ウェッブ夫妻(Sidney Webb, 1859-1947, Beatrice Webb, 1858-1943) (江里口拓のページ)
社会保障,福祉政策に関する経済思想・学説をクリアに整理することを目標に,ウェッブ夫妻とLSEの公共政策論を中心としたイギリスの経済思想を研究しています。
現在進行中の研究は以下の通りです。
(1)20世紀イギリスにおける福祉政策の展開過程におけるLSEのソーシャル・ポリシー論の学説史的再検討。LSEの制度派経済学とアメリカ制度学派の知的交流および福祉国家形成との理論的連関についての社会経済思想史的研究。
(2)福祉国家の政策思想の国際的伝搬についての歴史研究。具体的には,イギリスとスウェーデンとの福祉国家思想の相互交流についての経済思想史的研究。
(3)広義の社会福祉の制度デザインをめぐる新しい実践的知の領域としての「福祉社会工学」 (Social Welfare Engineering)
の理論的可能性と制度派経済学の応用による日本の社会保障制度の再建方法をめぐる理論研究。
(4)日本の社会政策理論の再構築に向けたオランダ・モデル,デンマーク・モデル,スウェーデン・モデルなどとの比較制度分析。
(5)啓蒙的なテキスト・レベルでの「福祉国家の経済思想史」の描き直し。
研究業績:
学位論文 | |
1993年1月 | 修士論文「ウェッブ夫妻の産業民主制論の学史的意義 - レント論と労働組合論との関連を中心に - 」九州大学 |
1999年10月18日 | 博士論文「初期ウェッブの社会改革構想―進歩・効率・自由と“コレクティヴィズム”―」九州大学,(経済博甲,第44号) |
著書(単著) | |
1,2008年7月 |
江里口拓『福祉国家の効率と制御-ウェッブ夫妻の経済思想-』昭和堂 |
著書(共著) | |
1,2003年9月 | 「ウェッブにおける社会進化と社会改良-市場・中間団体・国家をめぐって-」岡村東洋光,久間清俊,姫野順一編著『経済社会思想の進化とコミュニティ』ミネルヴァ書房,pp.32-55 |
2,2005年4月 | 「ウェッブ夫妻における福祉政策と地方行政 - 『救貧法少数派報告』(1909年)と『国庫補助金論』(1911年)を中心に - 」秋田清編『環境としての地域』晃洋書房,pp.27-48 |
3,2006年9月 | 「ウェッブ夫妻における「進歩」の構想-失業対策をめぐるベヴァリッジとの対立-」小峯敦編『福祉国家の経済思想』ナカニシヤ出版,
pp.79-107 |
4,2009年6月 | 「協同組合からガバナンスへ-ウェッブ夫妻における公共圏と公共性-」大野誠編『近代イギリスにおける公共圏』,pp.285-316,昭和堂 |
5,2013年8月 | 「ウェッブ夫妻のナショナル・ミニマム論:経済思想史的位置について」西沢保・小峯敦編著『創生期の厚生経済学と福祉国家』ミネルヴァ書房,pp.283-308 |
6,2024年近刊 | 「 「豊かな死」の経済思想:ケアと福祉国家」祖父江編『死と向き合う心理臨床』日本評論社 |
7,2024年近刊 | 「ビアトリスポッターの自由主義批判と人的資本論」奥田伸子ら編 近代イギリス史における自由と不自由 |
論文 | ○は国内のレフェリー付きもしくは学会依頼論文,●は海外のレフェリー付き学会誌 |
1,1994年7月 | 「ウェッブ夫妻における“産業進歩”と労働組合」『経済論究』九州大学大学院経済学会,89号,pp.1-28 |
2,1995年3月 | 「ウェッブ夫妻の労働組合論の歴史的背景について」『経済論究』九州大学大学院経済学会,91号,pp.1-30 |
3,1995年7月 | 「ウェッブの労働組合運動改革論と社会立法―『産業民主制論』における“合同”から“ 連合”への提唱を中心 に―」『経済論究』九州大学大学院経済学会,92号,pp.1-29 |
4,1996年3月 | 「ウェッブの社会改革構想の形成と『ロンドン・プログラム』―シドニーの都市改革論を手がかりに―」『経済論究』九州大学大学院経済学会,94号,pp.85-113 |
5,1996年11月 | ○「ウェッブの労働組合運動論と社会改革構想」『経済学史学会年報』経済学史学会,34号,pp.65-76 |
6,1997年8月 | 「ウェッブのナショナル・ミニマム論の形成過程―歴史的背景にてらして―」『愛知県立大学文学部論集(社会福祉学科編)』,46号,pp.1-25 |
7,1999年3月 | 「ビアトリス・ポッター(ウェッブ)の消費者協同組合論―『イギリスにおける協同組合運動』(1891年)を中心 に―」『愛知県立大学文学部論集(社会福祉学科編)』,47号,pp.1-25 |
8,1999年7月 | 「ウェッブにおける進歩・効率・自由と“コレクティヴィズム”―初期の諸著作を中心に―」『社会福祉研究』愛知県立大学文学部社会福祉学科,1巻1号,pp.1-16 |
9,2000年7月 | 「自由貿易とナショナル・ミニマム-世紀転換期におけるウェッブの所説をめぐって-」『社会福祉研究』愛知県立大学文学部社会福祉学科,2巻1号,pp.1-13 |
10,2001年7月 | 「ウェッブにおける社会進化とコレクティヴィズム-世紀転換期イギリスにおける福祉社会の構想-」『社会福祉研究』愛知県立大学文学部社会福祉学科,3巻1号,pp.1-14 |
11,2001年9月 | ○「イギリス福祉政策思想史-20世紀初頭における貧困・失業をめぐる諸思想-」『経済学史学会年報』経済学史学会,40号,pp.13-23 |
12,2004年3月 | 「ウェッブにおける“産業の支配”と一次大戦」『愛知県立大学文学部論集(社会福祉学科編)』,52号,pp.1-28 |
