(文:森田 隆)

2007年度 在ブラジル原爆被爆者協会に関係のあった主な行事・できごと

2月  日本の最高裁判所で、ブラジルの被爆者がしていた時効裁判が勝訴となる。そのため世界各地に在住する一部の被爆者に、保健手当、健康管理手当の時効分が支払われるようになる。
3月  私(森田)と、協会の盆子原理事の2人で、日本に行き、裁判で勝訴となった時効分を早く支払うよう厚生労働省、広島県、広島市、長崎県に要望する。又、裁判で指摘された402号通達のために、在外被爆者が差別を受けた取り扱いについての謝罪を関係官庁に訴えた。同じく在外被爆者が今住んでいる国々で、日本に住んでいる被爆者と同等の医療支援を受けられるよう強く要望した。
4月  ブラジルのマウリッシオ木下映画監督が製作した「原爆を背負ってブラジルで」、この映画がサンパウロ短編映画祭で、生きている政治部門で賞を受ける。
5月  ブラジル高校生平和大使募集始まる。
6月  2人の高校生平和大使が選考される(マルセーロ・ドス・サントス・クレメル君 と プリシーラ・ユミコ・フジカワさん、両名とも15歳)。
7月  サンパウロで開かれた日本祭りに、長崎の高校生 森麻衣子さんが、世界から原子爆弾をなくそうと来伯し、ブラジルの平和大使と協力して、会場で高校生一万人署名運動を行い、1万7百名の原爆反対の署名を集めました。
8月  私と2人の高校生平和大使でジュネーブに行き、長崎から来られた平和大使と合流して、国連欧州本部に署名を届ける。その後日本に行き広島、長崎の高校生と交流を深める。
10月  広島県医師会、広島県被爆者対策課 合同で、ブラジルの医師に、被爆者医療についてよく知って頂く為の講習会を サンパウロと、クリチバ両市で開いて頂く。これは私が3月に日本へ行った時、今後のブラジル被爆者の現地治療に役立ててもらうよう、各関係官庁に要請していたものが実現したのです。

 戦時中韓国に在住していた方々が広島の三菱重工に連れてこられ、仕事している最中 原爆に遭い、その後韓国に帰り、三菱で働いていた時、給料を支給されなかった事について裁判を起こし、その裁判の中に被爆者であることについても入っていて、その事が最高裁で勝訴し、402号通達の為、援助を受けられなかった原告に対し、弁護士費用も含めて一人当たり120万円の賠償金を支払うよう判決が下りました。これは総ての在外被爆者に適用されるべきものです。

 渡辺淳子理事が急遽日本に行き、在外被爆者問題を見直す為に発足した与党PTの懇談会に、ブラジルの実情と今後の援助を訴える為に、ブラジル、アメリカ、韓国の被爆者代表と共同行動をして要望書を提出されました。その後厚生労働省に行き、舛添厚生労働大臣に会い現状打開を訴えられました。
11月  放射能影響研究所の依頼で、ブラジル在住の被爆者に「健康と生活習慣病に関するアンケート」用紙を配布。
12月  放射線影響研究所の片山博士、坂田調査員が来伯し、アンケート回収と被爆者との懇談会を行う。

 衆議院議員・PT 河村建夫 座長に、ブラジル被爆者の要望書を送る。内容は、在外被爆者だからと、過去各県市の窓口で受け付けてもらえなかった、2km以内の保健手当の支払い請求。三菱裁判で賠償支払いが認められた100万円の支払いを、在外被爆者の全員に支払うよう請求。ブラジルの被爆者が指定病院で、日本と同じように健診治療が受けられるようにと要望。

 2007年、東京、大阪、広島、長崎の在外被爆者を支援する方々にお世話になり、又 ブラジルの協会の方々にも支援を受け此処まで出来ました。
 心からお礼申し上げます。

2008年の予定

1月  サンタクルス病院の藤村ゆりさんが広島のHICARE研修に行かれます。
2月  足立修一弁護士が、1月31日日本を発ち、ブラジルに2月7日まで滞在されます。
3〜
4月
 長崎市の在外被爆者を支援する会の平野伸人氏から、ブラジルで映画「長崎1945 アンゼラスの鐘」上映が出来ないかとの連絡があり、それは可能とお返事したところ、実現に向けて前向きに検討し、ブラジル訪伯団を組んで来伯したいとの連絡がありました。
6月  広島県医師会と、サンパウロ州パウリスタ医師会の姉妹縁組の調印式が6月20日サンパウロ市で行われます。藤田雄山広島県知事も出席予定。
8月  サンパウロ移民博物館で、広島、長崎原爆資料館の資料を展示して、南米で初めての原爆展が開かれます。この展示会には、(京都府原爆被災者の会)の方達が来伯され被爆体験を話し協力して下さいます。
10月  ブラジル在住原爆被爆者全員の健康相談が、広島長崎の医師団を迎えて行われる予定です。

 今年も多くの行事が行われますが、私達の一番望んでいる事は高校生一万人署名運動に全力を上げ、若い人達に被爆の実態を知らせ、一日も早くこの地球上から原子爆弾をなくすよう、皆様と手をとりあって取り組んでいきます。