たかがクルマのことだけど

スピードに慣れるころの錯覚


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目次
 
忘れていませんか
 
後車に煽られて
 ●高速道路で見かける例


 スピード感覚は相対的である。同じ速度で走っていても、広い場所と狭い場所では大きなズレがある。また、他車との速度差が感覚をマヒさせ、高速道路と一般道路では同じ時速80kmでも違って感じる。しかし、速度は絶対的である。時速40kmと80kmでは衝撃や破壊の程度は異なる。

忘れていませんか

 ブレーキの制動距離は速度の2乗(2倍ではない)に比例して長くなるにもかかわらず、そんなことを忘れてクルマを走らせるドライバーが多い。ついでに、停車距離は空走距離と制動距離の合計だったことも思い出してほしい(空走距離は危険を感じてブレーキ操作をするまでに走る距離である)。速度を増すたびに車間距離を大きくすることを忘れ、接近して走行するのは自殺行為に等しいのではなかろうか。

 この錯覚を防止するためにはこまめに速度計を確かめることだが、クルマの運転に慣れるとともにズサンになりがちである。高速道路で前車に接近して走行するクルマがなんと多いことか。また、車線変更が割り込みとなりがちなのも速度の絶対性を無視していることにあるのではなかろうか。
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後車に煽られて

 たいていのドライバーは接近されるとムキになりがちである。後車から離れようとして加速したり、減速したりする。だが、そんなことをしても後車は屁とも感じないのである。彼らは前に進むことしか気にしていないからだ。また、前車が慌てるのを愉しむ変人もいる。

 通常は走行車線を走る、追い越す場合は追い越し車線を使う、遅いクルマは速いクルマに進路を譲る、追い越されるクルマは加速しないーーこれらは円滑に道路を使用し、互いが安全に走行するための基本ルールである。しかし、誰もが忘れていることでもある。そして、渋滞を引き起こし、果ては事故につながる。
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高速道路で見かける例

 高速道路では、追い越し車線の流れの方が走行車線より遅いときがしばしばある(これは「05クルマを走らせるのは人間だ●殿様ドライバーA氏の登場」で触れた)。この原因は、速度計を確かめずバックミラーも見ないドライバーや車線変更もロクにできない未熟なドライバーにあるとともに、互いが基本ルールを忘れていることにもあるだろう。それは、意地や見栄でクルマを走らせるドライバーが多いことの反映である。

 追い越されてからムキになるのは若者より大人に多いのもプライドが出るからではなかろうか。また、走りやすいというだけで追い越し車線を常時走行するのも勝手すぎまいか。必要に応じて使い分けるという発想が出てこないのもナンセンスである。自分がどんな目的でクルマを利用し、どのように走行させるかを忘れて感情にまかせて操作するのは思い上がりでしかないだろう。

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