13,2005年3月 | Sidney and Beatrice Webb's Viewpoint on "Collectivism" - Was It Private or Public Interest? - Bulletin of Faculty of Letters, Aichi Prefectural University, No.53, 2005, March, pp.1-20 |
14,2005年7月 | 「ウェッブにおける社会民主主義の制度デザイン-『イギリス社会主義共同社会の政体』(1920年)における効率とインセンティブ-」『社会福祉研究』愛知県立大学文学部社会福祉学科,7巻, pp.1-11 |
15,2007年3月 | 「バーナード&ヘレン・ボザンケの福祉政策論-“慈善組織協会”の社会哲学とソーシャル・ワーク-」『愛知県立大学文学部論集(社会福祉学科編)』55号,pp.1-27 |
16,2007年7月 | 「介護保険と低所得者世帯-公的年金をベースにした所得階級別の介護費負担についてのシミュレーション分析-」『社会福祉研究』愛知県立大学文学部社会福祉学科,9巻,pp.1-14 |
17,2008年3月 |
「福祉国家形成期における社会理論の一断面-ビアトリス・ウェッブの「応用社会学」とスペンサー」『愛知県立大学文学部論集(社会福祉学科編)』56号,pp.1-25 |
18,2008年7月 | 「行財政改革と世代間格差からみる日本の社会保障財政の基本問題」『社会福祉研究』愛知県立大学文学部社会福祉学科,10巻,pp.1-12. |
19,2008年7月 | ○「ウェッブ夫妻における「国民的効率」の構想-自由貿易,ナショナル・ミニマム,LSE-」『経済学史研究』50-1,pp.23-40.第6回経済学史学会研究奨励賞『経済学史研究』論文賞 |
20,2009年7月 | 「オランダモデルと日本の社会保障制度改革―ワークシェアリングからワークライフバランスへ―」『社会福祉研究』愛知県立大学教育福祉学部社会福祉学科,11巻,pp. |
21,2009年12月 | ●The Webbs, Public Administration and the LSE: the Origin of Public Governance and Institutional Economics in Britain, History of Economics Review, No.50, History of Economic Thought Society of Australia, 2009, December, pp.17-30. |
22, 2010年7月 | 「ウェッブ夫妻とスウエーデン-「国民的効率」からレーン・メイドナー・モデルへ-」『社会福祉研究』愛知県立大学教育福祉学部社会福祉学科,12巻,pp.1-11 |
23, 2011年12月 | Sidney and Beatrice Webb and the Swedish Welfare State: a Preliminary Consideration, Economic Review of Seinan Gakuin University, Vol.46,No.1-2, 2011, December, pp.227-248. |
24,2015年3月 | 「L.T.ホブハウスの福祉政策論と経済思想:富の社会的要素への所有権」『西南学院大学経済学論集』49巻4号, pp.1-26. |
25, 2018年8月 | 「L.T.ホブハウスにおける社会進化論と所得再配分:H.スペンサーと「市場の失敗」」『西南学院大学経済学論集』53巻,1・2号,pp.1-26 |
26,,2020年11月 | 「アンソニー・クロスランド『福祉国家の将来』(1956)の歴史前提と制約要因:福祉国家の経済思想史の視座から」『西南学院大学経済学論集』第55巻1・2・3号,pp.89-115 |
その他 | |
1,2002年1月 | 「労働組合運動と「産業進歩」との調和的連携-ウェッブ『産業民主制論』-」『ポリティーク』第3号,pp.216-222 |
2,2005年6月 | 書評「Richard Toye, The Labour Party and the Planned Economy 1931-1951, The Royal Historical Society, Woodridge, The Boydell Press, 2003, xii+268pp 」『経済学史研究』(旧経済学史学会年報)47号, pp.112-114 |
3,2006年3月 | 「20世紀前半イギリスの社会保障・福祉政策をめぐる諸思想の社会経済思想史的再検討」 平成14年度~平成17年度科学研究費補助金(基盤研究(c)-2)研究成果報告書,検討課題番号14530018 |
4,2006年3月 | Ohno,M. ed., The Public Sphere,Intermediary Organizations,and Power in Modern Britain 平成14年度~平成17年度,科学研究費補助金報告書,近代イギリスにおける「公共圏」・中間団体・権力,研究課題番号:14201040 |
5,2006年9月 | 「ウェッブ夫妻」『進化経済学ハンドブック』進化経済学会編,共立出版 |
6,2006年9月 | 「福祉国家の現代性-経済思想から振り返る」小峯敦・下平裕之・江里口拓,小峯敦編『福祉国家の経済思想-自由と統制の統合-』ナカニシヤ出版,pp.1-17 |
7,2007年3月 | 「ウェッブ夫妻-「国民的効率」とナショナル・ミニマム」小峯敦編『福祉の経済思想家たち』 ナカニシヤ出版 pp.149-160 |
