思うこと 第253話 2007年9月23日 記
“米FF金利0.5%下げ”の重大性と深刻度合い
ーいずれ1ドル90円の円高を予測するー
下写真は2007年9月20日の日経新聞に掲載されたもので、FRBがフェデラルファンド(FF)金利を0.5%引き下げ、年4.75%とすることを決定・実施したというニュースである。「とうとう来たか!」と私の全身に衝撃が走った。
FRBはすでに、去る8月17日に公定歩合の引き下げに踏み切ってはいたが、公定歩合の引き下げとFF金利の引き下げでは、事の重大性・深刻度合いがまるで違う。
FF金利引き下げの重大性・深刻性を私に教えてくれたのは、下写真の本である。
この本は、講談社から2006年11月23日に発行されたもので、私が買ったのは今年初めであった。著者の松藤民輔(まつふじ・たみすけ)氏は、1982年メリルリンチ証券、1986年ソロモン・ブラザーズ・アジア証券で、年収2億円の敏腕セールスとして活躍。株価の大暴落を予見したことから、93年に年収2億円のソロモン・ブラザーズを辞め、その年の末に『脱・金融大恐慌』(かんき出版)という処女作を出版した。この著書のなかで、日経平均株価は8000円、為替は1ドル=80円になり、銀行の倒産は続出する、と予見した。これらの予見が見事に当たったことから(株価は3万8915円から7607円まで下落)に世界的に注目さるところとなり、「ザ・エコノミスト」誌に、この10年間でいちばん注目しているエコノミストとして紹介された。現在は、株式会社ジパング代表取締役で、日本第3位の金鉱山オーナーの顔も持つ。
この本が出る前の2006年9月7日に、私は「思うこと 第137話」において、「ユーロ1人高をどう読むか」を論じた際、ついでに次のような文で当時私がおぼろげに感じていたことを記した。すなわち; 『さて、この章の締めくくりに、5年後ぐらいの中長期的な対円のユーロとドル相場の私の個人的予想を披露しよう。 私は、アメリカの双子の赤字はそう簡単には解消できないので、次第にドルは対ユーロでも、対円でもドル安にならざるを得ないと見ている。 現在、日本の景気は間違いなく底力をつけつつ回復しており、製造業の技術競争力は世界のナンバーワンの分野が増えているから、円は対ドルでも対ユーロでも、今後徐々に円高に傾いてゆくと予想している。 あえて、数値で言うと、下の図は対ドルの1986年以降の円相場の動きを示すが、
1994−5年の約85円まではいかないかもしれないが、5年以内に1ドル=90円程度の円高になるように思う。 対ユーロでも、今よりは円高の1ユーロ=100〜120円ぐらいを予測している。 経済には素人の予測ではあるが。』
松藤民輔氏の本の内容は私のようにアバウトな論調ではなく、もっと過去の事実に基づいた説得力のあるものであったが、基本的には私の「思うこと 第137話」の考え方を支持する方向性のものであった。それだけに私は、『FRBが金利を下げる』事態が発生するかどうか、重大な関心を持って見守っていたのである。だからこそ、日経の記事を読んで、「とうとう来たか!」と私の全身に衝撃が走ったのである。
では、明日は、松藤民輔氏の論説を今回にあてはめると、今後の世界の、そして、日本の経済情勢はどのようになってゆくと予測されるかについて述べることにする。