シンチレーションによるガイド精度
ここではシンチレーションによるガイド星の位置検出精度について検証してみます。
星の瞬きは字のごとく数十〜数百Hzの速さで光線があちこちへ振られています。 この瞬いている星を追いかけるには同じ速さまたはそれ以上の速さで追従する必要がありますが、アマチュア機材ではなかなか難しい要求です。
そこで星の瞬き以下の速さのガイドシステムがあったとき、どのようにすればガイド星の位置精度を上げることができるか調べました。 計算方法は100Hzの速さで動く星をある時間で露光し、その得られた星像の重心位置を時間ごとにどれだけ変化あるかを見ることにします。
まずシミュレーションによる星の瞬き映像を見てみましょう。
星の動き(見やすいように10Hzで動かしている)
シンチレーションによる人口天体の軌跡のうねりも見てみましょう。
口径20cm焦点距離800mmによる撮像
移動方法はある位置を中心に存在確立がガウス分布になるようなランダム移動です。(ランダムウォーク)
次に、PSFの半値幅3ピクセル、ランダム移動平均範囲4ピクセル、周波数100Hzで動く星があったとし、この星を0.1秒、1秒、10秒間露光し、重心位置をグラフにしてみると、
PSFの重心位置分布(赤:露光0.1秒、緑:露光1秒、青、露光10秒)
このように露光時間が長いほどシンチレーションの影響が少なくなり重心位置の集中度が高まることがわかります。
これを時間ごとに重心位置の変化量をグラフにすると、
PSFの重心位置の変化量(赤:露光0.1秒、緑:露光1秒、青、露光10秒)
となり、10秒露光では0.1ピクセル程度のばらつきしかないことがわかります。
よってこれでわかることは、露光時間が長いほどガイド星の重心位置は安定しシンチレーションの影響を抑えることができるということです。 さらにS/Nによる位置精度を考慮するとその差が顕著になることは容易に想像できます。
May 15th, 2002
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