8,2008年7月 | 書評「小峯敦『ベヴァリッジの経済思想-ケインズたちとの交流-』昭和堂,2007,xvi+461頁』『経済学史研究』50-1,pp.11-120. |
9, 2021年3月 | 翻訳と解説:「シドニー・ウェッブ「救貧法の改革」『近代産業の諸問題』第7章,1898年」『西南学院大学経済学論集』55(4), pp.141-168 |
10,2024年4月 | 書評「グスタフ・カッセル著『社会政策』石原俊時訳,蒼天社出版,2023年」『大原社会問題研究所雑誌』 |
口頭発表 | ○は全国学会・◎国際学会報告 |
1,1994年7月2 日 | 「ウェッブ夫妻における“産業進歩”と労働組合」経済学史学会西南部会第77回例会,大分大学 |
2,1994年9月10日 | 「ウェッブ夫妻の労働組合論―“産業進歩”との関連で―」社会政策学会九州部会第59回例会,熊本学園大学 |
3,1996年5月18日 | ○「ウェッブの都市改革論―シドニー『ロンドン・プログラム』を中心に―」社会政策学会第92回大会,日本大学商学部 |
4,1998年12月12日 | 「ビアトリス・ポッター(ウェッブ)の消費者協同組合論―初期の社会改革構想との関連で―」経済学史学会関西部会第135回例会,滋賀大学 |
5,2001年1月6日 | 「ウェッブにおける社会進化とコレクティヴィズム-世紀転換期イギリスにおける制度進化 と制度改革-」進化経済学会九州部会第17回研究会,九州産業大学 |
6,2001年3月30日 | ○「セッション『新自由主義と進化思想』:第二報告-ウェッブにおける社会進化とコレクティヴィズム-」進化経済学会第5回福岡大会,九州産業大学 |
7,2004年7月10日 | 「ウェッブ夫妻と第一次世界大戦-戦時経済と彼らの産業政策との関連を中心に-」経済学史学会関西部会第146回例会,京都産業大学 |
8,2005年5月15日 | ○「小シンポジウム:近代イギリスにおける公共圏」第4報告「労働者階級の公共圏と知識人-ウェッブ夫妻を中心に-」日本西洋史学会第55回大会,神戸大学 |
9,2007年5月26日 | ○「ウェッブ夫妻のナショナル・ミニマム論と自由貿易」経済学史学会第71回大会,九州産業大学 |
11,2008年5月25日 | ○「貧困と福祉の経済思想」第4報告「19-20世紀転換期における救貧法改革論-ボザンケ,マーシャル,ウェッブ,初期ベヴァリッジ-」経済学史学会第72回大会,愛媛大学 |
12,2008年7月13日 | ◎The Webbs, Public Administration and LSE: an Origin of Public Governance and Institutional Economics in Britain, paper presented at HETSA2008(History of Economic Thought Siociety of Australia), Western Sydney University, 13th July 2008. |
13,2009年9月20日 | ○「経済思想史と福祉国家論との接点をめざして-ウェッブ夫妻とスウェーデン・モデルとの意外な接点-」進化経済学会オータムコンファレンス,リレー・セッション,四天王寺大学 |
14, 2010年3月28日 | ○「ウェッブ夫妻とスウェーデン・モデル - ナショナル・ミニマムからレーン・メイドナー・モデルへ-」進化経済学会 第14回大会 大阪大会,四天王寺大学 |
15, 2010年7月9日 | ◎Theory of the Webbs on National Minimum and the Future of British Economy, paper presented at HETSA2010(History of Economic Thought Siociety of Australia), Sydney University, 9th July 2010. |
16, 2011年11月5日 |
○セッション「20世紀イギリスにおける公共政策の経済思想」組織者および報告「ウェッブ夫妻とLSEの公共政策論:一次大戦後イギリスにおけるガバナンスの構想」経済学史学会第75会回大会,京都大学 |
17, 2012年5月27日 |
○ 共通論題「経済思想はどのようにリベラリズムと取り組んできたか?」第2報告「ニュー・リベラリズムと進化論のアナロジー」経済学史学会第76回大会,小樽商科大学 |
18, 2012年9月29日 |
「ウェッブ夫妻から見たスウェーデン・モデル-福祉国家の比較経済思想史の手がかりとして-」社会政策学会九州部会第95回研究会,西南学院大学 |
19, 2012年12月8日 | 「ウェッブ夫妻とスウェーデン・モデルの接点をめぐる予備的考察」経済学史学会西南部会第114回例会,西南学院大学 |
20, 2012年12月22日 |
「L.T.ホブハウスの福祉政策論とリベラリズム:19世紀末イギリスの社会改良思想の一断面」九州歴史科学研究会12月例会・(共催)政治経済学・経済史学会福祉社会研究フォーラム,西南学院大学 |
21, 2015年9月13日 | ◎ Sidney and Beatrice Webb on free trade and national minimum: a proposal of international order for the coming age of welfare states, 4th Eshet-Jshet Joint Conference, Otaru University of Commerce, 13th Sept., 2015. |
