにされた自尊心とに引き裂かれながら、蛇の舌に捕らえられ悶えていた。
「明日はセオドレドが帰ってくるそうだな」 かたわらに横たわるエオメルの髪をもてあそびながら、グリマが言った。 「王子はおまえがおれに抱かれて喜んでることを知ったら、どうすると思う」 情事の余韻を愉しみながら酒を飲んでいたグリマは、酔った声音で騎士軍団長に尋ねた。 「軽蔑するだろう」 エオメルが素気なく答える。 「おまえはどうなんだ?セオドレドに知られたらどうするつもりだ」 グリマが相手の顔を覗き込みながら更に問いかけると、エオメルは顔を背けた。
「・・・殿下が、もうおまえの顔など見たくないと仰るのなら、ローハンを離れて放浪の旅に出る。あるいは、おまえのような奴は騎士の面汚しだから死んでしまえ−−と言ってくださるのなら、殿下のために戦って死ぬ。自分の命など惜しいとも思わん」 そう言葉にしてみて初めて、自分の今一番の望みは王と王子のために死ぬことなのだという事実にエオメルは気付いた。 望まぬ相手との爛れたセックスに傷ついて疲弊したかれは、もはや単騎でモルドールの黒門に挑むことすら恐れてはいない。 グリマはエオメルの答えに鼻白み、「忠義者だなおまえは」とつまらなそうに言った。
陰湿な性根の蛇の舌は、帰館したセオドレドに対して、その従弟と自分とのただならぬ関係を見せつけてやろうと決めていた。 あの端正な美貌の貴公子が驚きうろたえるさまを想像すると、たまらなく楽しい。 エオルの子らしい、すらりとした容姿の王子はエオメルとエオウィン同様にグリマの目を惹きつける存在だった。 そのセオドレドに、この蛇の舌がローハン宮廷でどれほど力を揮っているのかを教えてやるのだ。 かれの従弟も、そして父王セオデンでさえ、もはや自分の言いなりなのだということを王子によく分からせてやらなくてはならない・・・と国王の侍医は酒杯を飲み干しながら考えていた。 そしていずれは、機会を捉えてこのエオメル同様に−−長い金髪を散らして眠る相手を見ながら−−セオドレドを己の足元に這いつくばらせてその高貴な身体を踏みにじり、屈辱と快楽に泣き喚かせてやるのだ・・・とよこしまな妄想に耽りながら、蛇の舌は青白い顔に笑みを浮かべるのだった。
騎士団の最高位である軍団長の一人であり、王族に準じる身分のエオメルを支配できたことで、この時のグリマはまるでローハン全体を手に入れたかのような気になっていた。 だがその肥大したプライドは、帰ってきたセオドレドによってへし折られることになる。
第二軍団長セオドレドはエドラスに帰ってくるとすぐに騎士たちを招集した。 王子は西マーク、とくにアイゼン川周辺の防衛を強化する旨を告げ、新たに編成するエオレドの割り当てをまとめると伝令の手配を命じたのである。 騎士国における軍議の決定権はセオデンにある。だが国王は数日前から体調を崩して寝込んでいた。 その王の一人息子の決定に異議を唱える者などいるはずがない、と思われたがグリマは違った。 アイゼンガルドの周辺に新しい軍団を配置されるのは、グリマとその主人サルマンにとって都合の悪い話である。 なんとしても王子の決定を阻止したいグリマはセオドレドの前に進み出た。 そして国王の決定を待たずに軍を動かすなどとんでもない、ここはまず陛下の了承を求めるのが筋でありましょうと意見したのだった。
「引っ込んでいろ、下郎が」 セオドレドに冷然と言い放たれて、グリマは蒼白になった。 エオメルをはじめ、普段グリマの専横ぶりに悩まされているロヒアリムたちは息を呑んで二人を見比べた。 「貴様にこの場に出席する許可を出した覚えはない。出て行け」 そう言うなり背を向けて、セオドレドは黒衣の侍医を虫けらのように無視した。 「わ・・・わたしは陛下のご信任を受けているのですぞ!」 満座の中で恥をかかされ、怒りと屈辱に顔をゆがめたグリマが王子に詰め寄ろうとする。 セオドレドは聞く耳持たず、「つまみだせ」と近衛兵に命じた。
