FRBの利下げJASDAQ平均のロングチャートうんざりするほど退屈
ニッチ市場と優れた製品翻訳センターの四半期決算ニッチ市場の巨人
瀧本哲史氏の金言個人好み株の低迷深刻自己能力と自己認識
個人事業主の資金繰りパッシブ投資のバブル

パーシャル・オーナー


ホーム投資入門ショートコラムポートフォリオ株の本バリュー投資塾レポート


ショートコラム(2019年8月)

■パッシブ投資のバブル(2019年8月29日)

ブルームバーグに「世紀の空売り」投資家、パッシブ投資のバブルを指摘−小型株に注目という記事が掲載されています。要点は次のとおりです。

大手企業に集中しがちな上場投資信託(ETF)や指数連動型商品に資金が流れ込んでおり、中小型のバリュー株は世界的にひどく見放されている。

我が国では、中小型株の値動きがパッとしない中で、日経平均は2万円台を維持しています。米国に関しても、S&P500指数を引っ張っているのはGAFAなどごく一部の銘柄です。

このような歪みが長く続けば、世間ではまっとうな投資手法と言われている、インデックスファンドの積み立てを行っている投資家が、結果的に高値掴みをすることになりかねません。

パッシブ投資のバブルが弾けることで、その手の投資家がファンドの値下がりに苦しめられることが十分に想定されます。

もっともTOPIXのような欠陥を抱えている株価指数に投資しない限り、インデックスファンドの積み立てを我慢強く続ければ、やがて含み益が得られます。

しかし自分の投資が含み損に転じ、その損失が毎月のように増えていく状況において、ファイティングポーズを取り続けられる投資家がどの程度いるかは疑問です。

自己資金を投資する以上は、自分の手がけている投資対象が割安なのか割高なのか、今は積極的に買ってもいい時期なのか投資を手控える時期なのか、常に考える必要があります。

将来的には、ITバブル崩壊局面のように、バリュー投資の見直される局面が再来するのではないでしょうか。そう思いつつ、割安銘柄の分析を少しずつ進めている今日この頃です。


■個人事業主の資金繰り(2019年8月27日)

先月より国民健康保険税の納付が始まりました。それに加えて、今月は住民税の納付が重なります。いずれも、まだ景気の良かった昨年の所得から計算された税金です。

私のようなシクリカルなビジネスを行っている個人事業主は、昨年に比べて売上が相当に落ち込んでいます。するとどうなるかと言えば、キャッシュインがキャッシュアウトを下回る月が増えて、資金繰りに苦労する羽目に陥るのです。

当然、不急の支出は控えます。「どうせ税金を取られるのだから、この際、経費で落としておこう」とした昨年とは大違いです。そんな個人事業主が全国にごまんといるわけですから、個人消費が盛り上がるはずもありません。

さらに9月に入れば、少ない手持ちの中から、消費税増税前に買い揃えておきたい消耗品などを買いだめします。10月以降は、もう余力など残っていないでしょう。

果たして、このような状況を株価は織り込んでいるのでしょうか。


■自己能力と自己認識(2019年8月25日)

cisさんの著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』より引用します。

そのなかでもとくに大きく負けるのは、自己能力と自己認識が乖離している人。つまり、自分を突き放してシビアに見られない人。

わかりやすくいえば、自分の状態を直視できない人が大きく負ける。

まったく同感です。株式投資セミナーの講師を務めていて驚かされるのは、経験値が少ないにもかかわらず、難しい投資をやろうとする個人投資家の多すぎることです。つい「そんなの講師の自分にもできないよ」と叫びたくなります。

今の私は、ショボい投資家でも儲かりそうな相場が訪れるのを、じっと待っています。自分がどんな相場で勝てるのかは、過去の売買履歴とマーケットの状況を照らし合わせれば、ある程度は見当が付きます。

