ウォーレン・バフェット、ベンジャミン・グレアム、バリュー投資の達人に学ぶ株式投資

パーシャル・オーナー


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ショートコラム(2004年7月〜12月)

■ROEとPBRの素敵な関係(2004年12月29日)
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みんなに読まれたくない本として評判(?)の「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」ですが(笑)、特に第2章6節の「誤解の多い「ROE」の使い方」が話題になっているようです。少し補足しておきましょう。

まず、ちょっとしたクイズです。
第1問:日本でPBR2倍以下、ROE15%以上、PER15〜20倍の会社はどれぐらいあるでしょうか。
第2問:では、ROE5%、 PER15倍の会社のPBRはいくらでしょうか。

ヒントを書いておきますと、ROEとPBRには
ROE * PER = PBR
という式が成立します。第1問では、0.15(ROE) * 15(PER) = 2.25(PBR)となり、PBRは最低でも2.25倍となります。だから「なし」が正解(意地悪な問題ですね (^^; 。第2問は、0.05(ROE) * 15(PER) = 0.75(PBR)です。

PERは、第1問の会社、第2問の会社とも同じ15倍です。しかしながら、PBRは2.25倍と0.75倍で第2問の会社の方が割安となります。ところが、ROEを見ると15%と5%で第1問の会社の方が高いです。つまり、高ROEと低PERは相反する関係にあります。「素敵な関係」とはそれを皮肉ったものです。

バリュー株 = 低ROE = 低PBR
成長株   = 高ROE = 高PBR

ファンドマネージャーの株式運用戦略」に投資尺度(ファクター)別の累積リターンが掲載されています。1986年6月末を100とした1998年1月末時点の累積リターンです。

ファクター別累積リターン
3か月リターン・リバーサル 756
低EV/EBITDA倍率 561
低PBR 556
低位株 426
低PER 377
高ROE 138

総じて好調なバリュー系ファクターに対して、高ROE銘柄のリターンの低さが目立ちます。著者の渡辺幹夫氏は「意外かもしれないが、株式運用の上で「高ROE」は長い間、儲からない尺度の代名詞であった」とコメントしています。佐々木洋氏は著書「決算書でわかる儲けの極意」で「高ROEを維持している企業、ROEが向上している企業への投資は利益を生むが、高かったROEが低下している企業への投資は損失を被る」と一歩突っ込んで述べています。「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」はバリュー投資の入門書として「資産のバリュー」を中心に解説しているので、「よって、私はROEをあまり重視していません」という結論に至りました。

以上のことから、グレアム流に「資産のバリュー」への投資を行う場合は、PBR重視でいいと思います。ところが、バリュー投資にはバフェット流の「収益のバリュー」に対する投資方法があります。バフェットは「マネーマスターズ列伝」で割安銘柄への投資について「そんな株を買って持ち続けたところで、せいぜいその会社の業績に見合った儲けしかあげられない。まして割安銘柄とはそもそも資本利益率の低い銘柄なのだから、大儲けは難しい。高成長には利益率が高いことが条件だ」と答えています。一方で成長株投資にはジレンマがあります。ピーター・リンチが「ピーター・リンチの株で勝つ」で強調しているように「成長株は死亡率が高い」のです。そこでバフェットはビジネス・フランチャイズ(営業上の特権的な強み)を持っている企業へ投資を集中させました。

「収益のバリュー」への投資を行う場合は、PBRよりROEを重視します。このように同じバリュー投資でもグレアム流「資産のバリュー」かバフェット流「収益のバリュー」かによって重視する指標は異なるのです。ただ、つまらないながらもそう難しくはない「資産のバリュー」への投資に対して、「収益のバリュー」への投資は上級者向きであることは確かです。また、人気銘柄への投資では、情報量で圧倒的優位に立つ機関投資家との勝負が待っていることには十分留意してください。初心者の方は「資産のバリュー」から投資に入られることをおすすめします。


■2004年を振り返る(2004年12月26日)
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今年1月1日のショートコラムに書きました新年の抱負は下記の4つでした。どこまで達成できたか振り返りたいと思います。

■配当収入を給与所得の10%に近づけたい
週末起業で自分のビジネスを立ち上げたい
■このサイトの訪問者数を倍増させたい
■バリュー株の発掘に努め、株式比率を高めたい

まず「配当収入を給与所得の10%に近づけたい」では、「バリュー株の発掘に努め、株式比率を高めたい」を実行できたこともあり、配当収入は昨年の2.6倍に増え、給与所得の7%弱まで高めることができました。引き続いて10%を目指し、来々年(2006年)には達成したいと思っています。パフォーマンスの方は、12月24日現在で34.0%とTOPIXの8.7%を上回っていますが、私はTOPIXをベンチマークにしていない(株式投資について意見を述べているので、参考までにポートフォリオには掲載しています)ので、配当収入が増えたことを喜びたいです。

週末起業で自分のビジネスを立ち上げたい」については、意外な方向に進みました。Web関係で考えていたのですが、「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」という本を書くことになりました。私にとって「本を書く」ことは夢だったわけですが、夢が実現できてしまい、嬉しい限りです。でも、Web関係で何かやりたいです。

「このサイトの訪問者数を倍増させたい」はアクセス統計の通り、そうなりました。特に12月はサイト全体で4万ページビューを超えており、5万ページビューに達しそうな勢いです。

株式比率に関しても、60%を超えていますので「バリュー株の発掘に努め、株式比率を高めたい」も達成したことになります。色々な意味で順調すぎる一年でした。慢心しないよう気をつけたいと思います。

一年を振り返ると、年の後半は本の執筆活動に費やしてしまい、サイトの更新があまりできませんでした。雪風ファンドさんの寄稿にかなり助けられています。それでも「パーシャル・オーナー」には多くの方に訪れていただき、ありがとうございました。皆さん、良いお年をお過ごしください。


■週1時間の分析で年利15%を目指す!バリュー株投資セミナー(2004年12月11日、12月26日内容を一部修正しました。太字が修正箇所です)
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宣伝続きですいませんが、今週は来年(2005年)1月9日(日)開催の「週1時間の分析で年利15%を目指す!バリュー株投資セミナー」について書きます。セミナーはやりたいと思っていました。受講されている方の反応がリアルタイムで伝わってくるのが魅力だからです。

実は「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」が出版されたら、セミナーの会社に売り込みをかけるつもりでした。そんな中で¥塾(エンジュク)さんからのセミナー依頼は、まさに「渡りに舟」だったわけです。ただし、本の執筆中だったので、時期を少し待っていただくことにしました。そして、シナジー効果を期待して、本の出版とセミナーの開催日を合わせてもらったわけです。

その¥塾(エンジュク)さんは、代表の長谷川さんも副社長の保田さんも20代の若さです。私が投資について考え始めたのは30歳になる手前で、20代は何も考えずに過ごしていましたから、ちょっとしたカルチャーショックでした。保田さんの「24才で不労所得100万!利回り重視の株式投資セミナー」も大人気のようですね。

¥塾(エンジュク)さんのサイトにもオリジナル版が掲載されていますが、セミナー目次のドラフト版(12月26日分)を掲載しておきます。第1部は私の本「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」の内容に沿って進めますが、追加事項や編集の都合でカットされた箇所についても触れたいです。第2部はセミナーならではの実践的なものにしたいと思っています。長谷川さんとお話したとき「日本にバフェット型企業はないのですか」と聞かれ、「完全なものはありませんが、弱いものならありますね」とお答えしたことがヒントとなり、日本のバフェット型企業について取り上げることにしました。「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」ではグレアム型投資(資産のバリュー)を中心に書きましたので、セミナーではバフェット型投資(収益のバリュー)の話もしておきたいです。

テキスト(といってもプロジェクター投影用の小見出しを列記したものですが)はドラフト版を保田さんにお送りして見たいただきましたが、正式版は年明けで良いとのことでしたので、正月休みにじっくり煮詰めたいです。申込みの方は、かなり順調で、25日の時点で40名に達したと聞きました。会場には60名入れるそうですが、まだの方はお早めに(笑)。セミナーを受講される皆さんには、当日お会いできることを楽しみにしています。

第1部

1.私について
1−1.自己紹介
1−2.パフォーマンス(2003年)
1−3.パフォーマンス(2004年)
1−4.総資産の推移
1−5.私の投資年表
1−6.投資銘柄

2.バリュー投資について
2−1.バリュー投資のメリット
2−2.バリュー株と成長株
2−3.バリュー指標の超過リターン
2−4.成長株投資の問題点
2−5.好材料・悪材料に対する反応

3.資産運用に対する誤解
3−1.情報の見方・捉え方
3−2.投資信託という商品
3−3.投資信託の問題点
3−4.買ってもいい投資信託は

3−5.預貯金のリスク

第2部

4.私の投資方法
4ー1.投資方針
4−2.銘柄選択基準
4−3.配当に対する考え方
4−4.株の売り時

5.バフェット型企業
5−1.バフェット型企業の見つけ方
5−2.バフェット型企業の例:A社
5−3.バフェット型企業の例:B社
5−4.バフェット型企業の例:C社

6.投資に対する心構え
6−1.投資家心理と行動ファイナンス
6−2.個人投資家のメリット・デメリット
6−3.やってはいけない「べからず集」
6−4.投資家として成功するために


■超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術(2004年12月5日)
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私の本「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」が12月中旬に発売されます。ここのところ、私の書くショートコラムの本数が減っていたのは、本の執筆に時間を取られていたためです。執筆期間は8月から10月までの実質3か月で、朝の5時〜7時を主に使いました。早起きはつらいですが、慣れてしまえば朝は頭の働きがいいので、能率があがります。バリュー投資の入門書ということで、「資産のバリュー」に振りすぎた感があるものの、内容についてはほぼ満足しています。編集者さんも、すごくいい方にあたり、ラッキーでした(お名前が出せないのが残念ですが、非常に感謝しています。お礼を申し上げます)。

