思うことー第8話 (平成16年2月5日記す)

リーダーのあるべき資質ーその3

 先日東京出張の折、浜松町のモノレール駅に隣接した書店で、刺激的なタイトルの本が目に留まり、飛行機の中で読み感銘を受けたのでその内容を紹介する。 「頑張りすぎる人」が会社をダメにする 部下を無責任にしてしまう上司の法則 という本で、日本経済新聞社が昨年末(2003年12月15日)発刊したものである。著者はロジャー マーティンという有名なマネジメント大学の学長で、会社経営のコンサルタントとして全米No.1と言われている人物である。全頁、共感をもって読ませてもらった、というのも、先日来、思うことの第2話と第3話で述べたリーダーのあるべき資質に関する完結編とも言うべき本であったからである。私がそこで紹介した pM>Pm を、視点を変えて分析してあり、極めて説得力がある。リーダーが現場の意見に耳をかさず、一方的に企画し押し付けていくと、現場の部下は自らの意見を抑えリーダーに従うなかで、無責任ウイルスが職場に蔓延し、部下は無責任の中に安住し、結果として職場は建設的発展が止まり、成果は挙げられず、組織は衰退する。これを避けるには、リーダーと部下が協働できる環境をリーダーは作り出す必要があり、それは、リーダーがそこに思いをいたして行動しさえすればだれでもリーダーとして立派にやってゆけることを明確に述べ、そのための具体的なツールも示してくれてある。もう一つ印象的だったのは、このことは単に職場だけの事象ではなく、夫婦間の関係にも、あるいはプロと顧客(例えば医者と患者)の関係でも言えるという点であった。久しぶりに、目からうろこの本に出会ったと思う。