もちろん、どのような相場が得意かは、人それぞれです。天賦の才能に本人の努力が加わり、常に勝てるのであれば、年がら年中マーケットに参加するのもありでしょう。

しかし、そんな投資家はほとんどいないはずです。私の強みは、自分がショボいことを十分に認識していること、自分の勝てそうな相場をだいたい分かっていることです。


■個人好み株の低迷深刻(2019年8月22日)

日経に「体感株価は1万8000円割れ 個人好み株の低迷深刻」というタイトルの記事が掲載されていました。記事で触れられている大型株だけでなく、中小型株に関しても個人投資家の好んでいる銘柄が売られている状況です。

しかし、この現象自体は別段に珍しいことではなく、2006年から2007年にかけても発生しています。そのとき、一部の投資家は低迷する日本株に見切りをつけ、勢いよく株価の上昇しているBRICsに鞍替えしたものの、新興国バブル崩壊で往復ビンタを食らってしまう形となりました。

今回は米国株が、当時のBRICsに該当します。果たして、マーケットの歴史は繰り返すのでしょうか。


■瀧本哲史氏の金言(2019年8月17日)

瀧本哲史氏が47歳の若さで他界されました。お悔やみ申し上げます。著書『僕は君たちに武器を配りたい』より私自身が胸に刻み付けている文言を紹介します。

「ブームになってから投資すると、死ぬ」というのが投資の鉄則だ。

起業家が新しいビジネスを見つけるときの視点として、「しょぼい競合がいるマーケットを狙え」という鉄則がある。

資本主義社会では、究極的にはすべての人間は、投資家になるか、投資家に雇われるか、どちらかの道を選ばざるを得ない。

自分の場合は、世間知らずのまま社会に出て、資本家の経営している企業で働いているうち、瀧本氏が訴えていた真実に少しずつ気づいていきました。

学生時代に、本書のような書籍に巡り合えていれば、回り道をしないで済んだのかもしれません。投資家になるという道を選んだ方、あるいは選ぼうとしている方には、一読をおすすめします。


■ニッチ市場の巨人(2019年8月16日)

次回のバリュー投資塾に向けて、ニッチ市場のガリバー企業を調べていると、漬物屋、棚卸代行、害虫駆除の会社などが浮かび上がりました。思わず声が出ます。

ああ、やっぱりそうか。

成長の期待できる魅力的な業界ではないですし、東大卒の優秀な学生が入ってくるとは思えません。しかし私たち個人投資家にリターンをもたらしてくれるのは、そんな会社です。


■翻訳センターの四半期決算(2019年8月14日)

先日、発表された翻訳センター(2483)の第1四半期決算は、5.2%減収、48%営業減益と低調でした。

長期投資では四半期毎の業績にあまり神経質になる必要はないのですが、決算短信に書かれていた次の文言が気になりました。

工業・ローカライゼーション分野では、エネルギー関連企業との取引は堅調ながら、主要顧客である自動車関連企業からの受注が低調に推移し、売上高は前年同期比16.4%減の519百万円となりました。

自動車は我が国のコアビジネスであり、裾野の広い産業です。トヨタ自動車1社が取引先への発注を減らしただけで、相当数の企業が影響を受けます。

株式投資は連想ゲームです。今後、自動車産業への依存度が高い企業には、注意が必要かもしれません。


■ニッチ市場と優れた製品(2019年8月10日)

ティリングハストの株式投資の原則』で一番印象に残っているのが、著者であるジョエル・ティリングハスト氏の投資戦略を簡潔に表した一文です。

小規模な企業についていえば、ニッチ市場と優れた製品という組み合わせが私のお気に入りの戦略である。

実のところ、大半の小型株は大企業の参入しづらい小さな隙間でビジネスを展開しているニッチ企業です。そうでなければ、弱肉強食の世界にて、小規模企業の経営など成り立ちません。

ニッチ企業のタイプとしては、属している業界自体がニッチ市場か、あるいは大きな市場の中で特定の顧客を相手にしているか、そのどちらかに該当します。

私もその一人ですが、個人投資家は小型株を好みます。流動性に難のある小型株は、資金量の豊富な機関投資家が参入しづらく(ジョエル・ティリングハスト氏や苦瓜達郎氏のような例外を除く)、自分たちにも勝機があるからです。