まだ現物が出ていないのに、多くの方から「買いますよ」と言っていただき、感激しています。購入の判断材料にと思い、目次を掲載しておきます。使えるものはショートコラムより転用しましたが、ほとんどが書き下ろしとなっています。括弧内は元になったショートコラムです。

尚、¥塾(エンジュク)さんで行う「週1時間の分析で年利15%を目指す!バリュー株投資セミナー」もこの本がベースになります。セミナーでは、より実践的な内容も盛り込みたいと思っています。

まえがき

第1章 バリュー投資で週末投資家を目指そう!
1 週末投資のすすめ
2 バリュー投資の四つの魅力
3 バリュー投資と成長株投資はどちらが有利?(バリュー投資の有効性4番バッターと守備の人
4 「預貯金だけ」の危険性を知っておこう(預貯金のリスク

第2章 バリュー株を見つける「投資指標」の使い方
1 なぜ投資指標が重要なのか
2 基本中の基本の指標「PER」
3 PERに関連する三つの指標
4 バリュー投資の王道「PBR」
5 投資の魅力がわかる「配当利回り」
6 誤解の多い「ROE」の使い方
7 どの指標を用いればいいか(バリュー投資の有効性

第3章 究極のバリュー株・「福袋銘柄」の見つけ方
1 値段以上の価値がある「福袋銘柄」とは?
2 清算価値を計算しよう(清算価値
3 現預金に注目した福袋銘柄選び
4 所有有価証券に注目した福袋銘柄選び(銘柄レポート:豊田自動織機
5 土地に注目した福袋銘柄選び
6 福袋銘柄と外資系ファンドの関係
7 福袋銘柄を見つけるためのちょっとしたヒント

第4章 バリュー投資を理論面から検証する
1 効率市場仮説とバリュー投資
2 誰もが思い当たる「行動ファイナンス」理論(やさしい行動ファイナンス<前編><後編>
3 株式市場の不思議・「アノマリー」を知る(小型株と上半期効果
4 投資理論の活用方法

第5章 世界のトップ投資家に学ぶバリュー投資の極意
1 ブランデス・インベストメント・パートナーズ(ブランデス・インベストメント・パートナーズ
2 トウィーディ・ブラウン(トウィーディ・ブラウンの日本株投資
3 竹田和平(竹田和平続・竹田和平
4 SGターゲット・ジャパン・ファンド

第6章 投資の常識・非常識を知っておこう
1 私がバリュー投資に辿り着くまで
2 新聞・アナリストレポートの見方
3 マネー雑誌の落とし穴
4 持株会神話の真実
5 投資信託を買ってはいけない
6 投資家がやってはいけない七つの掟
7 バリュー投資家として羽ばたくためのヒント

あとがき

巻末付録
1 おすすめ書籍
2 おすすめサイト


■グレアム流投資は成功するのか?(2004年11月28日)
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◆グレアム流投資に対する疑問
実践的スペキュレーション」という本を立ち読みしていたら、ベンジャミン・グレアムについて、とても気になる記述があったので、思わず買い求めました。それは「第6章 ベンジャミン・グラハム:伝説的な市場の英雄」で「証券分析」に書かれているような、清算価値以下で株を買うグレアム流投資に対する疑問を呈しています。つまり、このような株価がつくような会社は、誰も買いたがらないからそうなったのであり、投資を行ってもたいして儲からないというものです。「賢明なる投資家」のあとがきでも触れているように、グレアムは保険会社のガイコ(GEIKO)への投資で財産を築きましたが、ガイコは成長株でグレアムの投資基準とは異なるものでした。ウォーレン・バフェットにしても、フィッシャー流の成長株投資へ展開できたからこそ、今日の成功があるともいえます。

◆リー・グレアム・ファンド
「実践的スペキュレーション」では、グレアム流投資がうまくいかなかった例として、リー・グレアム・ファンド(Rea-Graham fund)のパフォーマンスをあげています。これはグレアムの理論を実践したファンドです。

リー・グレアム・ファンド

グラフではファンド創設時に1万ドル投資した場合のパフォーマンスをS&P500指数と対比しています。このファンドは1998年に清算されましたが、S&P500指数には大差で負けていることになります。

◆割安株の悪いパフォーマンス
もう一つ、割安株のパフォーマンスが悪いとするデータがあります。グループ1はバリューラインの分類で主に成長株より構成されます。1965年に100ドル投資したとして、グループ1は3つの割安株カテゴリーを大幅に凌いでいるというものです。

  グループ1 低PSR 低PER 低PBR
1965年
100
100
100
100
1970年
216
191
205
188
1980年
2,782
815
1,450
1,086
1990年
16,540
1,326
3,034
1,296
2002年
46,885
1,698
1,555
1,250

このデータは「ウォール街で勝つ法則」や「カウンターゲーム」に掲載されているバリュー株が優位なデータとは全く逆の結果を示しています。

◆グレアム批判も結構だが
要するにこの本では、「グレアムのバリュー投資は伝説化されているところがあり、話半分に聞いておいた方がいい」と言いたいのでしょうが、筆者にとって都合のいいデータばかりを並べて主張されても説得力に欠けるように思われます。テーマとしては興味深かっただけに、もう少し客観性が欲しかったです。ただ、読み物としては面白いのと、物事を多面的に見るヒントにはなります。

この程度のことでバリュー投資家のグレアム信仰は揺らぐものではありませんが、グレアム流バリュー投資を実践する投資家にとって、「実践的スペキュレーション」はちょっと気になる存在になりそうです。


■使える?丸三証券<後編>(2004年11月23日)by yukikaze_fundさん
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現時点における丸三証券の最大の魅力は、1日の約定代金が20万円以下なら手数料無料というサービスでしょう。これは複数銘柄の売買であっても約定が同一日付であればタダになるという仕組みなので、なかなか使い勝手がよいです。これのおかげでETFや小額で買える優待銘柄がグッと身近になりました。

丸三は、取扱い銘柄が多いというのも特徴の一つです。私がかつて紹介した、東証外国部のYTLや大証カントリーファンドのコリア・エクイティ・ファンドなどは、オンライン専業証券では取引できないところが多いのですが、同社では発注が可能となっています。前述の20万円以下無料サービスを使えば、これらの銘柄も無コストで手に入れることが出来ます。

転換社債型新株予約権付社債の手数料が安いというのも丸三の魅力の一つです。同社では転換社債の売買手数料が約定金額100万円以下で1,050円、それを超えると0.105%という業界最低水準となっています。格安手数料のおかげで、これまで個人が買いたくても取引コストを考えると投資採算の合わなかった、償還まで1年未満の短期債なども、機関投資家に近い利回りで購入することが可能となりました。

知名度はイマイチの同社ですが、これまでのローコスト経営による蓄積のおかげで自己資本規制比率は679.8%と非常に高く、信用面における懸念は小さいと思われます。この市況の中で丸三証券の株主になるのはどうかと思いますが、少なくとも顧客として付き合う会社としては面白いと言えそうです。今のところ、口座開設から2ヶ月間は手数料無料となっていますので、バリュー投資&バリュー消費を目指すなら、これを使わない手はないでしょう。


■使える?丸三証券<前編>(2004年11月20日)by yukikaze_fundさん
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(“バリュー投資よりもバリュー消費”、ヤフーの掲示板で見たときに、思わず快哉を叫んだ名言です。投資にあたっても消費の部分である取引コストは賢く節約していきたいものです。)

「今さらネット証券でないところと取引なんて・・」などと考えているために、今回紹介する中堅証券に見向きもしなかった人が案外多いのではないでしょうか?

ネット証券の影に隠れてあまり目立ちませんが、丸三証券のオンライン取引はかなり使えるのではないかと思います。実際、投資家が最も重視するであろう株式売買委託手数料は、約定100万円以下で1,050円、それを超える場合は売買金額の0.105%(上限5,250円)と、新興のオンライン専業系と比べても遜色のない水準になっています。

これだけなら、既存勢力にしてはよくやっているといった程度で、さほど魅力があるわけではないのですが、同社の場合1日の間に同一銘柄を売買した場合、1口の注文として扱うという所がポイントです。具体例を挙げると、40万円の現物株を売って、その日のうちに39万円で買い戻した場合、約定合計金額は79万円ですので、手数料は1,050円で済み、実質上買戻しの手数料はタダということになります。もちろん買い下がりや買ったのちに売る場合でも同様です。(往復の合計が100万円を超えた場合は売買代金の0.105%。)

同社がマネックスナイターの夜間取引を扱っている点も見逃せません。これはかつてのムーントレードのように、業者がマーケットメイクするのではなく、取引価格を昼間の市場の終値に固定して売買するという仕組みなので、公正な価格で取引できるというメリットがあります。取引時間は17:30〜23:59となっており、かつ価格は動きませんので仕事などから帰ったあとでも落ち着いて参加することができます。ただ、このサービスについて残念なのは、いまだ参加者の数が充分とはいえず、大企業や個人に人気のある株式以外は、なかなか約定してくれないという点です。


■膨張財閥YTL<後編>(2004年11月13日)by yukikaze_fundさん
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YTLグループの現在の稼ぎ頭は電力・水道などの社会基盤にかかるインフラ事業ですが、他にもマレーシア国内首位を堅持する建設部門、買収によりシェアを急拡大させているセメント部門、大規模開発案件を複数抱える不動産部門、リッツカールトン・JWマリオットといった最高級ホテルを擁する観光部門などの各事業分野で国内における重要な地位を占めています。

