おとずかい
第2章 楽譜を眺めるのあらまし
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第2章 楽譜を眺める ● 第2章の本文へ行く
ギターを始めてからたくさんの歌集を買い込み、自分に都合のよいコード進行の歌ばかり練習してきましたが、それは歌詞に和音が付されているものばかりです。
最も古いのは「フォークソング450」(自由現代社、昭和55(1980)年発行)です。この本には五線譜とコード図がついていますが眺めるだけでした。
歌う時に参考にしただけでギターを弾く気もなかったからです。その当時は遊び仲間がギターを弾きましたので彼らに演奏させるために買い込んだシロモノです。
●楽譜にとまどう
たまにバンド用のスコア(譜面)を眺めますが、イントロや間奏あるいは終了の部分を眺めると頭がクラクラしてきます。
だから、五線譜が何段も重ねられているクラシックの大譜表を眺めるとパニックに陥ります。こんなものを眺めていたら演奏なんていつするんだろうと驚き、足がすくみます。
わたしの五線譜の知識はGが変形したト音記号だけです。ところが、ピアノやギターの解説書にはFの変形という耳に似た記号のヘ音記号がついた譜面がついています。
恥ずかしいことにト音記号の下2線のラとヘ音記号の第5線のラが同じというのにまったく気がつきませんでした。
ピアノの鍵(キー)を眺めて、すべてドレミファソラシドの並びだと気づいた始末です。
もっとも、実音と記譜の違いがあってギター用の楽譜は実音より1オクターブ高く表記されるというのに今もなじめません。
●音符と地図
考えてみれば五線譜って音の図表なんですね。縦が高さ、横が長さであるだけでなく方向を持ったベクトル量を示しています。
音符や休符は長さを区分するための記号ですからデジタル表示になじむわけです。
ともあれ、細々した音符や休符に惑わされず、流れをつかめば良いわけです。上っているか下っているかを眺めるだけでも何となくわかりそうなのが五線譜のわかりやすさです。
山歩きやドライブに大切なのは位置把握です。脇道に入っても元に戻ったり、目的地へ向かう方向をあらかじめ頭に入れておくことです。そのためにあるのが地図です。特徴のある地形や建物にしぼって表示されるからなじめます。
楽譜も地図と同じです、地域区分が音部記号(ト音記号やヘ音記号)、製作者の注記が調号、縮尺が拍子記号、そして標高や地形の区分が音符です。
●頭の切り替えも
地図を持ち出してびっくりした方がいるかもしれませんのでもう少し丁寧に説明します。
等高線の上に地形が示される地図は「高さ」と「長さ」と「方向」の3つを組み合わた図表です。楽譜も「高さ」と「長さ」と「方向」の3つで構成されるのは同じですね。
地図で無視できないのは、磁極のズレ(地磁気の影響で北極や南極に近づくほど方向がずれる)、地形のゆがみ(球面を平面に表示する制約)、作られた年代(測量法の制約や現在とのズレ)、表記する方法(常用度に応じたデフォルメの程度)そして縮尺の程度です。
同じように映る等高線も縮尺によって100m、20m、10mになります。そして、歩く速さとクルマの速さは異なりますから判断のスピードも違うわけです。
いくら地図になじんでいる人でも利用する場面に応じた頭の切り替えができないと判断を誤ります。五線譜も似たところがあります。使い道に応じた頭の切り替えが求められます。
●デフォルメ:省略と強調
楽譜と地図が似ているのは「省略」と「強調」です。いわゆる「デフォルメ」ですね。
重要なものを優先し、副次的なものは省略することです。大切なことは五線譜に示し、その他は欄外の表記にとどめています。
そのために音符や休符の記号化だけでなく多くの注記となる記号や標語があるわけです。
画面をすっきりさせるために、音符をまとめたり(連鈎=れんこう)、区分したり(連符)、省略記号を使います。
そして、目的地に至る経路を示す記号(ダカーポ、ダルセーニョ、フィーネなど)も登場します。
見てわかりやすい工夫が地図や楽譜にあることを知って利用すれば良いのではないのでしょうか。
●大枠をつかめばじゅうぶん
地図を持ち出したばかりに楽譜アレルギーがある方に拒絶反応を呼び起こしたかもしれません。
要は基本的な約束を知り状況に応じた判断でアレンジするだけです。
細かいことにこだわらず全体を見極めて利用するのが地図であり五線譜です。
重箱の隅にこだわるのでなく大枠をつかんで利用すれば十分でしょう。
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