厚生労働大臣 舛添 要一 様
在韓原爆被害者の要望書
| 1. | 2009年を迎えて、大臣の御健勝と貴厚生労働省の果てしなき発展をお祈り申し上げます。 |
| 2. | 原協第2008-231号および279号と関連いたします。 |
| 3. | 上記の号をもって2008年7月28日付で貴厚生労働省に要望書を提出したわけでありますが、これに対する何らの回答もなく、同年9月2日付で要望書への回答要求の公文書を再度お送りしましたが、現在まで一言半句の回答もなく、さらにもう一度別添のとおりの要望書を提出いたしますので、ご検討くださり、今度こそは要望事項を迅速にご処理くださり、必ずやご回答くださいますよう、お願い申し上げます。 |
要 望 書
1.医療費の上限制撤廃に対する要望
この問題に対しては本協会から相当な期間にわたって数えきれない程、貴厚生労働省に要望してきたところですが、いまだに是正されずにいます。至急な施行が切実です。現行の医療費上限額14万5千円(4日以上入院時15万7千円)という上限線のために、韓国から老弱な身で個人的にも渡日治療を受けに行く場合が多いが、老弱者らには相当な無理がかかり、協会としては、それらの人が行き来する途中で大きい異変にでも合いはしないかと、非常に心配しています。
402号通達が2003年3月1日に廃止された以上、日本国内の被爆者との差別なしに在外被爆者にも医療費の上限制を撤廃することが当然だと思料されます。
さらに、さらに現行の医療費上限額を維持する場合、渡日治療者が次第に増える傾向となり、それに伴う旅費および日本国内の高い診療報酬や、また在外被爆者が医療費上限額に合わせるために病院をしばしば訪れる場合もなくはないことを考えれば、医療費上限制の撤廃はむしろ日本政府にとっても有用なものでありうることを参酌されて、医療費上限制を撤廃して下さるよう要望します。
現行制度は402号通達廃止の精神にも背く不合理な制度です。
2.漢方医療費の認定に対する要望
韓国において、特に老齢層はその大部分が、数千年間伝統的に、漢方治療をたくさん受けているのに比べて、現行制度は漢方薬による医療費を認めてはおらず、現実にそぐわない非常に不合理な制度です。国家と民族により治療方法は大いに異なりうるものです。在韓被爆者に対して漢方薬による医療費を認めて,早く施行できるようにして下さることを要望します。
3.原爆症認定申請の自国申請に対する要望
2008年12月15日から被爆者健康手帳の申請を日本国在外公館において受け付けていることは周知の事実です。それによって、日本に行かなくても被爆状況確認証の交付を受けた被爆者が自国においてすでに被爆者健康手帳を交付してもらっています。原爆症認定申請もこれと同様に自国において申請できなければなりません。
原爆症認定に該当する在韓被爆者の大部分が“癌”の闘病中にある患者であり、原爆症認定申請をするために渡日することは挙動が不自由なために、被爆状況確認証を所持していた人々が渡日できずにこれまで被爆者健康手帳を受けられなかった場合と同じ状況です。
本協会会員中、原爆症認定に該当する会員は相当数に達しています。 2008年12月24日付で発刊された本協会会報に原爆症認定申請に関する案内文が掲載されましたが、発行から優に1ケ月が経過した今でも問い合わせの電話が殺到しており、本人が日本に行かなければ申請できないという答弁に対して、被爆者健康手帳も自国で申請できる制度が施行されているのに、なぜ原爆症認定申請は日本に行かなければできないのかという怨みの声が甚だしい実情です。
原爆症認定申請は申込書および具備書類だけ提出すればよいものであるにもかかわらず、必ず本人が日本に行って申請をしなければならないということには、とうてい納得がなりません。韓国の日本公館や大韓赤十字社で本人確認して申請を受け付けて、日本政府に送って審査をすればよいでしょう。自国における被爆者健康手帳交付の施行との衡平性にも欠けている現制度は、現実からあまりにもかけ離れた制度ですので、至急に自国において原爆症認定申請ができるように措置して下さることを要望します。
4.402号通達による損害賠償訴訟に関する要望
2008年8月11日に貴厚生労働省を訪問して、すでに日本最高裁判所の判決が確定した請求原因が同様の同一事件に対して訴訟をする必要はないのではないか、双方にとって不必要な消耗戦であるから提訴前の合意を強力に提案しましたが、結局訴訟をしなければならないという貴厚生労働省の答弁により、現在本協会の全会員が裁判進行中あるいは提訴準備中にあります。今でも双方合意により円満な処理がなされることを再三要望します。
2009年2月17日
社団法人 韓国原爆被害者協会
会 長 金 龍 吉
ソウル特別市江北区彌阿3洞207-17 聖恩ビルディング4階
電話:02-925-3151 FAX:02-926-8678