同社のこれまでの拡大策の特徴としては、コングロマリットにありがちな、無関係の事業に幅広く進出するような非効率経営がなされていない点が挙げられるでしょう。現に、子会社YTLパワーが発電所を発注し、同YTLセメントが資材を調達、本体の建設部門が作業を請け負うといったグループの連携による相乗効果が、火力発電所の短工期世界記録を生み出し、また国際的にみても非常にコストの安い鉄道路線敷設を実現しています。(注-1)

今後の事業展開については、国内外を問わず、電力・ガス・水道等の公共インフラを中心に投資していく方針だとされています。特に注目に値するのはマレーシアの水道事業民営化に関する話題で、これに際し海外などでも実績のある同社が恩恵を受けるのではないかという指摘がBNPパリバやメイバンク(マレーシア最大手の金融グループ)によってなされています。

マレーシア本国における株価は4.68RM(130.4円)、東証では123円ですので、現状で実績PER8.9倍、PBR1.3倍程度の水準での推移となっています。PBRが少々高いのと財務体質に不安があるのが大きなマイナス要因ですが、ROEが13.4%とまずまずの水準にあるなど、指標面は成長株として考えればそう悪くない数字だと言えそうです。同社は東証外国部の廃止に伴って東証1部へ指定替えとなることが決まっていますので、いずれはこれまでよりも身近な存在になるかと思います。(注-2)

マレーシア経済において大きな存在感を誇るYTLですが、飽くなき事業拡大の結果大きな果実が得られるのか、それとも膨れ上がった挙句に破裂してしまうのか・・・、その答えはそう遠くない将来、おのずと明らかになるはずです。同社はIR情報が並の日本企業よりも充実していますので、興味が湧いた方は自分でも調べてみるとよいで しょう。

(注-1)グループのシナジー効果
同社ホームページにガス火力発電所を世界最短の22ヶ月で完工させたとあります。また、鉄道路線の単位kmあたりの建設コストは、YTLの手がけたクアラルンプールの高速空港鉄道を100とすると、香港新空港連絡鉄道は1286、イギリスのヒースロー空港エクスプレスは449になる(ABNアムロ)とのことです。

(注-2)東証外国部について
外国部では撤退による上場廃止が相次いでいますが、YTLはホームページのトップで「YTLは最初に東京証券取引所上場を果たしたアジア企業です」と謳っているうえ、10月16日の東証外国株フェアにおけるIR公演のために、フランシス・ヨー社長が来日しようとしていた(但し祖母逝去のため直前にキャンセル)ほどの熱の入れ様なので、当面は引き上げの心配はなさそうです。東証1部への指定替えについてはコチラ。
http://www.tse.or.jp/guide/comment/040427js.pdf

参考URL
http://www.ytl.com.my/
(YTLホームページ)
http://www.ytlcommunity.com/commnews/ytlgroup.asp
(YTLグループニュース)


■膨張財閥YTL<前編>(2004年11月7日)by yukikaze_fundさん
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(日本のような先進国においては、電力・ガス・水道などのインフラ関連は高い成長の見込めるセクターではありませんが、発展途上にある国においては将来性が期待できる魅力的な業種となります。経済成長に並走する形で需要が伸びることが予想しやすいからです。もしも、そんな成長期待の持てる外国株が手軽に売買出来るとしたら、あなたならどうしますか?)

マレーシア・シンガポール・タイ・インドネシア・・・、東南アジアの中でも高い成長が期待されるこれらの地域への電力供給ライセンスを持っている東証上場企業があるのをご存知でしょうか?業種は建設となっているため、アジアの電力等のインフラ企業に注目している方でも見落としているかもしれませんが、今回紹介するマレーシアの有力財閥「YTL」は確かに東証の外国部に上場しています。

同社はもともとマレーシアで最大手のゼネコンでしたが、1990年台に国内の建設需要がいったん頭打ちになった時期に事業の重点を卸電力にシフトしました。その後、マレーシア国内の発電設備が過剰気味になると、今度はオーストラリアの電力会社を買収して海外における発電事業に進出、2002年にはイギリスの水道会社の株式を取得して供水事業に乗り出すなど、その拡大はとどまるところを知りません。

今年に入ってからも、インドネシア通貨ルピア暴落のさなかに同国第2位の独立系発電事業者「ジャワパワー」の株式買収(注-1)、マレーシアの半官半民企業だった 「パハングセメント」の完全子会社化、さらには「ペラク-ハンジョンセメント」の 韓国企業の持分を取得するなど、国内外を問わず破竹の快進撃を続けています。 (注-2)

(注-1) 独立系発電事業者について
いわゆるIPP(Independent Power Producer)。地域独占型の電力会社と比べると、経営の安定性に課題が残ります。詳しくは後日触れる予定です。なお、YTLはシンガポール・タイへの供給ライセンスは取得していますが、現時点では実際の送電は行っていません。

(注-2) 快進撃の裏側
2004年6月期の自己資本比率は20.1%に過ぎません。拡大意欲が強いことから、財務体質には一抹の不安が残ります。成長ではなく膨張というタイトルを冠したのはこのためです。ただ、同社は公的機関の後押しを受けて、マレーシア初のREIT組成をする ことを表明していますので、これにより固定資産のオフバランスが進めば財務体質がある程度は改善しそうです。


■敗者のゲーム(2004年10月31日)
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今日はテニススクールが休みなので、「敗者のゲーム」を読み返していました。良書は何回読んでもいいものです。

その中で、チャールズ・エリスは投資家の犯しやすいミスをリストアップしています。主なものを列記します。
■頑張りすぎること(積極的に売買しすぎること)
■保守的すぎること(株式ポートフォリオ中の過大なキャッシュポジションなど)
■マーケット・タイミングの予測で成功しようとすること(底値で買って、天井で売ろうとすること)
■短期的心理的に動揺して、長期投資への決意を揺るがせてしまうこと

そして、投資活動で成功するためには、とにかくミスを減らすこと、短期的損失を長期的な利益のための「避けられない真実」として受け入れること、としています。

全くそのとおりなのですが、「ミスを減らすこと」について、私は違う意見を持っています。ミスは少ないにこしたことはありません。でも、投資にミスはつきものです。逆にミスを恐れていては、何もできなくなります。仕事でも何でもそうですが、ミスをしてしまった後の対応で成否が決まるのではないでしょうか。投資では、ミスを素直に認めて直ちに修正すること、損失額を押さえることが大事です。「あー、やってしまった!」とはなるべく言いたくないですが、起きてしまったことは気にしても仕方ないです。明るくリカバリーしましょう。

さらに、筆者は「将来きっと役に立つ、親身な10か条」を列挙しています。
1.プロを使うこと。運用はアマチュアでは無理だ
2.人生の長期目標、長期資産運用計画、不動産取得計画などを文書にすること。そして、それを実行していくこと
3.長期運用計画が短期的にうまくいかなかった時(つまり、株価が急落した時)、まず打つべき手は「二倍まで」買い増すこと
4.運用と投資家について勉強を続けること。数字や財務諸表でなく、人間の心理についての勉強に集中すること
5.貯蓄を続けること
6.お金はすべての人にとって強い、しかし、それぞれ異なった、シンボリックな意味を持つことを忘れてはならない
7.もしウォール街の「専門家」に「どの株がよいか」聞きたくなったら、その気持ちを抑えなさい
8.自分自身の判断が運用の長期的成功のために最も重要な要素なのだ
9.ウォーレン・バフェットの書いた、バークシャー・ハザウェイ社のアニュアル・レポートを読むこと(注:日本語訳は「バフェットからの手紙」に収録されている)
10.相場変動は投資家にとって大いに気になるところだが、本当に問題なのはインフレである

本当に重要なことばかりです。ただし、「プロを使うこと」については、エリスも金融界の一員であることから、ポジショントークも含まれているのではないかと思っています。確かに、米国の株式市場は効率的で機関投資家のレベルが高く、一般的な個人投資家では太刀打ちできないかもしれません。しかしながら、日本市場の現状では、個人投資家にもチャンスがあると、私は考えます。それは日本市場がまだまだ非効率で機関投資家のレベルも米国ほど高くないからです。それでも、個人投資家は機関投資家に情報量ではかないませんから「機関投資家とは勝負しない」方法も一案です。つまり、流動性に乏しかったり不人気業種だったりして、機関投資家がフォローしない銘柄に投資を行うのです。

後は、筆者が効率市場仮説の支持者ながら「人間の心理についての勉強に集中すること」というアドバイスをしていることが注目されます。株式投資における「人間の心理」とは「行動ファイナンス」そのものです。「ウォーレン・バフェットのレポートを読むこと」もいいアドバイスですね。このように「敗者のゲーム」は効率市場仮説をベースにしながらも、それだけにとどまらず、バランスの取れた内容となっているところが、広く支持されている理由ではないでしょうか。常に手元に置き、折に触れて読み返したい良書です。


■成長株投資の土俵(2004年10月23日)by yukikaze_fundさん
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(ここ最近、「中国株二季報」を読みふけっているせいか、日本のマーケットから関心が遠のきつつあります。日本株については、好みの銘柄に値ごろ感が出てくれば、 また買いたくはあるのですが・・・)

これからの日本は、諸外国よりも高い成長を期待できる地域なのでしょうか?

