日銀短観、コントラリアン、7月のバリュー投資塾、
四季報夏号で印象に残ったコメント、ティリングハスト氏のアドバイス、
パニックに備える、シクリカル銘柄、景気後退が来たらどうするか?、
「キャッシュフロー」音声CD、名証2部銘柄、もし不況が来なければ
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ショートコラム(2019年7月)
■もし不況が来なければ(2019年7月31日) |
自分の年齢を考慮すると、もし今後30年間のうちに不況が来なければ、新たに株を買うこともなく、投資家人生を終えることになります。 「株は不況で買う」と腹を決めたからです。また好景気と株高が続けば、あえてリスクを取らなくても、本業でそれなりに食べていけるでしょう。 不況では株が安くなるだけでなく、仕事を失い不幸になる人が続出します。本当はバリュー投資家の出番など、永遠に来ないほうがいいのかもしれません。 今後、私が株を買わない人生を送れば、それは世の中の大多数が幸せに過ごせることを意味します。しかし資本主義の歴史を鑑みれば、絶対にそうはならないのです。 |
■名証2部銘柄(2019年7月29日) |
7月27日のバリュー投資塾で、名証2部銘柄が話題になりました。名証2部は割安株の宝庫であり、バリュー投資家の食指が動く銘柄も少なくありません。 ただひとつ注意したいのは、投資家心理が悪化し、流動性の枯渇する局面では、この手の銘柄は買いの手が引っ込むため、板が極端に薄くなることです。 まとまった株数を持っていれば、売るに売れなくなります。とりわけ、今のように景気がピークアウトの兆候を呈している局面で投資を行えば、数年にわたって苦労する羽目に陥ります。 かつて私も一見割安に思えて買った品薄株で、似たような経験をしました。自分の持株がじりじり焼かれており、一日でも早く処分したい銘柄の板を「誰か買い注文を出してくれ」と祈るような気持ちでチェックするのは辛かったです。 よって名証2部に限らず品薄株全般に関しては、目利きに相当な自信があり、上がるまでずっと持つ覚悟があるケースを除いては、市場全体が大幅に値下がりするまで待ったほうが賢明に思えます。 |
■「キャッシュフロー」音声CD(2019年7月23日) |
7月のバリュー投資塾「キャッシュフロー」音声CDが出来上がりました。 タイトルは「キャッシュフロー」としましたが、本当の狙いはキャッシュフローと関連付けて、バランスシート(貸借対照表)を理解することです。 勉強熱心な皆さんは損益計算書をある程度読めるはずですから、後はバランスシートとキャッシュフローをマスターできれば、決算書が苦手でなくなります。 現に参加された方からは、次のコメントをいただきました。 何冊か本を買ってみましたが、結構細かいことにまで書かれているので、途中で嫌になったりしました。 バランスシートに関しては、昨日のようにざっくりとした感じで考えたらわかりやすいです。 ご購入を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 既にお申込み・ご入金をいただいた分は、本日中に最寄りの郵便局から発送予定です。 |
■景気後退が来たらどうするか?(2019年7月20日) |
JPモルガンのGuide to the Marketsに興味深いグラフが掲載されていました。タイトルは「景気後退が来たらどうするか?」です。 長期投資家なら、もちろん「待機させていた投資資金を総動員して、売り込まれている株を少しずつ買い集める」と即答するでしょう。その成果はグラフのとおりです。 |
■シクリカル銘柄(2019年7月17日) |
『ティリングハストの株式投資の原則』に足元の状況を端的に示している文言がありました。 シクリカルな業界の株式は、避けることのできない景気後退を予想してPERが低くなるが、実際にそうなると株価はさらに下落する。 驚くほどのバリュー株が登場するのは、割安な株式がさらに安くなった場合だけである。 会社四季報夏号にて1桁のPERを付けていたのは、大半がこの手の銘柄でした。割安だと思い込んで買ってしまうと、不況が表面化してから苦労させられます。 株は何でもそうですが、とりわけシクリカル銘柄(景気循環株)は、実際に業績が悪化するまで待ったほうが賢明に思われます。 |
■パニックに備える(2019年7月16日) |
本多静六博士が株式投資で大儲けしたのは、関東大震災直後のパニック売り相場でした。著書『私の財産告白』より引用します。 話のついでに、いままで一番うまくいったと思う株式投資をご披露に及んでおくと、大震災直後のことであるが、すべての株が暴落し、なかんずく東京電燈などは十円近くまで下がった。 私はこれはあまりに悲観され過ぎていると考え、今買っておけば必ず元に戻ると確信した。(中略)すなわち、これで予想外の大儲けをしたのだった。 私が株式投資を始めてからも、2001年9月のNYテロ、2011年3月の東日本大震災と、10年に一度はマーケットを震撼させる出来事が発生しています。 我が国では、首都圏で未だに大きな地震が発生していないのも不気味です。パニックが起きたとき、どう行動すべきか、予め想定しておいたほうが良さそうです。 |
■ティリングハスト氏のアドバイス(2019年7月14日) |