兵士たちは躊躇しながらも、王子の言葉に従った。 腕をつかまれたグリマは出口に向かって引きずられながら、「離せ!わたしを誰だと思ってるんだ、無礼者っ!」とかん高い声でギャアギャア叫んだ。 だが、王子が冷ややかな目で自分を見ていることに気付くと、急に抵抗をやめた。 「自分で歩ける。馬鹿どもが」 吐き捨てるように言うと兵士たちを振りほどき、そのまま扉のほうに歩いていく。 そして出て行く間際に振り返った蛇の舌の瞳には、セオドレドへの憎悪が激しく燃え上がっていた。
軍議が終了した後、エオメルはグリマの私室に呼びつけられた。 「全部脱いでここに来い!」 寝台の上で枕を叩きながら命令するグリマを見て、かれはうんざりした。 いつもは青白い侍医の顔が、恥辱と憤りにどす黒く変色してものすごいことになっている。 「あの糞生意気なセオドレドの奴に制裁を加えてやるッ」 王子の従弟をセオドレド本人と重ねて考えてでもいるのか、グリマは憎しみに声を震わせながらエオメルの身体にのしかかった。 「畜生、このおれを下郎と呼びやがったな!」 貴様が下郎以外の何だというんだ・・・と心の中で罵りながらエオメルは蛇の舌の強引な挿入に耐えた。
後ろから抱えられた尻に、グリマの腰が滅茶苦茶に打ちつけられる。 「あッ、うあっ」 うつ伏せにされたエオメルが壊れそうな苦痛に拳を握り締めてうめき声をあげた。 「このおれを誰だと思ってるんだ、グリマさまだぞ!おれはセオデンにこの国を任されてるんだ。それも判らずあのセオドレドめが!」 おまえがこの国を任されただと?何をずうずうしい、とエオメルは怒りを覚えたが、犯される痛みに息が詰まって、ただ苦しげに喘ぐことしか出来ない。 グリマは散々セオドレドを罵倒して、その従弟を責め苛んだ。 が、やがてエオメルの息も絶え絶えな様子に気づくと、蛇の舌は動きを弛めた。そして騎士軍団長の筋肉質な身体を愛撫しながら、ねつい声で囁いた。 「なあエオメル・・・おまえはセオドレドに取ってかわって、自分が王になりたいとは思わんのか?」
「なんだと」 エオメルはグリマの不遜な言葉に驚愕した。 「馬鹿なことを言うな」 「悪い話じゃないだろう。セオドレドを始末して、王位を我が物にしたくはないのか」 「やめろ。わたしにはそんな望みは露ほどもない」 「何故だ、おまえを王にしてやると言ってるのに」 「二度と言うな、許さんぞ」 エオメルの口調には怒りがこもっていた。 グリマはふん、と鼻を鳴らして腰を突き上げた。
蛇の舌はセオドレドに追い払われたあと、部屋に籠って王子への復讐を妄想していたのである。 自尊心を砕かれたかれの報復のシナリオは次のようなものだった。 まず、老いぼれのセオデンにはさっさとあの世に行ってもらい、その死の原因をセオドレドになすりつける。 そして王子の身柄を拘束して世継ぎの身分から蹴り落とす。 エオメルを傀儡の王に仕立て上げ、自分は摂政となって実権を握り、ローハンの支配者として君臨するのだ。 ゴンドール執政家がうるさいことを言ってきたら、後ろ盾のサルマンに言いくるめてもらえばいい。 エオメルはゴンドールの血も引いているのだから、かれの即位には執政家もさほど反対しないだろう。 国が落ち着いたら、次にするのはあの可憐なエオウィンとの結婚だ。国を挙げて盛大な婚礼の催しを執り行い、国中をパレードして回るのだ。 やがてエオウィンとの間に生まれる子供が次のローハン王となる。 エオメルは一生独身でいればよい。国王兼自分の愛人なのだから。
そしてセオドレドは、特別に作らせた地下牢に監禁してこの蛇の舌の性処理用の奴隷にしてやるつもりだ。あの生意気な王子には命の果てるまで快楽の道具として、恥辱にまみれて暮らすのがお似合いなのだ・・・。
(以上グリマさんの素敵な愛の生活設計。それはそれで全員楽しいような〜)
だが、エオメルの同意がなくては、このクーデターは成立しない。 騎士軍団長がかれの提案を許諾しないので蛇の舌は不機嫌になった。 「その程度の野心もないのか。腑抜けた奴だ、おまえは」 そう言いながら、さらに残酷にエオメルの後腔をえぐる。 「うっ、あぁあー・・・ッ」 (犯されてよく鳴く癖に肝腎なところで強情だ。セオドレドといい、どいつもこいつも生意気な奴らだ。気に入らん) エオメルの悲痛な声を聞きながら、グリマは憤懣をかれの身体で晴らそうと執拗に腰を使い続けた。
