エノコログサ:イネ科の一年草。道端や野原に自生する雑草。
辞書に載っているのは味気ない説明だけだが、
エノコログサとは周知の如く『猫じゃらし』のことである。
エノコロと言うのは子犬のことで、
穂が犬の尾に似ていることから名付けられたらしい。
しかしその犬の尾が『猫じゃらし』となるのも面白い。
季語では秋となっているのだが、
印象に残るのはやはり穂の出る今の時季である。
荒地に群生している草には小さな穂しか付かないが、
畑の隅で栄養たっぷりに育った草は立派な穂を実らせる。
猫がいた頃には思わず足を止め、
土産にと千切りとって持ち帰ったものである。
小さな穂でも猫は喜ぶが、
それでも大きな穂がないかと探すのが常であった。
猫がいなくなった今では、
横目に見て寂しく通り過ぎるだけである。
また土産にする日が来るだろうか。