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今、白ワインが面白い!
Grande Cucina e Vino(偉大なる料理と白ワイン)


 
GAMBERONI CON LA POLENTA FRESCA AL MODO MIO
(ガンベローニ・コン・ラ・ポレンタ・フレスカ・アル・モード・ミオ)
-大海老の自己流フレッシュ・ポレンタ・ソース添え-



 Pinot Bianco(ピノ・ビアンコ)

Photo/Created by chika
注:勤め先の「リストランテ・ガンベロ・ロッソ」の一品ではありません


 ”ポレンタ”というものは、オリーヴ・オイルを加えた水で”とうもろこし粉を練り上げた料理のことで、冷まし固めては切り分けて、フライやグリルにする、もしくは”出来たての緩い状態”のもとをそのまま、或いは肉料理などのコントルノ(付け合わせ)にされ食されるものです。中北部イタリアを中心によくみられ、その様々な応用も幅広い獄一般的な料理ですが、一般的には”寒い日々に身体を温める”冬の名物詩”として扱われており、農家それぞれが”豚”を処理してのサラミ造りを始めるなどの”伝統的なしきたり”が生きている2月頃の片田舎になると、毎年村中全員により、この”ポレンタ”と”スペッツアティーノ・ディ・マイアーレ(豚の角切りの煮込み)”を豪快に振舞う食事会が開かれたりするものです。

 そんな、イタリア人にとっては”母の味”とも言えるこの伝統的料理”ポレンタ”ですが、比較的味の要素に欠けた”淡白”な味わいが”味の濃い(重たい)素材”を優しく収めるみたいな働きを持つ料理であるといえ、それ故に魚素材などのデリケートな味わいが売りの素材が相手になると、その本領を発揮出来ないことが良くあります(もっとも、冷まし固められ切り分けられたポレンタのフライなどは、単独でもおつまみや魚料理の付け合せに使用されたりもしますが)。

 そこで、ここでご紹介する”フレッシュ・ポレンタ・ソース”ですが、これは完全に自己流の調理法により仕上げられたもので、使用される素材も”とうもろこし粉”ではなく、とうもろこしのそのもの。蒸しあげた丸ごとのとうもろこしを削るように、先端の黄色い部分のみを用意して、トスカーナ、又はウンブリアなどの中部イタリア産のオリーヴ・オイルと共に白く泡立つように軽く沸き立ったバターの中で、ローズマリー、極々少量の若タマネギ、燻製のグアンチャーレ(豚の頬肉)を刻んだものと共に和えるように混ぜ合わせた濾したものを、塩、胡椒、良質のミネラルウォーターなどで伸ばし緩く仕上げます。素材自体の甘味がデリケートながらにダイナミックなパワーにも溢れたソースが出来上がるので、後は新鮮な大海老を蒸しあげたものをアツアツの状態で提供します。僅かに添えたローズマリー風味のオリーヴ・オイルを添えることも忘れないようにしましょう。

 さて、そんなデリケート且つも味わいの奥行き深い料理に合わせるとのテーマに用いた白ワインは、フランス原産のかの有名な”ピノ・ビアンコ”種。イタリアでは主に北部(トレンティーノ、アルト・アディジェ、フリウリ・ヴェネツイア・ジューリア州)にて親しまれている品種ですが、ほんの十と数年前までは、同じくフランス原産の代表的白ワイン用品種”シャルドネイ”種と混合されていた事実が表すように、そのポテンシャルの高さと厚みのあるボディには定評のある品種であると言えるでしょう。では何故”ピノ・ビアンコ”種かということですが、まず伝統的料理法にこだわらぬ”素材の味中心”の料理、つまり余計な調理や過度な刺激成分の混入を避けられた完成度の高い料理には、酸味が浮き出やすい伝統的品種の簡易な白ワインだと味気なく終わってしまうということが主要な要因でしょう。シャルドネイ種だと、当然もの次第ですが”ワインが浮き立つ”可能性もあるし、香り要素の高すぎる品種(トラミネルなど)とでもバランスが取れない。ソーヴィニョン・ブラン種のあまり香りが高すぎないものや、よほど質の高いヴェルメンティーノ種などならまずまずの相性も見せますが、やはり、適度に溢れたコクとバランスの取れた味わいを持ちながらも”ある種のフレッシュ感”をもみせてくれるこの”ピノ・ビアンコ”種がやはり一番しっくりとくる訳です。当然、”ネーロ”、又は”ビアンコ”に係わらずピノ系の品種を中心に作り出される”スプマンテ”や偉大なシャンパーニュなどとの相性は言わずながらに最高で、海老をグリルにて力強く仕上げれば”シャルドネイ”種とも充分に張り合えるでしょう。親戚筋である”ピノ・グリージョ”種や”トカイ・フリウラーノ”、”リボッラ・ジャッラ”などの品種との組合せも良いですが、それはまた次回お伝えします。

