長期投資家の課題、光通信の投資先業種、B2BとB2C、
青写真、「光通信の投資銘柄」音声CD、セミナーテキスト修正中、
自己組織化臨界、知っているものに投資すべき、参入障壁、
神戸物産とニトリ
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ショートコラム(2020年1月)
■神戸物産とニトリ(2020年1月31日) |
遅まきながら、最近、神戸物産とニトリの共通点に気づきました。それは生産や仕入、物流などの上流部分に強みを持つ、業界内でユニークな存在であることです。 他社も、業務スーパー(神戸物産)やニトリを模倣した店舗を作ることはできます。しかし一般的な仕入ルートに依存している以上、あのコスパは実現できません。とりわけニトリは安く作るノウハウに長けており、生活雑貨で競合しつつある良品計画が手を焼いているほどです。 小売を手がけている企業が競争優位を持続するには、上流部分を強化して、自社製品を持つのが一番のように思えました。それができないのであれば、ドン・キホーテのように徹底的に「楽しい店」を追求することででしょうか。 |
■参入障壁(2020年1月29日) |
骨のある内容として名高い『バリュー投資入門』ですが、次の箇所だけは、何度読み返しても、クスっと笑ってしまいます。 企業幹部に面会するため会社の本部を訪問する者は、企業にぶ厚い「参入障壁」があるとしても、そのような壁を実際によじ登って会社の敷地に入る必要があるというわけではない。 キーエンス本社を訪問する際、本社ビルの前にそびえ立つ巨大な参入障壁をよじ登るため、まるで冬山登山のような重装備で新幹線に乗り込み、新大阪駅に降り立つ一行の姿を想像してしまうからです。 |
■知っているものに投資すべき(2020年1月24日) |
『ピーター・リンチの株で勝つ』で琴線に触れた文言を引用します。 一般的にいって、もし医者に質問すれば、医療関連株より石油株の方に、はるかに多くの投資をしていたことがわかる。 靴屋の店主は、制靴会社の株より航空宇宙株に、航空宇宙関連企業に働く技師は逆に制靴会社の株の方に投資している。 どうしていつも隣の芝生の方が青く見えるのか私にはわからない。 頭の痛い話です。かくいう私も、医療関連株では損をしました。 一方で、サラリーマン時代の業務経験を通じて、よく知っていたソフトウェア関連企業への投資はほとんど行っていません。 どのタイプの会社が儲かっているのか、概ね分かっていたにもかかわらずです。思い切って、投資対象をこの分野のみに絞り込むのもありでしょうか。 |
■自己組織化臨界(2020年1月20日) |
ガイ・スピアの著書『勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語』より引用します。 砂の山はいずれ「自己組織化臨界」の状況に至り、そのあと雪崩が発生するが、そのタイミングや大きさを予想することはできない。このモデルは、雪崩と共通点が多いマーケットの暴落について興味深い洞察を与えてくれた。 投資家にとって最も重要なことは、自己組織化臨界を避けることである。ちなみに、2008〜2009年の株価暴落前は実質的にその状態になっていたと考えられる。 個人的に、足元の状況は自己組織化臨界(これ以上は株価の上がりようがない高値圏)に近いと思っています。しかし相場がいつ暴落するのか、その後にどこで底打ちするのかに関しては、全く分かりません。 長期的視野で自己資金を運用する立場としては、バブルが崩壊するまで、ひたすら待つしかないと思っています。その後も「ここが底」と勝手に決め付けず、少しずつ拾っていくのが現実的な対応でしょうか。 とにかく銘柄の調査と絞り込みだけは、しっかり行っておきたいものです。ここで手を抜いてしまうと、せっかくのチャンスを活かすことができませんから。 |
■セミナーテキスト修正中(2020年1月17日) |
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ただいま33業種投資戦略セミナーのセミナーテキストを修正中です。 昨年9月のテキストに4つの投資戦略を加え、さらに業種や銘柄毎にどの投資戦略が向いているか目印を付けるなどのブラッシュアップを行っているため、スライド182枚(最終的には181枚)の大作になりました。このテキストだけで、株本が1冊書けそうです。 内容的にも相当な自信作であり、より多くの方に受講していただきたいと切に思っております。もし日程の都合が付くのであれば、セミナー会場まで足を運んでくださると嬉しいです。
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■「光通信の投資銘柄」音声CD(2020年1月15日) |
1月開催のバリュー投資塾「光通信の投資銘柄」音声CDが出来上がりました。 今回、セミナーテキスト作成を通じて改めて感じたのは、目先のパフォーマンスを追わざるを得ない株式投信のファンドマネジャーと異なり、光通信がオーナーとしての視点で長期保有を前提に銘柄を選んでいることです。 自己資金を投じ、長期投資の実践を目指している個人投資家にとって、どちらが参考になるかといえば、もちろん後者です。 しかし光通信が買っているからという理由で、やみくもに追随するのは考えものです。あくまで自分なりに納得した上で、投資を行うべきでしょう。本セミナーCDをお聴きになることで、光通信が保有している企業への理解を深めてください。 ご購入を希望される方はメールにて、氏名、郵便番号、住所、電話番号を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 既にお申込み・ご入金をいただいた分は、本日中に最寄りの郵便局から発送予定です。 |