もしも日本の経済成長率が長期にわたり低位で安定してしまうとしたら、そのなかで割安な成長企業を探して投資するという手法は、成功する可能性の低い、即ち難易度の高い方法だと言わざるを得ません。もちろん低成長下においても、ダイヤの原石のような輝きを内に秘めた投資先は皆無とはなりませんが、それを見つけ出すのには、かつてよりも困難が伴う恐れがあるということです。

日本よりも高い成長が見込まれる国はアジアには少なくありませんので、そうした市場に資金を投入したほうが、今後はよりよい結果が得られるかも知れません。アジア諸国についてあれこれ調べてみると、国の経済発展に併せて当然のように成長を続ける会社がいくらでも見つかりますので、企業研究をしていても楽しめるのではないかと思います。

ただ、一部に近々ハードランディングがあるとも囁かれていますので、発展途上の市場への安易な参入は決して薦められません。しかし暴落があれば、その時こそ安値買いのチャンスとなり得るわけですから、そうした好機を待ちつつ、今から腰を入れて勉強しておくというのも悪くない選択と言えるのではないでしょうか?


■経済的自立の意味(2004年10月16日)
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今週は飲み会があり、他のメンバーが遅れてきたので、ある女性と話をしていました。彼女は業界誌の編集者をしており、親元を離れて一人暮らし、「結婚はしたいけど今も楽しくて」という「女性の時代」を象徴しているようなタイプです。そこで彼女が「私は経済的に自立しているから・・・」と切り出してきたので、その言葉に思わず反応してしまいました。「あなたが会社を変わっても、自分で何かをはじめても、今まで通りのビジネスができるなら、経済的に自立していることになる。しかし、ある会社のある部署に属しているおかげで仕事が来るのなら、それは経済的自立とはいえない」と私は持論を展開します。楽しくお酒を飲む席だったので、それ以上は言いませんでしたが、どうも一般的には経済的自立の意味が誤解されているようです。

サラリーマンの名刺には、会社名・部署・役職・氏名が書いてあります。一番大切なのは氏名(自分自身)のはずなのに、普通のサラリーマンは役職を上げることに血眼になります。普段から上司にゴマをすり、ダラダラと付き合い残業をして、酒席に誘われると喜んでついていくのです。そんなことではスキルアップなどできるはずもなく、リストラの憂き目にあえば、路頭に迷うだけです。私は一般のサラリーマンよりは、多少心掛けているので「角山さんは、転職するなら引く手あまたじゃないですか」と嫌味を言われたりしますが、世間はそんなに甘くないと思いますよ。真の経済的自立とは「給与収入に頼ることなく、自分の名前だけでビジネスができる」ことを指します。

理想論を述べましたが、私も実現できているわけではありません。このサイト「パーシャル・オーナー」では情報を発信していますが、角山智という私の名前で行えることは愉快です。ショートコラムを一本上げるのに、わざわざ上司の許可をもらったり、部門間の調整に明け暮れる必要はないわけですから。ビジネスとしては、本の紹介料(本を買っていただいている皆さんには感謝しています)とレポート料(あるところに提供しています。有償ですが、興味のある方はメールをください)を少し得ている程度で、まだまだです。

株の配当収入は、目標である給与所得の10%にかなり近づいてきました。この比率が上がっていくと、気持ちが楽になります。配当収入は株式投資で唯一計算できる項目で、注意深く分散投資を行えば、前年よりダウンすることはあまり考えられません。このサイトでは株式投資を中心に取り上げていますが、本当の目的は「経済的自立を果たす」ことのように思えてきました。だから、不動産投資週末起業の話題も時折出てきます。つまり、私にとっての株式投資は経済的自立を果たすための手段であり、株式投資自体が目的ではないのです。


■藤野英人氏(2004年10月11日)
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ジャパニーズ・インベスターというIR情報誌の41号(リンク先はPDFで7MBあります)に、「伸びる会社ダメな会社の見分け方」として藤野英人氏へのインタビューが掲載されています。藤野氏はトップクラスのファンドマネージャーで「スリッパの法則」の著者でもあります。

その藤野氏はファンドマネージャーを目指していたわけでなく、司法試験に落ちて、たまたま就職します。新入社員時代はダメ社員のレッテルを貼られたものの、また転機が訪れます。社内で中小型株専門のファンドマネージャーがアシスタントを募集したとき、その人が変わり者で応募がなく、会社から「藤野なら、変わっている者どうしでいいだろう」とアシスタントにさせられます。

そしてファンドマネージャーに同行して、色々な会社を毎日のように訪ねるのですが、経済用語がチンプンカンプンな藤野氏は、眠気ざましに社長室の様子や社長の似顔絵をスケッチしていたそうです。ところが、何年か経ち、自分がファンドマネージャーになったとき、藤野氏は収益を伸ばす会社の社長や社長室には一定のパターンがあり、業績を悪化させる会社にも類似点があることに気付きます。当時のスケッチは非常の意味のある観察記録だったのです。そのスケッチの集大成が著書「スリッパの法則」です。

人間、何が幸いするかわからないですね。もし、藤野氏が優秀な新入社員だったら、また別の道を歩んでいたのかもしれません。他のファンドマネージャーと違う視点で物事を捉えることができたからこそ、トップクラスのファンドマネージャーになれたのだと思います。


■指値の自由(2004年10月10日)by yukikaze_fundさん
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(「えぇっ!現在値478円なんですが、461円の買いでいいんですかぁ?」昔はよく、こんな風に言われたものです・・・)

株の取引をめぐる環境は、10年前と比較した場合、まったく別物になったと言っても過言ではありません。インターネットの普及は、一般投資家の市場での取引価格や重要情報へのアクセスを容易にし、オンライン専業証券会社の台頭は売買にかかる取引コストを劇的に引き下げました。

これらの点は証券市場の変革について語られる際によく例として挙げられますが、もう一つ忘れてはならない変化が取引のオンライン化によってもたらされたと私は思います。それが“指値の自由”です。

かつて、証券取引が対面営業と電話発注が中心だった頃は、時価からかけ離れた約定しそうもない発注や、状況に応じた指値の変更というのは、そうそう何度もできるものではありませんでした。もちろん断られるわけではないので、不可能ではないのですが、個人の感情としては、相手に成立しそうもない注文を依頼するのはやはり抵抗がありました。

それが今ではPCに向かって何の気兼ねもなしに変な発注が、しかも好きな時間にできてしまうのですから、変われば変わるものです。投資家にとって最も単純かつ有効なリスク回避策は、安く買うことですので、今日も私は“指値の自由”の恩恵にあずかって、時価より大幅に安い買い注文をキーボードに入力しています。


■意外に身近な韓国株投資(2004年9月25日)by yukikaze_fundさん
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(あなたなら、「主力株を時価より大幅に安く譲ってやる。」と言われたら、どう思いますか?まぁ、そんなウマイ話あるわけがないと考えるのが常識人の反応でしょう。しかし、市場の片隅にはそんな意外な話が、人知れず埋もれていることがあるのです。)

今回紹介するコリア・エクイティ・ファンドは、大証カントリーファンド市場のクローズドエンド型投資信託です。その名の通り、韓国の株式を主な投資対象としていますが、上場しているので、比較的自由に売買できるという性質があります。海外ではNYなどでも上場しており、日本国内におけるより活発に取引されています。

8月31日時点の組入銘柄上位5社は、韓国が世界に誇るサムスン電子、現代自動車、 POSCO(旧浦項製鉄)といった大企業がそれぞれ22.4%、10.6%、8.6%、国内に強固 な地盤を持つハナ銀行やSKテレコムが各6.5%、4.6%となっており、それ以下にも有力企業がズラリと並ぶポートフォリオとなっています。

このコリア・エクイティ・ファンドですが、不思議なことに市場での取引価格が1株あたりの正味資産価値(注-1)に対し大幅にディスカウントされたまま流通しています。比較的活発に売買されているNY市場で概ね10〜15%、薄商いの大阪市場では実に15〜20%も低い価格での約定が常態化しているのです。(注-2)

もちろん、この価値と価格の開きが将来的に狭まるという根拠などありはしないので、「今がチャンス!」というわけではないのですが、ファンドの購入で実質的に韓国の主要銘柄を割安な価格で手に入れることができるという点は間違いありません。上場廃止になると処分に困りますので強くは薦められませんが、円建てで気軽に出来る国際分散投資の対象として、興味深い商品ではあります。

(注-1)1株あたりの正味資産価値(NAV)
ファンドの保有する有価証券や現金の総額を総株数で割って算出した1株あたりの実質価値。流動性の高い上場銘柄で組成されたファンドではこの数値の信頼性が高い。最新の数値(ドルベース)はコチラ

(注-2)15〜20%のディスカウント
日経平均株価が10,000円のときに日経225連動型ETFが8,000円〜8500円程度で取引されているようなイメージ。


■やさしい行動ファイナンス<後編>(2004年9月23日)
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◆アンカリング
株価が低位に放置されている、さえない業績を続けてきた会社があります。会社名を仮に「角山商事」としましょう。長年、投資家の期待を裏切ってきたので、市場からも見放されています。そんな中で、角山商事はリストラに本腰を入れ、ようやく業績が回復、好調な決算を発表します。ところが、通常は好決算に対して、素直に反応する株式市場の反応は冷ややかでした。
このケースでは、角山商事はダメ会社というイメージが定着しているため、市場が好決算を受け入れられないのです。このような固定概念を「アンカリング」といいます。アンカリングとは「錨で固定されている状態」を指します。
話は変わりますが、前夜のニューヨーク市場における平均株価の上げ下げにより、翌日の東京市場が影響を受けるのもアンカリングの一種と考えられます。