22, 2022年5月29日 | ○共通論題 「労働者階級の将来をめぐる経済学説」組織者「趣意書」経済学史学会大86回大会,オンライン |
研究会発表等(科研) | |
1,2004年7月4日 | "Collectivism": was it private or public? - a case study of Sidney and Beatrice Webb -, 2nd Workshop on the Public Sphere in the British History, supported by the Grants in Aid for Scientific Research, Nagoya City University. |
2,2004年1月30日 | Coment on Dr. Booth's paper, Seminar: Beveridge's Economic Thought and After, Hitotsubashi University |
3,2006年12月11日 | Comment on Prof. Martine Daunton, Seminar on Cambridge School of Economics financially supported by the 21st Century COE Program on Normative Evaluation and Social Choice of Contemporary Economic Systems, Hitotsubashi University. |
4,2008年3月18日 | The Webbs, Public Administration and LSE : the Labour Origin of Public Governance , 1st workshop on A Study of Thoughts on Improvement of Economic Society in 20th Century Britain : From New Liberalism to New Labour, Supported by the Grants in Aid for Scientific Research, Faculty of Economics, Kyushu University. |
5, 2010年3月8日 |
Theory of the Webbs on National Mimimum and the Future of British Economy, Population, Poverty and Welfare in the History of Economic Thought: an International Comparison, Waseda University |
6, 2010年3月13日 | Comment on Prof.Peden's Paper and Prof. Himeno's paper, International Workshop: Cambridge, LSE, and the Foundations of the Welfare State: New Liberalism to Neo-liberalism"March 13th-14th, 2010, Mercury Tower, Hitotsubashi University, Tokyo |
7, 2011年9月12日 |
Sidney and Beatrice Webb and the Swedish Welfare State: from ‘National Efficiency’ to the Rehn-Meidner Model, Third Conference: Population, Poverty and Welfare in the History of Economic Though: an International Comparison, September , 12th, 2011, Waseda University,Tokyo |
8, 2015年2月23日 | Sidney and Beatrice Webb and the Swedish Welfare State: a Preliminary
Consideration,International Workshop of the New Liberalism in Nagasaki
2015, Nagasaki University, 23rd. Feb. 2015. |
9, 2018年3月7日 | 「LSE創設期における社会科学方法論―ウェッブ夫妻,ホブハウス,ベヴァリッジにおける生物学と「社会学」」,名古屋近代イギリス研究会,ウィンク愛知(愛知県産業労働センター)15F,愛知県立大学サテライトキャンパス |
10, 2020年9月4日 | 「ビアトリス・ポッターにおける自由主義批判の視座:経済思想史的接近から」科研費研究会「近現代における「不自由な」労働者を再考する」,リモート開催 |
社会活動 | |
1,2024年3月5日 | 「労働組合はなぜ必要なのか:ウェッブ夫妻の思想から学ぶ」情報産業労働組合連合会ICTJ,REPORT,2024年4月号 |
所属学会
経済学史学会(幹事2009-2010,2011-2012,2013-2014, 2017-2018,2019-2020年度,常任幹事2021-2022年度)
進化経済学会
社会政策学会
イギリス哲学会
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