香港は新界西北部の新興大住宅地区天水圍から九龍の南東端、紅磡(ホンハム)まで突っ走る長距離バス。1998年の大欖トンネル開通により、新界西北と九龍が一気に近づいたときに設定されたバス。それまでは、新界西部の屯門を経由するか、山越えの峠道を通るしかなかったのだ。
私は新界の湿地地区を見たくて九広東鉄(当時、現MTR東鉄線)の上水駅からバスを乗り継いでの湿地見物の後、昔からの街元朗で晩い飲茶をした。元朗の通りで九龍に行くバスをさがしていて、たまたま乗ったのがこの269B。
天水圍から元朗までは小刻みに停車してお客を拾ってきたが、元朗を出ると一気にスピードが出る。それもそのはず、元朗を出ると青朗公路のハイウェイに乗ってしまうし、周囲は荒地と緩やかな山しか見えなくなる。まったく、香港というコトバからイメージする風景とはかなり異なる。ぐんぐんスピードを上げ大欖トンネルへ突入。南に向かうトンネルは3.8km。単調な騒音が車内に響く。トンネルを抜けると、すぐ汀九橋で海を渡る。繊細で美しい斜張橋だ。その先は青衣。と言っても、この島の大半はトンネルで通る。トンネルを抜けると直ちに海上だ。藍巴勒海峡橋を渡ると、葵涌のコンテナターミナル地区。
すぐに3号公路青葵公路+西九龍公路と連続するハイウェイ。一気に九龍を南下。ハイウェイを快走するのだから、バス停などある訳が無い。元朗そして大欖トンネルを抜けてから尖沙咀まで無停車だ。やっと、バス停が見えるのが広東道に入ってから。もう、人々が溢れる尖沙咀の大通りだ。なにか、空から地平に降りてきたような気がする。スターフェリーのりば少し手前の、新港中心で下車。このバスはバス停間隔が長めなので、降りそこなうと意外なほど先に行ってしまう。
このあとバスはく梳士巴利道、漆咸道南を経て紅磡のフェリー乗り場まで進む。
【写真:3号公路、元朗を抜けるとすぐ荒涼とした風景となる。大欖トンネルはもうすぐ。】
|