妙義山。群馬県西部に位置する岩山である。
最高峰で1162mとそれ程高い山ではないが、変化に富んだ登山道で人気がある。
妙義山は中木川を挟んで2つの山系に分かれ、
東側の表妙義は観光の対象にもなっている。
「上毛かるた」に詠まれているのは表妙義で、
一般観光客も奇岩を楽しむことが出来る。
西側の裏妙義には観光客の姿はなく、静かな山歩きを楽しみたい人に向いている。
登山者の主たる対象は最高峰の谷急山ではなく、
独特の奇岩のある「丁須ノ頭」である。
国民宿舎の横を通って沢沿いに往復すれば、
一般の人でも容易に日帰り登山を楽しめる。
しかし最も魅力的なコースは、横川駅から三方境までの縦走路である。
信越本線の廃止で横川駅も寂れてしまったが、裏妙義への登山には欠かせない駅だ。
滝を横に見て急坂を登って行くと鼻曲りに出て、
眼下には横川駅一帯の風景が広がる。
更に先へ進んで行けば、御岳を経て丁須ノ頭へ至る鋭い稜線が続いている。
岩峰なので土地が痩せているのか、意外と草花は少ない。
急峻な登山道で見かけた「りんどう」も、一株だけひっそりと咲いていた。
行き交う登山者もなく、一人だけの静かな山旅であった。