◆代表性
長い一連の結果を目にしたとき、人は将来の出来事が過去の出来事と同じように続くと思い込む傾向があります。これを代表性といいます。代表性により、投資家は優良企業への投資を良い投資と混同する間違いを犯します。つまり、良い企業は良いパフォーマンスをいつまでも続け、悪い企業は悪いパフォーマンスを続けると考えるわけです。
しかしながら、いくら優良企業であっても、株価が割高であれば良い投資とはいえません。バリュー投資を行い、7年間で資産を50倍に増やしたマイケル・ラウアーは「マーケットの魔術師 株式編 増補版」に掲載されているインタビューで「このビジネスでの収益は、素晴らしい会社に投資することではなく、株価の非効率性を突くことから生まれる。強気のファンダメンタルズの領域を超えて株価が上昇するなら、世界の最優良銘柄であっても、その銘柄への投資は悲惨なものとなり得る。その逆に、悪材料で集中砲火を受けた銘柄であっても、その下げが弱気のファンダメンタルズの領域を超えているなら、素晴らしい投資になり得る」と述べていますが、これは証券投資の本質をよく表しているといえます。

◆慣れ
投資家は、自分がよく知っている会社に投資することを好みますが、このような行為を「慣れ」といいます。「自社株だから安心」と考えるのは、典型的な慣れのパターンです。私も従業員持株会では大損していますので、人のことは言えません(苦笑)。

◆まとめ
以上が、行動ファイナンスのさわりの部分ですが、どうだったでしょうか。自分の投資を振り返って、心当たりのある部分はなかったでしょうか。鏡に映った自分の姿を見ている気がしませんでしたか。私は初めて「人生と投資のパズル」(行動ファイナンスの入門書)を読んだとき、目から鱗(うろこ)が何枚も落ちたような気持ちでした。
投資家としても成功をおさめたジョン・メイナード・ケインズやバリュー投資の父と呼ばれるベンジャミン・グレアムは、投資家の心理的側面をすでに見抜いていました。ケインズの美人投票の話はよく知られていますし、ベンジャミン・グレアムは名著「賢明なる投資家」で「投資家にとって最大の問題であり、最悪の敵でさえあるのは、自分自身であることが多い」という有名な言葉を残しています。
その後は効率市場仮説をはじめとする現代投資理論により「投資家は合理的に行動する」ものとされました。「価格と価値が一致する」効率市場仮説では、バリュー投資は受け入れられなかったのですが、そこに登場したのが行動ファイナンスという新しい投資理論です。角田康夫氏は「人生と投資のパズル」で「効率市場仮説が成立するためには、投資家は合理的な存在であるという、当然というか、あるいはそんなバカなというか、立場によって微妙に感想が異なる強力な仮定が必要になる。(中略)そこで投資家がみな本当に合理的であるかを考えてみると・・・考えなくてもわかるが、そんなことがあるわけはないのである。「ああしとけばよかった」という後悔が付きまとわない投資経験はほとんど誰にもないだろう」と述べていますが、私も強く同意します。
今や行動ファイナンスの台頭により、バリュー投資は理論的にも強力なバックアップを得ることができました。一方で、現代投資理論は「伝統的ファイナンス」と呼ばれるようになり、やや旗色が悪くなっています。時間のある方は「ウォール街のランダム・ウォーカー」の版を追っていくと面白いですよ(有名な本なので、図書館や古本屋に旧版があるはずです)。著者のマルキール教授は効率市場仮説派に属する学者で、旧版では投資家の心理面にも理解を示していたにもかかわらず、最新版では行動ファイナンスへの反論にやっきになっています。
年頃のお嬢さんは、よく鏡を見ていますね。投資家にとって、行動ファイナンスは、自分自身を映し出す「心の鏡」です。皆さんも行動ファイナンスを勉強して、「心の鏡」をよく見るようにしてください。行動ファイナンスは、効率市場仮説と違い、実際の投資に役に立つ理論です。そして、人間の心理面の弱さが引き起こす、投資家にとって不利益な行動から身を守ることもできるのです。

◆行動ファイナンスの本
こちらにも掲載していますが、行動ファイナンスを勉強したい方のために本を紹介しておきます。入門書としては「人生と投資のパズル」か「最強のファイナンス理論」が手軽でいいと思います。さらに興味が出てきたら、教科書的な「最新 行動ファイナンス入門」で基本を押さえてから「投資の心理学」を読むと理解が深まります。
尚、行動ファイナンスの第一人者として有名なリチャード・セイラーの著書「市場と感情の経済学」は絶版状態になっています。「投資の巨匠たち」にもリチャード・セイラーが取り上げられていますので、こちらをおすすめしておきます。後、ラリー・スウェドローの著書「ウォール街があなたに知られたくないこと」「間違いだらけの投資法選び」は効率市場仮説をベースとしながらも行動ファイナンスの要素が取り入れられており、バランスの取れた株式投資の入門書です。


■やさしい行動ファイナンス<前編>(2004年9月20日)
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このサイト「パーシャル・オーナー」の開設から1年あまりが経ちました。カウンタも70,000ヒットを超え、順調なアクセスと皆さんの「見てますよ」という一言が励みになっています。本当にいつもありがとうございます。
1周年記念というわけではありませんが、 最近注目されている「行動ファイナンス」について、なるべくやさしく書いてみます。少し長くなりそうなので、<前編>と<後編>の2回に分けます。

◆自信過剰
2003年の後半、2004年の前半とも株式市場は好調でした。このような上げ相場で株式投資を始めると、誰もが素晴らしいパフォーマンスになります。特にJASDAQ、マザーズ、ヘラクレスといった新興市場の小型株が上がりましたので、小型株への集中投資を行った投資家のパフォーマンスは素晴らしいものがあります。投資資金を2倍から4倍にした投資家も続出しました。
このような状態では、投資家は「自信過剰」を起こしがちになります。自信過剰により、人は自己の知識を過信し、リスクを低く見積もり、自己の能力を過大評価して、世の中の多くのできごとをコントロールできると考えてしまいます。そして過剰な取引を行い、ポートフォリオの分散化が不十分になり、リスクの高い小型株に投資するようになります。
1999年から2000年のインターネット・バブルは記憶に新しいと思います。多くの投資家が一時的に大儲けして、自信過剰に陥りました。そして彼らは、ソフトバンクや光通信といったハイリスクの株式に大金を注ぎ込み、バブル崩壊と共に消えていったのです。

◆近視眼的損失回避
バリュー投資の場合は、持株を毎日チェックする必要はないのですが、私自身は1日に何度かチェックしています。内勤でいつでもインターネットに接続できるので、つい気になって見てしまうのです。このように、長期投資を目指していても、短期的な損失を恐れるあまり、ポートフォリオを頻繁にチェックする傾向を「近視眼的損失回避」といいます。

◆後悔
こんな経験はないでしょうか。
・持株が少し上がったので、売却して薄利を確定した。株価の方はその後も上がり続けている。
・買い値を下回っている銘柄がある。買い値まで戻ったら売却するつもり持っているが、そのまま塩漬けになりそうだ。
「後悔」とは「投資家は値上がりした銘柄を売りたがり、値下がりした銘柄をなかなか手放さない」ことです。私も未だに経験しますが、利益を逃したくないばかりに少しの値上がりで売ってしまい、損失を認めたくないばかりに値下がりした株を売ることができないのです。株式投資で利益を上げるコツは、値上がりした株はなるべく持続して、値下がりした株を早めに処分することなのですが、後悔によりその逆を行いがちになります。

後編>に続きます。


■強盗さまさま(2004年9月19日)by yukikaze_fundさん
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ライブドアの社長が球団経営参入の方針をブチ上げ”時の人”になっています。これにより、もともと世間一般への認知度がさほど高くなかった同社の知名度は、数倍アップしたでしょうから、宣伝効果は計り知れないものがあります。通常の宣伝活動で同様の効果を上げるためには、数十億単位を下らない広告費用が必要だと思いますので、それをコストをかけずに実現してしまった同社の広告戦略は大成功を収めたと言っていいでしょう。

もっとも、ライブドアの場合、1リーグ制移行に横ヤリを入れることによる売名だけでやめておけばベストでしたが、本気で球団経営を実現させようとして検討に入っているようですので、タダ同然で知名度を上げた宣伝費の節約分などすぐに食い潰してしまう恐れがあります。同社については、楽天に敵意を燃やし、わざわざ高額賃料を払ってまで六本木ヒルズの楽天より上の階に入居を決めるなど、コスト意識に問題があるようにも見受けられます。

さて、話は変わりますが、9/17付の朝日新聞夕刊に”「すき家」牛丼再開初日に強盗、25万円奪われる”という記事が出ていました。投資家の視点で考えると、この事件はすき家を展開するゼンショーにとっては、実にラッキーな出来事です。なにしろたった25万円のコストで、同社の牛丼再開が全国に報じられたわけですから。


■ツノダという不動産会社(2004年9月5日)by yukikaze_fundさん
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(かつてバリュー日記で「個人の投資対象に非ず」と断じた同社ですが、あらためて調べてみたところ、興味深い現実に突き当たりました。)

名証2部にツノダという会社が上場しています。投資家の注目度という意味ではあまりパッとしませんが、国産自転車の老舗企業ですのでご存知の方もいるでしょう。愛知県小牧市に本拠地を構える同社ですが、自転車事業の先細りに後押しされる格好で、保有資産の有効利用に活路を見出し、企業として新たなステージに進みつつあります。

同社の事業部門のうち、かつての本業の自転車部門は2004年6月期で売上高わずか2千万円にまで落ち込み、もはや自転車屋の看板を掲げているのが不自然ともいえる状況となっていました。本社隣接地で展開していた収益の柱、倉庫・物流部門も苦戦を強いられていたことから、同社の先行きには暗雲が立ち込めていたといっても過言ではないでしょう。