中小型株に関しては、ここ1年半ほど軟調な展開が続いており、割安な銘柄も散見されるようになりました。少し買ってみるのも悪くない状況です。 ただ実際に投資を行うのであれば『ティリングハストの株式投資の原則』に書かれているジョエル・ティリングハスト氏のアドバイスを守る必要があるでしょう。 ●まずは公表された利益が実現利益に転換されない銘柄を除外しなければならない ●次に利益は、将来にわたって同じような状況にあると思われる期間を通じた平均値としてとらえるべきである 要するに「キャッシュフローをしっかり確保できており、不況になってもそれがさほど落ち込まない銘柄を選べ」ということです。このアドバイスは極めて有効で、一見、低PERに思える企業のほとんどを除外できます。 |
■四季報夏号で印象に残ったコメント(2019年7月11日) |
つい先ほど会社四季報夏号を読み終えました。今回は急ぐ必要がなかったので、ゆっくり読めました。 6月23日付のショーコトラムでは、気になったコメントとして飯田グループGHD(3291)の記事欄を取り上げました。今回は、もっとも印象に残ったコメントとしてアオキスーパー(9977)の記事欄を紹介します。 無借金で資金調達予定なし、当面は出店せず改装と省力化投資に専念。ほぼ全店で正月2日間休業。夜間営業時間短縮や定年延長など人手不足解消を急ぐ。 経営の方向性として、極めてまっとうです。出店に関する諸々のコストが上昇している足元の状況では、むやみに事業規模を拡大せず、内部体制を充実させるのが正解だと思います。 売上を伸ばしたい一心で損益分岐点の高い新店を出し、不慣れなスタッフによるオペレーションが近隣住民の不評を買ってしまえば、後々苦労させられるからです。 やがて不況になれば、同業他社の撤退により、掘り出し物の出店候補地や居抜き物件が見つかるはずです。今は無理をせず、将来的な投資チャンスに備えるのが、企業経営者の仕事ではないでしょうか。 |
■7月のバリュー投資塾(2019年7月9日) |
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バリュー投資について書かれた本を読んでいると、BS(貸借対照表)が健全にもかかわらず、PL(損益計算書)の一時的に悪化している企業に投資を行い、成功を納めているパターンが多いように思われます。 コントラリアンといえども、BSに問題を抱えている企業には手出ししません。そのBSと密接に関連しているのがCF(キャッシュ・フロー計算書)です。過去5年程度のCFをざっと眺めるだけで、BSが健全化しているのか、あるいは逆の方向に進んでるのか、ほぼ察しがつきます。 個人投資家の中には、BSの苦手な方も少なくないようです。たぶんそれは、BS単体で分析しようとするからでしょう。CFとセットで見れば、難しくありません(上場企業のCFが公表されていなかった2000年以前は、2期分のBS差額よりCFを手計算していました)。 そんなわけで、7月のバリュー投資塾のテーマを「キャッシュフロー」としました。キャッシュフローを押さえれば、同時にBSも理解でき、決算書に対する苦手意識など吹き飛んでしまいます。さらにキャッシュフロー分析を通じて、売上と利益の推移だけでは気づかなかった、本当に儲けている(キャッシュを得られている)企業を見つけることも可能です。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■コントラリアン(2019年7月7日) |
『ハーバード流ケースメソッドで学ぶバリュー投資』より引用します。 自らをコントラリアンだと称する投資家は数多くいるが、実際には一般的な見解にあらがい、広く行き渡った意見やほかの投資家、ウォール街、アナリストたちのセンチメントに反して投資をすることは困難である。 ほとんどの投資家が支配的なセンチメントに反して投資を行うことができないのは、習慣的な特性、さらに言えば生来の特性が原因であろう。 知性にあふれ、経験豊富な投資家が不人気な割安株を避け、人気を集め株価も十分に高くなっているような株式を好み、この方法がせいぜい平凡な結果をもたらすのが関の山だということが明らかになっているにもかかわらず、毎年毎年同じパターンを繰り返している。 バリュー投資家になりたければ、コントラリアンであることが前提条件です。ただしコントラリアンとしての適性があるかどうかは、その人がこの世に生を受けたときに既に決まっているような気がします。 世間に同調しても全然楽しくない私は、バリュー投資が合っているのかもしれません。でも、そのような性格を喜んでいいのかと問われれば、大いに疑問です。 持って生まれた性格は変えられません。ときどき、シャイだった人が活発になったという話を聞きますけど、もともと社交的な資質を備えていたか、無理して振舞っているかのどちらかです。 生き馬の目を抜くマーケットにて、自分を偽り続ければ、いずれ破たんをきたします。いかにして、本人に合っている手法にたどり着けるかがポイントでしょうか。もっとも、ある程度の回り道は必要ですが。 |
■日銀短観(2019年7月4日) |
私が参考に見ているマクロ経済データのひとつが、日銀短観に掲載されているグラフ「業容判断の推移」です。足元の状況からは、長らく続いていた実感なき景気回復が終わりつつあると受け取れます。 景気循環を考慮すれば、そう遠くない将来、再び不況に突入すると考えて、ほぼ間違いないでしょう。長期投資家の仕事は、きっとやってくる出番に備えて準備を整えておくことです。 |
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by 角山智