私が子供の頃、我家には柿の木が無かった。
柿が植えてある近所の家を羨ましく思ったものである。
小学校高学年の頃に植えた富有柿の苗木は、
四十数年を経て多くの実を付ける大木となった。
今では多くの家で柿の木が植えられている。
しかし他にも多くの果物が出回っているためか、
あるいは少子高齢化の影響を受けているためか、
熟した実を付けたまま放置されている木が多い。
柿が御馳走である時代は終わったのかもしれない。
柿の木も大木になると、
高い所に生っている実は容易に採ることが出来ない。
しかしそれらの実は野鳥の御馳走となり、
人間と野鳥とは共存して生きていた。
しかし今では柿の実を食べに来る野鳥は殆ど見られない。
野鳥の口が肥えて柿を馬鹿にしているのではない。
野鳥そのものが急激に減ってしまったのだ。
自然は確実に破壊されつつある。