【珍スポ観光 File029】
空滝大不動尊(埼玉県)
(その3)
得意のじらしのテクニックを使い、あえて通り過ぎて、反対側から様子をうかがってみます。
これは確かに……かなりの高ポイントですよ!
昔、伊豆のO滝ランドにあった不動明王像もかなりアレな出来でしたが、こちらの失敗感(失礼!)も相当なものといえそうです。
実は調べてみたところ、不動明王像を作る際には、『天地眼』『牙上下出』というルール(?)があるようです。『天地眼』(写輪眼ではありません)というのは、「右目で天、左目で地をにらむ」か、あるいは「右目は見開き、左目はすがめる」ことで、そして『牙上下出』は、「右の牙を上に、左の牙を下に向けて出す」ことだそうです。ですから、多少のロンパリ感や新沼けんじ感は仕方がないことなのかもしれません。とはいえ、これらの像から受ける残念な感じは、それだけが原因ではないと断言できます。
あーでもない、こーでもないと、しばらく写真を撮っていたら、地元の方らしき人が軽トラックでやってきて、この像の前でかなり真剣に拝んでいきました。それだけ真剣に拝むのなら、もっと別のところへ行った方が願いがかなう可能性が高いような気がするのですが、余計なお世話というものでしょうか?
像を詳しくチェックしていると、背負ったピンク色の迦楼羅焔(かるらえん)の後ろ側に、制作者などの銘が入っているのを発見しました。それによると、秩父市蒔田の左官屋さんの島崎征夫という人が昭和48年(1973年)に作ったもののようです。
下の華厳の滝にいたときはまったく気づきませんでしたが、この不動明王像、滝のすぐ真上にありました。そのためか像の周囲は、下がよく見えるようスノコ状になった鉄の床が張り出しています。廃墟で鉄の階段や床を踏み抜きかけた経験のある私にとって、いらない配慮といえるでしょう。
しばらく休んでから、同じ遊歩道を下って帰ることにします。途中で振り返ってよーく見てみると、確かに木々の間に不動明王像があることがわかりました。少なくとも夏の間は、丁度いい按配に(!?)木々が茂って、その微妙な姿を隠してくれているようです。
埼玉県秩父郡皆野町上日野沢
END
(2011.6)
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