しかし先日、そんな苦境を一挙に打開する計画が持ち上がりました。それが本社とその隣接地の既存施設を取り壊し、商業施設を建設するというプランです。事業者はホームセンターなどを運営するコーナン商事で、6/8付プレスリリースによると、ツノダはこれにより年間2億6千万円の賃料収入を得ると見込んでいます。(7/30付臨時報告書に賃貸借契約締結の記述あり。)

8/18付決算短信にも大規模な設備投資について言及がないことから、建物の所有者は第三者になると思われます。この仮定に基づくと、設備の償却負担がありませんの で、同社が得る営業利益は少なく見積もっても売上の半分の1億3千万円程度にはなるでしょう(注-1)。コーナン商事の新店舗が開業するのは来春なので、実際にこの収益がフル寄与をはじめるのは2006年6月期に入ってからのことになります。

ツノダは、現在までの決算状況だけを見ていると手が出しにくい企業ですが、将来のキャッシュフローまで計算に入れると買えない先ではないと言えそうです。何より、 ツノダ自身が異常な規模の自社株買いで市場から流通株式を吸い上げているのが、将来の増配を視野に入れた配当負担軽減への布石、もしくは現経営陣によるMBO(自社の買収&上場廃止)の下準備のように感じられるのですが、いかがでしょうか?

(注-1) 商業施設賃貸の利益率
無借金の商業施設特化型REIT、フロンティア不動産投資法人の予想利益率は50.7%となっていますが、これにはプロパティマネジメント報酬や建物・付属設備等の償却負担が含まれていますので、ツノダのケースを土地のみの賃貸と想定すると、さらに高い利益率になると思われます。 なお、商業施設の賃貸借においては、(1)契約期間が長くなるため長期にわたり安定した収益が見込める、(2)敷金(無利子負債)は家賃数年分相当額を預託させるのが通例となっている、というメリットがあります。


■巨大投信を追撃せよ<後編>(2004年8月28日)by yukikaze_fundさん
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気になるファンドの中身ですが、グローバルソブリンオープンが日本国債も組み込んでいるのに対し、東京三菱外国債券オープンはその名の通りでJGBは一切入れていま せん。また、グロソブが市場規模の割にドイツやフランスの比重を低位にしてイタリア(注-1)・ベルギー・スペインなどのウエイトを高めているのに対し、東京三菱の商品は全体のバランスがいいように感じられます。

その他の注目商品としては、三井住友銀行などが扱うユーロ短期債ファンドが挙げられるでしょう。これも毎月分配を売り物にしている商品ですが、販売手数料1.05%、 信託報酬0.798%、信託財産留保額は無料と、東京三菱外国債券オープンにも勝るローコスト投信となっています。残存年数1年未満の短期債が主な投資対象ですの で、保有する債券価格の変動リスクが少ないという特徴もあります。

1億円以上の運用資産があり、数千万円単位で外債投資をできるのであれば、外債投信など買わずに自分で国際分散投資するほうが有利に決まっていますが、もう少し小規模で外債投資を考えている人や、資産があっても途中で換金(注-2)する可能性のある人には、これらはお勧めの商品といっていいでしょう。もちろん為替と金利の変動には注意が必要ですが。

(ここで挙げた以外にも、例の巨大投信より有利な商品性を備えた外債ファンドはいくつか存在します。日本円と運命をともにしたくない、心中したくないと考える人 は、各金融機関のサイトなどで比較・検討してみましょう。ただ、洋の東西を問わず、積極的に資産形成を目指すなら、債券よりは株のほうが近道となることが多いようです。)

(注-1)イタリアのソブリン格付
7/7付でS&Pから先進国7ヶ国では最低となる等級に格下げされ、日本と同格となっています。

(注-2)外債の償還前換金
米国債のような流動性のある銘柄でない場合、証券会社の提示する買取レートが顧客に不利になるケースが多いでしょう。


■巨大投信を追撃せよ<前編>(2004年8月21日)by yukikaze_fundさん
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(海外の国債への投資がバリュー株投資のような大きな利益をもたらす可能性は極めて低いと言えるでしょう。もしもその”ありそうもないこと”が現実になるとしたら、それは円という通貨が暴落するときです。)

以前にグローバルソブリンオープンという人気商品について、否定的なコメントをしましたが、実は私自身、あの商品は“円からの逃避”という目的を叶えるには悪くな い商品だと思っています。投資信託にしては販売手数料や信託報酬などのコストを抑えてあるので、よくあるボッタクリ商品とは一線を画していると思うからです。しかし、少し調べてみると後発組にはもっと有利な商品も存在することがわかります。

一例が東京三菱外国債券オープン(毎月分配型)です。商品コンセプトはグロソブに非常に似通っており、設定もグロソブの純資産額が急増して一兆円に迫り、巨大投信として騒がれ始めた時期と一致しますので、おそらく流れに便乗したパクリ商品なのですが、後発ゆえの不利を克服するために徹底的にコストを削ってあります。

実際、販売手数料はグロソブより0.525%安い1.05%(▲33.3%)、保有期間にわたって支払う運用手数料にあたる信託報酬は0.2625%安い1.05%(▲20.0%)、解約 時に徴収される信託財産留保額も0.2%安い0.3%(▲40.0%)となっています。これらは投信としてはなかなかの好条件であり、グロソブ購入層に狙いを定めた東京三菱の“この商品に賭ける意気込み”が伝わってくるようです。


■4番バッターと守備の人(2004年8月14日)
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プロ野球を見ていて、このような体験はないでしょうか。あなたが応援しているチームが1点差で負けているとします。試合も後半戦に入った頃、1アウト満塁のチャンスをむかえました。ここで打撃好調の4番バッターが登場しますが、結果は外野フライ。3塁ランナーがタッチアップして1点が入っただけです。ホームランを期待していたあなたは、結果にあまり満足できませんでした。しかし、この場面で途中出場の「守備の人」に打席が回ってきたならどうでしょうか(代打は送れないとします)。同じ犠牲フライでも「よくやった」と思うはずです。つまり、4番バッターと守備の人では、期待の度合いが全然違うのです。

株式市場では「4番バッター」が成長株で、「守備の人」がバリュー株です。常に期待されている成長株は決算が良くて当たり前、ちょっとした悪材料で株価が急落します。ほとんど期待されていないバリュー株は決算が悪くてもそう下がらず、逆によければ急騰したりします。

下のグラフは企業収益が予想よりいい場合(好材料)と予想より悪い場合(悪材料)について、バリュー株(低PBR銘柄)と成長株(高PBR銘柄)の株価がどのように反応するか検証したものです(「ファンドマネージャーの株式運用戦略」より)。検証期間は1990年5月から1996年11月までの6年半、対象銘柄は金融セクターを除く東証一部の銘柄です。ご覧のように成長株と比較したバリュー株の株価は、悪材料にはあまり反応せず、好材料には大きく反応しやすくなっています。このことは、普段からバリュー株を過小評価して、成長株を過大評価する傾向があることを示しています。

「娯楽」であるプロ野球では「4番バッター」を応援するのでしょうが、「投資」である株式市場では守備の人を応援すべきですね。株式市場を「娯楽」と考えるなら「4番バッター」を応援してもいいのかもしれませんが。

好材料・悪材料に対する反応


■銘柄レポート:日本金銭機械<修正版>(2004年8月7日)
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◆はじめに
日本金銭機械の銘柄レポートについては、リンクを貼ってご紹介下さったり、様々なご意見・ご感想をいただきました。ありがとうございます。私自身も考えるところがありましたので、今回修正版を作成してみました。前回のレポートも残してありますので、興味のある方は合わせてご覧ください。

◆売上高と営業利益率

売上高と営業利益率

過去10年の売上高と営業利益率に2005年度の会社予想を加えたグラフです(過去10年分のデータはMSNマネーで入手できます)。1996年、1999年、2003年は売上高が前年を下回っていますが、長期的には売上高、営業利益率ともきれいな右肩上がりを描いています。このような相乗効果により、当期純利益は1995年度の4億円から2004年度の40億円強まで増え、10年間で10倍になっています。それにしても、ほれぼれするようなグラフです。

◆キャッシュフロー

キャッシュフローの状況

過去4年のキャッシュフローの状況と2005年度の会社予想です。CFは営業キャッシュフローを使用しています。注目すべき点は、いずれの年もFCF(フリーキャッシュフロー)がプラスであることです。「設備投資は営業キャッシュフローの範囲内で行うのが原則(FCFマネジメント)」ですが、実行できている会社は以外と少ないです。そのFCF(フリーキャッシュフロー)の蓄積により、現金同等物の残高は2001年度の50億円弱から2004年度の134億円まで増えています。まさにキャッシュフローマシン(金銭機械)ですね。

◆企業価値とEBITDA倍率

企業価値 企業名
金銭機械 マース
株価7/30
3,990
3,790
株式数
17,995
22,720
時価総額(MV)
71,800
86,109
有利子負債
300
1,700
現金同等物
11,274
15,931
ネット・デット
-10,974
-14,231
企業総価値(EV)
60,826
71,878
簿価純資産
20,802
28,987
企業名 金銭機械 マース
損益・諸倍率 前期実績 当期予想 前期実績 当期予想
売上高
32.637
36,200
30,723
35,500
営業利益
7,281
8,300
8,175
10,100
減価償却費
448
627
500
550
EBITDA
7,729
8,927
8,675
10,650
当期純利益
4,037
5,000
4,240
5,750
PBR
3.5
 
