
第3部
悪夢再来

第1話
手も足も出ない未知のロボット・・・。
自分の体に起こった経験したことのない症状・・・。
ここ数日、起きた出来事がまるで夢の様・・・それもたちの悪い悪夢の様だった・・・。
手も足も出ないまま、戦闘で傷さえも生じないままに捕獲、監禁され大衆の面前で敗北する。
正体不明の薬品により経験したことのない体の火照り、脱力感、
そして翌日になっても回復しない蓄積されたダメージ・・・。
ヒーローとして自分はやっていけるのか?
そんなことさえも頭をよぎるほど精神的に追い詰められていた。
エミル・ハミルトン:もう大丈夫なのかい?スーパーマン
スーパーマン:えぇ・・少し体のダルさが抜けないのが気になりますが・・・
エミル・ハミルトン:原因が不明なんだ・・・すまない・・・
スーパーマン:いいぇ・・・疲れが出たのかと・・・
エミル・ハミルトン:疲れ・・か・・・
ピピピピピピピピピ・・・
エミル・ハミルトン:ちょっと待ってくれ・・・・・・なんだね?・・・
スーパーマン:(こんなに体が重たいなんて・・・・どうしてしまったんだ・・・・・)
エミル・ハミルトン:・・わ、わかった・・すぐに伝えよう・・・
スーパーマン:どうかしたんですか?博士
エミル・ハミルトン:街にエイリアンが出たらしいのだ
スーパーマン:エイリアン!!あの宇宙生物がですか!!
エミル・ハミルトン:行ってくれるか?
スーパーマン:もちろんです!お気遣い、ありがとうございます、博士
エミル・ハミルトン:あぁ・・・無理は禁物だよ!
スーパーマン:わかっています!では・・・
博士のラボで緊急事態の知らせを受け、自由にならない体に無理を強いて
現場に向かうスーパーマン。
その体を気遣い、見つめる博士には何か不思議な感覚が残っていた・・・
まるでこれが最後の挨拶になるような・・・そんな感じが・・・。
スーパーマン:まずいっ!急がなくては!
完治していない体で出せる限りのスピードを出し現場に駆けつけた彼の目に
飛び込んできたものは危機的状況だった。
1体のエイリアンが幾つもの卵を地面に植え付け、
さらにはその側に餌とするべく何人もの人を繭で絡め取っているのだ。
早くしないと卵が孵る・・・そんな光景が頭をよぎり慌てて急降下するスーパーマン。
ギャァァァァァァス
下で加速した渾身の体当たりによりエイリアンを彼方へと吹き飛ばした。
男性の声:た、助けて・・・助けてくれ・・・・
スーパーマン:今助ける!・・・?!・・・な、なんだ・・・これ・・・・
男性の声:こ、怖い・・・怖いよ・・・スーパーマン
スーパーマン:くそっ・・・・どういうことだ!
以前、地球外でエイリアンと戦った時にも繭を破ったことがあるが、
こんなに苦戦した覚えはなかった・・・。
今回、彼に油断はない・・以前の戦闘でも数で圧倒され、
餌として捕獲された苦い経験があるため、油断などするはずもなかった。
ロイスの時とは違い、繭の皮のすぐ下に一般市民がいるために
ヒートビジョンもスーパーブレスも使用できない・・・頼れるのは自分の力だけ・・・。
スーパーマン:くそっ・・・完治してないからなのか・・・・・?!
エイリアン:グワァァァァァァァ・・・
スーパーマン:・・・?!・・・・くそっ・・・・
遥か彼方に吹き飛ばしたと思っていたエイリアンが突如として背後の地面から現れたのだ。
予想外の出現により正義の超人はエイリアンの攻撃に防御姿勢をとることが出来ず、
その急襲を甘んじて受けてしまった。口から放出された深い緑色の粘液・・・
この忌々しい繭に両足を地面に繋ぎ止められてしまった。
超人の力でも両足にこびりついた繭を破り足をあげるということが出来ないのだ。
グチャ・・グチャ・・グチャグチャ・・・・
スーパーマン:ま、まずいっ・・・くそっ・・・このままでは・・!!!
ビィィィィィィィ
ジュッ ジュッ ジュッ・・・
地面に封印された両足のために溢れ出てくるフェイスハガーの群れを止める手段はない、
しかし1つでも多くのフェイスハガーを破壊するため咄嗟にヒートビジョンで
攻撃をしかけるが、排除した数よりも遥かに多くの悪魔の子供達が宙を舞って襲い掛かってきた。
スーパーマン:なっ・・・くそ・・・
繭に閉じ込められている人々に襲いかかると思われたフェイスハガーは
一斉にスーパーマン目掛けて襲いかかってきた。
フェイスハガーが自分に襲いかかってくる事はまるで想定していなかったため、
体への付着を次々に許し、瞬く間に体中に宇宙より飛来した悪魔の子供達が張り付いてしまった。
顔に、方に、そして背中や太ももにも隙間があればその場所を求めるようにフェイスハガーが降り注ぎ体を覆いつくした。
繭と同様でまるで接着剤で接着されたように引き離すことが出来ず、
もがくことしか出来ず何も事態を好転させることが出来ない・・・。
エイリアン:シャァァァァァ・・・・
スーパーマン:んっ?!・・・く、くそっ・・・んんっ!
自分の分身にまとわりつかれ、もがき、苦しむ獲物を見て楽しむような声を上げながら
あの液体を獲物に浴びせかけてきた。
足元から徐々に繭で包まれていくスーパーマン・・・
体にフェイスハガーを張り付かせたまま。
両足、下腹部、そして胸板と繭に犯される体の割合はアッと言う間に上昇し、
気がつけば完全な繭の塊に封印されてしまった。
スーパーマン:(くそっ・・・狙いは・・・・・私かっ!!)
繭の中でヒートビジョンを発射し、顔に装着されていたフェイスハガーを焼却した。
体に密着し自由を奪う繭の中であっても顔に張り付く敵は探すまでもなく攻撃が出来るために
即座に排除することが出来たが、肩や太もも、まして目の届かない背中の敵を排除するのは至難の業だった。
