思うこと 第76話           2006年2月10日 記       

難病治療開発研究は集団作業である−その2− 

 「思うこと 第74話」で日野原重明先生が鹿児島での市民公開講座でご講演していただけることになったことを紹介し、その実施日の2007年3月31日(土)は、たまたま私の定年退職の日にあたることにもふれた。 私の定年退職にからんで、難病と闘っておられる患者さん方からよく訊かれるのが、「納先生、私は先生が私の病気の治療法を見つけて、私の病気の治療法を見つけてくれると信じて過ごしてきたのに、先生がもうすぐ定年で研究を止めたら、私は希望がなくなります。どうなるのでしょうか?」という質問である。 その度ごとに、「全く心配ありません。大丈夫ですから安心してください。」と自信をもって答えている。 何故心配いらないかというと、すでに第13話で話したように「難病治療開発研究は集団作業である」からである。 私達の研究室では昼夜を問わず若者達が、まさに、患者さん方の姿をまぶたに浮かべながら使命感に燃えて頑張っていて、その若者達を指導するチームリーダーもそれぞれの分野で世界の超一流のレベルのスタッフが揃っている。 このことは、私が昨年5月に行った、日本神経学会総会の会長講演「夢追って30余年」をご覧いただければ、よくご理解いただけることと思う。 しかも、3年前に私が病に倒れ、4ヶ月の入院生活から復帰してから以降は、病み上がりの私をかばって、以前にもまして、皆で力を合わせて仕事に邁進してくれており、チームリーダー達を束ねて全軍を指揮する役目も、実質的に有村公良助教授がやってくれており、そのおかげで、教室の研究の体制は以前にまして活力に溢れている現状である。このことは、「思うこと 27話 2005年元旦に思う」で詳しく述べたとおりである。 
 だから、質問の度ごとに、「全く心配ありません。大丈夫ですから安心してください。」と自信をもって答えることが出来ているというわけである。