3.0
 
PER
17.8
14.4
16.9
12.5
EBITDA倍率
7.9
6.8
7.0
5.7

MBAバリュエーション」に掲載されていた「企業価値評価検討表」の簡易版を作成してみました。この表は会社四季報のデータだけで出来てしまうのがミソです。ここでは、企業総価値(Enterprise Value、EV、事業の継続価値としての企業価値)とEBITDA倍率(EV/EBITDA倍率)を求めます。EBITDA倍率は同業他社との比較(マルチプル法)に用いられることも多いので、類似企業としてマースエンジニアリングを掲載してあります。グローリー工業は業績が不安定なので、対象から外しました。計算式は下記の通りです。

ネット・デット = 有利子負債 − 現金及び現金同等物

企業総価値 = 株式時価総額 + ネット・デット

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

EBITDA倍率 = 企業総価値(EV)/ EBITDA

◆EBITDAの問題点
「EBITDA(イービット・ディー・エーまたはイビットダーと読みます)は営業利益に減価償却費を足したもので、キャッシュフローに近い「生の利益」です。EBITDA倍率(EV/EBITDA倍率)は裸の企業価値(企業総価値)が事業活動から生み出されるキャッシュの何倍かという指標です」がEBITDAとEBITDA倍率の一般的な説明です(「MBAバリュエーション」より)。

しかしながら、池田正明氏(「FCFマネジメント」の著者)が新刊「できる人の決算書の読み方」でEBITDAの問題点を指摘しています。まず、利益が出ていない企業でも、有利子負債が多く、減価償却負担が巨額であれば、EBITDAは黒字になることです。ウォーレン・バフェットは「マネーマスターズ列伝」で、このような企業を「煙突産業」と激しく批判しています。 もう一つは、「CF  = 税引後利益 + 減価償却費」という式には運転資金の増減が含まれていないので、EDITDAではキャッシュフローがわからないことです。

今回、日本金銭機械の分析にEBITDA倍率を使用してみたのは、有利子負債がほとんどなく、減価償却費も売上や利益に比べて少ないことから、比較的まともな値が出ると思ったためですが、あまり誉められたものではなかったかもしれません。

◆DCF法はどうか
DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法についての解説はバリュー投資情報局DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー・・・割引キャッシュフロー)法をご覧ください。ここに書かれている通り、「投資対象となる会社の毎年のフリーキャッシュフローを事前に予測する事は、極めて難しい」 という理由で、私はDCF法の使用を避けています。

◆FCF(フリーキャッシュフロー)による企業評価

企業名 金銭機械 マース
A 時価総額(MV)
71,800
86,109
B 流動資産
25,313
32,174
C 負債合計
8,541
15,929
D A - B + C
55,028
69,864
E FCF
2,882
7,251
F D / E
19.1
9.6

結局、今回はFCF(フリーキャッシュフロー)による企業評価に落ち着きそうです。荒っぽい計算ですが、流動資産より負債合計(流動負債 + 固定負債)を引いたものを剰余金と仮定します。時価総額より剰余金を引いたものが企業価値です。企業価値を直近のFCF(フリーキャッシュフロー)で割るとFCF倍率を求めることができます。FCFは営業CFから投資CFを引いたものが一般的ですが、ここでは「現金及び現金同等物の増加額」を使用しました。

企業価値 = 時価総額 − 流動資産 + 負債合計

FCF倍率 = 企業価値 / FCF(フリーキャッシュフロー)

FCF倍率を使用すると、企業を時価で買収した場合、何年で元が取れるか計算できます。現状では、日本金銭機械が19年かかるのに対し、類似企業のマースエンジニアリングは10年弱で投資を回収できることになります。

◆新中期事業計画の懸念材料

新中期事業計画の推移

日本金銭機械では"JCM World 21"をスローガンに「新中期事業計画」を策定しており、上図は計画値のグラフです。達成には売上高で20%弱、経常利益でも2007年、2008年は25%の増収増益ペースが必要であり、計画自体が強気過ぎるようにも感じます。なぜなら、日本金銭機械は過去10年間でも1996年、1999年、2003年と3〜4年サイクルで売上が前年を下回っており、循環的に成長している企業だからです。このような計画では2008年までに1年でも悪い年があると未達の可能性があり、投資家は慎重なスタンスを取るべきです。

◆おわりに
何だかまとまりのないレポートになってしまいました。類似企業として選んだマースエンジニアリングの方が、各種指標で割安と出たのも皮肉です(苦笑)。このような成長企業の評価には、どの方法を使えばいいのか、まだ迷っています。当分は試行錯誤が続きそうですが、FCF(フリーキャッシュフロー)をベースに何らかの形ができればいいなと思っています。その点、ベンジャミン・グレアム流の清算価値分析は楽です。

◆参考文献
日本金銭機械 事業報告書PDF
日本金銭機械 決算説明会補足資料PDF
日本金銭機械 平成17年3月期 第1四半期財務・業績の概況(連結)PDF
マースエンジニアリング 平成16年3月期 決算短信(連結)PDF


■銘柄レポート:日本金銭機械(2004年8月2日)
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◆はじめに
銘柄レポートを書くのは、5月のラウンドワン以来久しぶりです。今回は、好調な四半期決算を発表して、業績上方修正を行った日本金銭機械を取り上げます。事業内容などは省略しますので、知りたい方は同社のウェブサイトをご覧ください。

◆売上高と営業利益率

売上高と営業利益率

過去10年の売上高と営業利益率に2005年度の会社予想を加えたグラフです(過去10年分のデータはMSNマネーで入手できます)。売上高、営業利益率とも長期的にはきれいな右肩上がりを描いています。このような相乗効果により、当期純利益は1995年度の4億円から2004年度の40億円強まで増え、10年間で10倍になっています。それにしても、ほれぼれするようなグラフです。

◆キャッシュフロー

キャッシュフローの状況

過去4年のキャッシュフローの状況と2005年度の会社予想です。CFは営業キャッシュフローを使用しています。注目すべき点は、いずれの年もFCF(フリーキャッシュフロー)がプラスであることです。「設備投資は営業キャッシュフローの範囲内で行うのが原則(FCFマネジメント)」ですが、実行できている会社は以外と少ないです。そのFCF(フリーキャッシュフロー)の蓄積により、現金同等物の残高は2001年度の50億円弱から2004年度の134億円まで増えています。まさにキャッシュフローマシン(金銭機械)ですね。

◆企業価値

企業価値
株価7/30
3,990
株式数
17,995
時価総額(MV)
71,800
有利子負債
300
現金同等物
11,274
ネット・デット
-10,974
企業総価値(EV)
60,826
簿価純資産
20,802
 
損益・諸倍率 前期実績 当期予想
売上高
32.637
36,200
営業利益
7,281
8,300
減価償却費
448
627
EBITDA
7,729
8,927
当期純利益
4,037
5,000
PBR
3.5
PER
17.8
14.4
EBITDA倍率
7.9
6.8

MBAバリュエーション」に掲載されていた「企業価値評価検討表」の簡易版を作成してみました。この表は会社四季報のデータだけで出来てしまうのがミソです。まず、企業総価値(Enterprise Value、EV、事業の継続価値としての企業価値)を求めます。

ネット・デット = 有利子負債 − 現金及び現金同等物

企業総価値 = 株式時価総額 + ネット・デット

要するに、時価総額に負債を加え、現預金を除外したもの(厳密に計算する場合は遊休不動産や投資有価証券も除外します)が企業総価値になります。次にEBITDA倍率(EV/EBITDA倍率)を計算します。

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

EBITDA倍率 = 企業総価値(EV)/ EBITDA

EBITDA(イービット・ディー・エーまたはイビットダーと読みます)は営業利益に減価償却費を足したもの(償却前営業利益)で、キャッシュフローに近い「生の利益」です。EBITDA倍率(EV/EBITDA倍率)は裸の企業価値(企業総価値)が事業活動から生み出されるキャッシュの何倍かという指標です。要するに、その企業を時価で買収した場合、何年で元が取れるかという意味です。日本金銭機械は当期予想では6.8倍ですから、時価で買収できるなら理論上は7年弱で元が取れることになります。これを割安と思うか割高と思うかは、日本金銭機械の今後の成長をどう捉えるかによります。会社側の「新中期事業計画」が達成できるなら割安と言えますが、過去10年間でも売上・利益とも伸び悩んだ時期があることを考慮すると、計画自体が強気過ぎるようにも感じます。よって「持株を売るほど割高ではないが、新規投資は慎重に行うべし」を私の意見とします。

◆おわりに
今回は、初めてEBITDA倍率(EV/EBITDA倍率)を用いた銘柄レポートを書いてみました。ベンジャミン・グレアム流の清算価値分析で割安な銘柄を買い待つのも一つの方法ですが、キャッシュフローと企業価値を比較して割安な株を買うことが投資の本流のような気もしてきました。機関投資家のファンドマネージャーである渡辺幹夫氏も著書「ファンドマネージャーの株式運用戦略」で「低EBITDA倍率戦略はバリュー系ファクターと同等かそれ以上の優れものである」と述べています。

◆参考文献
日本金銭機械 事業報告書PDF
日本金銭機械 決算説明会補足資料PDF
日本金銭機械 平成17年3月期 第1四半期財務・業績の概況(連結)PDF


■現地集合のパラドックス(2004年7月23日)
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飲み会でもテニスでもいいですが、イベントをやるとします。幹事が「現地集合でお願いします」と決めても、必ず「最寄駅の改札で10分前に待合せをしましょう」という人達が現れます。さらに方向が同じとかで「別の駅で待合せて最寄駅まで同じ電車で行きましょう」という人達まで現れます。つまり、参加者の中でAさん、Bさん、Cさんが最寄駅の改札で待合せ、さらにAさん、Bさんが別の駅で待合せる具合です。

