欲に迷い、IPO銘柄に投資するファンド、安定した精神状態、
200日移動平均線、バリュー投資塾テキスト、急成長株の特徴、
資本の世界史、「2017年のIPO銘柄」音声CD、四季報春号の印象、
資本主義経済、過程と結果、自己分析
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ショートコラム(2018年3月)
■自己分析(2018年3月29日) |
過去の売買について自己分析を行う場合、次の5点をチェックすれば有益です。 ●再現性 まず「今まで何度も利益を上げている、再現性の高い方法だったか」を確認します。再現性が低かったり未知数であれば、運に左右されてしまうからです。 次にリスク・リワード・レシオをざっくり計算します。理想的なのは、下値不安が少なく、株価の上昇余地が高い銘柄です。バリュー投資の場合、何らかの強みを持っており、業績も堅調な銘柄が割安のまま放置されているケースが該当します。 続いて、その投資がサークル・オブ・コンピタンス(自分がよく理解しており、知識の範囲内に収まるものに重点を置くべきという考え方)に該当しているかどうかをチェックします。 さらに3月26日付のショートコラムでも触れた過程と結果を振り返ります。 最後に以上を元に、主な勝因・敗因を簡潔に記述します。 ひとつひとつの売買について、この作業を根気よく行えば「自分の投資をどのように改善すればいいか」が見えてくるでしょう。私も2017年分より、再検証を進めているところです。 |
■過程と結果(2018年3月26日) |
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『投資の科学』に興味深い図表がありました。
過程と結果に関する、単純な2列×2列のマトリックスです。投資家は、結果オーライになりがちですが、その過程を考察する余地が残されているようにも思えます。 過去の売買について、勝率やリスクリワードレシオ以外に、このマトリックスを用いた分析を行ってみるのも意義がありそうです。 ちなみに、著者のマイケル・モーブッシンのコメントは次のとおりです。 投資家はしばしば、良い結果は良い過程に基づくものであり、悪い結果が出たのは過程が悪かったからと考える過ちを犯してしまう。 対照的に、投資やスポーツチームのマネジメント、競馬の賭けのような先の見えない分野で長期にわたって最善のパフォーマンスを記録していた人たちはみな、結果より過程を重視する。 |
■資本主義経済(2018年3月24日) |
是川銀蔵氏の著書『相場師一代』で述べられている資本主義経済に対する考察がとても興味深いです。 資本主義経済は、絶えず次なる状態に移行していく波動を繰り返す。 金融パニックが起こったりするのは、そこにおける利潤の追求や機構そのものが混乱を起こさせるもので、利潤を追求する以上は、経済の変動は不規則であるが、一定の大きなリズムで起こるのは避けられない。 いわゆる経済変動は経済の実態からくる自然現象なのである。 私見を申し上げると、次の金融危機が起こるとすれば、日米欧の中央銀行が金融政策を正常化させる過程で発生するのではないかと邪推しています。 もしそうなった場合、資本主義経済が次のステップに進むための“産みの苦しみ”でもあるわけですから、投資家は嬉々として株を買えばいい話です。 そう考えれば、株価の下落を恐れる必要はまったくなく、むしろ千載一遇の投資チャンスと前向きに捉えることができるでしょう。 あまり大きな声では言えませんけど、私も「経済の実態からくる自然現象」をワクワクしながら待っている投資家のひとりです。 |
■四季報春号の印象(2018年3月23日) |
会社四季報春号を通読して印象に残ったのは、化学などシクリカルセクターに属しているコモディティ企業の収益が急回復していることです。 ここ2〜3年の売上・利益の伸びだけに注目すれば、成長株と見まがうほどです。その実態は、業界のフォロアー企業であり、おこぼれ頂戴のビジネスモデルに過ぎないのですが。 以上のような状況を鑑みると、かなり景気も煮詰まっているように感じました。一見、割安に思えても、今後はその手の会社への投資を控えたほうが賢明でしょう。 今までは何を買っても儲かったかもしれませんが、これからは違います。本当の割安株、真の成長株を見つけ出す、投資家の“目利き力”が問われる局面となりそうです。 |
