安房峠を抜けて平湯へ
2009年10月23日〜10月25日
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上高地の山々を撮影して沢渡(さわんど)に戻ればモミジの赤がまばゆい。
大正池から河童橋に至る樹林は黄色やだいだい色に染まり赤みが欠けた。
ふだんなら1時間の散策路もカメラを持ち歩けば2時間を超して妻は呆れかえっていた。
「紅葉ってやっぱりモミジよね」と妻や娘が言い出すのを無視して平湯に向かう。【写真は上高地】
いつものとおり国道158号線を走り、飛騨高山へ向かえば妻子は奥飛騨の温泉めぐりしか頭にない。
平湯のアルプス街道、福地の昔話の里、新平湯のたるまの湯、栃尾の足湯そして新穂高の露天風呂など日帰り温泉を妻が並べ立てる。
それを吹聴したしたばかりに「お父さん、3連休をとったわ」と娘が月初めに言い出し、
「紅葉の上高地に出向いたことはないし、奥飛騨の温泉も入っていないわ」と付け足す。
「だれと行くんだ」と確かめれば、
「お父さんが運転するに決まってるんじゃない」とダメ押しする。
安房トンネルの手前で右折し、山道に入っても娘は動じない。
「タクシーの運転士さんがすすめていた安房峠に向かうのね」とのほほんとしている。
「すごーい紅葉よ。赤と黄色がまぶしいわ。見て見てお母さん」と娘はやたらと感激するものの無口な妻はいっそう黙り込む。
つづれおりのカーブをのぼればときおりクルマとすれちがう。
中の湯温泉旅館に立ち寄ればモミジの紅葉の上に前穂高から奥穂高に至る岩の峰がそそり立つ。
停まっているクルマは宇都宮、大宮、品川、多摩など関東のものばかりだ。
さっそく入浴の手続きをすれば臭いはあるが無色透明な温泉に妻子はご満悦である。
30年前に泊った時は静寂でひなびた温泉旅館だったが1997年の安房峠道路(国道158号線バイパス・有料)が開通した翌年に2km上へ移動したという。
「お父さん、こんなに良い温泉があるのに隠していたの」と娘が言い出す。【写真は中の湯温泉から】
中の湯と平湯を結ぶ国道158号にある安房(あぼう)峠には苦い思い出がある。
初めて槍ヶ岳・穂高縦走をした夏は上高地から高山に抜けるときの渋滞にうんざりし、
松本から高山を経由して能登半島へ出向いた夜にはトレーラーに夜道のバックを強いられた。
安房峠を通過するには早くて40分、遅ければ1時間以上耐えるしかないつづれ織りの山道だった。
そんなことはトンネルで10分もかからず通り抜けることしか知らない妻子には思いつかないだろう。
有料道路なら5.6kmにすぎないが旧道は15km近くあり、急で狭いなカーブが続く山道だ。
トンネルはS字の山道を最短の直線で結び、完成するまで20年かかり、工事中に温泉爆発があったことも妻子は知らない。
もっとも、出来上がってから高山へ出向き、乗鞍岳に登り、新穂高ロープウエーを往復する便利さをじゅうぶん味わっている。
はしゃぐ娘とうらはらに気乗りのしない妻を後席に移して安房峠に向かえば道幅はせまいもののなだらかな山道が続く。
対向車が来るのに道を譲らないクルマが入り込むから車間距離の確保につとめて進む。
林道を走り慣れた娘は山道をもたもた走る家族連れのクルマが歯がゆいようだ。
「いつも走る山道と変わりないわね」と娘がささやくから、
「この狭い道をトラックやバスも走っていたんだよ」とつぶやけば、
「うそー、この道幅でトラックが走れたの」と驚く。
「山道に慣れないクルマもいたからすれ違うための渋滞も多かったよ、それで譲り合いも身に着いたのさ」としか言えなかった。
長野県側の峠の境にある「峠の茶屋」は店が閉まっていたが、岐阜県側にも広い駐車場があるのは今もクルマが走るからだろう。
「お父さん、モミジがいっそうまぶしいわ」と娘がはしゃぐもののクルマ酔いした妻は寝入っている。
「京都の高雄の紅葉に似ている」とつぶやけば、
「わたし行ったことがないわ」と娘が言い出す。
そのうち思い出して連れて行けと言いだされるのだろうか。
紅葉が気に入った妻にせがまれて2年続けて京都に出向いたのもやぶ蛇だった。【写真は安房峠】
飛騨側の山道は日当たりも良くて黄色やだいだい色にモミジが映える。
「長野県側より岐阜県側の方が道も広くてなだらかね」と娘は評論家気取りである。
アカンダナ駐車場を過ぎれば華やいだ平湯の温泉街にほっとした。
昔は宿探しに気をめぐらしたが今日はどこの温泉に立ち寄って新穂高ロープウエーに至るか気を使う。
「お母さん、安房峠の山道の紅葉はすごかったわよ」と寝ぼけ眼の妻に娘が繰り返す。
まったく注文が多い同乗者である。
今年の夏に飛騨に立ち寄ったものの雨であきらめた新穂高ロープウエイに向かう途中に、福地温泉の「昔話の里」へ立ち寄ったがすでに店じまいである。
それじゃと新平湯温泉の「タルマの湯」に停めても妻子はクルマ酔いでぐったりしている。【写真は新穂高ロープウエー展望台から】
新穂高ロープウエーは紅葉真っ盛りで娘がシャッターを押しまくるのもおかしい。
ロープウエーが標高を増すたびにまわりの山々に雪がびっしり張り付いている。
展望台で写真を撮るうちに身体がかじかんでくる。
「上高地では雪が少なかったのに、こっちは何でこんなに積もるの」と妻子が言い出す。
同じ日に裏と表から穂高の峰々を眺められるのも妻子には初めてだから感激するのもおかしい。
めったに見たことのない西穂高山荘もよく見える。
雪の積もった槍ヶ岳も妻子には初めてのことだ。
駐車場に戻るころは日も落ちて身震いする始末である。
山の中の9℃は冷える。
【データ】
10/23(金)6:58出発・給油(みなとみらい)⇒9:45相模湖⇒11:00道の駅「甲斐大和」(休憩)⇒12:50道の駅「白州」(昼食)⇒14:10フォッサマグナの湯(見物)⇒16:36松本市宿着⇒美ヶ原温泉「白糸の湯」入浴⇒20:08宿着 一般道268km
10/24(土)8:03出発⇒8:17波田町・給油⇒8:36道の駅「風穴の里」⇒9:00沢渡:クルマを預ける⇒9:30大正池⇒11:20〜12:25河童橋(休憩)⇒12:47沢渡⇒13:05〜14:08中の湯温泉(入浴)⇒14:39福地温泉「昔話の里」⇒14:42新平湯温泉「タルマの湯」⇒14:54新穂高温泉「新穂高の湯」⇒15:20ロープウエー乗り場16:20頂上レストラン⇒17:19新穂高発⇒17:45安房トンネル⇒18:35新島々駅⇒18:58松本インター⇒19:25塩尻市(夕食)⇒20:33宿着 145km
10/25(日)7:59出発⇒8:10道の駅「小坂田公園」⇒8:29岡谷インター⇒9:14双葉SA(休憩)⇒10:23藤野PA(休憩)⇒10:43八王子インター⇒11:20〜12:18町田「いこいの湯」(入浴)⇒15:04帰宅 383km
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