造血幹細胞移植
■チェック用語
・造血幹細胞移植
文字どおり造血幹細胞を移植するということで、造血幹細胞をどこから
採ってくるかによって、3種類に分けられます。
1)骨髄から採るものは骨髄移植。
2)さい帯血から採るものをさい帯血移植。
3)それから末梢血中にも幹細胞が流れていて、それを器械を使って白血球
だけ採って移植するのが、末梢血幹細胞移植です。
3種類の移植法は、あくまでも造血幹細胞をどこから採るかによっての分け
方で、基本的には同じです。
ただ、どこから採るかによって、実施体制が違います。
歴史的にいうと、骨髄移植は約25年ぐらい前から行われています。
それに対して、あとの2つの移植は比較的最近です。
末梢血もここ数年、少しずつ行われるようになっています。
現在はそのいずれも医療保険の適用になっています。
・骨髄移植
実施体制として、全国にいるドナーと、型が合ったときに、
コーディネーションをして提供されます。
骨髄移植推進財団が募集・普及・啓発、また患者のコーディネート活動、
ドナーのコーディネート活動を行い、日本赤十字社が保有しているHLAの
データと患者のデータが合った人に骨髄移植を行っています。
日本骨髄バンク
http://www.jmdp.or.jp/
・さい帯血移植
さい帯血の場合は、出産のときに採って、それを冷凍庫に凍結保存しておき
ます。
採取、検査、保存の部分に費用がかかってきます。
さい帯血バンクは凍結して現物保存をするバンクです。
保存しているさい帯血は、ホームページ上で公開しています。
血液センターというところが研究という目的と合わせて、さい帯血を保存す
る作業が始まったのは日本においては1995年ごろです。
各地にあったさい帯血バンクが、連合する形で日本さい帯血バンクネット
ワークというものができました。
日本さい帯血バンクネットワーク
http://www.j-cord.gr.jp/index.jsp
・末梢血幹細胞移植(末梢血移植)
骨髄移植に近いもので、骨髄移植のためにHLA型を調べた人を対象にして、
骨髄からではなくて、血管から幹細胞を採取して使います。
■骨髄移植の診療報酬
今回、平成16年4月1日の診療報酬改定において、
骨髄移植については、従来の3万7600点(1点10円)、37万6000円から、
4万7600点、47万6000円という引き上げになっています。
また、さい帯血に関しては、2万6900点、26万9000円から、
3万6900点、36万9000円で、それぞれ移植1件当たりの診療報酬の引き上げに
なっています。
移植の所定点数は、適合する骨髄提供者の情報検索連絡調整に係る費用等、
骨髄移植の実施に必要な費用の一部も含めて評価したものです。
そういった考え方で、患者負担を軽減するという観点から、連絡調整などに係る
費用を評価するというのが、今回の1万点、10万円の診療報酬改定の趣旨という
ことになっています。
■まとめ
造血幹細胞移植は、3種類あります。
骨髄移植は、骨髄移植推進財団が中心になって全国のドナーとHLA型が合った
ときに、コーディネーションをして移植がおこなわれます。
さい帯血移植は、さい帯血バンクがさい帯血を凍結して現物保存しているのを、
ホームページ上に公開、患者にあうものが見つかれば移植がおこなわれます。
末梢血幹細胞移植は、骨髄移植に近いもので、骨髄移植のためにHLA型を調べた
人を対象にして、骨髄からではなくて、血管から幹細胞を採取して使うという
新しい移植法です。
HLA適合率は、ドナーが何万人いたら、日本人の8割や9割のドナーに1人以上
見つかるかという計算です。
HLAのよく見られる型を持った方は、30万人いれば30人か40人が見つかる計算に
なりますが、非常にまれな型になると1人しか見つからないこともあります。
ドナーの数が多いほど、まれな型も見つかりやすくなります。
そのため、ドナーの数をどのように増やすかも問題になっています。
また、コーディネートの問題として、時間が長くかかったり、コーディネーターは
片手間ではできない仕事にもかかわらず、ボランティア活動としてプレッシャーも
強いものになっています。
造血幹細胞移植については、厚生労働省の「疾病対策部会造血幹細胞移植
委員会」で検討されています。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/kousei.html#k-isyoku2
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