■「2017年のIPO銘柄」音声CD(2018年3月19日) |
3月のバリュー投資塾「2017年のIPO銘柄」音声CDを販売します。 今回は内容が多く、テキストをすべて解説できるかどうか心配していたのですが、駆け足ながら時間内に終えることができました。「未来の10倍株」候補ともいえる新興企業が数多く含まれておりますので、永久保有版としてご活用いただければと思います。 ご購入を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 なお、前もってお申込み・ご入金をいただいた分は、本日に最寄りの郵便局から発送済です。 |
■資本の世界史(2018年3月14日) |
資本主義の歴史について学びたいと思い、何冊かその手の本を読んでみたのですが、納得できる内容ではありませんでした。 悶々としていた中、やっと巡り合えた良書が『資本の世界史』です。著者がドイツの経済ジャーナリストで、我が国ではあまり報道されないEUが抱えている諸問題について書かれている点も勉強になりました。 投資は、常識で考えれば、そう大きくは間違えません。ただ、その常識をどうやって身に着けるかが問題です。目先ばかりを気にしている新聞・雑誌やネット上の情報をいくら熱心に追いかけても、なかなか物事の本質は理解できないものです。 本書のような良質の単行本を読み込む地道な努力を続けることにより、自ずと常識が備わります。マスコミ報道などのポジショントークを見透かし、最新のニュースを自分なりに解釈できてこそ、投資家として一人前です。 |
■急成長株の特徴(2018年3月13日) |
『ミネルヴィニの成長株投資法』に成長株に関する興味深い記述があります。 通常、急上昇局面は上場してあまり長くない時期、例えば、IPO(新規株式公開)から10年の間に現れる。私は株式市場が調整した1990年代初期の間、よく持ちこたえた銘柄のうち、市場が上昇に転じると真っ先に新高値を付けたものに焦点を合わせた。 ほとんどの会社は比較的小さくて身軽な時期に、高い成長率を誇っている。急成長株に関心がある投資家は、成長段階(売上高と利益が急速に増加している時期)にある中小型株を常に見張り続けるべきだ。 私もほぼ同じ認識です。株式投資で大きなリターンを得たければ、IPOからあまり年数を経ていない成長期の小型株に投資を集中させるべきでしょう。 ただ、いくらPERが高くても新高値を付けば買うミネルヴィニに対して、自分はあくまでバリューを重視しています。ゆえに、ひたすら弱気相場を待っているわけです。 そうはいっても、目の付け所は似たようなものです。違いは、新高値銘柄を買うことで資金効率を重視するオニール流、割安銘柄を買うことで安全域を重視するグレアム&バフェット流という点でしょうか。 |
■バリュー投資塾テキスト(2018年3月12日) |
ようやく、3月のバリュー投資塾のセミナーテキストが出来上がりました。144ページの大作です。 もし外部講師として招かれたセミナーであれば、こんなページ数の多いテキストは作らないでしょう。分量が多すぎ、解説しきれないページが出てくるからです。するとアンケートにて、必ずといっていいほどその点を指摘され、減点の対象になります。 では、なぜ今回はこのようなテキストを作ったかといえば、セミナーテキスト自体が個人的にも使用する「2017年のIPO銘柄」のまとめだからです。バリュー投資塾は自主開催につき、主催者に配慮する必要は一切ありません。 以前のショートコラムでも述べたように、セミナーテキストや銘柄分析レポートは本人のためにも作成しています。「このテキストの役立つ局面が、きっと訪れるに違いない」という信念を込めて書きました。 そんなわけで、セミナー当日はメリハリをつけながらお話ししたいと思います。時間の制約で「ここは読んでおいてください」という箇所があるかもしれませんが、ご了解をいただきたいです。 なお東京セミナーに関しては、すでに多くのお申込みをいただいております。私自身も当日を楽しみにしています。 |
