うつ病の薬物療法
■チェック用語
・三環系、四環系抗うつ薬
脳内の中枢神経系においてノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み
を阻害あるいは放出を促進する作用を示します。
分子内に三環、四環構造をもつものをそれぞれ、三環系抗うつ薬、
四環系抗うつ薬といいます。
副作用は、眠気、口渇、便秘などです。
三環系抗うつ薬は、副作用も強いけれど作用も強いといわれています。
四環系抗うつ薬は、副作用が比較的少ない穏やかな薬といわれています。
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)
抗うつ剤で、抗コリン作用による副作用(便秘・口渇・排尿困難など)や
眠気が少ないことが特徴とされています。
しかし、SSRIは三環系抗うつ剤に比べ、効果が現れるのが遅い、
効果が弱いなどのデメリットもあります。
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
(Serotonin-Noradrenaline Reuptake Inhibitor)
SSRIがセロトニンのみを中枢神経系において増やすのに比べて、
SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方を増やすことができます。
このためSNRIのほうが、SSRIに比べて効力が強いのではないかと
考えられています。
・気分安定薬
躁症状がある「双極性障害」でもうつ病と同じような抑うつ症状が現れ
ますが、うつ病とは違った治療が必要になります。
「双極性障害」では、主に気分安定薬を使います。
気分安定薬は、そう状態に効果があると同時に、そう状態における
抑うつ状態をも改善させる薬です。
■まとめ
精神的に活発になりすぎていろいろな問題が出てくる躁の状態がある
「双極性障害」(以前の躁うつ病)と、抑うつ症状のみの「うつ病性障害」、
比較的軽い症状が長期間続いている「気分変調性障害」などをまとめて、
「気分障害」と呼びます。
「うつ病性障害」には、中核的なうつ病と言われる「大うつ病性障害」と、
軽症のうつ病である「小うつ病性障害」があります。
うつ病やそのほかの精神疾患の診断基準としては、アメリカ精神医学会の
「DSM」やWHOの「ICD−10」があります。
うつ病の治療には、薬物療法などの生物学的治療、精神療法、環境調整の
3つがあります。
生物学的治療には、「薬物療法」や「電気けいれん療法」があります。
「薬物療法」には、これまで使われてきた「三環系抗うつ薬」や「四環系
抗うつ薬」に加えて「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」や
「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)」が
使用可能になり、治療薬の選択の幅が広がりました。
精神療法(心理療法)としては、「認知療法」と「対人関係療法」があります。
環境調整としては、地域や家庭、職場の人間関係やストレスなどの環境の
マイナス要因を解決することです。
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