たかがクルマのことだけど
助け合いは大切だ
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クルマは、身体と頭を調和させて動かすものである。ドライバーがどのように走らせるかによって行動に反映する。周りをどのように把握し、それに対してどんな判断を行い、いかにクルマの操作に結び付けるかはドライバー自身で決定することだ。
でも、割り込みや急停車があふれる道路を走るたびにそんなキレイゴトは無残に砕かれる。自分のことしか考えないセカセカした行動を繰り返し、ギスギスした緊張感を周囲にまき散らしたあげくに互いがカリカリしあうのも馬鹿げている。また、同乗者と話に夢中になり、マンガを読み続け、無線を交信し、携帯電話をかけてノロノロ走行をして周りをイライラさせたあげくに突然停車してムッとさせる振る舞いもあふれている。
歩道を猛スピードで走ってくる自転車を避けるのはぶつけられれば怪我をしたり転倒するからである。加速度のついた物体が人間を傷つけることは子どもだって知っている。自転車以上に重くて加速度の増すクルマにはそれ以上の破壊力のあることを忘れた無頓着なドライバーが多い。クルマに乗り慣れるうちに、他人を含めた危険意識がマヒして正常な判断力を忘れてしまうのだろうか。
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●秋の夜風の冷たさに
私は、旅先でクルマが故障したときに味わった虚しさと感激を忘れたくない。左側の前後2輪を側溝に落とし、秋の夜風の冷たさをしみじみ味わいながらロードサービスを待つ間のことである。通り過ぎるクルマの中でわざわざ停車して応援を申し出てくれたのは営業車やオートバイの利用者で、作業員風の中年とか20歳前後の若者であった。彼らはジャッキを持ち出し、クルマを押し上げてくれたがそれが無駄なことは我々は十分味わっていた。自力脱出を試みて後輪まで落としては数人がかりで押してもびくともしなかった。彼らは申し訳なさそうに去っていったが、私はバツが悪くてしょうがなかった。
事故がおきると渋滞になる。1台の不注意が原因で互いのイラダチのもとを作る。しかし、冷やかし気分のドライバーの行動で渋滞にいっそうの拍車をかけることも多い。「バカなヤツだ、マヌケめ!」というオゴリや「スゲー!」という野次馬根性が出てくるのも、他人事ゆえの気楽さだろう。見えるものからフィクションを作り上げて批難するのは簡単である。でも、横のクルマが割り込むのを避けたり、前の車が急ブレーキを踏んであわてた後続車が単独事故を起こすことだってあるだろうに。
誰だって事故や故障を起こすつもりはないのだ。他人の不幸を見て自分のささやかな幸せを感じるのが人間なのかもしれない。自分より劣る者がいれば我が身に満足してしまうのも我々の弱さやズルサなのだろう。しかし、これはやはり異常である。後続車を事故に巻き込まない合図をし、ボーとしている乗員を安全な場所に移し、救急車や警察に連絡することぐらいできないだろうか。
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●営業車を見習いたい
体験的に言うと、営業車のドライバーの方が乗用車のドライバーよりも親切である。故障の手助けだけでなく、時には道案内までしてくれる方もいた。ともすれば、乗用車のドライバーはトラックやタクシーの運転手を雲助よばわりしがちである。しかし、それは乗用車のドライバーの偏見ではなかろうか。私は、学生時代にアルバイトで4年間タンクローリーの助手をしてきたから乗用車のドライバーと違う見方をしている。
営業車を雲助よばわりするドライバーはえてしてわがままな人が多い。スピード計を見ることなどせず前に進むことしか考えないドライバーばかりである。前にトラックが走っていれば追い越しをかけたり、わざわざ車間を詰めてクルマを走らせる。また、追い越しをかけられればムキになって加速するドライバーである。ひと言で言えばムラの多い運転が目立つ。自分の感情をコントロールせず、気分でクルマを走らせがちだ。
私は営業車の肩をもつつもりはない。クルマの利用のしかたからすると対極の立場である。しかし、いたずらに敵視しあうこともないだろう。良いものはどしどし取り入れるべきではないか。自分が走らせるクルマの性能に応じた運転をし、クルマの流れを乱さぬ走行をし、合図も確実に行い、助け合いを徹底して実行しているのは営業車である。後続車の追突を防止するためにハザードランプで示すことは営業車は30年前から行ってきたし、ムラのない定速走行に努めている。
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●まとめ
どんな目的でクルマを利用するにせよ、我々は他人や他車と協調して道路を利用し、走らせていくことを忘れてはなるまい。視界を妨げる場所や通行の障害になる場所にクルマを停めたり、歩行者や2輪車に危険を及ぼす走行をしないことである。そして、故障や事故を起こさないように努めることはもちろんのこととして、他人が困っているときに助け合えるだけの心のゆとりをもってクルマを走らせたい。
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