エオメルの中で果てた後、グリマはぐったりとうつ伏せた獲物の裸体を眺め下ろして、あの高慢な王子をこの従弟と同じように弄んでやったらさぞいい気持ちだろうと思いをめぐらせた。 たった今、かれのペニスを受け入れて苦悶に喘いでいたエオメルの姿に、セオドレドの容姿を重ねてみる。 世継ぎの地位から追い落とすことは無理だとしても、セオドレドを犬のように這わせ後ろから犯して悲鳴を上げさせることが出来たなら、このどす黒い怒りも癒されるに違いない。 「セオドレドをおまえと同じように四つんばいにして、後ろから突っ込んでやりたいな・・・やはりいい声で鳴きそうだ」 グリマの呟きに、エオメルは顔を捻じ曲げて相手を冷たく見た。そういう目つきをすると、かれは従兄によく似ていた。
「死刑になりたければやるがいい」 それを聞いたグリマは黙り込んだ。 確かに、セオドレドを陵辱することに成功しても、そのあとで王子が泣き寝入りするはずがなかった。 かれは自分を汚した男を許さずに斬って捨てるに違いない。 エオメルの場合のように、国王の命をちらつかせたとしても、それは余計にセオドレドの怒りを増大させるだけのように思われる。 王子を屈服させて、なおかつ自分が安全でいられる方法はないものかとグリマは思案した。
王子を犯すには死を覚悟しなければならない。だが−−とグリマは考えた。 その陵辱者が、王子自身にとって、失うことの出来ない大切な人間の場合にはどうなのか・・・? 天啓のように閃いた邪悪なアイディアに、蛇の舌は目を輝かせた。 「おまえが相手なら、セオドレドはどうすると思う」 「な、なに?」 「おまえならセオドレドに突っ込んでも死なずに済むんじゃないのか」 騎士軍団長は目を剥いて相手を見た。
−−信頼していた従弟に辱められる屈辱は大変なものだろう。さすがにセオドレドも女のように泣き叫んで許しを請うに違いない・・・。 その光景をありありと脳裏に思い浮かべながら、グリマはうっとりとエオメルの背中を撫でた。 「くだらん、胸糞悪い。そんなことするものか」 「おまえがおれに逆らえるのか?」 蛇の舌の邪眼がかれをねめつける。「セオデンの命が心配じゃないのか」 「貴様・・・!」 エオメルが血を吐くような叫びを上げる。 「そうだ、あの生意気なセオドレドを思う存分犯してやれ。王子のプライドなんか踏みにじって投げ捨ててやるがいい」
喋っているうちに昂奮してきたグリマは、再びエオメルの身体に覆いかぶさった。 嫌がる相手の髪をつかんで顔を上向かせると、その唇のあいだに自分の性器を押し込む。 「よく舐めるんだ、噛んだりしたらすぐにでもセオデンが死ぬからな」 エオメルは怒りに呻きながら、しかたなく舌で奉仕した。 ロヒアリムの熱い咥内に刺激されて、グリマのものが硬さを増した。 エオメルの口から引き抜くと、その足を大きく開かせて白い太腿の奥にいきり勃ったものをねじ入れる。 「んぁぁっ」 そのまま揺すりあげながら、グリマは相手に訴えつづけた。
「おまえはセオドレドに取って代わる気はないようだが、そういう野心を持つ人間はどこにでもいるのだぞ−−このおれがその気になれば、他の奴と組んでローハンを乗っ取る事も出来るんだ。セオデンもセオドレドも荒れ野に放り出して野垂れ死にさせるのは、たやすいことだ」 グリマの言葉に、激怒したエオメルの顔が真っ赤に染まる。 「それが貴様の本性か・・・!そうやって我がマークを滅ぼすことが貴様の望みか。もう許せん、離せ、裏切り者−−今すぐ貴様を殺してやる!」 怒りに燃え上がったエオメルが本気で暴れ始めたので、さすがにグリマもうろたえた。