 最後に、イタリアを代表する偉大なる”ピノ・ビアンコ”種のワインを紹介します。近年はトスカーナ地方などでも幾つかの生産者の手による”ピノ・ビアンコ”種のワインが成功を見せ始めていますが、やはり格別のレベルを誇っているのは、下記に紹介されたトレンティーノ、アルト・アディジェ、フリウリ・ヴェネツイア・ジューリア州のものでしょう。前回の”ゲウルツトラミネル”に続き、コレも全てではありませんが、徐々に各々のワインの詳細も追加されてゆくでしょう。

 Trentino Ponot Bianco Pergole`2000 (Longariva)
 Trentino Pinot Bianco`2000 (Istituto Agraio San Michele All`Adige)
 Trentino Pinot Bianco Sorti`2000 (Zeni)
 A,A,Pinot Bianco Weisshaus`2000 (Cantina Produtori Colterenzio)
 A,A,Pinot Bianco Plattenriegl`2000 (Cantina Produtori Cornaiano)
 A,A,Pinot Bianco Schulthauser`2000 (Cantina Produtori San Michele Appiano)
 A,A,Pinot Bianco Fritz Dellago`2000 (Cantina Gries)
 A,A,Pinot Bianco Vial`2000 (Viticoltori Caldaro)
 A,A,Pinot Bianco Puntay`2000 (Prima & Nuova)
 A,A,Pinot Bianco Helios`2000 (Graf Pfeil Weingut Kranzel)
 A,A,Pinot Bianco Kupelwieser`2000 (Peter Zemmer)
 A,A,Pinot Bianco`2000 (Popphof-Andrea Menz)
 A,A,Pinot Bianco Graff Von Melran`2000 (Cantina Produtori di Merano)
 A,A,Pinot Bianco`2000 (Fraz Haas)
 A,A,Pinot Bianco Kastelaz`2000 (Castel Ringberg & Kastelaz Elena Walch)
 A,A,Pinot Bianco`2000 (Cantina Produtori di Termeno)
 A,A,Pinot Bianco`2000 (Hofstatter)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Mario Schiopetto)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Castello di Spessa)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Roncus)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Russiz Superiore)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Cantina Produtori di Cormons)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Isidoro Polencic)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Alessandro Princic)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Franco Toros)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Venica & Venica)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Villa Russiz)
 Collio Pinot Bianco`2000 (Vinnaioli Jermann)
 COF Pinot Bianco`2000 (Andrea Visintini)
 COF Pinot Bianco Zuc di Volpe`2000 (Volpe Pasini)
 COF Pinot Bianco`2000 (Ermacora)
 COF Pinot Bianco`2000 (La Viarte)
 Friuli Aquileia Pinot Bianco`2000 (Tenuta Beltrame)
 Friuli Isonzo Pinot Bianco`2000 (Mauro Drius)
 Friuli Isonzo Pinot Bianco`2000 (Ronco del Gelso)
 Friuli Isonzo Pinot Bianco`2000 (Eddi Luisa)
 Friuli Isonzo Pinot Bianco`2000 (Masut Da Rive)



                                      3月27日 土居 昇用