マスメディアの実像三井不動産のポートフォリオ戦略二流株に対するグレアムの見解
ジャフコグループの株主還元 ファーストリテイリング長期投資家が企業を選ぶ際のヒント
どちらの道を行くべきかチャーリー・マンガー氏のコメント

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ショートコラム(2021年2月)

■チャーリー・マンガー氏のコメント(2021年2月25日)

ロイターの記事によれば「現在の相場が1990年代後半のハイテクバブルと同じ運命をたどるか」という質問に対して、長年にわたってウォーレン・バフェット氏の相棒を務めているチャーリー・マンガー氏が次のように答えたそうです。

そう思う。ひどい終わり方になるだろうが、それがいつやって来るは分からない。

1999年のITバブル、2000年以降のバブル崩壊局面を経験しているベテランであれば、おそらく誰しもが同意見のはずです。

しかしながら、思っていることをそのまま公言できる立場の投資家(とりわけ機関投資家)は、限られるのではないでしょうか。

それどころか、音楽に合わせて踊るのに忙しく、「あなたも一緒に踊りませんか」と心にもないことを言っているかもしれません。


■どちらの道を行くべきか(2021年2月22日)

実体経済とかけ離れた、力強い相場が続いています。投資家として、どちらの道を行くべきか、選択を迫られる局面と言えそうです。

とにかく、短期的に荒稼ぎできればいいのか? それとも、1年でも長く投資を続けたいのか?

皆さんの答えがもし前者なら、ここは積極的にリスクを取りに行く局面です。一方、後者であれば、高見の見物を決め込めばいいでしょう。

私の答えはもちろん後者です。目先の浮利を追わず、1年でも長く投資家であり続けたいと思っています。ゆえに足元の局面では、投資資金の温存を優先するつもりです。


■長期投資家が企業を選ぶ際のヒント(2021年2月20日)

澤上篤人氏と草刈貴弘氏の共著『金融バブル崩壊 危機はチャンスに変わる』を読了しました。

本書でいちばん読み応えがあったのは最終章「バリュー投資は死んだのか」です。この章で澤上氏は、長期投資家が企業を選ぶ際のヒントを3つ示しています。

(1)債券バブル崩壊に備える意味で、金利上昇の波に勝てないであろう業種は、すべて投資対象から外す

(2)将来に向けていまいち不確かで理解できないビジネス、5年先にどうなっている分からない企業は、すべて捨てる

(3)マーケットの暴落時でも泡を食うことなく、むしろ断固たる買い増しに入れるような企業のみを投資対象とする

長期投資家として、ぜひとも取り入れたいものばかりです。足元の局面では、とりわけ3番目が重要かと思いました。


■ファーストリテイリング(2021年2月17日)

ファーストリテイリング(9983)の株価が10万円を超えました。同社株は、もともとボラティリティの高い銘柄です。

ITバブルとその崩壊局面では、1998年6月安値の262円から2000年11月高値の16100円まで60倍を超える急騰を演じ、そこから2002年3月安値の2270円まで1/7強も急落しました。

もっとも株価の変動を気にせず、ずっと持ち続けることができれば、今頃はユニクロ御殿に住んでいることでしょう。まあ私のような臆病者にはできない相談ですが・・・。

相応の投資資金に加えて、毛の生えた心臓と丈夫な胃をお持ちであれば、次の急落局面で目をつぶって拾うのはありかもしれません。その後、再び強気相場が訪れれば、機関投資家の「中の人」が揃って買い上げてくれるはずです。

ファーストリテイリング 株価チャート


■健全なる調整を望みます(2021年2月14日)

日経ビジネスの記事「異常な株価バブルは、一刻も早く崩壊したほうがよい」より澤上篤人氏のコメントを引用します。

長期投資を手掛けている立場から言うと「健全な経済」こそが大歓迎なのです。その視点で見ると、今はあまりにも異常な状態になっています。

異常な状態が長く続けば続くほど、事態は深刻になります。できるだけ早く崩れてくれたほうが、健全な経済、社会への回帰が早まります。

同感です。ここ数年、異様とも言える株高が続いており、長期投資家が株を買える状況にありません。どうしても株で儲けたいのであれば、投機的要素を多分に含む短期売買(トレード)に手を出さざるを得ない状況です。

