温泉・銭湯・浴場・風呂
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本を読むたびに書く人によって温泉・銭湯・浴場・風呂と言葉が異なるのにとまどう。湯につかる行為をさすのか施設とのかかわりなのかわかりにくい。ようやく言葉づかいでその人が何を言いたいのかわかるようになった。以下は温水浴に限った独断的な解釈である。辞典の解説とはちがうが参考にしてほしい。
◎温泉
@温かい地下水に限定する場合。温泉学や温泉法は自然資源とのかかわりで便われる。内容は温度や含有物質(成分)などで区分する。
A入工物でないことを強調する場合。銭湯と区別し、加水や加熱を拒み源泉にこだわる人に多いパターンである。
B泉質や効果にこだわる場合。これはAの極論に多く見受けるものである。治療や健康とかかわらせる面が多い。そういう施設であることも含んでいる。
C火山とのかかわりが希薄な平地の温泉も生まれ、沸かし湯でないことを強調する場合もある。
◎銭湯
@公衆浴場のうち保健・衛生に欠せない施設である普通浴場をさす。法律用語ではないが、生活必需品という面が強調される。
A大衆性や庶民性を強調する場合。生活に身近で社交性を伴う地域社会という面も含む。歴史や文化が持ち出されることも多い。
B最低限や並(なみ)という含みを伴った開き直りもある。エステやセラピーといった美容や健康とは異なる。スーパー銭湯というのはそれを超える施設というものだろう。
C銭湯には温泉を含む。元になる公衆浴場の定義は沸かし湯だけでなく温泉も含むことを忘れてはなるまい。でも、それが無視されて語られる。
◎浴場
@入浴する施設をさす。温水や冷水に入浴する設備のほかに休憩する場も兼ね備えている。公衆浴場や共同浴場をさす。
A浴槽のほかに洗い場や脱衣所を含めた入浴にかかわる基本的な部分をいう。また、温泉場や温泉郷を構成する個々の施設をさす。
B入浴を機会にした社交施設をさす。古代ローマやイスラムにもあり、日本の銭湯にもあったおもむきを強調する場合もある。
◎風呂
@銭湯や温泉を含めた入浴設備や施設をさす。店の名前のー部にも使われる。江戸時代の風俗を描いた戯作の題名にもある。社交場の側面を含む。
A入浴の言い替えで用いる。蒸し風呂であるサウナあるいは冷水浴も含めた広い意味を持ち、歴史にかかわる本に多く使われる。
B浴槽そのものをさす場合がある。加熱方式や浴槽形態の外に浴槽内に満たされる湯の種類まで含む。
C入浴行為のすべてをまとめる言葉。場としての浴場を超えて語られやすい。抽象概念であるぶん具体性を欠くものの主観性がうすれる。
〔まとめ〕
立場のちがいはあるものの共通するものがある。何に優位性を置くかにちがいがあるようだ。
●温水浴である
川に入ったり滝に打たれるようなものであっても温水がからむ。
●シヤワーとは異なる設備である
健康や衛生にかかわってもそれを超える価値づけが伴う。
●サウナは付属物
施設の中にあるとしても主たるものではない。
●精神修養や修業と異なる営み
身や心を清める面があるにせよ浄化(きよめ)や禊(みそぎ)とは異なる。
●憩いや安らぎを含む爽快感
治療はともかく何らかの快感を伴う営みとして語られる。
●極めて日本的な感じ方
蒸し風呂や冷水浴あるいは飲泉に慣れた欧米人には異質な入浴法である。
入浴にかかわる本
買って眺めただけの本もあります