ただ小型株を手がける以上は、ニッチ企業への理解を深めておきたいものです。そこで今月、来月に開催するバリュー投資塾のテーマとしました。

ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。

次回のテーマは「ニッチ企業」です
日時・場所

2019年9月15日(日)10:30〜16:50 東京・大井町 きゅりあん

2019年8月31日(土)10:30〜16:50 大阪・天満橋 エル・おおさか

なお今回はセミナー終了後に懇親会を開催します。参加は任意、費用は実費です。

人数

少人数制(10名様程度)

受講料

銀行振込 25,920円 当日現金 28,000円

3日前までのキャンセルは返金いたします。それ以後のキャンセルは音声CDでの受講に振替させていただきます。

内容

ニッチ(隙間)でビジネスを行っている企業を投資対象として、定量分析と定性分析を組み合わせた総合的な銘柄分析を試みます。

テキスト
概要

第1部 ニッチ市場の巨人
1−1.食品メーカー
1−2.棚卸サービス
1−3.害虫駆除サービス

第2部 主要顧客の明確化
2−1.戸建住宅販売
2−2.学習塾
2−3.PCショップ

第3部 得意先の深耕
3−1.生産財メーカー
3−2.人材派遣
3−3.広告代理店


■うんざりするほど退屈(2019年8月7日)

今、フィデリティのサイトにて、ジョエル・ティリングハスト氏の投資している日本株をしらみつぶしに調べています。

通常、この手の作業は楽しいものですが、今回ばかりはうんざりするほど退屈です。なぜなら銘柄数がやたら多いうえに、次のような会社のオンパレードだからです。

●確かに割安だけど、あまりに地味すぎて、全然買いたいと思わない
●どうせ投資しても、万年割安株のままで、儲かる気がまるでしない
●個人でさえ10枚持つのをためらう、名証2部や福証の品薄株を大量に仕込んでどうする

しかし実際には、一見退屈な企業の方が儲かります。次の不況で、この手の銘柄を仕込むことができれば、そう悪い結果にならないでしょう。眠気と戦いつつ、根気よく作業を続けたいものです。


■JASDAQ平均のロングチャート(2019年8月5日)

投資スタンスは長期投資、投資対象は内需系の小型株という、割と見かけるタイプの個人投資家(バリュー投資家)が一番参考にすべきチャートは何でしょうか?

個人的には、JASDAQ平均のロングチャートがベストではないかと思っています。感覚的にも、日経平均よりこちらの方がしっくりくるはずです。

足元の状況はどうかと言えば、12カ月移動平均線は下降トレンドに転じており、その12カ月とデッドクロスした24カ月移動平均線も長期上昇トレンドが終わりつつあります。

よってチャートを見る限り、弱気相場の宵の口のように見受けられました。底打ちするまで、まだまだ時間がかかるかもしれません。銘柄分析を続けながら、投資チャンスをじっくり待ちたいところです。

JASDAQ平均のロングチャート


■FRBの利下げ(2019年8月2日)

JPモルガンのGuide to the Marketsに掲載されているグラフのうち、今回、気になった1枚です。

FRBが利下げに転じた後、しばらくしてから景気後退に陥っているケースが、6回のうち3回あります。とりわけ2000年以降に関しては、2回ともそうです。

もし今回も「利上げ→逆イールド→利下げ→景気後退」という、いつか来た道をたどるのであれば、来年の今頃は不況の真っ只中になっている可能性を否定できません。

自己資金を運用する立場としては、万が一、そうなっても困らないように、予め対応を考えておくべきではないでしょうか。

FRBの政策金利と米国国債利回り



メール | プロフィール | アクセス統計 | 特商法表記 | このサイトについて | リンク集

最終的な投資判断は、みなさまご自身でなさるようお願いいたします。
Copyright (C) 2003-2019 パーシャル・オーナー by 角山智