エス・エム・エスの業績下方修正、30年間の投資で得られた教訓、セントケアHDの業績下方修正、
総研さんには敵わない、最高の株本、プラク・プラサドの投資哲学
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ショートコラム(2025年2月)
■プラク・プラサドの投資哲学(2025年2月19日)NEW! |
『What I Learned About Investing from Darwin』(ダーウィンから学んだ投資)の著者、プラク・プラサド(Pulak Prasad)の投資哲学は10の英単語で表すことができます。 We want to be permanent owners of high-quality businesses. 私たちは質の高いビジネスの永久的なオーナーになりたい この投資哲学に基づき、プラサドの率いるナランダ・キャピタル(Nalanda Capital)では、シンプルで繰り返し可能な3段階の投資プロセスを採用しており、個々の結果に関係なく常にプロセスを重視してきました。 a. Eliminate significant risks. a.重大なリスクを排除する とても気に入ったので、個人的にこれらを拝借しようかと思っています。 |
■最高の株本(2025年2月16日)NEW! |
これまで読んだ書籍の中で、一番の感銘を受けた最高の株本に出合うことができました。 タイトルは『What I Learned About Investing from Darwin』(ダーウィンから学んだ投資)です。 モニッシュ・パブライ(Mohnish Pabrai)をはじめとするバリュー投資家が絶賛していた本書をどうしても読みたくなった私は、グーグル通訳の手を借りて、どうにか読み終えることができました。 著者はプラク・プラサド(Pulak Prasad)。インド株への投資を行っているナランダ・キャピタル(Nalanda Capital)の創設者です。 2007年から2023年まで年率20.3%(手数料控除後)の収益を生み出し、インドのSENSEX指数を10.9%上回っています。 質の高いビジネスだけを追い続け、投資チャンスが訪れるまで10年以上も待ち続けるその姿勢は、むしろ個人投資家向きのように感じられました。 英語が得意の方もそうでない方も、とにかく読まれてみることをおすすめします。 |
■総研さんには敵わない(2025年2月12日) |
もう昔話なので、書くことにしました。実は一度だけ企業研修講師を務めたことがあります。 IT業界の名門企業だけに、会場は受付の女性が数名並んでいる立派な本社ビルでした(リースバック物件であることを知ったのは後日です)。 一日がかりで、財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の説明を行った後、実習の時間となりました。 内容はお任せながら、実習に関しては「野村総合研究所(4307)との比較をしてほしい」という要望がありました。 しかし、その名門企業と野村総研では、業績や財務に相当な差がありました。一目瞭然であり、最後に行う実習のレベルとしては易しすぎます。 恐る恐る「別の会社にしてみてはいががでしょうか」と打診してみたものの、先方の担当者は「野村総研でお願いします」の一点張り。相当に意識しているようです。 実習を進めるにつれて、会場の雰囲気が次第に重苦しくなってきました。そこで最後に「野村総研に追いつけ追い越せの気持ちで仕事を頑張ってください」と励ましたところ、出席していた若手SEから意外な言葉が返ってきました。 総研さんには敵わない。総研さんに追いつくなんて絶対に無理。 まさにとっておきの業界情報でした。こんなとびきりの情報を得られるのなら、講師料がタダでも喜んで引き受けた案件です。 惜しむらくは、当時の私がその重要性を理解していなかったことでしょうか。リーマンショック後の安値圏で野村総研株に投資していれば・・・。ぜひとも今後に活かしたい教訓です。 【野村総合研究所(4307) 月足チャート】 |
■セントケアHDの業績下方修正(2025年2月7日) |
本日、セントケア・ホールディングス(2374)が「通期業績予想の修正及び中期経営計画の一部取り下げに関するお知らせ」を発表しました。 その中で注目したいのが次の記述です。 費用面では、労働市場の賃金上昇を受けて期初から積極的に取り組んだ従業員の待遇改善等により人件費が増加したほか、継続的な物価上昇により経費も増加しております。 特に求人広告費や人材紹介料等の採用関連費用の増加に加えて、人材確保の難しい地域やサービスを中心に外注派遣費も増加しております。 基本的には価格転嫁の出来ない事業特性も重なり、これら人件費や経費の増加とM&Aによる先行投資コスト分を吸収できるだけの売上高を確保することが出来なかったことで利益を押し下げております。 税金を収益源としている医療・介護分野の報酬は公定です。事業者の都合で勝手に値上げすることはできません。 とりわけ介護保険制度に関しては2000年のスタート時より、世の中が長らくの間デフレでした。初めてのインフレ局面を迎えることになり、この問題は同社のみならず業界全体の懸念材料と言えます。 今回の発表を他人事で済まさず、税金を収益源としている業界や企業への投資に対して、再考を促す機会としたいものです。 |
■30年間の投資で得られた教訓 |
今から30年前の1995年2月6日、意を決した私は職場の近くにある電話ボックスに入りました。 「プロミス100株買い、成り行きでお願いします」という注文の声が微妙に震えていたことを今でも覚えています。投資家としてデビューした瞬間です。 あれから30年の月日が流れました。30年間の投資で得られた教訓をまとめてみると、次の8文字に集約されます。 買った株は売るな 初心者時代「るいとう(株式累積投資制度)」で買っていた銘柄に、キーエンス(6861)とニトリHD(9843)がありました。「るいとう」とは、毎月の決まった日に一定額で個別銘柄を買い付ける積立投資です。 長期投資のつもりだったのに、売ってしまったのはなぜでしょうか。競争優位性を維持できているのに、そもそも売る必要があったのでしょうか。 たとえ他の銘柄が塩漬けになったとしても、この2社で十分にお釣りが来たのに、どうして持ち続けることができなかったのでしょうか。 おそらく持ち続けることが一番難しいからだと思います。「今まで出来なかったことを出来るようになろう」が投資家人生の終盤戦における目標です。 |
■エス・エム・エスの業績下方修正 |
昨日に発表されたエス・エム・エス(2175)の業績予想の修正に関するお知らせに気になった記述がありました。 キャリア分野においては、2024年4月に開始された医師の残業規制に伴う医療機関を中心とした働き方の見直し、診療報酬や介護報酬の改定による賃金上昇等の影響により、求職者の転職意欲に鈍化が見られ、売上高の成長が足元では限定的なものとなっています。 裏を返せば、労働時間や賃金など看護職や介護職の職場への不満に起因する、転職意欲の高まりが同社の人材紹介ビジネスにおける収益の源泉であるとも言えます。 本来、看護職や介護職の転職意欲が鈍化すること自体は、雇う側にとっても働く側にとってもお互いにハッピーなはずです。しかし、それが成長の足かせになるビジネスが存在するとは、何とも皮肉な話に思えました。 |
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by 角山智