【珍スポ観光 File036】
桶川の美少女(埼玉県)
(その2)
素直にカーナビの指示に従って国道17号を北上します。いつもながらダラダラと渋滞していて、いい加減イヤになってきた頃、ようやく目標となる「ベニバナウォーク桶川」というショッピングモールが見えてきました。その道をはさんだ向かい側に、何やらおかしな一団を発見!
じゃーん! どうやらこれが噂の『桶川の美少女』のようです! なぜか両脇にはパンダとライオンも控えていますね。
(女性部分をよく見たい方はここをクリック![533x800pixel])
前にたてられた高札風の看板をみると、次のような内容が書かれていました。
(以下原文ママ)
「桶川の美少女 大工 岡野靖夫
◎この作品(彫刻)はコンクリを固めて
作った手作りの作品です。従いまして
非常に苦労した作品の一体です。
他に例がないと思います。(コンクリ素材として)
本来ならば着色をせずコンクリで
見せたかったのですが一度倒されヒビが
出てしまったのでやむを得ずペンテイングしました。
アートとして見て戴けたらと思います。
これは私の屋外の個展です。(見たくない方は素通りして下さい。)
◎ここの柵内、敷地内には、関係者以外
立入らないで下さい。厳しく申し上げます。」
読むのが面倒な方のためにいつものごとくスーパー要約すると、これは岡野靖夫さんという大工さんがコンクリートで作った『桶川の美少女』という作品で、イタズラされて壊れたので仕方なく色を塗った、とのことです。
作者の意向として「渋谷のハチ公じゃないけど、待ち合わせ場所みたいになってにぎわいの場になってくれれば」ということですが、その希望が叶うには場所的にやや難しい感じがしないでもありません。
いっぽう下の札には、なんとこの像のテーマソング(?)が書かれていました。
「桶川の美少女
一、今日も遠出のハンドル握りゃ
長い旅路が待っている
そんな俺らを癒すのは
赤い水着がとっても似合う
それは桶川の桶川の美少女よ
二、今日も早出のハンドル握りゃ
遠い景色が俺を待つ
そんな俺らを癒すのは
白い素肌がとってもきれい
それは桶川の桶川の美少女よ
三、今日も一日ハンドル握りゃ
赤い夕陽が待っている
そんな俺らを癒すのは
長い黒髪とっても似合う
それは桶川の桶川の美少女よ
大工 岡野靖夫 作詞作曲」
ちなみに楽譜や音源はないらしいので、どんな曲なのかは、作者本人に会って、歌ってもらうしかないようです。
狙ってつけたわけではないと思いますが、『桶川の美少女』というネーミングのこの絶妙な感じ、埼玉県に住んでいた経験がある方以外には伝わらないかもしれません。
(別カット[533x800pixel]を見たい方はここをクリック!)
★先ほどの看板とは別の看板に、この『桶川の美少女』を取り上げた平成25年1月16日付「埼玉新聞」の記事の切り抜きが貼られていました。その記事から分かったことを補足しておきます。
作者の岡野靖夫氏(69歳※埼玉新聞の取材当時)は、桶川市の技能功労者表彰を受賞したこともある元大工さん。(恐らく趣味で)木彫などを作っており、自宅にはフィギアスケートの安藤美姫やイナバウアーをする荒川静香の木像2体、仏像や竜の彫り物などが保管してあり、埼玉県美術展覧会(県展)で3回入選の経歴があるそうです。
『桶川の美少女』が建つ場所は、岡野さんが(昔?)住んでいた所で、製作は2009年の10月頃。ポーズは、雑誌で見た女性のポーズを参考にしているとのこと。当初はコンクリートの地肌のままでしたが、設置してすぐに何者かによって倒されてしまい、しばらくそのままの状態になっていました。
2012年9月頃、再び像を起こして今度は屋根も設置。前述の通り、そのときヒビを補修したために、不本意ながら色を塗ることになったようです。水着は、初め白く塗ったけれど目立たないので、昔見た赤い水着の女性モデルを思い出して赤く塗り直したそうです。
後ろ姿がどうなっているのか見ようとしたら、こんな盗撮風カットになってしまいました。
狛犬代わりの(?)ライオンは、岡野氏の作品ではなく、市販品であるともっぱらの噂です。
反対側のパンダ。ちょっと耳の形状が間違っているような気が……。
よく見ると手(前肢)には笹の葉が握られています。結構、芸が細かいですね。
というわけで『桶川の美少女』、皆さんの想像していたような少女だったでしょうか?
実は、作者自らが「あんまり美人じゃないから手を加えようかな」と言っているらしいので、タイトルは『桶川のちょっと残念な美少女』あたりにしておいたほうがよかったのかもしれません。
埼玉県桶川市
END
(2015.2)
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