1月31日(月) “長いですが、いま思うことを書きました…いまだに続く援護の差別について”
今日は1月31日、2011年に入り、早いものでもう一ヶ月が過ぎ去ろうとしています。
日本は大雪の為、多くの年老いた方々が、雪下ろしなどで死亡されています。
本当に痛ましい事です。
ブラジルも自然災害、集中豪雨のためこの広大なブラジル全土で被害が出ています、死傷者も1000人以上、世界的にも気候変動は激しく、それに反応しすぐ対処する事が出来なくなってきていて人命被害が多くなっている状態です。
ブラジル在住の被爆者は今月2名の方がお亡くなりになりました。
一人はアマゾン河の河口ベレン市にお住まいの方でした、昨年の日本からの医師団健診の時、癌などを含めた精密検診をしてくださいと、医師に言われて検診を始めようと病院に入院されてそのままお亡くなりになりました。
ブラジルでは2年に一度の日本国からの健診しか受けられません。
もし2009年に健診を受けていれば、この方の病気も見付かっていたかも知れません。
又病院に入院されていた間の費用は自己負担です。
日本在住の被爆者と比べてなんという援護の差別でしょうか。
………
昨年11月厚生労働省係官の金山様と森田会長などが話し合った時、金山さんはこういわれたそうです。
「在外被爆者に関する検討会で出た議論として、どの国でも同じようにしなければならない」
というような話をされたそうです。
この検討会が何年に開かれたのか知りませんが、金山様はこの職場に6年間働いておられ、事情はよくご存知だと思いますが、この6年間我々は何度も要望書を厚生労働省に対して出していますが、お返事を頂いたことは一回もありません。
ですから日本にお住まいの支援者の方々にお願いして裁判をして、勝訴した其の部分を改善してもらっているだけで、本当に厚生労働省自ら在外被爆者医療問題はこのように改善しますといわれた事は一度もありません。
昨年11月の要望書を出すにあたり、前もって次の質問状を議員懇から連絡していただきました。
![]() 1、 韓国: 2009年度初めに大韓赤十字社に送金した医療費総額はいくらか? 2009年度末に使用されずに残ったお金として 日本に返還された金額はいくらか? 2、 ブラジル: 民間保険に加入して申請した人は何人か 医療費の助成で申請した人は何人か? 3、 アメリカ: 医療費の助成で申請した人は何人か? 4、 上記以外の国からの申請件数は、国別に何件あったのか? |
↓
厚生労働省からの上記質問に関する回答
![]() 上記質問の1: 送金金額は 290,000千円 返還金額は 21,000千円 質問2: 民間保険に加入して申請 34人 医療費の助成で申請 57人 質問3: 医療費の助成で申請 499人 質問4: 上記以外の国からの申請件数 カナダ:15人 台湾:9人 タイ、ドイツ、オーストラリア:それぞれ4名 インドネシア、アルゼンチン:それぞれ3名 スイス、ベネズエラ、フイリッピン、シンガポール、中華人民共和国:それぞれ2名 メキシコ、ボリビア、ペルー、ニュージーランド、フランス、スウエーデン、ポルトガル、 ベトナム、マレーシア、香港:各1名 合計:62名 |
という結果ですが、つまり
ブラジルの場合約140名の被爆者の中で91名が申請 約65%
アメリカの場合約900名の被爆者の中で499人が申請 約55%
北朝鮮は0申請
と言う事でブラジル、アメリカともに35%、45%の被爆者が其の恩恵を受けていません。
これで良いのでしょうか?これが援護と言えるのでしょうか?
………
上記「在外被爆者保健医療助成事業」は被爆者援護法の枠外で行われています。
2010年度の申請も今日1月31日までです。
昨年1月に病気などで使用した金額は、まず病院などに自分で支払って1年後に申請して今年3月に清算されるわけです。
それも上限16万円しか支払われません。
病院で16万円以上のの経費を請求されそうな病気の場合、先払いの金銭が都合がつかない場合、病人は健診、入院を躊躇します。
日本に住んでいる被爆者と比べ心の負担がどんない大きいことか、一日も早く被爆者援護法に法った援護を望みます。
………
先の厚生労働省の金山様に私達は要望書を手渡すわけで、それに対する回答を期限を決めて回答して欲しいとお願いしましたが、
「これからいろんなことを検討していくので、期限を切ることは難しい」
という返事だったそうで、
「回答できる状態になったら回答する」
と答えられました。
本当に要望書が検討されるのでしょうか、6年間一度も回答をもらっていないので、期限をきってとお願いしたのですが。
ブラジルでは検討したくない要望書など、エン ガベッタするといいます。要するに机の引き出しの奥に仕舞い込むと言う事です。
………
もう一つ。
医療費問題について、被爆者援護法改正の際に、法適用が見送られて付則に盛り込まれるに留まった理由としては、
「各国によって医療保険制度が異なり、医療費を支給する場合、どのくらいの予算を立てたらいいかわからないので、実施把握の為の時間が必要だ」
ということだったそうだが、それで、この間厚生労働省はその実態把握のためになにをしてきたのか、もうあれから何年もたっているのに、其の答えが発表され実施されていない。
これでは年老いた在外被爆者に今迄どおり何もしないで、死を待っているだけといわれてもしょうがないのではなかろうか。
私は昨年5月ピースボートに乗船して、ニューヨークに8日間滞在し、その間国連で開かれていた核不拡散防止条約(NPT)再検討会議の模様を拝見する事が出来ました。
その時いろいろな分科会で、被爆体験を話し、在外被爆者が日本政府によりその援護が差別されている現状について話しました。
そして出席者の皆様に、日本政府が広島、長崎で被爆した、世界約30カ国に在住している被爆者に行っている差別は許されるのかどうかと言う事について問いただしました。
当時出席されていた全員の方が、日本の首相は在外被爆者に謝罪し、すぐ日本に住む被爆者と同等の援護をするべきだと挙手をして賛成してくださいました。
その時の事を思い出すたびに、被爆から65年たった今も海外に在住するたった5000人の被爆者の援護も出来ない日本とはいったいなんという、血も涙もない国だろうとつくづく思っています。
特に韓国から強制的に日本に連れてこられて、日本のために働かれた方々を同じ被爆者でありながら見捨てた罪は人道的にも許されないと考えます。
(盆子原 国彦)