経営者の条件再投資の力学衝動に抵抗できる能力
ティリングハスト氏のアドバイス中期経営計画の達成比率アドバンテストの月足チャート
米国ラッセル2000指数が年初来安値待てるかどうかが物を言う

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ショートコラム(2023年10月)

■待てるかどうかが物を言う(2023年10月30日)

一流投資家が人生で一番大切にしていること』の第1章「ウォーレン・バフェットの模倣者」から引用します。

あれこれ動いてもいいことはない。投資とはたいてい、損をするより儲ける確率がはるかに高くなるレアな瞬間まで待てるかどうかが物を言うのだ。

自分の投資を振り返っても、普段から下手にあれこれ動いてしまい、肝心のレアな瞬間に上手く対応できないことが少なくありませんでした。

同じような失敗を繰り返し、このまま投資家人生を終えてしまわないよう、次のレアな瞬間までとことん待つつもりです。


■米国ラッセル2000指数が年初来安値(2023年10月26日)

米国ラッセル2000指数が年初来安値を更新しました。

この小型株指数は相場の先行指標とも言われており、個人的にも注目しており、本ショートコラムでも何回か取り上げています。

ごく一部の大型株が買われているため、ダウやS&P500は割と高値を保っている米国市場ですけど、実態は果たしてどうなのか、気になっているところです。

米国ラッセル2000指数


■アドバンテストの月足チャート(2023年10月22日)

下図をご覧ください。アドバンテスト(6857)の月足チャートです。

1990年以降で、おかしな上がり方をしている年が2回あります。1999年(ITバブル)と2023年です。

マーケットの歴史が繰り返すのであれば、今後の同社株がどうなるか、ほぼ想定できると思います。

その頃には今回のバブルにも、さぞかし素敵な名前が付いているかもしれません。それとも「今度こそ違う」のでしょうか。

アドバンテストの月足チャート


■中期経営計画の達成比率(2023年10月18日)

証券アナリストジャーナルの掲載論文「企業の中期経営計画に関する特性及び株主価値との関連性について」に興味深いデータが掲載されています。

中計の達成比率が20%以下にどとまっているという事実です。

【中計の3期先における達成比率】
●売上高  19.0%
●営業利益 18.2%

その理由として、本論文では次の点を指摘しています。

中計発表企業は短期的な株価向上や社員の士気向上のための非現実的な目標設定を行っており、中計の実現可能性をあまり重要視していない

また個人的に興味深く感じたのは、低成長の業績不振企業と収益性の高い企業との対比です。

低成長の業績不振企業は中計開示によって将来に成長性をアピールして株価のディスカウントを解消しようとする

一方、収益性の高い企業は重要な戦略を開示することによる競争上の不利益という自発的開示のコスト面を重視して中計開示をためらう傾向にある

以上より、やたら立派な投資家向け説明会資料とV字回復を見込む意欲的な中期経営計画の数値目標を鵜呑みにして投資を行うことは避けたほうが無難に思えました。


■ティリングハスト氏のアドバイス(2023年10月13日)

ジョエル・ティリングハスト氏の著書『ティリングハストの株式投資の原則』から引用します。

暴落のあとでは、株式のリスクが取りざたされるが、強気相場の後半には、リスクの高いグラマー株の目覚ましいリターンがクローズアップされる。

ティリングハスト氏が指摘したとおり、かつて高値を付けていた一部のグロース株において、バリュエーションの修正 (平均回帰)が起きています。

好況期には、景気循環に左右される産業が上げる歴史的な利益は報道されるが、それがつい最近まで損を出していたことには言及されない。

直近の業績に対して割安であるという理由で買われている銘柄の中に、景気敏感株が含まれいてる点には注意が必要でしょうか。

これらの直近の出来事を重視してしまう意思決定の過ちを防ぐための、ティリングハスト氏のアドバイスは次の通りです。

人々は同じことを繰り返すので、歴史は特に重要である。

1997年のアジア通貨危機、2000年以降のITバブル崩壊、2008年のリーマンショックを通じて、何度も痛い目に合っている私は、株式市場とはどういうものか、身を持って体験しました。

皆さんの中に、2009年以降に投資を始めた方(あるいは2008年以前の記憶が薄らいでいる方)がいらっしゃれば、この際、マーケットの歴史を勉強されることをおすすめします。


■衝動に抵抗できる能力(2023年10月9日)

一流投資家が人生で一番大切にしていること』の第6章「ニックとザックの大冒険」で力説されている、次の文言が琴線に触れました。

投資家は衝動を抑えらずにリターンを台無しにすることがあることがある。

具体例として、次の5つがあげられています。

(1)取引頻度を多くしすぎる
(2)先行きを不安にさせるニュースやあおり記事に乗せられて感情的な判断を下す
(3)人気のある(そして値が高すぎる)資産に殺到する群れに加わってしまう
(4)1年か2年、成績が悪かっただけでファンドを捨てる
(5)いま勝っていてまだ勝ちが続きそうな銘柄を、そのまま寝かせて複利で儲けるのではなくさっさと手放してしまう

皆さんの中にも、思い当たる節があるのではないでしょうか。

ちなみに1996年からコツコツ買っていたニトリ(9843)を2004年に売り切ってしまった私は、5番目がグサリと刺さりました。


■再投資の力学(2023年10月6日)

一流投資家が人生で一番大切にしていること』の第7章で、トム・ゲイナーという投資家が銘柄選びに30年間ずっと用いている、4つの原則が取り上げられています。

(1)資本利益率が高く負債の割合が低い、高収益企業
(2)経営陣に才覚と品位の両方が備わっている
(3)その企業が利益を再投資したときにかなりのリターン率が見込める
(4)リーズナブルな価格で株を入手できる

ゲイナーによれば、4つの原則のうち最も重要なのは、第3の「再投資の力学」だとか。

銘柄選びの際は、利益を再投資して、業容を拡大できる事業機会に恵まれているかどうかをチェックしておきたいです。


■経営者の条件(2023年10月3日)

キーエンス解剖』によれば、1991年に行われた日経ビジネスのインタビューにおいて、同社を創業した滝崎武光氏は次のように述べています。

事業家の第一の条件は、総資産をうまく使って高い利益を上げることです。利益が上がらない、すなわち社員に対して付加価値の低い仕事しか与えられないのは、事業家として最悪です。

会社四季報秋号のデータでは、キーエンスのROA(総資産利益率)は13.7%。経営者が代わっても、創業者の理念は受け継がれています。



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