この方法のまずいところは、Aさん、Bさんのうち、仮にAさんが別の駅での最初の待合せに遅れると後の段取りが全て遅れてしまうことです。現地集合ならAさんの遅刻だけで済んだのに、こういうことを行うと他の人までがとばっちりを受けます。特に、気を使って早めに現地入りしていた幹事は大迷惑です。以前、このような待合せのおかげで、2時間予約していたテニスコートを1時間も使えなかったことがあります。私はこれを「現地集合のパラドックス」と呼んでいます。


■グロソブとアンパンマン現象<後編>(2004年7月19日)by yukikaze_fundさん
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運用益を上回る分配をしている巨大投信、グローバル・ソブリン・オープンですが、現在のタコ配のような状況が続くと将来確実に分配金を払うのが苦しくなってきます。

これは、基準価格が10,000円のときに40円を分配するのと、8,000円のときに同額を支払うのはどちらが楽かを考えればわかりやすいでしょう。基準価格が高い(=運用資産が多い)ほうが運用益で分配金をカバーしやすくなりますが、逆にそれが下がってくると運用では賄えず、分配金の負担が加速度的に投資元本を侵食する結果となるわけです。

つまり、負のスパイラルに片足を突っ込んでいるというのが、この人気商品の現状というわけです。2001年1月以降、毎月40円を分配し、金融機関の販売用資料でも“毎月安定した分配”という宣伝文句が踊っていますが、今後大幅な円安や世界的な金利低下(=債券価格上昇)といった“神風”が吹かなければ、いずれは分配金の水準を20〜30 円程度にまで落とさざるを得なくなりそうです。

◇   ◆   ◇   ◆   ◇

身を削って持ち主に尽くすグロソブくん・・・、なんだか、どことなくアンパンマンに似ていませんか?でも、アンパンマンはジャムおじさんが直してくれるから復活できますが、グロソブくんは・・・?


■グロソブとアンパンマン現象<前編>(2004年7月18日)by yukikaze_fundさん
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アンパンマンは、ジャムおじさんが作ったアンパンに、ひょんなことから命が吹き込まれて生まれたせいぎのみかた。お腹がすいている人を見かけたら、じぶんの顔のアンパンをちぎって食べさせてあげます・・・

◇   ◆   ◇   ◆   ◇

グローバル・ソブリン・オープンという国際債券型の投資信託が人気を集めています。 驚いたことに、個人を中心とした資金流入により、ファンド規模は既に3兆円を超えるまでに拡大しています。毎月分配金がもらえるというコースがあるのが、人気の大きな要因となっているようです。

売れに売れているこの巨大投信ですが、果たして為替と債券価格の変動、対象国の信用状況の変化といった主なリスク要因以外に死角はないのでしょうか? 7/9付の運用報告レポートによると、この商品は設定以来6.55年が経過していますが、 分配金を配分しなかった場合の基準価格は11,536円となっています。つまり、この間の年換算利回りは2.33%ですので、まずますの好成績だと言えそうです。ところが、実際の基準価格は毎月分配型で7,805円となっており、設定時の10,000円を2割以上下回っています。これは運用の結果がプラスでもマイナスでも、必ず分配金払う仕組みであるのが原因です。

こうした状況が続くと、将来この商品はどうなってしまうのでしょうか?


■クラッチのない車(2004年7月17日)
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15年乗っていた、いすゞジェミニの調子が悪くなってきたので、車検前に買い替えました。新車の見積もりも取ったのですが、結局は中古のサニーに決めました。平成15年式、走行6,800km、ディーラーが代車で使っていたものを、オール込み91万円で購入しました。サニーは末期モデルで人気がないため中古車も安いそうで、不人気なものにバリューがあるのは株式市場だけではないようです。ちなみに、私はトヨタ株を持っていますが、投資と消費は別に考えています。

本日、引取に行ってきました。私、オートマ車は初めてなのですが、まるで遊園地のカートを運転しているようです。「何か運転させられているような・・・。こんなのでいいのか。仕事で使う人はともかく、この車で休日のドライブに行って楽しいのだろうか」そう思います。それと自分で運転してみて、オートマ車の交差点での発進の「微妙な間」がわかりました。

あと、シートですが、ジェミニは「ハンドリング・バイ・ロータス」という上級グレードのためレカロシートだったので、サニーのものはチャチに感じます。シートベルトの締め付けもきついですね。ジェミニのは引っ張ったところで止まるタイプでした。早速インターネットで調べてみると「シートベルトストッパー」というアクセサリーがあるそうで、明日にでも買いに行きます。そういえば、オートバックスセブンも今ではバリュー株になったものです。

車はきれいに整備されていましたが、タイヤやちょっとした傷をペイントした後を見ると、やっぱり中古車です。アクセルペタルの減り具合とかも。まあ、新車を購入するより60万以上安く買えたわけですが、その「プレミアム」分をどう感じるかは人それぞれなのでしょう。私は年々価値の減るものに対しては、プレミアムを払う気にはなりません。もっとも、株を買うときもプレミアムは払っていないつもりですけどね。


■ギャンブラーの戒め(2004年7月11日)by yukikaze_fundさん
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「全額勝負なんてバカなマネはするな・・・絶対の自信があってもだ。タネ銭さえ残せば勝負では勝つ可能性がいくらでも出るんだ・・・」

実はコレ、以前モーニングに連載されていた「BET」というマンガに出てくるセリフです。作中で、ラスベガスでしのぐ日本人ギャンブラー北島が、カジノで知り合った江藤に語りかけるこの言葉は、株式投資の世界でも通用する“勝つための掟”なのかも知れません。私は必ずしもフルインベスト否定派ではないのですが、妙に納得させられたのを覚えています。

押川雲太朗作のこの作品は、この手のマンガにしては主人公の勝ち方が地味だったせいか、長くは続かず、全3巻で終わってしまいました。個人的には、その地味さがバリュー株投資の考え方に通じるようで、結構好きだったのですが・・・。そういえば、第1巻の1ページ目にはこんな言葉もありました。

「本物のギャンブラーは大金をつかむなどというバカなことを考えない・・・いちばん大切なことは“負けない”ということだ。」


■ポーカーの思い出(2004年7月8日)
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昔のことですが、職場の先輩が「昼休みにポーカーをやろう」と言い出しました。しかも点数を付けると言うのです。「これは、困ったことになった」ギャンブルを一切やらない主義の私はそう思いました。こうなったらポーカーを投資と考え、採算が合うようにするしかありません。そこで、オーソドックスに手が悪いときはさっさと降り、手がいいときは大きく勝負に出るようにしました。相手に手を読まれるのを防ぐため、手が揃っているように見せかける「かまし」もたまに使いました。

その結果、毎月コンスタントに5千点勝つことができました。カモになった外注のオペレータは月1万点負け続けましたが、彼はすぐ顔に出るので、手を完全に読まれていました。「ポーカー・フェイス」とはよく言ったものです。手が堅すぎる外注のプログラマも勝つことができませんでした。大きな手どうし(ストレート対フラッシュ等)で負けたときのダメージを取り返せなかったのです。先輩達は買ったり負けたりでしたが、勝負にスリルを求めるあまり、好調時の儲けを吹き飛ばしてしまうケースが多かったように思います。他のメンバーからは、私のポーカーは「つまらなく」見えたことでしょう。

私はポーカーで得た点数を、競馬での儲けのように飲み会で他のメンバーに還元するようなことはしませんでした。あくまで「投資」で得たリターンですので、点数を現金と見なして1か月定期に預けていました。そして金利が下がると聞いたとき、まとめて定額貯金に預け換え、今では結構な高利回りで運用されています。


■週末起業セミナー(2004年7月3日)
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昨日は「週末起業セミナー」に参加してきました。新刊の「週末起業チュートリアル」を読み、藤井孝一氏の話を直接聞いてみたかったのです。大阪で開催するのは半年振りとのことですが、小さな会場で、受付の女性が一人いるだけでした。セミナーの方も司会者を立てたりせず、藤井氏が配付資料の確認から質問の受付までこなしていました。とにかく「話が上手いなあ」が第一印象です。「皆さん、堅いですねえ」の第一声で参加者の緊張をほぐし、参加者の興味を引くような「ここだけの話」を盛り込みながら、講義は佳境に入ります。まるでエキサイティングな映画をみているような、あっという間の1時間半でした。

特に印象に残ったのは夜景評論家の話です。
■本を出そうと思い出版社を回っても相手にされず、自費出版でもいいからと何とか出版にこぎつけた。
■その本と「夜景評論家」の名刺を持って、カルチャーセンターに講座を売り込み、採用される。プログラムは大学の講座を参考に考えた。
■本と講座のプログラムと名刺を持って、夜景が売りのホテルに「夜景評論家ですが、部屋にお墨付きを与えてもいいですよ」と売り込み、採用される。
■実際にその部屋は売れ(稼働率が上がり)、他のホテルよりも引き合いが殺到した。
要はアイデア次第ということですね。

ことしはバリュー系個人投資家の方とお会いする機会が多く、サイトをお持ちの方では、「マネーマスター」のしんさん、「Makky のいちからはじめる株式投資」のMakkyさん、「J's Investment World」のJAYさんにオフ会でお話を伺うことができました。次は起業家の方に会ってみたいと思っています。このように同性との出会いは比較的順調なのですが、異性との出会いがあまりないのが、何とも残念です。



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