■200日移動平均線(2018年3月8日) |
日経平均株価と200日移動平均線の関係が、やや微妙になりつつあります。押し目買いのチャンスとも、絶好の逃げ場とも、受け取れるからです。 今月中に方向性が出るかもしれませんけど、現局面では動きづらいです。せいぜい持株に逆指値の売り注文を入れて、保険をかけておく程度でしょうか。 ここは「休むも相場」を実践できる個人投資家の強みを活かし、一息入れるのも悪くありません。 |
■安定した精神状態(2018年3月7日) |
本棚で埃をかぶっていた『バリュー投資』を読み返したところ、琴線に触れる言葉がありました。 マーケットの状況がよかろうが悪かろうが、安定した精神状態を維持することが長期投資で成功するためのカギである これは長期投資だけでなく、あらゆる投資手法にいえることです。私自身も常日頃より「安定した精神状態を維持するために、どうすべきか」を意識しています。 割と効果的なのは、マーケットの状況を大げさに取り上げるマスコミ報道、短期的に上手く立ち回ろうとしている個人投資家のブログやツイッターを見ないことでしょうか。群集心理と距離を置くことができます。 この2月は、久しぶりに株価が大きく動いた月でした。その中で、精神の安定を維持できたか、短絡的な投資行動を取らなかったか、振り返ってみてください。 今回は、まだ序の口かもしれません。やがて、もっと大きな変動がきっと起きるでしょう。そこで2008年の私みたいに「魔が差してしまえば」一瞬で大火傷を負うことは必至です。 |
■IPO銘柄に投資するファンド(2018年3月5日) |
モーニングスターのファンドランキングが興味深いです。 過去1年で、100%以上のリターンを達成したファンドは3本(ブル型を除く)。1年で2倍というのは、分散投資を行っている株式投信では滅多にお目にかかれません。いったい、どういった運用をしているのでしょうか? 実は、この3本には共通点があります。それは、数年前にIPOを行ったばかりの新興企業に投資先を絞り込んでいることです。 リターン1位のグローイング・アップは株式公開後4年以内、2位のグローイング・ベンチャーは5年以内、3位のジェイクールは3年以内と微妙に異なるものの、上位組入銘柄がけっこう重なっています。 それもそのはずで、3ファンドともIPO銘柄の徹底的な調査を行っているエンジェルジャパンの助言を受けているからです。 ポジショントレードでは、エンジェルジャパンに好かれそうなIPO銘柄に先回りするやり方が使えそうです。一方、長期投資では、ファンドが保有している新興企業に短期的な悪材料で出たり、個人投資家の解約が相次ぎ持株を売らざるを得ない局面をじっくり待つことになります。 いずれにせよ、これら3本の動向を追っていけば、何らかのヒントを得られるかもしれません。苦瓜氏が運用するバリューファンドとは、別の意味で注目したいです。 |
■欲に迷い(2018年3月2日) |
是川銀蔵氏の著書『相場師一代』より引用します。 相場は人間の希望どおりには決して行かず、逆に逆に出るものである。希望的観測は必ず裏切られる運命にあることを固く肝に銘じ、忘れてはならない。 相場は、相当の苦労人であっても人気に巻き込まれるように、至るところに陥穽が潜む危険なものである。まさに、どこかで「一歩踏み誤ると皆裏腹になる」ようできている。だから自己の内心の欲に釣られ引っかかるのである。 相場で苦労を重ねた玄人でも、やはり、「天井では、欲に迷い、勝ちに乗じ、分限不相応の金額を買い重ねる」のが常なのである。相場は本当に克服し難い魔物だ。 そういえば普段は臆病な自分も、2006年から2007年にかけて「欲に迷い、勝ちに乗じ、分限不相応の金額を買い重ねる」時代がありました。当時の投資は、ことごとく裏目に出ています。 今、こうして生き残っているだけでも、幸せ者なのかもしれません。 |
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by 角山智