思うこと 第226話           2007年6月27日 記

日米シミュレーション医学教育シンポジュウムに参加して−その1−

 『シミュレーション医学教育』についてこれまで無知であった私は、

このシンポに参加してその重要性を認識したので、急遽、ここで学んだことを、ここにレポートする。
このシンポを主催されたのは、池上敬一先生(獨協医科大学越谷病院救命救急センター長)(下写真)である。

『シミュレーション医学教育』の概念については、

ハワイ大学の Dr. Lawrence Burgess イントロを述べてくれ、

卒前教育に於いても、いまでは欠かせないものになっているとのことであった。
続いて、虎ノ門病院の中西成元先生(虎ノ門病院 シミュレーション・ラボセンター長)が講演され、

シミュレーション教育は医師の卒後研修の教育だけでなく、コメディカルの教育にも、

かつ、安全管理にも威力を発揮していることを紹介された。
シミュレーション教育の長所については、

ならびに、

を挙げられた。また、短所については、

の3点を挙げられた。
続いて、ハワイ大学の Dr. Dale Vincent が、

シミュレーション教育の意義について語り、

はたして、このどちらが訓練の効果が大きいかの設問を投げかけ(上スライド)、
縷々説明したあとに、下の答えが出されたのが、私にはとても印象的だった。

最後に、主催者の池上敬一先生が本日の締めのお話をされた。

私は、目からうろこの落ちる思いで、感嘆して聴かせていただいたのであったが、
私が最も印象に残った3つのスライドを以下に紹介する。すなわち、

これまでの卒前医学教育は講義中心で、医療の現場に出てから、ミスを繰り返しながら医療を学ぶ状況であったが、

医療現場で、まずシミュレーション教育を行うことにより、よりよい形で、効率よくギャップを埋めることが出来ると話された。病院内や医学教育現場にこのためのセンターが設置されることの重要性を、私は痛いほど認識させていただいたのであった。
今日のシンポでは、実に活発な討議が英語でなされたが、ハワイ大学から出席していた米人の青年(下写真)の元気のいい発言に、

この青年こそは、今村病院分院の加塩信行
総合診療内科主任部長(同君については、第223話参照)の努力で今週末から鹿児島の今村病院と同分院に招聘して、研修医を教育してもらうことになっている Dr. David Yu に違いないと直感し、あとで語ったところ、果たせるかな、そうであった。
この下の写真はシンポのあとの懇親会で撮ったものであるが、

向かって左から、納、林恒在君、井上卓也君、Dr. David Yu、今村英仁理事長、山田浩二郎君である。
この林恒在君こそは、以前このHPで紹介した林君であり、同君は青雲の志に燃え、この6月より池上敬一先生(獨協医科大学越谷病院救命救急センター長)のもとに、武者修行の国内留学に旅立ち、ここの一員として活動を開始したばかりである。そしてまた、山田浩二郎君と井上卓也君の二人は現在池上教授のセンターの右腕・左腕として活躍しているのであるが、なんと、二人とも鹿児島大学医学部を昭和61年と63年に卒業した私の教え子達で、この様な形で会えた事に、私は最高に感激したのであった。

最後に、池上教授との記念写真をお見せしてこの項を閉じるが、本来はこの写真に入る予定であった今村病院分院の加塩信行救急総合内科主任部長のことに一言ふれたい。加塩部長こそは、鹿児島でシミュレーション教育を最も理解している男で、同君が骨折って今回の私と今村理事長のこの会への参加が実現したのであった。仕事の都合で同君は今回は病院に残り、私と理事中が彼の意を受けて勉強しに出て来た次第である。今晩は、酒も入り、結構 “よか晩” になってしまったが、大切な内容なので、ここに、レポートさせてもらった。明日のシンポにも出席するので、明日もまたひき続きレポートしたい。