【廃墟マニヤ File049】
Zウス(千葉県)
(その2)
「ザUス解体決定」
……その短い新聞記事を読んだ数日後、私は京葉線南船橋駅のホームに立っていました。
はたして間もなく自分が取り壊されることを知っているのか、巨大な屋内スキー場は以前と変わらぬ圧倒的な存在感を周囲に放ちながら、そこに横たわっていました。
私自身は「Zウス」どころかスキーに対しても特別な思い入れはないのですが、このバブルを象徴する巨大なモニュメントが取り壊されるという話を聞いて、ある種の感慨を抱かずにはいられません。
8月の太陽によって灼かれたアスファルトからの熱気で、上部のほうはまるで蜃気楼のように霞んで見えます。なにしろ高さが100メートル近くもあるのですから……。
あわよくば内部にもお邪魔しようかと思っていたのですけれど、さすがに厳しい感じです。
ほぼ真下に立つと、覆い被さってくるような圧迫感が……。
斜面を支える構造部分は、ちょっとメカっぽくて私好みです。
これほどまでに巨大な施設が町中にありながら、その機能は既に死んでいるというのは、なんだか非現実的な感じです。
この辺りが入口だったようです。通路にかけられた屋根が異様に長い気がしますが、バスなどの乗り場になっていたのか、あるいは以前は駅から屋根がつながっていたのか、残念ながら現役時代に訪れたことのない私にはわかりません。
(続く)
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