思うこと 第137話 2006年9月6日 記
ユーロ1人高をどう読むか
左の図は8月31日の日経新聞に掲載されたもので、ユーロが最高値を更新し、1999年に欧州単一通貨として登場して以降、初めて対円で1ユーロ=150円台をつけたことを報じたものである。ユーロは対ドルでも高値を維持しており、世界通貨の中でユーロが1人高の様相を呈している。 何故こうなったか、を読むことは、今後どうなってゆくかを予測する上で重要である。 一番の原因は、もちろん、欧州景気が好調で、成長率が今年も3%台後半と日米を上回る事が予測されからである。右の写真は今朝の日経新聞の記事であるが、米経済をこれまで牽引してきた住宅市場の鈍化に代表される米経済の鈍化傾向もこのユーロ高の背景にある。 もう一つ、イラク戦争に不満を抱いた中東諸国の一部が、ドル建て資産をユーロに移動させ始めている事も影響しているようである。 もっとも、ドル建て資産をユーロに移動させる動きは、イラク戦争に不満を抱いてというだけでなく、アメリカの双子の赤字がとどめなく膨れ上がってい現実に、今のうちにより堅実な通貨を求めて、ドル以外ではユーロしかないからユーロが選ばれつつある結果と言え、これは、世界的な傾向である。 この動きが急激に起これば「東西逆転」のシナリオの恐慌が起こるであろうが、どうやら、「徐々にドル安が進行する」という軟着陸の方向性へと向かってゆくような感じがする(もちろん、予測不能ではあるが)。 さて、この章の締めくくりに、5年後ぐらいの中長期的な対円のユーロとドル相場の私の個人的予想を披露しよう。 私は、アメリカの双子の赤字はそう簡単には解消できないので、次第にドルは対ユーロでも、対円でもドル安にならざるを得ないと見ている。 現在、日本の景気は間違いなく底力をつけつつ回復しており、製造業の技術競争力は世界のナンバーワンの分野が増えているから、円は対ドルでも対ユーロでも、今後徐々に円高に傾いてゆくと予想している。 あえて、数値で言うと、左の図は対ドルの1986年以降の円相場の動きを示すが、1994−5年の約85円まではいかないかもしれないが、5年以内に1ドル=90円程度の円高になるように思う。 対ユーロでも、今よりは円高の1ユーロ=100〜120円ぐらいを予測している。 経済には素人の予測ではあるが。