一日も早く、株式市場の行き過ぎを是正する、健全なる調整を望みます。バブルが加熱すればするほど、その後遺症に長らく苦しめられることは、マーケットの歴史が証明済みです。


■ジャフコグループの株主還元(2021年2月11日)

ジャフコグループ(8595)の「今後の株主還元についての方針」というリリースが目に留まりました。

2021年1月28日の開示の通り、保有するNRI株式の約4割(15,500千株)を売却いたしました。そして、その税引後の売却収入に相当する350億円については、自己株式の取得に充当することを本日開催の取締役会で決定しました。

ジャフコグループのPBR0.82倍に対して、近年、株価が継続して上昇したNRI(4307)はPBR7.01です。割高な保有株を売り、割安な自社株を買うのは、理にかなっています。さすが投資会社です。

世間には、自社株がPBR1倍を下回っているにもかかわらず、既にPBRが1倍を大きく超えている投資有価証券を保有したままの会社が少なくありません。ジャフコを見習ってほしいと思いました。


■二流株に対するグレアムの見解(2021年2月8日)

ベンジャミン・グレアムの著書『賢明なる投資家』より引用します。

二流株の価格は、その本来の価値よりもずっと低い水準を中心に上下している。その価格が本来の価値に追いついたり、それを超えたりすることもある。

しかしそれは強気相場の天井で起こるのであり、実際には相場が過熱していて、価格が不健全な高さに釣り上がっている場合が多い。

金融の歴史が証明しているのは、投資家は二流株をその企業のオーナーにとっての価値よりもずっと低い価格、つまり割安価格で買ったときのみ、平均して満足のいく収益を得られるということだ。

今のような相場でも、探せば割安な銘柄が見つかります。その大半は、グレアムの言うところの二流株です。

自分の経験と照らし合わせても、この手の銘柄を強気相場の天井で買えば、その後数年にわたって含み損に苦しめられることになります。

二流株の買い時は、株という株が売られる弱気相場のどん底で、二束三文の捨て値が付けられている時に限られます。そういった局面で仕込みのできる投資家が、二流株への投資で財を成せるのです。


■三井不動産のポートフォリオ戦略(2021年2月6日)

不動産業界の雄、三井不動産(8801)が物件売却を加速しています。足元の状況を売り時と見ているようです。

2021年3月期の売却物件で注目すべきは、1974年竣工の新宿三井ビルディング3.3%、2007年竣工で東京駅直結のグランドトウキョウサウスタワー2.8%という利回り(キャップレート)です。これらは売り手にとって、かなり有利な条件に思えてなりません。

「マーケットを見極め、最適な売却時期を判断できる」同社の強みを活かせているように感じました。もっとも巨額増資を行ってまで買わされた、日本ビルファンドとしてはたまったものではないでしょうが。

1月27日付のショートコラムで取り上げた三菱地所同様に、三井不動産の動きもチェックしておきたいものです。

三井不動産のポートフォリオ戦略


■マスメディアの実像(2021年2月4日)

コロナに対する連日のマスコミ報道に、うんざりされている方も多いかと思います。

そんな中で、日刊ゲンダイの記事、コロナ禍でテレビの凋落が加速…花形ギョーカイは死屍累々の様相の文面が琴線に触れました。

そもそもテレビは、誤解を恐れずに言えば読み書き能力の低い視聴者のレベルに合わせて番組を作っている。そうした視聴者はおおむね情報弱者だ。知識に乏しく、判断力もない。

いわゆるマスメディア(大衆媒体)は、ボリュームゾーンをターゲットにしないと儲からないため、どうしてもそうなってしまうのです。

投資に関しても同様です。もう昔話ですけど、若気の至りでマネー誌の編集者に「もう少し、高尚な記事を書けないのですか?」とかみついたところ「読者のレベルに合わせています」と即答されたことがありました。

マスメディアに振り回されれば、マーケットの多数派であり負け組でもある大衆の一員に成り下がってしまいます。長期投資家としては、マスコミ報道が醸し出すムードを上手く逆用したいものです。



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