■青写真(2020年1月11日) |
今後の投資に関して、次のような青写真を描いています。 ●今年中をメドとして、投資対象の絞り込みを行う このように、じっくり構えるぐらいで丁度いいのではないでしょうか。もちろん、状況次第では前倒しもあり得ます。 とくかく、あくせくすることなく、投資チャンスをいつまでも待てるのが兼業投資家の強みと言えます。それを最大限に活用したいものです。 |
■B2BとB2C(2020年1月7日) |
『千年投資の公理』より引用します。 法人向けにサービスを提供する企業は、さまざまな意味でレストランや小売業とは対極にある。 (中略)このセクターに幅の広い堀が見つかる割合がきわめて高いのは、これらの企業が顧客の業務過程と一体化することで乗り換えコストが高くなり、それが価格決定力と優れたROCをもたらしているからだろう。 今回、光通信の投資先をじっくり調べてみて、改めてこの事実を再確認しました。バリア(参入障壁)を重視する同社の投資先には、法人向けサービスを行っている企業が多く含まれています。一方で、消費者に直接サービスを提供している企業に対しては積極的でありませんでした。 私もその一人ですけど、個人投資家は事業内容が分かりやすく、身近な存在であるレストランや小売業の株を好みます。しかし、この手のB2CビジネスはB2Bビジネスに比べて、競争上の優位を築くことが難しいのです。 理由は2つあります。まず、私たちにとって特定のお店が、必ずしもミッションクリティカル(必要不可欠)ではないからです。足しげく通っているところが閉店になっても、残念に思う程度で、生活には支障をきたさないでしょう。 次に、いきつけのお店を変更する際のスイッチングコストがほとんどかかりません。せいぜい、今まで貯めたポイントが無駄になる程度でしょうか。むしろ飽きがきている分、新しいお店を新鮮に感じることも多いものです。 このように考えれば、レストランや小売業といったB2Cビジネスの企業を長期保有するのは、賢明な選択肢とは思えません。私自身も、飲食チェーンは長期投資の対象から外していますが、小売業全般についても検討の余地がありそうです。 |
■光通信の投資先業種(2020年1月6日) |
本日配信した角山智のバリュー投資レターに関連して、会社四季報新春号で光通信(重田康光名義を含む)が株主欄に登場している149社を東証33業種で分類してみたところ、興味深い結果が得られました(下図)。 情報・通信業、サービス業、卸売業が突出しており、これら3業種で全体の6割弱を占めている一方で、個人投資家に人気がある小売業や不動産業にはほとんど投資を行っていません。 玉村前社長はかつて東洋経済の記事で、参入基準に関して「バリア(参入障壁)が高く、設備投資がいらずキャッシュフローがいい」とコメントしています。これはウォーレン・バフェット氏の投資基準とほぼ同じです。 同社にしてみれば、自社にて直々に新規事業に参入するのも、間接的に他社の事業に投資を行うのも、あまり理屈は変わらないはずで、この参入基準は銘柄選択基準としても使えそうです。 そうであれば、参入障壁の低い小売業、お世辞にもキャッシュフローがいいとは言えない不動産業は、大半の企業が投資対象から外れて当然でしょうか。 また将来に向けての大がかりな設備投資が必要な企業も投資対象にならないため、製造業の選択肢も自ずと限られてきます。 光通信の投資先を1社ずつ、丹念に分析してみるのも面白そうです。 |
■長期投資家の課題(2020年1月2日) |
下図はSHOEI(7839)のロングチャートです。2005年から2007年にかけて、個人投資家の人気を博した銘柄でした。 ところが2008年秋のリーマンショックで株価は急落し、それ以降、長きに渡って低迷が続きました。 別に同社が競争に負けたわけでも、代替品が登場したわけでもありません。未曽有の世界的大不況により、ぜいたく品である高級ヘルメットが一時的に売れなくなってしまったのです。 長期投資家にとって、まさに千載一遇の投資チャンス到来でした。しかし同社株で儲けるためには、相当な辛抱が必要であったと思われます。 とりわけ2009年に「SHOEI株は割安だ」と判断して投資を行ったケースでは、ようやく2013年に買値まで戻り、含み益を得られたのは2014年でした。 そこまで耐え切れず、投げた投資家も少なくないでしょう。あるいは買値に戻った時点で、ヤレヤレと売ってしまったかもしれません。 長期投資が難しいのは「いったい、何をしに来たのだ」という事態を招いてしまう、このようなケースがあり得るからです。 私はSHOEIのような優良企業が売り込まれる、次の不況を待っています。ただ実際にそうなったとき、せっかく安値で買った株を損切りさせられたり、買値に戻っただけで売らされることのないよう、留意したいものです。 |
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by 角山智