かれは力を振り絞って相手の身体を押さえつけ、抵抗を封じようとした。 「まあまて、本気にするな。おれには、それだけの力があるってことを言いたかっただけだ」 エオメルをなだめようと猫なで声を出しながら、グリマはかれの性器を揉みこむように愛撫しはじめた。 「実際にそんなことするわけがないだろう・・・可愛いおまえが悲しむのは見たくないからな」 そう言いながら巧みに腰を動かしてポイントをつき、指でペニスを擦りあげる。 「んぅ・・・離せ・・・」 性感を刺激され、馴らされたエオメルの身体はグリマの責めに反応してあらがう気力を失った。
「はぁっ、ああッ、んあ・・・ッ」 ロヒアリムはすぐに甘い声を漏らし始めた。グリマはその頬を愛しげに撫でながら、速いペースで腰を打ちつける。 次第に官能に没入していくエオメルが、溺れた魚のように肢体をのたうたせて乱れるのを、情欲にゆがんだ顔で見おろしながら、蛇の舌の囁きは続いた。
「おれはただセオドレドがひいひい言うのを聞きたいだけなんだ・・・な、お遊びみたいなもんだ。おまえのこのでかいので犯られたら、セオドレドもさぞかしいい声でよがるだろう。おまえだって興味あるだろう、王子の使い心地はどんなものなのかと・・・」 グリマに握られたエオメルのペニスは完全に勃起して張り詰めている。 「これに犯してもらったら、案外セオドレドも喜んで尻を振るんじゃないのか」
不埒なそそのかしに、王子の従弟は「貴様は狂人だッ!」と一喝した。 グリマはかっとなって、ペニスをきつく握り締め、エオメルは「ひっ」と声をあげてのけぞった。 「黙れ、藁頭。穴に突っ込まれながら偉そうにするな!おれを怒らせるなよ、エオメル。何をするかわからんぞ。おれが本気になったらこんな国、滅ぼすのは訳ないことだと言っただろう!」
「やめろ、畜生ッ、あっ、あぁッ」 「それをセオドレドを泣かせるだけで済ませてやろうというんだ。寛大だろう、おれは」 「はぁっ、あッんッ」 「おれの言うとおりにしろ。判ったな」 「いッ嫌だぁッ」 「逆らうことは許さんぞ!」
エオメルの身体に激しく鞭撻を加えながら、グリマはよこしまな企てを騎士軍団長に吹き込み続けた。 突きまくられ、快感に訳がわからなくなったエオメルは、いつしかよがり狂いながら叫んでいた。 「はぁあ・・・ッ、いいっ、凄くいいーーーッ、やる、何でもやるからぁっ」 グリマが満面に笑みを浮かべて「二言はないな、軍団長殿?」と問いかけると、エオメルはがくがくと金髪を振り乱しながらうなづいた。
  
柱にもたれて、かれは王子を待っていた。 「エオメル!」 厩舎に呼び出されたセオドレドは、従弟の姿を見つけてその名を呼び、にっこりと笑いかけた。 王族専用の馬をつないだ厩舎は、他に人影もなく時折馬のいななきが聞こえるだけだった。
「殿下・・・」 「夕べはどこに行ってたんだ?一緒に飲もうと思ってたのに」 エオメルは王子の問いかけには答えず、黙っている。 セオドレドは打ち沈んだ表情の従弟を見て心配になった。 いつも明るく、ロヒアリムの熱い血を体現するかのように生気に溢れた若い騎士であったはずのエオメルが、今は影の中に取り込まれたような暗い顔で佇んでいる。 そういえば、エドラスに戻ってからというもの、従弟の笑顔を見ていないことに王子は気づいた。
「どうした?エオメル、顔色が悪いぞ」 エオメルは口をつぐんだまま、敬愛する従兄の顔を見ていた。 視線が合ったときに反射的にこぼれる笑みや、たわいのない会話を交わす幸福・・・そんなようなことが、かれの胸のなかに浮かんでは消えていく。 だが、自分はそのすべてを捨ててしまおうとしている。
エオメルは自嘲の笑いを口元に浮かべると、天窓から降る陽光を振り仰いだ。 そして、いきなり従兄の腕をつかんだのだった。
わたくしの書くものは前置きがやたら長い。というのを一応自覚しておりまして・・・
今回はすぐ濡れ場に入ってみました。 てな訳で次回、ロヒアリム肉弾戦。
二回に分けちゃってすみません。なんかこう、おねいさん下書きの段階で書いてて汗でてきちゃったし;;
兄貴/殿下リバ初挑戦なので深呼吸が必要です。ひーはー。
>>NEXT2
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