「鹿の湯」の熱湯に腰を抜かす
2009年9月13日


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 紅葉前だから空いているとたかをくっていたら一軒茶屋まで渋滞である。
 せっかく出向いたのにおめおめと帰れるかと先に進めばロープウエーは天候不順で運休でまったくついていない。
 那須温泉神社の前の公共駐車場にクルマを停め下を眺めれば「元湯 鹿の湯」がある。さっそく石段を下った。

 温泉神社には足湯があったがやっぱり入浴にこだわった。
 元湯というから立派な施設と思い込んでいたら川をまたいだ休憩室もない古びた木造の建物である。
 ちなみに「鹿の湯」を利用している旅館は14もあるそうだ。
 さっそく風呂場に向かえば掛け湯と浴槽が6つあるだけのシンプルさに驚いた。男女別々だから以下は男湯の話だ。もちろんシャンプーや石鹸は使えない。

 浴槽は1.5m四方で深さ1m程度の木製。湯温は41℃、42℃、43℃、44℃、46℃、48℃の表示で、白濁した湯である。
 入浴しないで浴槽のまわりに客が座っているのもなんか異様だ。のぞかれて入浴するのも変な気がする。
 高温から低温の順に入浴するほうが効果的というけれどへそ曲がりだから逆に入浴した。
 44℃までは気持ちがよかった。でも46℃に入ったらピリッときてたちまち浴槽から飛び出た。
 なんだこの熱さは。電気でも含まれているのかとたじろぐ始末だ。それにしても悔しい。

 ためらっていると検温器を持ってきた従業員が「47.3℃だ」とつぶやいて流れているお湯を止めた。
 それにしても48℃の湯に平然と入浴している人もいるからこのまま引き下がれるものか。
 意を決して46℃に浸かったが3分も我慢できない。
 まわりにたむろしている客がおかしそうに笑うのも悔しい。

 それにしても掛け湯は48℃である。ちょっと熱いがピリッともしない。サウナはもっと熱いけど痛みなど感じない。
 湯に浸かるというのは浴びたり蒸されるのと違った肌の刺激のようだ。
 熱湯を使った拷問(日本でいえばキリシタンの拷問に湯が使われた)もあるけれど、釜ゆでにされた石川五右衛門もさぞつらかったことだろう。
 そんなことを考えながら48℃に入れず出てきたバツの悪さをごまかせば、「意地を張ることはないわよ。わたしは44℃まで」と風呂好きな妻が笑う。
 
 用意されていた「入浴の心得」を読み直したら、「鹿の湯は特に高温で薬分も強いため、最初の2分ほどは胸あたりまで身体を沈め、その後に全身を沈めると身体への負担を軽減できます」とある。
 また、「1回にお湯に浸かる時間は2〜3分程度とし、上がって休み、またお湯に浸かるを繰り返し、全体で15分が適当です。鹿の湯は「短熱浴」の用法なので、長湯は避けてください」と続く。
 これで浴槽のまわりに客がたむろしているのが理解できた。注意書きはじっくり読むものである。
 硫黄を豊富に含んだ強い酸性の泉質はひごろなじんでいるアルカリ性の温泉と入浴法が異なるようだ。
 今度は48℃に挑戦したいと見栄を張れば、「熱いのは毒よ」と妻が小馬鹿にする。(2009・09・13)  

   ETC休日割引で片道1,000円でした。


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